どうやら俺は転生したらしい。それも大昔の日本。
時代は……多分江戸? 歴史詳しくないからわからん。※平安時代です。
小金持ってそうな農家の子供だ。と言っても現代っ子からして等しく貧乏だ。娯楽もないし日々惰性で生きている。
唯一の楽しみといえば女だ。豪農だから擦り寄ってくる女の子も多いし、うちの村は自分含め美人が多い。見るだけで楽しい。眼福眼福。
12歳で同い年のキヨメちゃんはお気に入りだ。めちゃくちゃかわいい。将来は絶対に嫁にしてやるぞと思って、甘い干し柿を作ろうと山で採取しようと入っていったんだ。
その時に見たんだ。木々がすごい速度で破壊されて倒れ行く様を。
目に見えないやばいやつがいる。おそらくそれは空を飛んでいてその音速以上のスピードだけで何もかも壊す。
怪だ。この世界には妖怪がいたんだ。女などで誤魔化してたつまんない世界が一気に色づいた感じがした。
あれと戦いたい。余波で捲れ上がった土砂に土濡れで埋まった俺はそう思った。
◇
あの時、出会った怪はたぶんTUBAMEだ。いや絶対TUBAMEだ。そして俺は農民。いや、NOUMINN。あのFateの剣聖。オルレアンのドラゴンスレイヤー。佐々木小次郎だ。※違います。
暴論だが、確かに顔つきも似てるし、山にはTUBAMEらしき怪もいるし家には長ーい刀もあった。最近は声変わりしてきて三木ボイスになってきた感じがする。※違います。全然似てません。
なので、俺はFateで名だたる英雄と刀一本で打ち合えた名もなきNOUMINN。佐々木小次郎なのだ。QED終了。剣聖? 知らんなにそれ? ※きっかけからして違います。本家は流れの老剣聖に憧れて剣士になりました。
俺は棒を振って素振りをする。
一年二年。俺はTUBAMEを切ることを考えて木刀を振るった。
次第に体格が良くなり、五感も鋭くなり色んなものが知覚できるようになった。実はTUBAME以外にも透明な妖怪は結構いるらしい。キヨメちゃんの肩にも小さいのが付いていて感じ取ることが出来た。ちなみに肩が最近重いと言っていたので多分こいつの仕業だと思う。
しかし、触れるが切れない。そこにあるとわかっているのにどうも今の私ではあまり干渉出来ないようだ。浅い森にいる強そうな妖怪は特にだ。刃が立たん。
なのでそれを斬る練習した。
しかし、そんな妖怪を斬る方法はわからんので『秘剣燕返し』の練習をした。
佐々木小次郎は並行世界から斬撃をこの世に持ってくる。ならば、並行世界の穴を空けるため、空間や次元を切るのは前提。
なのでそれ切るのを想像しながら素振りし、練習を重ねた。
◇
どうやら、俺は本当に佐々木小次郎のようだ。※違います。
一年したら空間が斬れるようになった。試しに木刀で強めの妖怪を切ったら真っ二つにできた。多分死んでる。コツを掴んだので木の枝でも葉っぱでも指でもスパスパ斬れる。ただ、集中する時間が必要で、やはり刃物の方がやりやすい。
キヨメちゃんの肩についた妖怪も指で斬ったら軽くなったと喜んでた。
次は次元を斬る。次元とはなんぞやだがよくわからん。一年棒振りしてもデビルメイクライに出てくるバージルの技。次元斬しかできん。ぐぬぬ。※呪霊は死ぬ
ちなみにキヨメちゃんは俺の嫁で二児の母である。
◇
もう一年二年、畑の世話ついでに棒振りをしてたら世界の壁? みたいのを斬れるようになってきた。
ピシリ、ピシリと空間からやばい音がするがやめられん。もう少しで秘剣が完成する。
最後の締めであの時の山に入った。TUBAMEを斬るためだ。
妖怪や獣を斬り殺し山奥に進む。そして、段々と霧が濃くなる。次第に鳥肌が立ってくる。
あぁ、TUBAMEはまだこの山にいたのだ。
TUBAMEとの戦いは激しかった。そして楽しかった。亜空間を潜航して空間を操り、音速を超えるスピードであらゆるモノを貫く。そして、敵の脳波を読み攻撃をかわす理外の化け物。
鍛錬は無駄ではなかった。五感を研ぎすまし、世界と同化する。筋肉も内臓も空となる。
刃は雲のように軽く、蜘蛛の糸より細く鋭く感じる。
しかし、技の起こりを読まれ攻撃が当たらない。何度も何度も空振る。思考が読まれているのだから当然だ。肌でわかる。ならば、同時に斬れば良い。この時を待っていたのだ。
今ならいける。
『秘剣燕返し』
並行世界から斬撃を繰り出す技。それは起こりがなく、歴戦の猛者であればあるほど驚愕するだろう。
TUBAMEはバラバラになって死んだ。
この日、私は真に佐々木小次郎になったのだ。※違います。バグ人間です。
◇
キヨメちゃんが10児の母になったところで俺は修行の旅に出ることにした。
子供も大きくなり、農業や剣術も仕込んだ。金もTUBAMEの巣にパンパンにあった宝物で数世代は遊んで暮らせる。
ならば、趣味に走っても良いのではないだろうか?
町々を歩き回り、妖怪や野盗、腐れ武士。稀に超能力者を退治してお土産や金を持ち帰り一年に二、三回は家に戻る。そんなサイクルを延々と続けた。
楽しかった。
ある日、賊討伐の依頼を受けて町に向かう中腹で見える妖怪に出会った。
腕が四本ある人型だ。禍々しい気配で明らかに人外であった。顔も二つある。
「お前が非術師の剣聖だな?」
そう言って襲いかかってきた。
この見える妖怪は強い。TUBAMEの再来だ。いや、TUBAMEよりも強いかもしれん。だが、私も強くなっている。苦労したが、燕返しの敵ではない。が、何回斬っても死なん。バラバラにされようが首チョンパしてもダメ。
「なんだお前は!? なんなんだ!?」
そう言って放つ不可視の斬撃を躱し胴を両断する。このやりとりはもう100を超える。たまに炎の矢や蜘蛛の巣状にに敷き詰められた透明な刃を次元斬で切り払う。その後はもちろん斬り捨て御免。
「りょ、領域展開!!!」
すごいお堂が現れた。そして降り注ぐ刃の雨。これはさすがに防ぐのは無理だ。ならば、
「…秘剣燕返し」
本家佐々木小次郎は3つの斬撃であった。私はさらに1000に増やした。そしてそれらは空間を切り裂く。
全てを切り裂く刃。生涯求め答えを得た剣は容易に妖怪の斬撃を切り払い、四肢、いや六股を切断する。
「秘剣燕返し」
2度目の秘剣を放ち妖怪をミンチにした。
そうして、四つ腕の化け物は死んだのだ。
「おまえ、中々強かったぞ」
私の方が強かったがな!!ガハハハッ!!
その後は修行の旅を続け、二十五児の父になり天寿をまっとうした。
◇
額に縫い目のある男。羂索と名乗る者が指を双眼鏡みたいにして遠方を見る術式を使い小次郎達の戦いを見ていた。
「きっしょ、なんで非術師なのに宿儺を殺せるんだよ」
額には脂汗を流しており、信じられないくらい焦燥していた。両面宿儺に佐々木小次郎のことを教えたのは彼だ。自分の計画を何度も邪魔され目障りだったから退屈していた宿儺を差し向けたのだ。
「本当になんだよあれ。なんなんだよぉ」
羂索はその場で頭を抱え縫い目から脳汁が溢れさせる。最強と確信した宿儺が片手間に殺された。しかも小次郎の方は傷らしい傷もない。精々、髪が少し切れた。服の裾が切れたくらいだ。無傷じゃん…。おかしいだろ。おかしいだろ!! 何で非術師が呪力を纏った宿儺を斬れるんだよ!! 不可視の斬撃を避けられるんだよ!! 領域を斬れるんだよ!! 意味が分からない。
「ほしい。……最強を下したあの体が欲しい!」
ありえない光景を目にして羂索は壊れた。彼はなにがなんでも小次郎を得ようとするだろう。
その顔は狂気で満ちていた。
◇
「ふむ」
東京にある夕方の公園で倒れていた制服を着た男子高校生がベンチで覚醒する。
「天寿を全うし極楽へ行けたと思ったら現世に逆戻りか」
口調はまさに好好爺。爺くさい。彼はあたりを見渡す。透明なものがふよふよと浮いているのを感じる。
「なんの因果か。この世にもまだ妖怪はいるみたいだの」
えいえい。青年は指で自分に絡まっている透明な何かを斬る。斬ったのは呪力による縛り。転生体を用意して後で乗っ取るためガチガチに羂索が縛りつけたモノを斬ったのだ。
「悪いもの切れたし現代に戻ってきたんだ。さぁ遊ぶぞ! まずはチーズ牛丼! アニメ! ゲーム!! ヒャッハー」
自分の置かれた状況を確認した彼は口調を年相応に戻す。昔は娯楽など棒振りなどしかなかったが、この時代にはたくさんある。暇しかなかったあの時と比べもう一度読みたかった漫画やゲーム、アニメ、ジャンクフードがある。渇望していたものがたくさんある現世に彼が舞い戻ったのだ。
偽佐々木小次郎が呪術廻戦に参戦。
・偽佐々木小次郎
一言でいうとバグ人間。剣士版ワンパンマンのサイタマみたいなやつ。デフォルトで亜空切断を放ってくる。五条先生の天敵。Fate知識もにわかであまりよく知らないために佐々木小次郎に対して無限にハードルを上げている。燕返しも最終的には3000の斬撃を同時に放てるようになったが使う相手がいなかった。メロンパンによって現世に蘇る。
・TUBAME
森の恐れなどで生まれたカラスの呪霊。宿儺の指10本分の強さ。術式が厄介なので実際にはもっと強いと思う。