pixivで書いたものを試しに投稿。時系列とか全部無視しています。

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推しの子×おちフル

東京都東小金井市。ここにひとつのアイドルグループがあった。その名は「フルーツタルト」。と言っても結成したばかりな上に、その動機も「住んでいる寮の借金を返すため」という何とも言えない物で、そのためにわずか5分の深夜番組で様々な企画をやるという趣旨であった。

 

この日、彼女達は東小金井駅前でスーパーのチラシ配りをしており、歌を歌いながら人を集めたりしていたが、その中でメンバーの一人である桜イノは一番早く捌けており、残り一枚になった所で風が吹き、チラシを離してしまった。

 

「あっ…!」

 

イノは慌ててチラシを追いかけると、そこにしゃがんでいる人がいた。

 

「これ、あなたの?」

「い、いえ!よ、よかったらどうぞ!」

「これ、スーパーのチラシ?」

「はい!セールなんです!…って、帽子落ちましたよ!」

 

その人が立ち上がると帽子が頭から落ちてしまい、イノはそれを拾って手渡す。そこにいたのは、黒い短髪の、パーカーを着た同年代位に見える少女であった。

 

「ありがと。あなた達、アルバイトなの?服がやけに派手だけど」

「私達、アイドルなんです!まだ結成したばかりですけど…」

「ふーん、さっき歌が聞こえてたけど、CMソングかなって思っちゃったよ。それに、チラシも新曲発売とかじゃないんだね」

「それは…そういう企画というか…でも、お金返すためですから!それに、楽しいですし!」

 

そう言ってイノは笑顔を見せ、少女はそれにつられるように笑顔を返した。

 

「…可愛いね、貴女。良い笑顔だよ」

「あなただって可愛いですよ!ああ、女の子の笑顔はいいですね!」

「そう…だね。お母さんからお使い頼まれてたんだ。じゃ」

 

少女はチラシを受け取り、去っていった。イノは手を振りながら見送り、新しいチラシを配りながら考えていた。

 

(さっきの子…地味系だけど目が綺麗ですごく可愛かったです!可愛い子の笑顔は特に癖になりますね!ああ…連絡先交換できればよかったんですけど!)

 

と、ひとり妄想に耽り、本人が気が付いた時には「残り96%」になっていたらしい。

 

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後日、学校の入学式そしてクラスの自己紹介にてイノは何を言うか迷った末に「頑張って借金返します…」と発言してしまい、同じクラスでメンバーの貫井はゆも「一緒に借金を返済中です!!」とフォローのつもりの言葉がさらに混乱を招き、イノの「あくまで清い交友関係です!!」という発言がトドメとなってクラス中が困惑に包まれた。それでもイノとはゆは友情を結ぶが、

 

「家だけじゃなくて学校でもよろしくお願いしますね!はゆちゃん!」

「モチロンだよイノっち!」

 

「これからも一緒に頑張ってお金稼ごうねー♪」

「はい!」

 

という二人のやり取りに周囲がさらに困惑したことに二人は気づいていなかった。

 

「それにしても…やっぱりすごいですねえ。都会の学校って」

「え?どうして?」

「人が多いのはもちろんですけど…みなさんオシャレだしキレイだしまるで芸能人みたいにキラキラしてて…ん?」

 

その時、廊下でイノと短髪の少女と目が合った。

 

「あ…」

 

「あのっ!駅前でチラシ拾ってくれた子ですよね!」

「貴女は…帽子拾ってくれたあの時の…よくわかったね。化粧してないのに」

 

「可愛い娘はわかりますよ!それより同じ学校だったんですね!」

「クラスは違うみたいだけどね。いやあびっくりしたよ」

 

「い、イノっち、誰この子!?」

 

「チラシ配りの時に会ったんです!ずっと気になってたんですよ!」

「あっ!そう言えば番組にイノっちと一緒に一瞬映ってた子いた!」

 

はゆが思い出す中、少女は尋ねた。

 

「貴女達、アイドルでもう番組持ってるの?」

「そうだよー♪お金返すために頑張ってるんだ♪」

「あの時もそんな事いってたけど…生活苦しいの?」

「い、いえ!そういうわけじゃ…」

 

「…わかるなあ、それ。子育てだってお金がなきゃ苦しいもんね…」

 

「「えっ?」」

 

イノとはゆが少女を凝視するが、少女は愚痴を零すように言葉を連ねていた。

 

「月20万位でもキツいのにさ、それを下回る月も多くてね…仕事して結構稼いだって思ったら色々引かれてさ…借金取りかって思ったよ。好きなアイス買うの止めろって言われた事もあったなあ…世の中結局お金だよね…お金がなきゃいい暮らしも、いい選択肢も与えられないし…」

 

妙に実感が籠っているような少女の言葉に、はゆが尋ねた。

 

「ね、ねえ…そんなに生活きついの?」

 

「ち、違うよ!私、一人っ子だし、お父さんやお母さんがそれくらい大変な家族もいるって言ってただけで!」

 

「そうなんですか!?貴女に子供がいるんじゃないかって一瞬思っちゃいましたよ!」

 

「そそ、そんなわけないじゃん!中学高校で子持ちとかダメに決まってるし、周りにも迷惑かけちゃうし、アイドルなら猶更アウトだよねー!あはははー!」

 

イノの言葉に少女は特に両手を激しく振り、笑いながら否定した。

 

「そ、そうですよね…でも、個人的にはアリなんですけど…JKで子持ちのママ…」

 

イノは小声で呟いた後、少女の手を握りながら言った。

 

「あのっ!友達になりませんか!?連絡先交換しましょう!」

 

「!…友達…いいの?私が?」

 

「はいっ!まず自己紹介しましょう!私は桜衣乃といいます!」

「はゆは貫井はゆだよー!よろしくね!」

 

「桜…イクちゃんに、貫井…はるちゃん?」

 

「違います!イノです!」

「はゆだよ!」

 

「ああ、ごめんね。人の名前覚えるの苦手でさ。昔よりはマシになったけど」

「じゃあ私の番だね。私は…ヨウ。日野陽っていうの」

 

「ヨウちゃんですね!よろしくお願いします!」

「よろしくね!ヨウっち!」

 

「あはは、よろしくね。イノちゃん、はゆちゃん」

 

ヨウは二人と握手をしながら笑顔を向けた。

 

「ヨウちゃん、笑顔がすごく可愛いです!絶対いいお母さんになれますよ!」

 

「そーかなあ?イノちゃんには負けるよ。あとさ、さっき清い交友関係って大声で聞こえてたけど…」

 

「え、聞こえてたの…ヨウっちのとこまで…」

 

「大丈夫だよ。充分清いから。世の中にはもっとアレな交友関係もあるから…ってテレビでやってたからさ」

 

ヨウのこの言葉にイノとはゆはヨウも交えて改めて清い交友関係を築こうと誓い合った。そして学校が終わり、二人と別れて帰宅したヨウはベッドの上に仰向けに横たわった。

 

 

「友達かあ…私にも出来るんだなあ…ちょっと喋り過ぎたけど。嘘つくの下手になってきてるなあ、私」

 

「信じてもらえるわけないよね…私に前世の記憶があって、それが星野アイ。B小町のアイだなんて」

 

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あの時、「愛してる」って言えた後、私の意識は消えるように暗くなっていった。その時、赤ちゃんの泣き声が聞こえ、走馬灯でアクアとルビーが産まれた時を思い出してるのかなと思ったら、何か違った。病院の天井が見え、抱きかかえられてる感触がした。私が産まれた時の光景かと思ったら、目の前にいたのはまったく見覚えのない夫婦だった。

 

(誰―――!!?ここどこ―――――!!!?)

 

 

私は、東京の東小金井市に住む夫婦の女の子として転生したらしい。信じられなかったけど、確かに赤ちゃんの身体で意識もはっきりしていた。私は太陽から取って「陽」と名付けられた。どうやら私は不妊治療などの末ようやく産まれた子供だったらしく、大事に育てられた。殴られたりといった虐待もなく、ご飯にガラスが混じってるような事もなく、温かい食事が出された。両親は普通の仕事で副業で野菜を育て、直売所で売っている平凡な家族で、お父さんとお母さんは常にいた。幼稚園や小学校にも普通に通い、その間にピーマンやらブロッコリーやらの野菜の歌が立て続けに流行り、家でもそれを育てるのを手伝わされた。

 

 

家出をしたことがある。アクアやルビーに会いたいって思ったのと、こんな「普通」の暮らしをしていいのかなといった色々な不安が重なり、貯めていたお小遣いを持って家出した。同じ東京だからかつていた所にすぐに着くだろうと思ったけど、甘かった。東京の迷路みたいな地下鉄や大きな駅に捕まって迷子になり、駅員さんに保護された。持っていた子供用のスマホには着信が鬼のように溜まっていて、お父さんとお母さんが迎えに来てくれて、叱られつつも抱きしめてくれた時、私は泣いていた。アイだった時は、お母さんに迎えにきて欲しかったから。

 

 

その後、私は小学校、中学校を普通に卒業し、子供を妊娠するなんてこともなく高校に進学した。その間、アクアとルビーに会いたいとは何度も思ったが両親に迷惑はかけれないのと怪しまれるだけだと思った。テレビなどで活躍するのを見た時は凄く嬉しかったけど。あとお母さんに頼んで化粧をしたら、時間を掛ければだけどアイそっくりになれたことは我ながらびっくりした。なので薄化粧をして散歩していたら駅前から歌が聞こえ、あの子達—フルーツタルトに出会った。聞いたことのないアイドルグループだったけど、帽子を拾ってくれたイノちゃんの笑顔は、嘘じゃない正直な物に見えた。同じ学校で友達になれるとはまったく思わなかったけど。

 

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その日、星野ルビーはソファの上で目を覚ました。

 

「う~ん…私、寝ちゃってた…?テレビつけっ放しだし…」

 

テレビを見ていたらうたた寝してしまったらしく、テレビからは深夜番組が流れていた。

 

「何これ…『おちこぼれフルーツタルト』?アイドルの番組?」

 

聞いたことのないアイドルグループだが、どうやら新人アイドルが様々な企画に挑戦する番組らしい。今回の放送はスーパーのチラシ配りらしく、グループの新曲やらライブやらじゃないんだと思ったが、女の子のレベルはそれなりかなと半ば寝ぼけ眼で見ていたルビーだったが。

 

「あ、このピンク色の髪の子、帽子拾ってあげてる…え?」

 

ルビーは眠気が吹き飛び、画面を凝視した。帽子を受け取った女の子—黒髪の短髪の女の子

が、確かに似ていた。自分の母親—星野アイに。

 

「ま、ママ…?ど、どういう事…?」

 

女の子はほぼ一瞬映っただけであり、単にいくらか似ているだけの人かもしれないのに何故か頭に強く焼き付いた。肉体を構成する遺伝子が強く反応していた。また、それとは別の子が服のボタンが弾けて大きな胸が顕わになったシーンにルビーは釘付けになり、後日友人である寿みなみに

 

「みなみ…おっぱいでボタン飛ばせる?というか飛ばして!」

 

「え、ええっ!?な、何言うとるんやルビー!?」

 

と無茶振りをし、そこに何故か友人の不知火フリルも居合わせ、ちょっとした騒ぎになったのはここだけの話である。

 

 

 

 




・日野陽(ヨウ)

東京の東小金井市に住む普通の女子高生。だがその正体は殺害されたアイドル、星野アイが転生した姿。ごく平凡な家族に生まれ、虐待などもなく大事に育てられたため親の愛情を知ることが出来た。だがその分前世の自分に照らし合わせ負い目を感じている所もある。テレビなどでアクアやルビーの事を見守りながら普通の女の子として暮らしており、フルーツタルトと出会う。

名字の由来は「星野」の一文字違いと東京の日野市から。名前は「はる」もあったがはゆと被るため変更した。


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