しかし、そこにあったのは自分達の知る場所とはかけ離れた場所で……。
戻る手段はステージクリアのみで、進まざるを得なくなる二人。
頭上にある残機がそれぞれのライフを示し、それがなくなるとどうなるかは分からない。
困惑する司とは対照的に、類は意気揚々としていた。
謎に既視感のある敵キャラが立ちはだかるが、二人は果たして元の世界に帰る事が出来るのか?
其のゲームの微妙なクロスオーバー要素を含みます。
それでも良い方はこのままどうぞ。
↓
↓
↓
↓
***
時は遡ること数時間前。
この日、オレ達はいつも通りショーのお披露目の為セカイに来たのだが……どういう訳か、セカイはキノコに侵食されていたのだ!
キノコは遊園地のアトラクションにまで寄生してしまっているし、というか今オレ達が立っている地面の正体も大きなキノコなのである。
一度帰ろうかとも思ったが、何故かスマホは起動しないし。
セカイは思いによって形を変えるというが、多分これはタチの悪い夢だろう。
でないと、ミク達が出てこないのにも説明がつかないからだ。
「ふむ……どうやら僕達は、此処に閉じ込められてしまったようだね」
「類、なんでお前はそんなに冷静なんだ!?普通もうちょっと動揺する所だろう!?こんな未知の場所で迷っているというのに!」
「フフ、未知だから楽しいんじゃないか。あと司くん、その先は足場がないから落ちてしまうよ」
「……え?」
その言葉にオレは、恐る恐る自分の足元を見る。
するとその下には底のない真っ青な空間が広がっており、あともう少し進んでいたら真っ逆さまになっていた所だったのだ。
「な、なんだこれは……一体どうなっているんだ?
そ、底がないって……これ、落ちたらどうなってしまうんだ……?」
「恐らくこれは、ゲームとかでよくあるメタバース上の設定空間だろう。
僕達が今いるこの場所は、恐らくアトラクションの一つとして作られた異空間だ」
「なに?なんでそんな事わかるんだ?」
「そうだねえ……少し現実世界と比べてみても良いかな?」
そう言うと類は、近くに落ちていた木の破片を拾いあげ、底のない穴の方に投げてみせた。
すると枝はある程度下に落ちると光のように消滅していったではないか。
「な、なんだあれは!」
「恐らくあそこに落ちると、この空間から存在を消されてリアルの方にも帰れなくなるのかもしれないね。
しかし、ここがゲームの世界と同じ仕組みであるなら、僕達に残機といったものがあっても不思議ではない」
「残機……だと?」
(そういえば、さっきから類の頭上に何か文字のようなものが見えていたが、あれはオレの見間違いではないということなのか?じゃあまさか、オレの頭上にも……)
……ん?
「類、お前そんなキャラだったか……?」
「フフ。この場所では怖いという感情がすっぽり抜けてしまうみたいだね。きっと面白いショーをする為にはこれくらいの恐怖は必要なんだよ」
「ちょっと何言ってるかわからんが……」
まあとにかくだ。
実際に類の言っていることも間違いではなさそうだ。
このキノコワールド(仮)は、至る所がキノコで出来ており、穴のある所を渡り向こうに行く為には羽の生えた動く足場を使う以外の方法はない。
しかしだ、そんな危険な場所を歩いて渡っているのにも理由があった。
「さてと。このままリアルから見放されたままではショーが出来なくなってしまうからね。早く寧々やえむくん達と合流しなくては」
「……そ、そうだな」
これがゲームであるなら、脱出の手段はステージをクリアする事。
だがオレ達にはそれすらもわからないのである。
「なあ類、これはあくまでも仮想空間のアトラクションだといっていたが……一体どんな仕組みで此処に連れてこられたんだ?」
「うーん、そうだねえ……」
類は顎に手を当てると少し考え、話し始める。
「簡単に言うと此処はキノコワールドな訳だけれど、セカイが構成するバーチャル空間と似た場所なんだよ」
「バーチャル空間と似ている……?」
「ああ。ただ僕達は此処の管理人ではないからね、どういう風にこの空間が構成されているかはわからないんだ。
まず第一に此処ではお腹が空かないし眠くもならないから、厳密にはバーチャルなのかどうかすらわからない」
「……なるほど。キノコワールドから派生するゲーム世界なのか、もしくはセカイによる介入でこの仮想空間に連れてこられたのか……という所か?」
「さすが司くんだねえ。飲み込みが早くて助かるよ」
そう言うと彼はその場を立ち上がりゆっくりと歩き出す。
それにしてもこのキノコといい、上に浮いているブロックといい、何処かで見覚えがあるような気がするが多分気のせいだろう。
「……ん?何か向こうから歩いてくるね」
類がそう言った先には、穴で隔たれた向こうの段差の足場から降りてくる緑の甲羅のカッパがいた。
一体これはなんなのか……と、言う暇もなく。そのカッパはオレ達の目の前に来ると突然話しかけてきたのである。
「え?お前らもしかして客!?」
「……は?」
そのカッパはひょいっと近くの段差からジャンプすると、上から降って来たように演出しながら着地し、こちらへ歩いてくる。
それを見ながらオレはようやく理解が追いつき始めてきた。
そうだ、これは……
「オイラは亀魔王の下っ端兵士、カパカパ、この1-1のステージの最初の敵さ。さあ、客なら戦うぞ!」
……このカッパ、言っている事がなんかもうメタすぎてゲームにしか見えないんだ!
というか、ようやく頭の上にあるモノの正体がわかった。
(あれは敵キャラクターのアイコン……つまりは敵キャラの残機ということか!)
しかもこのカパカパというキャラクターは、カエルのようにぴょんぴょんと飛び跳ねながらこちらにやって来るではないか。
とはいえ、なんとか残機は守りきらねば……と、オレは慌ててスマホを取り出し自撮りモード(加工カメラアプリ)で写真を撮ってみる。
するとカパカパの頭上にはしっかりと、オレの頭上に浮いているものと同じアイコンが表示されたのだ。
「なるほど。どうやらこちらのキャラクターにも僕達と同じ残機が設定されているみたいだね」
「しかしどうするんだ?ゲームならコマンドで回避できるんだろうが、オレ達にはこのフィールドを自由に歩く以外は不可能なんだぞ!」
どうやらこのキノコワールドを構成する基盤は、オレ達が知っているものと同じようで……操作という面でも非常に不便なゲーム世界だということが改めてわかる。
「まったく……これからどうすればいいんだ?あのカパカパとやらに勝つには、どうするべきなんだ?」
「……ふむ」
そんなオレが腕を組みながら悩んでいた時だった。
隣でスマホを操作していた類が不意に立ち上がり、そのまま段差が途切れている部分まで歩いていく。
「な、何をしているんだ?まさかカパカパに挑む気じゃないだろうな?」
「まあ見ていてよ」
そう言うと類はスマホでカメラを動画モードにし、敵の前へと回り込む。
すると敵の動きがピタリと止まったのだ。
画面内にカパカパの姿が収まると、眼前のカパカパ本人はいつの間にか甲羅の中に入った状態になっていて。
まるで動かない甲羅だけが転がっているかのようだ。
「こ、これは……?」
オレが驚いて声を上げると、隣の類がにこりと笑う。
「フフ、どうやら僕のスマホのカメラが敵の残機を破壊したようだよ」
そう言って彼は更にシャッターを何回か切ってみせる。
その途端にカパカパは光の粒子となり砕け散るとどこかへ転送されていったのだった。
これで敵の討伐と同時にゲームクリアになった……という事なのだろう。
「じゃあ、これで帰れるという事か?」
「……いや、さっきの彼は1-1のステージだと言っていたから多分この後も……」
「ああ、なんとなく……そんな予感はしていたぞ」
その読み通り、やはりこのワールドは1のステージを制覇しない限り出られないと思われた。
だが厳密には1のステージクリアを果たした所で次のワールドが現れる可能性もある訳なので、どちらにせよそれなりに長くはなるだろう。
「さあ、とにかく進んでみなければ始まらないよ」
「それはそうだが……何処まで行けばいいんだ?」
オレは深いため息をついた。
そうは言っても進まなければ帰る事はできないのだから、仕方の無い話だ。
「まぁそれは、進んでからのお楽しみさ」
それから次のステージに向かう途中、オレたちはたまたまある看板を見かける。
それによると各ワールドの特定のステージには、次のワールドへの近道の大砲が隠されているのだという。
類の数々の演出に応えてきたオレではあるが、流石に本物の大砲で飛ぶというのは気が引ける。
いくらこのバーチャルな世界と言えど、安全面が保証されているかはまだわからないのだ。
「ステージに隠された裏ゴール……それを見つければ、転送の大砲への道は開かれるそうだよ。
まぁそこへ向かうとなると、通常ルートより難易度も高いものになるだろうけどね。とにかく進んでみようか」
「……わ、わかった」
そんなこんなでなんとか1-3まで進んだオレ達だったが、そこであり得ないものを目にする事になるというのは次回の話。
〰️〰️〰️〰️
おまけ。
天馬司 残機5(1-2で知らない内にはさまっていた為)
神代類 残機7(ノーミス)
次回もかなり既視感モリモリです。
ところで土管で移動するのってどんな感じなんでしょう?
乗り物酔いする私は多分100%酔いますね(どうでもいい)
プロセカはフルコンするまでリトライする派。
推しの星4が中々出ないのを日々嘆いています。
作者のやる気があれば多分続くと思います。