南の勇者は強大なる魔王軍に対して快進撃を続け、ついに彼の前に七崩賢と魔王の腹心がその姿を現した。そんな魔王軍最強の面々を前にして、南の勇者は力強く声を上げた。
「パンツだけは…許さない!」
南の勇者は多くの魔族を屠ってきた自身の双剣を彼らに向ける。それに対し魔王の腹心たる全知のシュラハトが答えた。
「これまで幾度となく未来で殺し合ってきたが、直に相対するのは初めてだな…。そうか、お前がトマトか」
「そうだ!私がポテトだ!」
名乗りを終えた南の勇者は双剣を構え、そこから苛烈な戦闘を予期した七崩賢と全知のシュラハトも臨戦態勢に入った。
しかし南の勇者の行動は速攻であった。
「まだ
「まそっぷ!」
南の勇者の剣は安々とシュラハトの身体を貫く。
「馬鹿な…今までの予知は、全てこの一撃のためのフェイク、だったのか…。」
魔王の側近が今まさに討たれた。
だというのに、七崩賢のうち名前の分からないシルエット三人は、全員が冷静さを保ったまま呟く。
「シュラハトがやられたようだな…」
「フフフ…奴は魔王軍の中でも特に小うるさい奴だった…」
「人間ごときに負けるとは魔族の面汚しよ…」
「くらえええええ!!!!!」
「グアアアアアアアアア!」
南の勇者はシュラハトを貫いた勢いのまま七崩賢の三人を貫いた。
だがシュラハトと三人を刺した剣は、もはや使い物にならなくなっていた。
武器を失った人間は魔王軍の精鋭相手に為すすべがなかった。
断頭台のアウラは自身の魔法”
不死なるベーゼは動きを止めた南の勇者を羽交い締めにして叫ぶ。
「オレごとやれーーっ!」
黄金郷のマハトは自身のマントを”
奇跡のグラオザームはマハトの記憶を消していた。
「これまでか…だが覚悟しておけ。お前達、魔族の趨勢は今日ここで決定した…。」
(フリーレン…アイゼン…ハイター…そして…勇者ヒンメル…。後は頼んだぞ…。)
「うおおおーーーーーー!!!」
南の勇者は最後に残った僅かな生命力と魔力を爆発力に変えて敵を討つ。
「ああああっ!…ま、まさかこの魔力反応は!!」
復活した不死なるベーゼが異常な魔力を感じ取ったが、対応する間もなく南の勇者もろとも蒸発した。
「くらえベーゼ!ヒンメルストラッシュ!」
「さあ来いヒンメル!オレは既に一回刺されただけで死ぬぞオオ!!」
勇者ヒンメルの一撃は不死なるベーゼをついに貫き殺した。
「グアアアアアアアアア!こ、このザ・フジミと呼ばれる七崩賢の不死なるベーゼが…こんな小僧に…!」
「バ…バカなアアアア!!!グアアアアア!!!」
「ベーゼがやられたようだな…。しかし一年前の奴には劣…グアアアアア!!」
後ろに控えていた奇跡のグラオザームも勇者の剣に貫かれた。
「やった…ついに七崩賢の二人を倒したぞ!」
「ついにここまで来ましたね、皆さん。」
「ああ、南の勇者が切り開いてくれた道のおかげだ。」
「ヒンメル、油断しないで。」
そしてついに、勇者一行の前に立ちはだかる魔王城の扉が開いた。
中からは邪悪な雰囲気と、人類を脅かす魔王の声が聞こえてきた。
「よくきたなソードマスターヒンメル…。待っていたぞ…。」
「ヒンメルよ、戦う前に一つ言っておく事がある。お前は私を倒すのに七崩賢を全員討ち取る必要があると思っているようだが…別にそんな事しなくても倒せる。」
「な、なんだって!」
「そしてお前の孤児院の仲間は瘦せてきたので最寄りの町へ解放しておいた。あとは私を倒すだけだな。クックック…。」
「フ…上等だ…。僕も一つだけ言っておくことがある。この僕には生き別れた妹がいたような気がしていたが、別にそんな事はなかった!」
「そうか。」
全てを語り終えた勇者は人類の未来のために、魔王は魔族の未来のために、互いに譲れない思いを抱えて決戦に挑む。
「ウオオオ!いくぞオオオオ!!」
「さあ来いヒンメル!!!」
「という顛末で、私達は魔王を倒したんだよ。」
「フリーレン様、いくらなんでも端折りすぎです。」