黒子のバスケ ―太陽のColor Creation―   作:縦横夢人

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 あけましておめでとうございます

 本当は去年と今年の同時更新と言うことで夜の12時に更新したかったんですけど間に合いませんでした。
 今年はSAO共々この「黒子のバスケ ―太陽のColor Creation―」、略して「カラクリ」をよろしくお願いします。
 いい年になると・・・・・・いいなぁ(ホロリ


第4Q 日の出とともにカゲは成す

 

 

「≪虹織 太陽≫

 

 ただいま参上ッッ!!!!

 

 さぁ、やろうぜ――――バスケ!!!!!!」

 

 

 

 そう言って黒子たちに指をさして笑う太陽。そんな太陽に対して――――

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・かっ、」

 

『火神ぃぃぃいーーーーッッ!!!!??』

 

「・・・・・・ん?」

 

 日向たちの第一声はこれだった・・・・・・。

 

 

 

 

 時は太陽が来る少し前に戻る

 朝は晴れていた青空が昼頃から曇り始め、部活が始まる時には雨が降っていた。そうなっては外でロードワークができず、リコはこれ幸いとあらかじめ考えていた一年対二年のミニゲームを日向たちに促したのだ。これは一年生たちの実力と、二年生の一年間の成果の確認する種でもある。

 そうして5対5に分けて行われたゲームは火神も含めた一年チームが前半を先行していた。が、そんな中火神一人だけがフラストレーションを感じていた。

 

(だぁーっ、クソッッ!!虹織のやろうは今日もこねぇし!! いつになったらやれんだよっ!!

 んで昨日黒子アイツはあんだけ言っといてあのザマはなんだっ!? クソの役にも立ちゃしねぇ!!

 神経逆なでされてしょーがねぇっっ!!!)

 

 どうやら黒子が一番イラつく原因のようだ。まぁ無理も無い、何せ今までボールをとられた時の多くが黒子からなのだ。

 現に今も――――

 

“バチィッ”

 

「スティール!? またアイツだっ!? しっかりしろよっ!!」

 

 二年生の一人にに真正面からとられているのだ。ちなみにこれで五回目である。

 

 が、当の黒子は気にした様子もなく、ただ無表情にボールを追いかけていた・・・・・・全く追いついていないが。

 

(ザコのくせに口だけ達者っつーのが――――)

「一番イラつくんだよっ!!」

 

「ッ!?」

 

「うわっ、高っ!? もう火神止まんねー!!」

 

 そうして黒子を抜いた二年生のダンクを片手で押しとめる。火神を止めようとマークについていた二年生さえも振り切ってボールを奪い返した。やはり火神一人が一年生の中で抜きん出ていた。

 

 が、しかし――――

 

「――――わけにはいかねーな。

 そろそろ大人しくしてもらおうか!」

 日向のその言葉と共に二年生はシフトを変更する。

 

「っ!!」

 

『三人がかりで!?』

 

 そう、日向達は火神を抑えるために火神に対し三人でマークし始めたのだ。そして火神へのパスをカット、ブロックする。

 結果今まで火神を頼りにしてパスを集めていた他四人が攻めることになった。しかし火神を除いた一年生が火神のような力や技術、そしてパスの応酬で抜けるほどチームワークがあるわけもなく、残りの二人で封殺されていた。

 それにより試合は <一年>15対30<二年>と逆転し、さらには引き離され始めたのだ。しまいには火神もマークを引き剥がそうともがき、そのたびにスタミナを削られよけいに抜けられずにいた。

 一年生は実力の違いの意気消沈し、ついには一人が諦めの言葉をこぼしてしまう。それに激怒した火神がその生徒に詰め寄り胸倉を掴む。それが太陽が来るまでの話だ。

 

 そしてその時は訪れた――――

 

「落着いてください」

 カックン 

 

「っ!? テメッ!! なにしやがん『メキャアッ』ッッブゥファァアァァァァァアアッ!!!!??」

 

 ヒューーーーン ダッダッダダダダゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・・・ガクッ

 

 

 今のをスローで確認してみると、

 

 黒子が火神を落ち着かせようと何故か膝カックンで崩す

     ↓

 と同時に黒子達の後ろの両開きのドアを(言葉のまんま)蹴破りながら主人公登場

     ↓

 火神は怒りの限界からか先程のドアが開く(・・・・・・壊す?)音と太陽の声が聞こえなかったらしく、後ろにいる黒子に詰め寄ろうと振り向く――――が、黒子は膝カックンしたままなので背が低いままであり、しかし火神は膝を立ち上げて振り返っている――――つまり黒子と火神の背の差が30cmほどになり、その黒子の頭ギリギリ上を勢い余りすぎた太陽が通り越して行き、振り返りながら詰め寄ろうとした火神の顔にドロップキックが直撃(クリーンヒットォォォォッ!!!!)した

     ↓

 火神は太陽の蹴りの勢いそのままに10mほど飛んでいき、床を数回撥ねてさらに5m転がり止まった

     ↓

 その後太陽は何事も無かったようにくるりと一回転し、新体操選手ばりの着地した

 

 ・・・・・・ということが起きたのだ

 

「おいっ、火神、しっかりしろっ!! 大丈夫かっ!? ってうおおぉっ、くっ、首があぁぁ!!!?? 何かふにゃふにゃしてるうぅぅーーーー!!!??」

 

「かっ、顔の方もテレビに流せない≪自主規制≫が入るほどグチャグチャにいぃぃーーっ!!!??」

 

 火神の下へ駆けつけた日向たちだが意識と共に命すら失くしそうな状態らしく、懸命に蘇生していた。

 

「ちょっ、ちょっと君何やっちゃってんの!?」

 

 リコが太陽に向かって詰め寄るが、本人はどこ吹く風のように遅れた理由を説明していた。

 

「うぇーっと、時差ボケがまだ治らなくて、気づいたらもう夕方になってたから急いで走ってきて何とか着いたんだ。いや~何とか間に合ったみたいでよかったよかった」

 

「いや、間に合ってないし!?

 学校忘れてるし!?

 てか火神君が間に合わなくなるし!?」

 

「おぉー、三段ツッコミ! けど火神って誰?」

 

「今さっき君が蹴った人よ!? 君なめてる!?」

 

「いや、なめたら汚いよ?」

 

「真面目に答えられた!? えっ、なんでわたしツッコまれてるの!?」

 

 わかんない~!? とリコは頭を抱え、太陽は「うぇい?」と首を傾げている。そして離れた所では日向たちが火神懸命に蘇生していた。

 

 

 今、体育館はカオスに包まれていた。

 

 

 

 

「あのっ!」

 

「ん?」

 

 そんな中、今まで驚きに目を見開き震えていた黒子が、今見ている世界が現実かを確かめるため本人に問いかける。

 

「太陽君・・・・・・だよね?」

 

「おぅっ!! 帰ってきたぞクロ!!」

 

 二カッと笑い親指を立てる太陽にようやく実感してきたのか、黒子の瞳の端からキラリと光るモノが見えた。

 何でここに、今までどんなことをしていたのかと言葉を続けようとする黒子を太陽は手で制した。

 

「まぁ話したいことはいろいろある。けどまずは・・・・・・」

 

 そういって足元に転がっていたボールに拳を叩きつけて上に跳ね飛ばし、落ちてきたボールをキャッチしてそのまま黒子に渡す。

 

「約束通りバスケ、しようぜ!!」

 

「・・・・・・はいっ!!」

 

 受け取った黒子は普段の無表情では考えられないほどの笑顔で頷いた。

 

 

 

 

「あ~ダメだなこりゃ」

 

 なんとか蘇生に成功したが、目を回して意識が無い火神を見下ろしながら日向は告げる。それを受けたリコは溜め息をこぼす。

 

「あちゃ~、火神君のプレイもうちょっと見たかったんだけどなぁ・・・・・。まぁ、仕方ないか。じゃあそっちから新しい人出して!

 と言っても、もう出る子は決まってるかな」

 

 ベンチを見る。そこにはいつの間に着替えたのか、Tシャツに白い二本線の入った黒い短パンのジャージに先程渡したゼッケンをだぼだぼに着ていた。何が楽しいのか笑みを浮かべてストレッチする太陽がいた。

 ・・・・・・だぼだぼの太陽を見てリコが可愛いなんて思ってない。思ってないったら思ってないのだ。

 そしてストレッチが終わり、コートに入った太陽を見て一年生と二年生は同時に思った。

 

【ちっちぇぇーーーっ!!!??】

 

 先程は火神が心配で気にしていなかったが、改めて見てみると身長が160cmもないくらいで、中学生・・・いや小学生と間違われてもおかしくない。いや逆に高校生と言われてもすぐには信じられないだろう。

 現に普通の人より背が小さい黒子が隣に並んでも10cmほど差があり、女性のリコと比べても少し低いのだ。

 だが同時に一年生は期待し、二年生は警戒していた。一年間といってもあの(・・)帝光中出身なのだ。黒子は今まで片鱗を見せていないが、太陽が入ったことでゲームが大きく動くだろう。そう両陣営は思っていた。

 あの小さい身体では火神のような力技は無いだろう。ならば知略のプロか!!と思い集まる。

 しかしそんなチームメイトたちの間をすり抜け――――先程自陣ゴールに入れられたので一年生ボールから始まる――――黒子からボールをもらっていた。

 

「・・・・・・え、何もないの!?」

 

「ん、何が?」

 

「いや自信満々そうだったから、何か作戦があるのかと・・・・・・」

 

 チームメイトの一人が言うと、太陽はうーんと天井を見上げながら考え、そして――――

 

「ないっ!」

 

「・・・・・・は?」

 

 んな難しいこと考えずに楽しもうぜ。そう言って太陽はエンドラインに向かって行った。

 

「・・・・・・ハハ、何も考えてねぇのかよ」

 

 それを聞いた一同はポカンとしていたが、何故かおかしくて太陽の笑顔につられ笑ってしまう。今まで二年生とのレベルの違いに薄ら寒さを感じていたが、自分の身体が暖かくなったように感じる。

 

 黒子はクスクスと笑いながら思う。

 

(虹識太陽君・・・・・・パワー、スピード、柔軟性ともに60~70平均と、普通の人より少し上くらい。その体格と身長でそれほどあればいい方ではある。

 ――――けどそれなのに、オカしいっ!? あり得ない!? 限界が全然視えない!! 火神君よりものびしろがあるの!? そんなっ!?)

 

 そう、リコが視(・)ている太陽のステータスを表すメーターには100の位を超え、150以降にまで伸びていたいたのだ。

 普通は100を平均とし、火神でさえ110~120ほどあるそれを超えていたのだ。

 

(やっぱり太陽君は変わらないや)

 

 

 試合は最後にゴールを入れられた一年ボールで再開する。

 が、先程とは違って空気が変わり、火神を除いて諦めムードだった一年生からは一つの挙動も見逃さない!!という真剣な目をしていた。それを肌で感じとった日向達はまた一つ新たに気合いを入れた。

 なによりあちらには新しく入った太陽がいる。一年だけとはいえ帝光にいたのであり、本場ではないがアフリカからの帰国子女である。身長差があるが、どれほどの実力かは未知数である。慎重にいくに越したことはない。

 そうして一年と二年同士の視線が交差しあい、空気がピリピリと震えている気がした。

 

「さて、お手並み拝見といきましょうか」

 

 リコが再開の笛を鳴らす。

 始めに仕掛けるのは太陽のようだ。ゆっくりとボールをつきながら歩いて行く。

 

「よーし、んじゃいきますよ、せんぱーい!」

 

「おう、こいよ後輩!」

 

 日向は構える。一年とはいえ帝光にいたのだ。油断はできない。それに妙な感じがするのだ。ピリピリと首筋に寒気が這っている。

 日向の答えにニッ笑い――――

 

“ダンッ ダンッ ダンッ”

 

 つく

 

“ダンッダンッダンッダンッ”

 

 つく

 

“ダンダンダンダンダンダンッ”

 

 つく

 

“ダダダダダダダダダダダダッ!!!!”

『っ!!!??』

 

 元の身長の高さから、さらに小さく見せるように段々腰を低くしてボールを高速でつく。手と床の間にボールがギリギリ浮いてるように見えるほどの残像。

 

 そして――――

 

「いっくぞぉッ!!」

 加速するっ!!

 倒れる寸前まで身体を倒し頭から突っ込む。それはまるで獣のようで、しかしボールは器用にも離さず右手でつき続ける。

 

「・・・・・・くっ、あんなドリブルがいつまでも続くワケがないっ!!

体格差があるんだ、とにかく当たれっ!!」

 

 考えられないドリブルで進む太陽に日向達は呆然としていたが、気を取り戻してすぐさま日向は指示を出す。それに答えるように一人が前に出て道を塞ぐように大きく手を広げる。

 

「ほいっと!」

 

「くぅおっ!?」

(くそっ!! 小さすぎてとらえきれねぇっ!? しかも身体をボールの上にかぶせてやがるから当たりにいったらファウルとられちまう!!)

 

 太陽はそれをモノともせず床ギリギリの超低空ドリブルも合わさって、相手の脇下を潜り抜き去る。

 

「このぉッ!!」

 

 続いて二人目が太陽の左サイドから迫り、今度は太陽と同じように低く構えて逃げ道を覆い、後の先をとれるようにする。。

 

「パース・・・・・・ってか?」

 

「なっ!?」

 

 今度は相手にパスするようにゆっくりとボールをはねると同時に体を元の体制に戻す。止まったかのように一拍つけ、そしてまたすぐにボール引き寄せ体を前に倒し右側を抜いていった。

 

 

(上手いっ!! 

 あのドリブルから急激に速度を落とし、相手の目の前にボールを落とすことで相手は取ろうと前にのせられて(・・・・・)バランスを崩し、そこからまた加速して抜いていった!!!!

 抜かれた彼、たぶん世界が遅く感じたと思う。

 彼、≪チェンジオブペース≫の使い手だわ!!!!)

 

 ≪チェンジオブペース≫

 それは急加速と急停止・・・そして重心移動を織り交ぜ、相手にスピードを錯覚させる技術である

 体感したことはないだろうか?球速90キロで投げられボールを見たあと、130キロのボールを見ると140キロや150キロのように速く感じることを・・・・・・。

 また逆に130キロで投げられたボールを見たあとに90キロのボールを見ると、70キロや80キロのように遅く感じることを・・・・・・。

 それが急加速と急停止を織り交ぜた技術、≪チェンジオブペース≫である。

 その急加速、急停止をするためにも体重移動は重要である。それには常人以上の脚の筋力とバランス感覚が必要になる。

 

 リコは離れて見ていたのでわかったが、抜かれた本人は止めようとしたところで突如世界がスローモーションになり、目の前にあったボールはいつの間にか太陽と共に消えるという不思議な体験に混乱していただろう。現に今も抜かれた場所から一歩も動けていなかった

 

「くそっ!! こうなったら俺が行く!! 二人はゴール下頼む!!」

 

 日向は残った二人に後ろを任せ、太陽との1対1に挑んだ。

 

(みんな混乱している。こうなったら一度ファウルしてでも――――)

「止めるっ!!」

 

 日向はファウル狙いで太陽に突っ込んで行く。これには太陽も驚く。今からでは避けることもできない。止まったところを突くっ!!と日向は考えていた。

 

「・・・・・・ハハハ!!

 いいねせんぱいッ!!」

 

「何っ!?」

 

 が、太陽は笑いながらも止まる気配はみせず、逆に速度を上げ加速した。このままでは両方ともぶつかりケガをしてしまう。しかし太陽は止まる気はない。

 そう感じた日向は仕方なく速度を落としてぶつかる可能性を避けて待つ構えをとり、太陽が抜くために踏ん張る一瞬を狙う

 

 しかしそれを見て黒子がつぶやく。

 

「それじゃダメです。

 

 太陽君のドライブは、増える(・・・)んです」

 

 

 太陽は日向を目の前にしたところで足を止めずに少し体を起こし、ボールを右手で横から叩くように持ち変えて後ろに引き溜める。

 そして一歩踏み出し――――

 

 

 

 ≪ダブル・ドライブ≫

 

 

 

 ――――その体が二つに分かたれた――――

 

 

「なぁっ!!?」

 

 日向はその現象に驚き、固まってしまった。

 

 その間に二人の太陽は日向の左右を抜いていき、やがて日向の右側を抜いた太陽が煙のように消える。残った太陽はもう日向を抜き去った後だった。

 

(っん、だっ、とぉ!!!?? 今完璧とは言わんが捉えていたはずだ!!!! 忍者みたいに分身したとか馬鹿な話じゃあるまいし、一体どうやって!?)

 

「くそっ、こうなりゃ二人がかりでっ!!」

 

「あぁ!!」

 

 太陽はそのまま3ポイントライン内に入ったが、最後の二人が左右に展開しており、さすがにこれ以上進めない。

 しかし太陽は強引に飛ぼうと両足に力を篭める。それを相手の二人も感じ、はたき落そうと同じように足に力を篭め――――

 

「なんちって」

 

「――――ッ!? な、何!?」

 

「ここで!?」

 

 ――――なんと太陽は前ではなく後ろに跳んだ。

 

 それに気付いた二人は、しかしもう届かない距離まで開いてしまいっていた。

 そして小さい体格にしては長い跳躍で太陽はシュートを撃つ。

 だが太陽が撃ったボールは下から上へ直角気味に上がってしまった

 それも仕方がない。いくら跳躍力がすごくても太陽の背は低いので、日向が跳んだ高さとと同じぐらいなのだ。

 なのでシュートミスだと思い二人は、いや日向も戻ってきて三人はリバウンドに備えた。

 

 しかし太陽はリバウンドには備えずに後ろに来ていた黒子に向き手を上げ、

 そして――――

 

“ガッ 

 ギュルルルルルルッ

 パサァッ     ”

 

「イェーイ!」

「はい!」

《パァンッ!》

 

 ボードに当たったボールは上に跳ね返らずに猛回転しだし、太陽と黒子のハイタッチが、パッと回転をやめて落ちてきたボールのゴールネットを揺らした音と重なった・・・・・・

 

 

 

「う」

 

「おぉぉっ、」

 

『うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!』

 

 その日一番の歓声が体育館に響き渡った・・・・・・

 

 

 

「あいつ、火神と同じように二年生相手に五人抜きしやがった!!」

 

「あんな小さいのに!?」

 

(いや、火神は他の奴からのパスありで強引に持ってきたが、あいつは一人で技術(わざ)使って抜きやがった!!)

「結構マジだったんだけどな・・・ッ!!」

 

(ほとんどノンストップで日向君たち抜いてシュート撃ったから時間も10秒ほどしか経ってない!!

 しかもあのドリブルに日向君を抜いたドライブ、そして直角で打ったシュートでのあの回転・・・・・・間違いない、彼のスタイルは足による≪チェンジオブペース≫と高速ドリブルや回転したボールを真っ直ぐ撃てるほどの≪ハンドテクニック≫ッ!!! 恐らく斜めから撃っても回転させて入れられるわね・・・!!)

 

 そう、太陽は≪チェンジオブペース≫ができるほどの足とバランス能力、残像を見せるほどの高速ドリブルができるほど自在に操れる手、そしてどの角度から撃ってもボードに当てて入れられるほどの回転を生み出す指の強さと器用さを持っている。

 

 

 

 強い

 

 

 これが≪虹織太陽≫という人間か。

 

 

 

「おーい、まだ時間あるし、早く続きやろうぜー!」

 

 当の本人はそんなの関係ないと言わんばかりの笑顔でボールを頭の上で持ち、駆けてくる。

・・・・・・ただのバスケバカかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ、うぅ・・・・・・あれ、オレは一体・・・・・・」

 

 火神は薄く目を開けて上半身を起き上がらせた

 

「あ、火神が起きた!!

 大丈夫か?」

 同じ一年の男子が起きた火神に気付て心配したように声をかける。

 

「オレは一体? 確か15対31の点差を縮めようとして・・・・・・」

 

(こりゃ記憶がすっ飛んでるな。無理もない、あんだけの衝撃を顔にモロにくらってたからな。

 ・・・・・・虹織がやったことはややこしくなるから黙っとこ)

「あーまぁー、そっ、それより今すごいことになってるぞっ!!」

「あ、あぁ・・・って試合は!?」

 

 火神は起き上がり、得点ボードを見て固まった。

 

 <一年>32対37<二年>

「ご、五点差!? いつの間にそんなに縮めたんだ!?

 てかどうやって・・・っ!?」

 

 

 

「よーし、虹織に続けっ!!」

 

 一年の福田がドリブルで上がっていく。

 

「調子に乗るなよ、一年!!」

 

 そこに二年生が二人で止めにかかる。さすがにこれでは厳しくボールをとられてしまう。そう火神は予想していた。現に福田が持っていたボールが二年生の一人にはじかれてしまった。しかしそれは突如現れた。

 

「・・・」 スゥッ

 

“バチンッ!!”

 

「うぉ、ナ、ナイス・・・・・・えと、黒子!」

 

「なっ!?」

 

「くそっ、またどこから・・・!?」

 

 二年生の一人にはじかれたボールを黒子がどこからともなく現れ、叩くようにして再び福田戻した。

 

「なっ!? 今、黒子の野郎どっから出てきた!?」

 

「あぁ、あれはね」

 

 とそこにリコが来て黒子の能力を話し出した。

 

「彼は≪ミスディレクション≫を使ってるの。相手の意識を誘導し、自分から外すっていう技術。マジシャンとかがしてることをやってるの。――――まぁ黒子君の場合は自分のカゲの薄さを、もっと薄めただけなんだけどね。あれで味方へパスを通したり、相手の意表をついてボールをとってるの

 そして・・・・・・」

 

 そこでまた黒子が中継役としてパスを出す。

 その先には――――

 

「ナイスパス、クロ!」

 

 太陽が黒子を見ずに受け取り、突き進んでいく。

 

「なっ、虹織!! 

 あいつ、いつの間に・・・・・・」

 

(あら? さっきのこと覚えてない? まぁ今はいいや)

「彼が一年を立て直して、そして突破口を作ったの」

 

 3Pライン前で太陽が日向たちに囲まれた。しかも今度は三対一。火神にはマズイ状態にみえるが・・・・・・。

 

「もういっちょっ!」

 

「これ以上はやらせねぇ!!」

 

 太陽と同時に日向含めた三人が壁になって跳び、これではゴールが見えない。

 

 しかし太陽は体を仰け反らし上に向けて山なりに高く撃った。

 

「なっ!? そんな高いの入るワケ・・・なあぁっ!?」

 

“パサァ・・・”

 

 逆回転で撃ったボールが減速してちょうどゴールの真上で止まり、枠に当たらずストンと落ちた。

 

「な、なんてシュート撃ちやがる・・・・・・」

「彼はスピードを≪チェンジオブペース≫で作り、相手のタイミングを崩してパワーを下げ、そして≪ハンドテクニック≫で相手にとらせず、回転を器用に使いゴールに落とす

 ――――彼らはあなたの力とは逆の技術(わざ)を、存在の薄さを使ったプレースタイルを持った選手なの

 

これが帝光の、

 

≪キセキの世代≫の、

 

そして≪幻の六人目≫と彼らの始まりを創った者として、また太陽からの光によって色が見えるという意味から

 

 

 

≪Color Creation≫

  “色彩創造”

 

 

 

≪創造者≫(クリエイター)と呼ばれ噂される彼の実力よ」

 

 火神は少し呆然としていたが突然笑い出し、コートに歩いて行った。

 

 まだ先程の痛みで苦しいのか、それとも面白いからか、腹を抱えながら太陽達に話しかける。

 

「ハハハハハ・・・・・・いいわお前ら!」

 

「おっ、火神! もう大丈夫かー?」

 

「あぁ、正直何が起こったか知らねーが、今はどうでもいい。

 ――――見せてみろよ、≪幻の六人目≫と、≪キセキの世代≫創った≪創造者≫(クリエイター)と言われるお前らの全て!!」

 

「・・・はい」

(≪創造者≫(クリエイター)の意味はそれだけじゃないですけどね・・・)

 

「おう、じゃあラストはみんなでやろーぜ!

 もちろん火神も!」

「あぁ、ちゃんと目ん玉開いて見てろよ?」

 

 

 

「おいおい、三人がそろっちまったよ。

 ・・・・・・まぁ味方なら頼もしいが、今は敵だ。つらいったらありゃしねぇ」

 

 と日向は毒づく。しかし眼鏡を直しながら伊月たち二年に言う。

 

「まぁ時間的にこれがラストだ。ここは悪いが先輩として後輩に負けるわけにはいかないから勝たせてもらおうぜ」

 

「だな。ここは痛い目見てもらわないと」

 

 そう伊月は返して目の前の太陽たちに意識を集中する。日向も意識を集中させて試合を再開した。

 

 

 

「残り30秒だ!ここで守れば俺たちの勝ちだっ!!」

 

 しかしそう言いながらゴールを狙うが、火神が戻り、さらにはあれだけ動きながらも未だ駆け回る太陽、そして油断すればどこからか黒子が現れボールを奪っていく。一息も吐けずにいるため苛立ちだけが募っていく。

 

「くっ!?」

 

「ウェーイ!」

 

「しまっ!?」

 

 そのため油断したのか味方へのパスを太陽にカットされ、カウンターを受ける。

 

「ヘイっ、パス――――」

(この場面なら火神にパスだろっ!!)

 と火神の周りで警戒する。

 が、

 

「――――クロっ!」

 

「はいっ!」

 

「何っ!?」

 

 まさかの黒子に二年生一同は裏をかかれフリーにしてしまう。

 しかし一番裏をかかれたのは他でもない火神だった。

 

(・・・・・・おいまてよ、そういやあいつ!!)

 

 と二年生よりも速く黒子の後を追う。

 

 黒子はこれで決着をつけようとレイアップショートをしようと跳び――――

 

“ガボンッ・・・”

 

『・・・・・・』

 

 ――――枠に当たり弾かれててしまった・・・

 

「あれ?」

 

「・・・たくっ、だから弱ぇ奴はムカツクんだよ」

 

 太陽が首を傾げている中、黒子を影が覆う。そこには上からボールを持ち直した火神が現れ――――

 

「ちゃんと決めろ

 タコっ!!!」

 

“ガッッッゴンッ!!!!”

 ダンクを決めた。

 

 

 

「ヘヘッ!!」

 

「フフッ」

 

「ハハッ!」

 

 

 

 その時

 

 火神は――――

 

 黒子は――――

 

 太陽は――――

 

 

 

 一つになったように、笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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