放課後。
「あ・・・フロイト、今日も格納庫に来る?」
簪は廊下で途中ばったり出くわしたフロイトに今日も来るのかと話かけて見ると、フロイトはなんでもないように言った。
「いや、今日は第三アリーナに行く。最近、千冬のお陰で授業以外であまりISを動かしていないからな。たまにはコイツを動かしたい」
「それはフロイトの自業自得だと思う」
「俺の?俺が千冬に何かしたか?」
全く身に覚えがないというフロイトに、簪は溜め息をつく。
「そういうところだと思う」
悪いことをしている自覚がないというのは恐ろしいものだ。
最も、例の転校生の事もあって同情するつもりはないが。
「それで?どうする?」
「何が?」
突然フロイトにそう言われて簪は首を傾げると、彼はあっけからんとした様子で簪に言った。
「アリーナに一緒に行くかどうかだが」
「じゃあ・・・行く。私も他の人の戦い方を見て、色々機体について参考にしたい」
「そうか。なら行くぞ」
そう言って歩き始める彼の後を追いながらアリーナへと向かっていると、そこに近づくにつれて何やら慌ただしい様子が伝わってくる。さっきから廊下を走っている生徒も多い。何かあったのだろうか?
「皆、慌ててるけど・・・なにかあったのかな?」
「誰かが戦っているんだろう。人が多い時はいつもこうだ」
かなりの頻度で使用しているフロイトにとって珍しいものではないそうだ。
「でも、それにしても様子が───」
ドゴォンッ!
「!?」
変だと言おうとした時、突然、爆発音がアリーナ全体に響き渡った。
その爆発音にフロイトは顔をアリーナのステージがある方へと顔を向ける。
「・・・なるほど。普通の戦いじゃなさそうだな」
フロイトはそう言いながら待機室の方へと向かった。
「行くぞ。退屈はしなさそうだ」
そう言うフロイトの顔を簪は見る。そこには面白そうだと言わんばかりの笑みが浮かんでいた。
◇◇◇◇◇
待機室から隔離されたステージの様子を簪は見て見ると、そこいたのはあの転校生と他の代表候補生二人、そして近くには織斑一夏と妬ましき転校生がいた。
状況を良く見ると、あの転校生と代表候補生の二人が模擬戦をしていたようで、二人のISの装甲は酷く破損しており、転校生の方は損傷は殆どない。どうやら一方的な蹂躙だったと見て取れる。
その隣ではフロイトがあの転校生のISを見ていた。
「アレが噂の新型か」
そう言うフロイトに簪もまた、転校生のISの方をマジマジと見てみる。巨大な回転式弾倉の大型カノン砲が目立つ武器だが、他に突出したようなモノは見えない。
と、そんな転校生に向けて銃弾が振り注いだ。
「面白い。世代差というものを見せつけてやろう」
そう言って彼女は手をかざした。
その瞬間、目に見えない壁に阻まれたかのように銃弾がその場で停止する。
「えっ?」
その光景に簪は思わずそう呟いていた。
銃弾が空中で止まった。
そんな理由の分からない光景に簪はフロイトに聞こうと振り向いた時には、彼はもうそこには居なかった。
「えっ?フロイト?」
辺りを見渡してみるが、フロイトの姿は何処にもない。そして簪はステージの方へと顔を向けると、誰かがその場所へと飛翔しているのが見えた。
よく目を凝らして見ると、そのISには見覚えがある。青い装甲にISらしくない装備の付け方。
あのISは──────
「こうして万全の第三世代型と戦うのは入学した時以来か。退屈させてくれるなよ」
フロイトのラファール・リヴァイヴだった。