社長とワカモの絆ストーリー
ワカモは悩んでいた。最近、先生はカードゲームばかりしている。別に趣味を否定するつもりは無い。無いのだが、特に最近はカエデとか言う女生徒と頻繁に会っている気がする。カエデが連れてきた他の修行部のメンバーとも、頻繁に会っている気がする。シャーレを一週間観察して、ワカモはそう結論付けた。実際には先生の趣味でカフェに備え付けられた対戦スペースに入り浸っているだけなのだが、少なくともワカモはそう考えた。そしてかしこいワカモはこう考えた。そうだ、私もカードゲームを始めよう、と……
「という訳で先生、私とデュエルしませんか?」
「狐坂さん、あなたも始めたんですね。」
食いつきは上々。あとはこの最強のデッキで先生を負かし、敗者は勝者に従わなくてはいけないルールで先生を……
「すまない狐坂さん、私の勝ちだ。」
「あ、あれ?」
おかしい。デッキは最強だったはず。これじゃあなんのために不良たちから強いカードを奪ってきたのか……
「まずは狐坂さん、そこに正座なさい。」
「は、はい!」
普段温厚な先生が漏らす静かな怒気に、思わず身がすくむ。そしてワカモはカードの強奪について説教されたのだった。
1週間後。
「先生、再び私とデュエルしましょう!今度はちゃんと手に入れたデッキです!」
「よし。なら、やろう。」
そしてデュエルが始まった。……ジャッジに運悪く巻き込まれたカエデを迎えて。ゲームはムシクイーン。キヴォトスで最も流行っているカードゲームだ。
「くっ!つ、強い!」
社長が説教後にしたアドバイスによって、強カードをやたらに入れていたワカモのデッキはちゃんと堅実に強いデッキとなっていた。
「ふふ、不良達からデュエルで奪い取ってきたかいがあります!」
「狐坂さん、後でそこに直りなさい。」
「待って、先生。アンティルールはムシクイーンではメジャーだよ。」
ジャッジの言葉に社長は驚く。
「なんて恐ろしいゲームなんだ……!」
そして、不良たちとの闇のゲームを戦い抜いたワカモと、そもそもムシクイーンを始めて日が浅い社長の間にリソース差がついていき、
「ダイレクトアタック!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
「勝っ……た、勝ちましたわ!」
「先生、もう一人の僕ルールは?」
「いや、これ使っても私負けますよね?」
「当然、ケアは怠りません。」
「あなたはもうカードゲーマーだ。私の負けです。」
「勝者、狐坂ワカモ!」
ジャッジのカエデは高らかにワカモの勝利を宣言した。
「それでは先生、なにか一つ私の言うことを聞いてもらいますよ?」
「そんな約束でしたっけ!?」
「先生、ムシクイーンは互いの名誉と信念をかけるゲーム。敗者は勝者に従うものなんだよ。」
「本当に、なんて恐ろしいゲームなんだ……!」
とはいえ、ムシクイーン有識者のカエデが言ったことだし、先生は生徒の頼みを聞くものなので社長はワカモとデートすることになった。ちなみにその後の対戦はカエデが社長もワカモも完封した。
デート編に続く