熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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猛威を振るう嵐 仲間を信じて踏ん張る二人

オーロラがサンスポットとの戦闘に敗北。変身解除してしまう少し前。別の地点で戦うアポロン、アルテミスのコンビはヒューストムを相手に立ち向かっていた。

 

「「はぁああっ!」」

 

「どうした?そんな攻撃じゃ何発撃っても当たらないぞ」

 

ヒューストムは二人が放っている炎と氷のエネルギー弾を自慢のスピードで避けており、お返しとばかりに指鉄砲を構える。

 

「良い加減お前らのヒョロヒョロ弾を避けるのも飽きてきたな。俺がエネルギー弾の正しい撃ち方を見せてやるよ」

 

その瞬間、ヒューストムの背後に大量の風の弾丸が生成されるとそれが貫通力を高めるかのように高速回転する。

 

「「ッ……」」

 

二人がその威力の高さに危険を感じていると早速ヒューストムが指鉄砲を撃つ仕草を見せると同時に風のエネルギー弾はアポロン、アルテミスへと襲いかかる。

 

「「くっ!?」」

 

二人はどうにかそれを回避するとすかさず追撃としてヒューストムが手にのエネルギーの刃を生成。そのまま二人へと突っ込んできた。

 

「おらぁあああっ!」

 

「アルテミス!」

 

対してアポロンがすかさず反応を示すとヒューストムからのエネルギーの刃を白刃取りする形で受け止める。

 

「ぐ……」

 

「ふん。幾らお前らの能力上俺の力を抑制できるからってあまり調子に乗るなよ?何しろ、お前らの力はあくまでプリキュアよりは下。しかも二人が揃わないと変身できないという欠陥付きなんだからよ!」

 

ヒューストムの言う通り、ついでに補足するならどちらかがやられて変身解除するともう一人も強制解除してしまうのに加えて二人はプリキュアが使っているような浄化技を一つも持たない。

 

「それでも!!」

 

するとフリーの状態であるアルテミスがヒューストムへと横から殴りかかる。しかし、ヒューストムはそれをしっかりと見てしまっていたためにあっさりと回避されてしまった。

 

「「はぁ……はぁ……」」

 

「もう息切れか?本当につまらないクズどもだ」

 

アポロンもアルテミスも完全にヒューストムに弄ばれてしまっている。前回ヒューストムがある程度単調だったのはその直前にアポロンの煽りが彼へと刺さっていたという点が大きい。真正面から普通にやり合うのでは圧倒的に分が悪いという事だ。

 

「あなたこそ、私達が相手だからって舐めてない?」

 

「はーあ?サポート特化の性能で俺を倒すとか舐めた事言ってるお前らよりはマシだろ?」

 

ヒューストムはあくまで目の前にいる二人を舐め切った態度で見下している。それを見てアポロンはある考えに至った。

 

「アルテミス、考えがある」

 

「……わかった。それがアポロンのやりたい事だね!」

 

アポロンは簡潔にアルテミスへとヒューストムに対抗できる作戦を話すと彼女もアポロンの事を信じて頷く。

 

「はっ、弱者共の作戦会議は終わりか?まぁ、最も……俺相手には何の意味も無いけどなぁ!」

 

ヒューストムは先程まで舐めプとして回避行動しかしてなかったが、そろそろ本格的に二人を潰そうと接近してきた。

 

「行くよ!」

 

アポロンが地面に手を置くと地面から火柱が幾つも発生。それらがヒューストムのスピードを殺そうと立ちはだかる。ただし、ヒューストムもそろそろ自分の速度に対抗する案はある程度わかってきていた。

 

「はっ、そんな使い古された技でどうにかできると思うな」

 

「だったらもっと増やす!」

 

アポロンは更に力を解放すると先程よりも火柱の量を増やしていく。ヒューストムはそれを見て鬱陶しそうにする。

 

「チッ、同じ手ばかり……だが」

 

ヒューストムは火柱がフィールドに出てきた事で行動制限を強いられているのは面倒に感じつつあった。しかもここは市街地。周囲には建物があってタダでさえ彼のスピードをフルに活かせる場所は少ない上に火柱での制限も入ってしまうとなると流石に厄介な事態と捉えていた。

 

「ふん。だが、俺のスピードを止める事ばかり気にしてたら……お前自身の守りが手薄なんだよ!」

 

ヒューストムはスピードによるアポロンへと接近戦を諦めるとすかさず飛び上がって風の刃をアポロンへと放とうとする。

 

「いいえ、これが狙いよ!はあっ!」

 

するとアポロンへとヒューストムの意識が集中したタイミングを狙ったアルテミスが踏み込んで一気に接近。氷の力を高めた拳を放とうとする。

 

「……それで俺の裏をかいたつもりかよ」

 

しかし、ヒューストムはアポロンで引きつけてアルテミスが奇襲するという所まで見切っていた。

 

「お前らの悪い癖だぜ?複数人で来る時は仲間が相手を引きつけるなりでサポートして他の奴がその隙に目的を果たす。まるで馬鹿の一つ覚えだな」

 

ヒューストムはアルテミスの方に完全に対応すると拳を振りかぶっていたアルテミスよりも先にノーモーションから拳でカウンターする事によって彼女を撃退する。

 

「……なっ!?」

 

ただ、アルテミスへと突き刺さったヒューストムの拳は何故か彼女を突き抜けていた。そして、それと同時に彼女を殴ったヒューストムの左腕が凍りつくとその重さで下に引っ張られる。

 

「こ、これは一体……」

 

「それは氷で作った私の分身よ。まぁ、ユキ姉みたいに氷雪拳使って私の姿を投影したけどね!」

 

「き、貴様ぁっ!?」

 

「アポロン!」

 

「ああ!」

 

そして、ここまで来たら完全に二人のペースだ。氷の塊に腕を突っ込んだせいで重さによって動きが制限されたヒューストムのすぐ周囲を取り囲むように火柱が発生。これは先程まで行動制限のために展開されていた火柱をいつのまにかヒューストムの周囲にまで掻き集めていた物だ。

 

アルテミスの奇襲にヒューストムの注意を集中させた瞬間を狙ってアポロンはこの火柱を集約させたのである。

 

「確かに君の言う通り、俺達のやる事は馬鹿の一つ覚えかもしれない。だけど……その馬鹿の一つ覚えの攻撃で俺達はこの戦いに勝ってみせる!」

 

「クソッ……こんな攻撃!!」

 

ヒューストムはどうにか火柱を打ち消そうとするが、自分の周囲を取り囲む火柱に加えて自身の真下からも巨大な火柱が上がる事で周囲の物を取り込みつつ威力が爆増。その攻撃はヒューストムの体を完全に呑み込む事になるのだった。

 

「あ、抑えきれ……ぐああああっ!?」

 

ヒューストムの断末魔が響く中、アポロンとアルテミスは背中合わせにすると構える。ヒューストムの事であるためにやられたと見せかけて何かしらの策を打ってくるリスクを考慮したのだ。

 

すると少しして火柱によってヒューストムが呑み込まれた場所では彼がダメージを負った体で軽く息を荒げていた。

 

「はぁ……はぁ……。クソが……」

 

「良かった。不意打ちは無さそうね」

 

「いや、そう思わせてまだあるかもしれない。気持ちは切らさないで」

 

アポロンがアルテミスへとそう告げていると当のヒューストムの中には凄まじい程の嫌悪感が湧き上がっていく。

 

「ふざけんな……この俺が……あんな雑魚二人に出し抜かれただと……。有り得ない……有り得ない……有り得るわけがなぃいいっ!」

 

ヒューストムは完全に見下していたアポロン、アルテミスのコンビにしてやられた事が余程悔しかったのか……。前にアポロンに冷静な対処をされて苛立った時と同様に怒りを露わにしていた。

 

「はぁ……。やっぱりアンタ、精神が幼稚過ぎるわね。散々他人を見下して油断する割にはその相手にやられたら速攻キレるなんて。大方ユキ姉に告白した時もユキ姉の事を簡単に自分の僕みたいにできるって見下してたんでしょ」

 

「ぐ……煩い!!」

 

ヒューストムは図星だったのか。アルテミスからの煽りにも怒りを更に増幅させてしまう。

 

こうして考えるとヒューストムの弱点は前々から見下していた相手に少し押し返された際に苛立った時の事然り、前回今回の戦闘で煽られて怒った事然り。彼の精神面での幼さが挙げられるのかもしれない。

 

「ヒューストム、お前がどれだけ俺達の事を見下した所で俺達のやる事は変わらない。それに、……いつまでもそれまでの自分と同じじゃ先になんて進めない!」

 

「ぐ……弱い癖して生意気な口ばかり。俺を侮った事、後悔させてやる!!」

 

ヒューストムは先程からアポロンとアルテミスに良いように言われている影響か、更なる力を解放すると暗い緑のオーラを纏うと共に凄まじい風を周囲に発生させる。

 

「うぉおおおっ!」

 

ヒューストムが一気に二人へと突進すると先程同様に火柱が発生して彼の進路を邪魔した。

 

「そんな小細工……もう効かねぇよ!」

 

するとヒューストムは自らが纏っている風のオーラでアポロンの火柱の威力を減衰させつつその中を通過。一瞬で突き抜けて二人へとボディブローを叩き込む。

 

「「うわぁああああっ!?」」

 

「おらあっ!」

 

二人はそのままヒューストムに引き摺られる形で近くの壁に激突。二人が体の痛みに悶えている間にヒューストムは二人に向けて指鉄砲を構える。

 

「く……ううっ」

 

「さっきまでと力の質が」

 

「雑魚は失せろ」

 

二人が休む間も無くヒューストムはすかさず次の攻撃と言わんばかりに構えた指鉄砲。それを撃ち込むと二人はヒューストムの指先に生成された風の弾丸をまともに受けて成す術無く吹き飛ばされてしまう。

 

「ああああっ!?」

 

「があああっ!?」

 

「先ずは生意気小娘。お前からだ!」

 

「ッ!?」

 

するとヒューストムは指鉄砲を受けて吹き飛ばされたアルテミスの方を超スピードで追いかけると一瞬で彼女の元に追いついてしまう。

 

「くっ……」

 

「それも通用しねぇよ!」

 

するとヒューストムはアルテミスが先程同様に氷雪拳の雪ノ型で回避してくるのをわかっているかのように風の斬撃波で目の前のアルテミスを攻撃。

 

その瞬間にアルテミスは一瞬で真っ二つに切り裂かれるとその姿が薄く溶けて消える。つまり、ヒューストムの読みが当たった形だ。

 

「でもこの攻撃は躱せない!」

 

アルテミスは自分の氷雪拳が通用しなかったとしても一瞬でも隙を見せたのなら攻撃のチャンスと考えており、ヒューストムに出来た攻撃のチャンスを物にするべく両手で構える形で大きめな氷属性が付与されたエネルギーボールを生成。

 

「………」

 

「はぁああっ!」

 

アルテミスがゼロ距離でぶつけたその一撃はヒューストムに命中する。しかし、煙の中から出てきたのは今の攻撃で一切ダメージを負ってないヒューストムだった。

 

「嘘……全然効いてない」

 

「今まではお前らのために手加減してやっていたんだよ。あっさり倒してたら弄べないからな。だがお前らはそれを良い事に調子に乗った……乗り過ぎた!」

 

ヒューストムはアルテミスの目の前に手を翳すと暗い緑色の竜巻を発生させてその餌食にした。

 

「きゃああああっ!?」

 

アルテミスがその影響でボロボロの姿で叩きつけられるとヒューストムはそれを一瞥してからすぐに移動。

 

「アルテミス……くうっ……」

 

アルテミスの悲鳴を聞いたアポロンは彼女を助けに痛む体を動かすが、そのタイミングで高速移動したヒューストムが到着。彼の前に立ち塞がった。

 

「ヒューストム……」

 

「大人しく俺の玩具としてやられていればここまで痛い目に遭う事は無かったのになぁ。これは全部お前らの自業自得だぞ?」

 

「自業自得……か。君はそうやって言うけど、さっき君がやられたのも俺達を侮ったからだったよね。……それこそ自業自得ってやつじゃないのかな?」

 

ヒューストムはこの期に及んでも自分の事を煽る余裕のあるアポロンに対して殺意に近い怒りが湧いてくる。ここまで自分にやられているのに何故か楯突くだけの余裕があるような彼の態度が気に入らなかったのだ。

 

「貴様……良い加減負けを認めて俺に跪けよ!!」

 

ヒューストムはまるで自身の怒りをぶつけるかのようにアポロンの体へと全力で拳を叩き込む。ただ、アポロンはそれを両腕をクロスさせて防御していたためにダメージは最小限で抑えていた。

 

「チッ……鬱陶しいなぁ!!」

 

ヒューストムは風のエネルギーボールを空中に大量生成するとそれをアポロンに向けて撃ち込む。

 

「ッ!」

 

アポロンは咄嗟に炎のエネルギーバリアを生み出して防ぐが、やはり全てを止めるのは不可能であるために攻撃が命中してしまう。

 

「ぐああああっ!?」

 

アポロンが体に走る痛みでまともに動けなくなってしまう中、ヒューストムは容赦無く彼の目の前に出てくると回し蹴りをぶつけてそのまま彼を蹴り飛ばす。そして、アポロンは今の一撃で先程の攻撃でダウンしていたアルテミスの近くに叩きつけられてしまうのだった。

 

「ぐ……うう」

 

「アポロン……」

 

アルテミスもようやく痛みが落ち着いてきて立ちあがろうとしていたが、そのタイミングでヒューストムが姿を現す。この様子だと彼にとっては一瞬で来れてしまう距離らしい。

 

「ふん。お前ら、これだけ力の差を見せてもまだ抗うとでも言うのか?そろそろ降参するのが身のためだぞ」

 

「誰がアンタなんかに……」

 

アルテミスがそう言いかけていると突如として遠くから凄まじい爆発音が聞こえる。そしてそれはオーロラがサンスポットの大技、ソーラーエクリプスによってやられる時の音であった。

 

「ッ……あの方向……まさか……」

 

「ふっ、サンスポットがキュアオーロラを倒したか。まぁ、当然だろうなぁ。これでユキを好き放題メチャクチャにできる」

 

ヒューストムはもうこの時点で自分の勝利を確信。同時にサンスポットもオーロラ相手にかなり消耗していると予想する。

 

「まずはサンスポットを出し抜いてユキを連れ出す。それから弱ったコイツらを……」

 

「そんなの……させない!」

 

ヒューストムがユキとサンスポットの元に向かおうとするとそれを止めるようにアポロンが手を翳して火炎弾を放つ。するとヒューストムはそれをあっさり回避して二人を睨みつけた。

 

「……お前ら、大人しくしてたらもう少し長く生きれたのになぁ。そこまでしてやられた仲間を庇って何になるんだ」

 

ヒューストムは自分が優勢になったからか先程までの怒りはある程度消えており、逆に二人やこの場にいないユキをまた見下すような言い回しをする。

 

「ユキ姉は……そんな簡単にやられる程弱くなんか無いよ」

 

「俺達は皆、ユキさんならアサヒ君を助け出せるって信じてるから!」

 

ヒューストムはそんな二人を見て溜め息を吐くとそこまでして自分達に楯突くつもりならと言わんばかりに手を翳す。

 

「だったらそろそろ大人しくしてもらおうか。……また俺の気分が悪くなる前にさぁ!」

 

「「ッ……」」

 

それに対してアポロンとアルテミスは痛みに耐えながら立ち上がり、自分達にトドメを刺そうとしているヒューストム相手に立ち向かうのだった。




また次回もお楽しみに。
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