「ねぇ、お姉さん達のパーティに同行してくれないかな?」   作:なごりyuki

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明け方は遠く

 

 

 

 先に南防壁の守備を担当していた6人組の冒険者達は、状況と事情を説明したところ、共同で守備任務につくことを快諾してくれた。

 

「あぁ。アンタらか。仕事熱心だな」

「あの陰気な剣聖サマに、仕事を増やされたクチかい?」

「やめとけよ。聞かれたら面倒だぜ」

「だが、心強いのは確かだ。よろしくな」

 

 彼らは南防壁の西寄りに詰めてくれることになり、アッシュ達が東寄りを担当することになった。位置的にいえば、町の南東あたりだ。

 

 南防壁の守備についたアッシュ達は、簡単な食事を済ませてから、持参していたスタミナポーションで肉体の疲労や精神的な消耗を回復させた。

 

 昼間に配置を決めた通り、防壁の上部に設けられた見張り場にはカルビとネージュが入り、防壁から外に出た位置にローザとエミリア、それとアッシュが陣取る。

 

 防壁の前に広がる森から出没するゾンビ、或いは他の魔物などを食い止めつつ、サニアに連絡するのがアッシュ達の仕事である。

 

 サニア、ルフルの2人は町の居住区付近で『正義の刃』のメンバーを揃え、領兵騎士団と共に、いわば防衛戦本部のような陣を敷いている。

 

 これは住人達を守るためであるが、東西南北のどこにゾンビ魔物が出没しても、対応しやすいようにしているようだ。

 

 防壁の守備についている冒険者達からの情報は、随時サニアとルフルの元に集められている。町に近付くゾンビや魔物を発見したという報告が入れば、メンバーを引き連れた彼女達が即座に動ける態勢だ。

 

「もう夜も更けてきたけど、特に動きはないね~……。他の場所にゾンビが押し寄せて来てるとかいう報告も、今のところはないし」

 

 魔導ショットガンのグリップを何度か握り直すローザが、前方に広がる暗がりの平野と森を眺め、呟くように洩らした。

 

 防壁の方を振り返ったローザは、魔導機械術製品である暗視ゴーグルを装着している。顔の上半分を覆うようなあのゴーグルには着色補正の機能があり、暗がりの中でも魔導銃の狙いをつけるのに非常に役立つということだ。

 

 上級冒険者として活動してきたローザ達は当然のように所持していたし、今回は同行者であるアッシュの分まで用意してくれていた。

 

「町の居住区の方も静かなままですし、大きなトラブルも起きていない様子ですね」

 

 暗視ゴーグルを借りて装着しているアッシュも、防壁を振り返って見上げた。防壁の背後に広がる夜空には星が瞬いているものの、立ち込め始めた雲に隠れて月は見えない。

 

「サニアさんから連絡だと、レイダー達を移動させるのに、ちょっと揉めたみたいだけどね」

 

 ローザが力なく肩を竦めた。アッシュも苦笑で付き合う。

 

「えぇ。レイダー達を居住区内に通すのは、反対する人も多かったと思います」

 

 大量のゾンビが襲撃してくる事態を想定したサニア達は、防壁外の天幕に繋いでいたレイダー達をそのままにしておくことはせず、町の防壁内に入れることを決めた。

 

 だが、残忍な殺人や傷害を繰り返してきたであろうレイダー達を、居住区の防壁内にまで招き入れるのは、流石に町の住人たちからの猛反対にあったそうだ。

 

 最終的に、居住区外にある空き家に防御結果を張って、そこにレイダー達を繋げる流れとなったらしい。

 

「それでも温情のあり過ぎる処遇だよね。ゾンビが来てようが何だろうか、そのまま防壁外に放置されてもおかしくないんだから」

 

 鼻を鳴らしたローザが空を見上げた。エルンの町は、月明かりの無い夜に浸されている。

 

「……まぁ、このまま何も起きなければ一番いいんだけど」

 

 言葉とは裏腹に、ローザの口調はまったく期待している風ではない。

 

「そうですわね。何も無いに越したことはありませんわ」

 

 重みのある声音で同意したエミリアも、決して楽観する口振りではなかった。どちらかと言えば、緩んでくる緊張の糸に慎重さを通し直すような響きがある。

 

 エミリアもローザと同じ大型の暗視ゴーグルをしており、漆黒の重装鎧を纏って大盾を手に携えている姿からは、既に戦闘のなかに立つ者の気迫が立ち上っていた。

 

「ですが、こういう静かな夜ほど長いものです。気を引き締めて参りましょう」

 

 エミリアは自分の為ではなく、誰かのために戦おうとするときにこそ、その力を発揮する女性なのだろうと思った。軽く口許を緩めたローザも頷く。

 

「だね……。気が抜けないようにしないと」

 

 ローザとエミリアが顔を向けている先には、町の南部に広がる山間部への傾斜があり、短い草原と茂みの向こうには、黒々とした森の木々が居並んでいる。

 

 ゾンビ達の影響かもしれないが、暗黒の中に浸されている夜の森からは野生動物の気配も感じない。

 

 その不穏さを含んだ静謐を押しやるように、泰然としたカルビの声が聞こえてきた。

 

『つっても、気を張り過ぎるのも考えモンだぜ』

 

 ローザが指にしている通信用の指輪からだ。

 

『いざ戦う時に、集中力を使い果たしてバテてちまってたら話にならねぇ。適度にリラックスしとかねぇとな』

 

『……貴女みたいに過剰に気を抜いているのも問題でしょう』

 

 冷たく尖ったネージュの声が続く。

 

『見張り場にどっかり座り込んで、デザート代わりの干し肉まで食べてるのは流石にどうかと思うわ』

 

『うるせー。追加の栄養補給だ。言っとくが、アタシはずっと周囲に気を張ってるぜ。森の上空にもな、だが、今のところは何にもいねぇだろ』

 

 通信用の指輪から届いてくるカルビとネージュの声を聞きながら、軽く息を吐いたローザが夜空を見上げ、強張った身体から力を抜くように首を軽く回した。

 

「まぁでも、多少のリラックスも必要かもね。肩も凝ってきちゃったし」

 

 微かに笑みを含んだローザの声に、アッシュも顎を引いて応じた。

 

「油断しない程度の休息なら、平常心を維持するためにも賛成です」

 

『そうそう。アッシュと同じことを言いたかったんだよ』カルビが嬉しそうな声で便乗した。『アタシは平常心を保つために、こうやって無駄な力を抜いてんだ』

 

『調子のいいことを……』

 

 通信用指輪の向こうで、ネージュが呆れ交じりに鼻を鳴らすのが聞こえた。

 

「アッシュさんの意見を味方につけたからといって、守備任務の怠慢が許されるわけではありませんわよ?」

 

 腰に手を当てたエミリアも眉を寄せ、カルビに釘を刺す口調になる。

 

『分かってるつーの。エミリア、お前こそ喧しくするなよ。昼間みてぇにゴリラパワー全開でウホウホだのブリブリだのと叫ばれたら、ゾンビとか魔物を呼び寄せちまう』

 

 やけに心細い口振りになったカルビが、エミリアに釘を刺し返すように言う。

 

「だァァからァァァ!!私《わたくし》はァァ、戦いの最中にィィ……! ウホウホもブリブリも言ってねェェですけどォォォォン!!?」

 

 防壁の方を物凄い勢いで振り返ったエミリアが、紅髪の縦ロールを振り乱して肩をいからせ、深まってくる夜の闇を殴り飛ばすかのように叫んだ。

 

「あと前にも言いましたが!! 私が全開にしているのは清らかで聖なる“淑女パゥワァ”であって、ウホウホパワーでもゴリラパワーでもあぁぁりませんことよッ!!」

 

『そうムキになるなよ。似たようなモンじゃねぇか』

 

 声を半笑いにさせたカルビが投げやりに応じた。

 

「ぜェェんぜん違ァいますわよォォ!! ワイバーンと蠅ぐらい違いますわ!!」

 

「ちょっとエミリア、声が大きいって」とローザが困り顔で宥める。

 

『……元気なのはいいけれど、守備任務の途中で気力を消費するのは控えて欲しいわね』

 

 ローザの指輪から届くネージュの声は、エミリアの主張には全く興味が無さそうだった。

 

 ただ、カルビの方もこれ以上は言い合うつもりはないようで、憤激しているエミリアに対して『あぁ、わかったわかった』と気のない相槌を打つ。

 

 そして、『……でもよー』と声の調子を変えた。

 

『なぁエミリア、お前の言う淑女パワーとか淑女道ってのは、冒険者としてのお前のポリシーっつーか、信念みたいなモンだよな?』

 

 カルビの訊き方には、仲間であるエミリアとの距離感を測り直すような慎重さがあった。この話題を持ち出す機会を待っていたのかもしれない。

 

 少し真面目になったカルビの声音に意表を突かれたのか。エミリアは一瞬の沈黙を作ったあとで、縦ロールの紅髪を優雅にかき上げながら鼻を鳴らした。

 

「勿論、その通りですわ。どうしてそんな今更なことを?」

 

『んん? いや、ちょっと興味があってな』

 

 カルビはそこで、言葉の端に穏やかな笑みを含ませた。この話が決して、悪意のあるものではないと明確にするように。

 

『この町に来る前に、アタシ達はレイダー共に襲われただろ? あのとき、お前が言ってたじゃねぇか。“冒険者として正しく生きろ”ってな話をよ』

 

 暗視ゴーグルをしたままのローザが少しだけ唇を噛みながら、エミリアに顔を向けている。通信用の指輪の向こうで、ネージュも静かに耳を傾けている気配があった。

 

 激しくも清らかなエミリアの言葉は、アッシュもはっきりと覚えている。

 

“世と人の為に危険を冒し、その身体と命を懸けて尽くす道を……、貴方達が踏み外した道を、残りの人生を懸けて歩み直しなさい”

 

 特に鮮明にアッシュの心に刻まれたのは、歩み直す、という部分だった。

 

「えぇ。それがどうしましたの? 私《わたくし》としては、人として冒険者として、淑女として、レイダー達には当然の振舞いをしただけですわ」

 

『あぁ。そりゃあ分かってる。お前は善人だ。間違いなくな。だが、聖人ってワケじゃあねぇ』そう断言したカルビは『言っとくが、いい意味でな』と断りをいれた。

 

 普段は大雑把で粗暴な振る舞いを見せるが、こういうときのカルビは相手に受け渡す言葉を大切に扱っている雰囲気があった。

 

 それを感じ取っているのだろうエミリアも、何も言い返すことはせず、ただ黙ったままでカルビが話すのを促していた。

 

『お前は自分の強さで他人に尽くそうとするし、守ろうとする。献身的だ。だが同時に、ちゃんと報酬のことも意識してがる。2000万ジェムを目当てに墳墓に潜って、魔骸石になろうとしてた墓守を前にして目の色を変えてやがったからな』

 

 そこで言葉を切ったカルビは軽く息を吐いてから、場の空気を解すように軽く笑う。

 

『なぁ、エミリア。お前みたいな高潔な精神を持つヤツが、それなりに金に拘ってる理由は何だ? 無理にとは言わねぇが、よかったら教えてくれよ』

 

 さっきカルビが“興味がある”と言っていたのは、このことなのだと分かった。つまりは、エミリアが望む現在と未来を尋ねたいのだ。

 

 もしもエミリアの過去を知りたいのなら、『何故、冒険者になったのか?』という質問を経由することになるだろう。

 

 だがカルビは、その設問を丁寧に避けている感じがした。お互いの信頼関係とは無関係な、もっと慎重に触れるべき話題として。

 

「……まぁ、私もちょっと気になるかも」

 

 微笑むような声でローザが同意した。それはエミリアの想いを知りたいという、友情の表明に違いなかった。

 

「ほら、さっきも言ったけどさ。私達ってパーティだけど、あんまり突っ込んでお互いの事を聞いたり話したりしたことなかったし」

 

『冒険者的な利害関係から少し離れて、パーティメンバーの持つ理念や志を知っておくのも、まぁ……、悪いことではないわね』

 

 どうやらネージュも、この話題の続行には賛成のようだ。

 

『ネージュちゃんは素直じゃねぇなぁ。そうやって理屈をこねないと、おしゃべりも出来ねぇのかよ』

 

『……貴女だって、本題に入る前の前置きが随分と長かったじゃない』

 

『そりゃあお前、ズケズケと何かを言ったり訊いたりするのはデリカシーってモンが無ぇだろ? アタシなりの礼儀だ』

 

 獰猛だが静かなカルビの声は、夜の空気に澄んで響いた。

 

 エルンの町にやってきてから思いがけず共有してしまった、アッシュとネージュの過去の一部が、カルビの背中を押したのかもしれない。

 

 其々が背負う過去には、影や傷だってある。

 

 その当たり前のことを受け容れつつ、あくまで未来を語って欲しいというこの話題は、アッシュやネージュに対する、いや、ローザやエミリアにも向けられた、カルビなりの遠慮がちな気遣いなのかもしれなかった。

 

「……私《わたくし》がお金を必要としている理由は、大きく分けて2つありますわ」

 

 ただ、この話題の中心に立たされているエミリアは、特に気負ったふうもなく、軽く鼻を鳴らして応じていた。

 

 エミリアもまた、ローザやネージュ、そしてカルビになら、自分の内面に関わることを話してもいいと判断したのだ。そして、同行しているアッシュにも――。

 

 光栄な気持ちになったアッシュの傍で、エミリアは手にしている大盾を地面に突き立て、腕を組んだ。

 

「1つは冒険者として生きて、生活を形作るためです。まぁ、これは冒険者なら誰しも同じことでしょうけれど。そしてもう1つは」

 

 言葉を一度切ったエミリアは、そこで声を引き締めた。

 

「私《わたくし》自身のクランを作るためですわ」

 

 全員が驚いたような空気があった。

 アッシュも意表を突かれて、思わず尋ねてしまう。

 

「それは……、エミリアさんを頭領《マスター》としたクランを、また別に結成する予定なんですか?」

 

「えぇ。まぁ予定というよりは、そういった希望がある、という程度ですが」

 

 暗視ゴーグルをしたままのエミリアが、アッシュの方に顔をだけを向けて小さく頷いた。控えめな肯定だったが、強い意志が籠っているように感じられた。

 

『ほぉ~ん。まぁ、確かにクラン設立には金が要るな』とカルビも納得したようだ。

 

 明確な定義があるわけではないが、冒険者界隈では9人程度の冒険者の集まりならば“パーティ”、10人を超えていれば“クラン”という認識だ。

 

 リーナ達のように、危険な賞金首を狩ることを目的にして、一時的に他のパーティと協力関係を結ぶことで、短期的なクランが作られることも珍しくない。

 

 巨大な地下ダンジョンを長期的に探索して深層を目指すような“遠征”も、幾つかのパーティがクランを組んで行うのが一般的である。

 

 また、冒険者ギルドに正式なクランとして登録料金を納めておけば、今回のエルンの町を防衛するような、人手が必要になる依頼なども優先的に紹介してくれる。

 

『……ってことは、そのクランを立ち上げる段階になったら、このパーティから抜けるつもりなのか?』

 

 続けてそう尋ねたカルビの声音は、心なしか寂しそうに聞こえた。

 

「そう……、ですわね。人を束ねることを考えれば、やはり私が他のパーティに所属したまま、というのも具合が悪いでしょうし」

 

 実際にこのパーティから離れるときのことを想像したのか、エミリアの声も少し小さくなった。

 

「クランの頭領《マスター》をやるっていうんなら、パーティを抜けるのも仕方ないよ」

 

 ちょっとだけ肩を竦めたローザが、優しい言い方をした。このパーティを抜けることになっても、それを責めることはないと予め断りを入れるようだった。

 

「クランだとメンバーも多くなるし、事務とか財務とかも気にしなくちゃいけないだろうしさ。忙しさは今と比べ物にならないんじゃない?」

 

 そういったクラン運営の苦労を正確に想像することは、今までソロであったアッシュには難しかった。だが、簡単な仕事ではないことぐらいは分かる。

 

 パーティよりも規模の大きい冒険者の集まりには長所だけでなく、短所だってあるからだ。数が増えたメンバー同士の関係を良好に保つだけでも、簡単なことではないだろう。

 

「そ、そういう大変さも、もちろん覚悟の上ですわ!」

 

 クラン頭領としての仕事量を今から想像したのか、エミリアの声が若干しぼんだ。追い打ちをかけるように、カルビが声を笑わせる。

 

『つーか、そもそもメンバーを集めるのが一番苦労しそうだけどな』

 

「それは言わないでおこうよ……。私達のパーティにもブーメランなんだし……」

 

 疲れたように声を萎ませたローザの言い方には、やけに実感が籠っていた。

 

『メンバーが集まって実際に活動を始めてからも、そのクランメンバー全員が、ある程度納得するだけの稼ぎを出すのも大変よね』

 

 ネージュが落ち着いた声で、あまりにも現実的なことを言う。アッシュも頷いた。

 

『墓荒らしのクランなんかだと、一度でも財宝や秘宝を堀りあてれば、大きな利益が出るのでしょうけれど』

 

「私《わたくし》が目指すクランは、そういう一攫千金を狙うクランではありませんから……。活動が軌道に乗るまでは、ギルドの依頼を地道にこなして、実績を作っていくしかありませんわ」

 

 クランを維持、運営するということは、その規模に応じた利益を確保することに他ならない。

 

 そして、このクラン全体の収入は、そのクランがどういった理念のもとで設立されたのかということも大きく関係する。翻っていえば、冒険者の集まりであるクランには、必ず明確な目的がある。

 

「エミリアさんは、どういった理念のクランを設立されるおつもりなのですか?」

 

 アッシュが控えめに尋ねると、エミリアは傲然と顎を持ち上げ、着込んでいる重装鎧の胸甲に手を当てた。よくぞ聞いてくれました! と言わんばかりの仰々しい態度だった。

 

「私《わたくし》が設立するクランの理念は『正義の刃』と同じく、魔物から人々を守り、暮らしの安心と安全に貢献することですわ!」

 

『ほーん。立派なモンだな。でもそれだったら、お前も『正義の刃』に入れて貰えばいいんじゃねぇのか? やることが同じだし、そっちの方が苦労も少ないだろ』

 

 純粋な疑問を口にしたのだろうカルビに応じたのは、エミリアではなく、「あー……」と、やや気まずそうな声を洩らしたローザだった。

 

「カルビとかネージュと一緒になる前の話なんだけど。実はさ、私とエミリアって、『正義の刃』の入隊試験に落ちてるんだよね。しかも、書類選考で」

 

『……正直、かなり意外ね。『正義の刃』は新人冒険者の教育や指導も熱心らしいし、ローザなら入隊できそうなのに』

 

 ネージュの声は驚くというよりも、不思議そうだった。

 

「……まぁ、いろいろあったんだよ」

 

 曖昧な言い方をしたローザの頬が、僅かに強張っていたように見えた。暗視ゴーグル越しだから見間違えかもしれないが、それがアッシュには少し気になった。

 

 ローザの声の調子から何かを察したように、そして気遣うようにカルビが沈黙しているのも印象に残った。

 

「書類選考の時点で落とされてるから、サニアさん達みたいな幹部クラスの人は、私達が入隊試験を受けたこと自体、知らないんだと思うよ。ほら、あそこは規律にも厳しい大規模クランだから、採用を担当する部署っていうか、そういう部門があるみたいだし」

 

 サニアをはじめ、1等級冒険者を複数抱えている『正義の刃』は、冒険者ギルドからの信頼も厚いクランだ。ときには王国正規軍とも作戦を共にすることがあるというし、他国からも救援要請を受けることも珍しくない。

 

 そんな『正義の刃』には、クランとしての清純さが求められるのだろう。入隊希望者の身辺や家族関係、出自について調査している部門、あるいは調査を頼まれている者達がいても不思議ではない。

 

 その結果として、ローザやエミリアが書類選考で弾かれたということは、彼女達の来歴に、何か懸念されるべき点があったのだろうか――。

 

「過去のことは置いておきましょう。大事なのは、これから! ですわ」

 

 間遠になりかけた会話を温め直すように、フン! と鼻から息を吐きだしたエミリアが、力と張りのある声を発した。

 

「『正義の刃』と同じ理念を持っているパーティやクランは少なくありませんが、その活動規模となるとそうはいきません。魔物を倒すだけでなく、破壊された町や街道の修復や、そこに関わる土木工事関係のクランとの綿密な連携も、規模が大きくなければ限界がありますもの」

 

 だからこそ冒険者ギルドがあり、他にも専門的なクランが存在しているのだが、そういった各所が連絡を取り合い、実際に魔物被害を受けた村や町の復興に取り掛かるまでは時間が掛かるのも事実だ。

 

「あと、最も重要なのは専門的な医療チームですわね。人々の故郷を守ることは大切ですが、人命は何よりも優先されますもの」

 

 敢えて強調するように言い足したエミリアに、アッシュも深く頷いた。

 

「えぇ。『正義の刃』の皆さんも、回復用の魔法薬を準備するだけでなく、治癒術士の部隊を編成していましたからね」

 

 私利私欲に全く囚われないエミリアのクランが立ち上がったとき、どんな活躍をするのだろう。無論、そのクランの維持活動には資金が必要になるが、クラン活動の理念は清冽であり、善意によって遂行されるはずだ。

 

 自分の人生を、どこまでも善良な方法で前に進めようとするエミリアに対する本心からの尊敬と共に、その光景を本気で見てみたいと思った。

 

 そしてこれは、卑しい邪推の類なのかもしれないが――。

 

 自らの未来を、希望を持って描くエミリアもまた、自分の過去に意味を与え直そうとしているのではないか。それこそ、“歩み直す”と言う意味を込めて。

 

 その直向《ひたむ》きなエミリアの眩しさの前では、アッシュもまた自らの生き方を自問せざるを得ず、少しだけ息苦しかった。

 

 ただ、深刻に考えこんでしまわずに済んだのは、ローザのしている通信指輪の向こうで、カルビが低く笑い声を立てたのが聞こえたからだ。

 

『しかしまぁ、規模がデカ過ぎる話だな』

 

 カルビの声は笑っていたが、それは質の悪い冗談を笑って馬鹿にするものでもなかった。仲間の抱いた気宇壮大で健やかな野望に、共感と感嘆を見せているように感じられた。

 

『土建業界だけじゃなくて、医療業界からもメンバーを引き抜くつもりなんてね』

 

 呆れ交じりのネージュの声にも棘が無く、寧ろ、エミリアならその苦労を乗り越えてみせるだろうという信頼が滲んでいた。

 

「つまりエミリアは『正義の刃』みたいな活動をしながら、魔物被害を受けた現地を総合的にケアできるような、複合クランを作りたいってわけだ」

 

 ローザが話を纏めてから、「そりゃあ、頑張ってお金を貯めないとね」と、改めてエミリアが冒険者活動を続ける理由にも納得したようだった。

 

「でも、あくまでこれは私《わたくし》の希望であり、夢のようなものですから。お金は必要ですが、それ以外を疎かにするような冒険活動をするつもりは毛頭ありませんわ」

 

「分かってるって。この町の防衛をギルドに持ち掛けられたときだって、参加しようって一番に賛成したのもエミリアだもん」

 

 隣にいるローザに優しく言われて、エミリアは少し恥ずかしがるように鼻の頭を指で掻いて、それを誤魔化すように、また縦ロールの紅髪をかき上げた。

 

「……さぁ、このあたりで私の話は終わりにしましょう。カルビさんの気も済んだことでしょうし」

 

『あぁ。ありがとよ、話してくれて』

 

 やけに素直に礼を言うカルビは、今までにない話題で盛り上がったことに満足したようだ。それに、エミリアという仲間のことをより深く知れたことが嬉しかったのだろう。届いてくる声にも弾みがある。

 

『自分のことよりも、どうすれば他者を助けられるかを考えるのは、間違いなくエミリアの美点よね』

 

 そう続いたネージュも、いつもよりも穏やかな口調だった。

 

『クラン設立という目標も、まぁエミリアらしいのかもしれないわ』

 

「えぇ。とても立派だと思います」

 

 本心からの尊敬と共にアッシュが言い添えると、エミリアは弾かれたようにアッシュに向き直って、何かを言いたそうに口を開いた。だが、照れ隠しをするように緩く息を吐いて、そのまま黙って森に顔を向けてしまった。

 

「だよね~。私もそう思う」

 

 含みのない笑い方をしたローザも、アッシュに続いた。

 

 それからは会話が途切れて、夜の暗さと共に沈黙があたりを浸していった。

 

 だが、その静寂は決して険のあるものではなく、寧ろ、この無言の間こそがローザ達の絆を深めるのではないかと思えた。

 

 それにアッシュも、この場で自分が疎外されていないことを感じていた。

 

 ローザが言ってくれた言葉を借りるのならば、彼女達の仲間として、アッシュはこの場にいることを許されている。或いは、彼女達に受け入れられている。

 

 そういう不思議な感覚に見舞われながら、軽い戸惑いと純粋な喜びを胸に、この場の静けさに心を預けていた。

 

 だから、『じゃあ次は……、アッシュ!』と、カルビに勢いよく名を呼ばれても、一瞬だけ反応が遅れてしまった。

 

「えっ……。ぼ、僕ですか?」

 

 間抜けな声を洩らしてしまったアッシュは、防壁の方を振り返って自分を指差してしまう。

 

 心臓が鈍く痛んだ。だって……。

 

 アッシュは自らの未来について、エミリアのように他者に語るような希望や明確な目標などは、全くといっていいほど持っていない。

 

“お前以外の人形を砕け”

“全て破壊しろ”

“殺し尽くせ”

 

 ――過去から響いてくる声を打ち消すには寧ろ、その空白と虚無こそが、自らに相応しいはずだった。

 

 だが、改めてそれを彼女達に打ち明けることには、息が詰まるような苦しさを覚えた。

 

 カルビに何を尋ねられても、それに応答するための言葉や願いは、アッシュの内側には無い。空虚で空疎な未来を望む心情を、どう伝えればいいのだろう……。

 

 焦りと自問の中で、アッシュはカルビの言葉を待つしかなかった。

 ゾンビの群と戦うよりも、よほど緊張した。

 

『おう。前から訊きたかったことがあるんだけどよ、な~んかタイミングが無くてな』

 

 カルビはウキウキとした声で言いながら、新しい話題を持ち出した。

 

『なぁ、アッシュ。お前、リーナとかいう女と付き合ってるそうじゃねぇか?』

 

「……えっ」

 

 もしかしたらカルビは、親密な静けさに包まれているこの場の空気を、敢えて掻き混ぜたかったのかもしれない。

 

 ただ、そういった意図があったとしても、さっきのエミリアに向けられた真面目な問いかけとは毛色が違い過ぎる。

 

 エミリアのときのような質問でないことに安堵するよりも先に、アッシュは虚をつかれてしまった。そもそもこれは、真面目に答えるべき問いかけなのだろうか……?

 

 空気を読むというか、この場を温める為の、なにか冗談めかした返答をすべきなのではないか……?

 

 アッシュが考え込みそうになったところで、傍にいたエミリアが呆然とした様子で、よろよろと2歩下がって、プルプルと頬を震わせ始めた。

 

「そ、そんな、アッシュさん……、どうして……」

 

 絞り出したようなエミリアの声は、過剰なほどの悲しみと衝撃が滲んでおり、今にも泣き出しそうなほどに掠れている。というか、もう半泣きだった。

 

「いや……、エミリア。その“どうして”は、おかしいよ……」

 

『どういう立場からの、どういう意味での“どうして”なのよ』

 

 渋そうな声になったローザとネージュが、落ち着いたツッコミを入れてくれた。

 

「それとさぁ、カルビ……。そういうのは確かに一級品の雑談だけど、もうちょっと時と場所を選ぼうよ」

 

 ローザが諫めるように言って、通信用の指輪を見下ろした。

 

 するとカルビは、『選んでるっつーの。十分に吟味したっつーの』と即座に言い返す。

 

『前にネージュが言ってたからな。アッシュに女の幼馴染がいて、ソイツもアッシュに同行依頼を出すようになるかも、ってな』

 

 それとほぼ同時だった。

 

「ぉおおお幼馴染……ッ!?」

 

 全身を強張らせたエミリアが悲痛な叫び声を上げたあと、地面に突き立てた大盾に額を預けるようにしてから、「すぅぅううぅううぅうう――……!!」とか、「んんんんんんんんふぅぅぅぅぅ――……!!」といったふうに、とても辛そうな呼吸を繰り返し始めた。

 

「あの、エミリアさん、大丈夫ですか……?」

 

 体調でも崩したのかと心配になり、アッシュは思わず声を掛けてしまう。

 

「えぇ……。身体は、何も問題はありませんわ……。でも、そうですわね、スゥゥゥウウゥウウーー……、あの、なんと言いますか、その……、スゥゥゥゥ……、ちょっと、脳が焼かれただけですから……、ンフゥゥウウゥ……、どうか御心配なさらずに……」

 

 エミリアは水の中から顔を出し、必死に息継ぎでもするかのような様子だった。

 

 暗視ゴーグルをしているため、エミリアの顔の上半分の表情は分からない。だが、その頬がやけに引き攣っているように見えるのは気のせいだろうか……。

 

「ふぅん。アッシュ君って、幼馴染が居るんだ……。まぁ、アードベルの養護院を出てたら、自然なことだもんね……」

 

 ちょっと唇を尖らせたローザが、興味深そうに呟いた直後だった。

 

『アッシュ君に勘違いされたくないから言っておくけど』

 

 氷の槍を突き出すような鋭さで、ネージュの声が夜の暗がりに響いた。

 

『私は、アッシュ君とリーナが付き合っているだなんて一言も言っていないわ。いくら何でも、解釈が飛躍しすぎよ』

 

 ネージュとリーナは、以前ギルドで顔を合わせ、自己紹介も済ませている。

 

 確かにあのとき、アッシュとリーナが付き合っているなどという話題は全く出なかったはずだ。

 

「あ……焦ったぁ……。危うく、幼子のように全身を震わせて、絶叫号泣をするところでしたわ……」

 

 生気を取り戻したようなエミリアが、ズビビッ! と洟を啜ってから夜空を仰ぎ、盛大過ぎる安堵の溜息を吐き出している。

 

「せめて成人女性の泣き方をしてね……?」

 

 疲れ気味の声になったローザが、確認口調でエミリアに頼んでいた。

 

『悪ぃな、アッシュ。アタシの勘違いだったみてぇだ』

 

 一方、全く悪びれない口調のカルビは、ネージュから訊いたリーナの話をワザと大袈裟に膨らませて、冗談として扱ったのだと分かった。それは恐らく、アッシュとの会話を深めていくためのきっかけとする為だったのだろう。

 

『付き合ってる女がいねぇんなら、質問を変えるか』

 

 実際、この次のカルビからの質問も、随分と親しみが籠っていた。

 

『なぁ、アッシュ。お前の好みの女は、どういうタイプだ?』

 

『貴女……。時と場合を考えなさいって、さっきもローザに言われたところでしょう』

 

 ネージュが怖い声で注意したが、それに即応したのはカルビではなく、まるで戦闘を始める直前ように大盾を持ち上げたエミリアだった。

 

「いいえ、ネージュさん。これはもう、途轍もなく重要な話ですわよ」

 

 言い諭すような真面目くさった声になったエミリアが、何度かゆっくりと頷いてみせてから、アッシュの方に身体を向けてくる。

 

「アッシュさんの好みの女性像というものがあるのなら、一切の隙なく熟知したいですわ」

 

「えぇと、熟知と言われても……」

 

 驚くほど真剣な声音でエミリアが迫ってくるので、アッシュもたじろいでしまう。

 

『エミリア、怖いことを言うのはやめなさいよ……』

 

 アッシュを庇うような声でネージュが言ってくれるが、そこですぐにカルビが、『おいおいネージュ。ソワソワしまくりながら、いい子ぶってんじゃねぇよ』と口を挟んでくる。

 

『お前だって気になってるんだろ? 正直になれって』

 

『ぅ、五月蠅いわね……。そわそわなんてしてないわ』

 

『んん~? そうかぁ? さっきからモジモジしながら、頻りに唇を噛んでいるじゃねぇか』

 

『おい黙れ』

 

『おー、怖っ。また頬を抓られちゃかなわねぇな』

 

 ネージュとの軽い言い合いを終わらせたカルビが、この話題を振り出しに戻した。

 

『で、どうなんだよ? アッシュ』

 

「ど、どうと訊かれても……」とアッシュは困るが、正直に応じた。

 

「正確に答えるのは難しいですね。今までそういったことには、あまり意識を向けてこなかったので……。具体的には答えようがないですよ」

 

 アッシュが答えているあいだ、やけに静まり返った空気になったのが気になった。何だろう。この妙な緊張感は……。

 

「アードベルの養護院を出て冒険者になってから、僕はずっとソロでしたから。そういった出会いも殆どありませんでした」

 

『ほぉーん……。あんまり女に興味が無ぇんだな、アッシュは。お前みたいに箆棒に強くて稼げるなら、ハニーディップに通い詰めても釣りがくるだろうに』

 

「あそこの割引クーポンみたいなのは、たまにギルドにも置かれてますね」

 

 この話題には、アッシュは苦笑で付き合う。

 

 ハニーディップとは、アードベル第13号区にある大陸屈指の歓楽街だ。

 

“どのような欲望にも応じる淫楽の都”と謳われるハニーディップ地区には、大金を稼いだ冒険者だけでなはなく、王都の超富裕層、大商人、王族や貴族もお忍びで訪れているという。

 

『アッシュは綺麗で可愛い顔をしてるからな。色んな店の嬢からもモテまくるんじゃねのか』

 

 喉を鳴らすように笑ったカルビに、エミリアとネージュが低過ぎる声で即答した。

 

「そのようなお店にアッシュさんは行きませんわ」

 

『そういう店にはアッシュ君は行かないわ』

 

 揃った2人の声には威圧感すら漂っていて、一切の反論を捻じ伏せるような気迫に満ちている。当のアッシュが何かを言い添えることすらできないほどだった。

 

「2人が断言してるのは流石におかしくない……?」

 

 ローザが控えめにツッコんでくれたので、アッシュも苦笑交じりにカルビに応じることができた。

 

「ハニーディップ地区には立ち寄ったことはありません。……僕自身、そんなにお金は持っていませんし」

 

『おいおい、悪い冗談はよせよ。お前がその気になれば稼ぎまくれるだろうによぉ~』

 

 降参するような言い方をしたカルビが、そこで数秒ほど黙り込んで舌打ちをした。

 

『……おいおい。マジで悪い冗談はやめろよ』

 

 見張り台から何かを見つけたのだろう。カルビの声が獰猛さを帯びて、同時に、苛立ちと微かな動揺を滲ませる。そ

 

 の一瞬で夜の暗さが重さを持って深まり、森を吹き抜けてくる風が、やけに濁っているようにも感じられた。

 

『えぇ、本当に笑えない冗談ね』

 

 ローザの指輪の向こうでネージュが呻くように溢したが、すぐに彼女は声を引き締めた。

 

『ローザ、すぐにサニアに報告を。有翼のゾンビ共よ。森の上を飛んできてる。……数も多いわ』

 

「分かった! とにかく連絡を取るよ……!」

 

 サニアから受け取っていた連絡用の腕輪を見下ろしたローザが、短い遣り取りを交す。そしてすぐに、「えぇっ!?」と驚愕と焦りの声を上げた。

 

 嫌な予感がしたのはアッシュだけではなかった筈だ。

 

 その証拠に、通信を終えたローザが、サニアから何を聞いたのかを話し始めるまでは、全員が黙り込んだままだった。防壁内部が俄かに慌ただしくなる気配と共に、遠くで怒号が重なって聞えてくる。

 

「……サニアさんから、私達も移動するように指示が来たよ」

 

 夜空を一度見上げたローザが、唾を飲み込むような間を作って、エミリアとアッシュを見た。それから通信用の指輪ではなく、カルビとネージュが立っている防壁の見張り台を見遣った。

 

「私達が居る南側から以外にも、東西から有翼ゾンビが迫ってるって。居住区を中心に冒険者と騎士団員を集めて、そこを防衛する作戦みたい」

 

『そりゃあな……。空を飛んでるヤツが相手なら、アタシらが町の外壁に張り付いてる意味なんざ無ぇもんな』

 

『……厄介な話ね。頭上を飛び回られては、いざというときに住人を逃がすこともできないわ』

 

「つまり戦うだけでなく、ここでゾンビ共を全滅させねばなりませんわね」

 

 ローザとエミリアは言いながら森を振り返りつつ、防壁の内側へと既に移動を始めている。防壁の見張り台から跳び下りたカルビとネージュも、村の居住区に向かって駆けていくのが見えた。

 

 彼女達の行動は迅速だ。

 トラブルに慣れきっているが故に、危機にも強いのだ。

 

 アッシュもローザ達の少し後ろにつきながら走り、夜空を見上げた。

 

 立ち込め始めた雲の奥に隠れ、星は見えず、月の明かりが不吉に滲んでいる。

 

 アッシュ達の頭上に置かれたその光景は、安直で陳腐さを感じるほどに暗示的だった。だが、この町の危機的な状況と長い夜は、まだ始まったばかりだった。

 

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