好き勝手生きて何が悪い 作:バタートースト
模擬戦が始まり数分。
現状、まだお互いのチームは拮抗している。
クロウの分身をFA二人につけたのは良いが、やはり警戒していたのかなのはに狙撃され破壊されてしまった。
クロウの分身が破壊され、ヴィヴィオとアインハルトは一対一の状況になる。
「アインハルトさん!ちょっと聞きたいんですけど」
「なんでしょうか」
「最近クロウと距離近くないですか?」
んぐっ!?とアインハルトから変な声が漏れた。
確かに最近二人で話すことは多いが、怪しまれるほどだっただろうか。
「何か私に隠してません?」
アインハルトは返答に困ってしまう。
自分の兄が、学校の先輩のご先祖様とそっくりだなんて言えるだろうか。
クロウもそんなことは言いふらされたくはないだろう。
しばらく考えた結果、アインハルトは拳を構える。
「あなたも格闘家なら、拳で聞いてみてはいかがですか?」
お世辞にも口がうまいとは言えないアインハルトが出した結論がこれだった。
不器用だが、これしかない。
「・・・わかりました。全力で聞かせてもらいますからね!!」
二人の拳は再びぶつかった。
◇◇◇
クロウ&コロナペアVSギンガ&リオペア
この二組も苛烈な打ち合いを演じていた。
3人のクロウがギンガへ一気に襲い掛かる。
ギンガは最小限の動きで、クロウ達の打撃を避け分身をすべて破壊。
そして最後のクロウが咄嗟に張ったシールドを砕き、強烈な一撃を腹部に叩き込んだ。
「ごあばっ!?」
ボガァ!とすさまじい音がする。
クロウの体がくの字に曲がり、思い切り吹き飛んだ。
普通なら今の攻撃で決まり、だがギンガは警戒を解かない。
すると、倒れていたクロウの体が消えてしまった。
(やっぱり分身。本物はどこ?)
「ゴライアス!」
考えている暇もなく、ゴライアスの拳がギンガを襲う。
コロナは器用にリオの攻撃を避けながらギンガヘと向かって行く。
「ちょっとコロナ!あたしの事無視する気!?」
「ごめんねリオ!また今度!」
ギンガは少し違和感を覚える。
クロウはどこに行った?なぜコロナは迷いなくこちらに向かってくる?
まるで何かを狙っているような。
「はっ!上ね!」
「今気づいてもおせぇ!」
ギンガが建物の下に差し掛かった時、上からクロウが転移して眼前に迫る。
コロナはクロウが待ち伏せているこのポイントに、ギンガを誘い込んでいたのだ。
『フォトンブレード』
ナイフから魔力の刃が出現し、ギンガへ迫る。
「届いた!」
コロナはそう確信した。
しかし、そうはならなかった。
「ふんっ!」
ギンガはあろうことか、魔力で形成された刃を左手で掴み。
「はぁっ!?」
そして、クロウの顎に強烈なアッパーをたたき込んだ。
またもやドグアァ!という打撃が戦場に響く。
今度こそ。
そう思ったギンガの手からクロウはまるで煙のように消えてしまった。
(上じゃない!?なら下っ!)
気づいた時には遅かった。
突如、ギンガの足元からクロウが地面を突き破ってきた。
「スパイラルブレイク!!」
クロウの魔法がギンガのがら空きになった腹部へと直撃した。
甲高い音を立て、すさまじい勢いでギンガのライフを削り取る。
しかし。一瞬で決まるはずだった勝負は、他ならぬギンガの手によって意外な方向へと向かう。
「お姉ちゃんを、舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
クロウの腕をつかみ、そのまま空中へ投げ
「ナックルバンカァァァァァ!」
「まずっ!?」
今度こそ、クロウの本体を拳で捉えた。
ボグァ!という打撃音を響かせながら、クロウは吹き飛ぶ。
「はぁ、はぁ、まだまだ・・・お姉ちゃんとして負けられないのよ」
ギンガLIFE 3000→1025 damage 1975
「いってぇ、手がビリビリしやがる・・・」
『感謝しろ。バリアを重ねていなければ終わりだったぞ』
クロウLIFE 2800→1120 damage 1680
コロナはただ茫然と見ていた。
二人とも激しい攻防の中、フルLIFEだったにもかかわらず、一撃で勝負が決するところだった。
クロウの転移、分身を駆使し、相手を崩して必殺の一撃をたたき込む。かく乱奇襲戦法。
ギンガの、相手の魔法や罠を拳で粉砕し、攻撃を搔い潜り、時には強引に拳を打ち込んで正面突破するスタイル。
どちらも戦い方こそ違えど、達人の域だろう。
「今のうち!炎龍!雷龍!」
その隙を逃さずリオがクロウに魔法を仕掛けた。
「アイズ!」
『ブレードパッケージ起動』
アイズはナイフから巨大な剣へ姿を変え、クロウはそのままリオの魔法を薙ぎ払った。
「うそぉ!?」
「現実だよ!フォトンサーキュラー!」
クロウは左手に魔法でブーメランを形成し、リオへ投げつける。
そのままフォトンサーキュラーに気を取られている間に大剣を振り下ろす。
これで一人撃墜、そう思っていたクロウ。
確かにクロウとリオの一騎打ちならばこれで決まっていたかもしれない。
「誰か忘れない!?」
瞬間、リオの目の前にギンガが滑り込む。
迫ってくる魔法をすべて弾き飛ばし、クロウの大剣を両手に纏ったシールドで受け止めた。
「邪魔すんなよギンガ!」
「するわよっ!」
大剣と拳がぶつかり合う。
激しい金属音が鳴り響き、お互いに一歩も譲らぬ攻防を繰り広げる。
しかし、武器の重さなのかジリジリとクロウが追い詰められていく。
「近接の硬さはなのはさん以上かよっ!」
「さすがに砲撃魔導士にインファイトで負けられないでしょ!」
「そうかよ!」
クロウは分身を三体放ちギンガへぶつけ距離を取る。
ギンガももちろん離されまいと分身を瞬時に三体仕留め、距離を詰める。
しかし、クロウは分身が破壊された瞬間、距離を取るのをやめ立ち止まった。
何か来る。ギンガが身構えた時。
「双竜炎舞!」
クロウは先ほどリオが使った魔法をギンガへと放つ。
「私の魔法!?」
「それでもっ!」
ギンガがその場から離れようとした際、足元から地面が隆起しはじめ、ギンガを捕える。
「捕縛魔法!?」
「しまった!コロナ!」
これは先ほどまでリオと戦っていたコロナが一瞬の隙を突き、ギンガへ放ったものだった。
「お兄さん!」
「ありがとよコロナ!」
クロウの魔法は今の一瞬でギンガの眼前へと迫っていた。
今から回避は間に合わない、直撃は避けられないだろう。
炎の龍と雷の龍が一斉にギンガへ襲い掛かる。
「だめ押しにもう一発!」
『ランチャーパッケージ起動』
アイズが大剣から巨大なビーム砲へと姿と変え、その銃口はギンガを捕える。
「くたばれギンガ!イグニッションブラスト!」
銃口からすさまじい熱量のエネルギーが放たれギンガを飲み込んでいった。
ボガァァァァン!というすさまじい音を立て、砂煙を巻き上げていた。
「よしっ!」
思わずガッツポーズをするクロウ。
かなりの手ごたえがあった。
ただでさえダメージを負っているギンガでは耐えられはしないはずだ。
「まだまだやられないわ」
しかし、ギンガは立っていた。
全魔力を防御に回し、バリアを張ってダメージをゼロに抑えたのだ。
「いっ!?」
「隙あり!」
ギンガが踏み込んだ瞬間、一気にクロウを射程距離に捕らえた。
拳が当たる。そう思った瞬間にクロウの姿が消えた。
「大丈夫クロウ!?」
「わりぃ、助かったわ」
間一髪のところでキャロがクロウを召喚魔法で自陣まで後退させた様だ。
「ギンガも一回戻って来て!」
「分かった。すぐ戻るわ」
ギンガも自陣に戻った後、試合は大きく動き出す。
お互いに撃墜者が出る中で、ようやく回復の終わったクロウとギンガは再び激突する。
「いい加減倒れろよ!」
「あなたこそっ!」
激しくぶつかり、取っ組み合う。
しかし、ギンガは腕から魔力が吸われていくのを感じた。
「なにこれっ!」
「マジックスティール。相手の魔力を奪い取る魔法あだだだだだだだだだだだ!!!」
クロウがギンガから魔力を吸うと同時にミシミシ、メキメキと嫌な音が聞こえてきた。
ギンガが腕力で彼の腕を使用不能にしようと力を込めてきたからだ。
「魔力を吸われる前にあなたの腕を折ればいいのよっ!」
『脱出しないと折られるぞ!』
「逃がさないっ!」
「あががががが!クッソふざけやがってぇぇぇ!
何とかして打開策を模索しているとき、クロウは辺りに違和感を覚えた。
なぜこんな絶好の機会になのはは狙撃を行わないのか。
ティアナはどこに消えたのか。
たどり着いた答えは一つ。
このままではギンガにLifeをじりじりと削られるだけだ。
もはやこれしかない。
「「総員退避してください!砲撃魔法で敵戦力を殲滅します!」」
なのはとティアナの通信が二人の耳に入る。
ギンガはすぐさま離れようとするが、クロウがその手を離さない。
それどころかいつの間にか分身を放ち、ギンガにしがみついてその場に縛り付ける。
「くっ!」
「あばよギンガっ!」
分身でギンガの体を押さえつけ、クロウは手を振り解きその場を後にしようとする。
これでギンガだけが砲撃の餌食だ。
「させる…もんですかぁぁぁ!」
ギンガは分身の拘束を振り解き、ギュン!と加速してクロウに迫る。
そして、彼の足を掴んで自分へと引き込んで捕まえた。
「ちょっおまっ!?」
瞬間、二人は砲撃の濁流に飲み込まれた。
砲撃が終わった後、ギンガは少し満足気に、クロウは白目を向いて気を失っていた。
面白かったら( *`ω´)でいいので感想下さいな