有江光輝(ありえ こうき)が部屋でくつろいでいるとコンコン、と扉が叩かれた。
「は〜い」
光輝は立ち上がると扉の方へと向かい扉を開けた。
「光輝、ちょっといいかしら?」
「別にいいけど...何?」
部屋を尋ねてきたのはレミリアだった。よく見ると右手にはポッキーを持っていた。
「ん?それって...」
「ポッキーというものよ」
「何でポッキーがこんな所に?」
外の世界のものであるはずのポッキーがこの場所にあることに違和感を覚えた。
「紫に突然渡されたのよ」
「あぁ...」
その名前を聞いた途端、納得した。
「なんでも、外の世界では『ポッキーゲーム』なるものを行うらしいわね」
「ポッキーゲームって、あの?」
ポッキーゲームとは、ポッキーを両端から少しづつ食べて行き、最終的には...というやつである。
「やってみたいわ」
「えっ!?」
このかりちゅまは意味を分かって言ってるのか?と思いながらも必死に動揺を隠す。
「あら、もしかして恥ずかしいの?」
レミリアはニヤニヤしながらこちらを見つめる。
「そ、そんなわけないだろ!」
「だったら出来るわよね?」
「ぐっ...」
そしてそのまま流れるようにポッキーゲームの準備が進んで行った。
「そ、それじゃあ行くわよ」
「お、おう...」
二人はポッキーを両端から咥えて、ポッキーゲームを始めた。
(顔、近っ...)
レミリアは男との近さに顔が熱くなる。
(これはヤバイかも...)
一方、男もレミリアの顔の近さにドキドキしていた。
そうしている間にも、少しづつ距離が縮まっていく。
「さっきから殆ど進んでないじゃない」
「し、仕方ないだろ...」
「ふふ、やっぱり恥ずかしいのね」
またもニヤニヤしながらこちらを見つめてくるレミリアを見て、本能で理解した。
『分からせないといけない』...と。
「えっ!?」
次の瞬間、食べ進めるスピードを急に早くした。
「ちょっ...」
レミリアが言葉を発する間もなく、気づけば目と鼻の先に光輝がいた。
このままでは唇が触れ合ってしまう...と考え、みるみるうちに顔が赤くなる。
そしてあとほんの少し...という所でレミリアが横を向いてポッキーが折れてしまった。
「やりすぎたかな...」
レミリアは顔を真っ赤にして俯いている。
「あの...レミリア?」
男が声をかけるとレミリアの体が一瞬ビクッと跳ねた。
そして顔を上げて上目遣いでこちらを見つめる。
「...ごめん、やりすぎた」
「ううん、別に気にしてないわ」
お互い気まずい空気が流れる。
「そ、それじゃあ!」
そう言うとレミリアは逃げるように部屋から出ていった。
「あの顔、可愛かったな」
光輝は先程の事を思い返し、そう呟くのだった...。