銀魂人気投票をやっていますので、坂本辰馬の魅力を本人に語らせてみました
坂本辰馬はじめ快援隊メンバーに清き一票を!!

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全七十七巻の漫画の人気投票八位は十分人気

 志村新八は万事屋へつづく階段の前で坂田銀時とばったり会う。

「おはようございます、銀さん」

「おう、新八。今、神楽を定春の散歩に行かせたとこだ。アイツ定春を世話するっていう設定忘れてたからな」

「設定って言うなよ」

「時々注意しねえと、散歩も餌やりもお母さんの仕事になっちまうんだよ、気をつけろよ新八」

「なんで僕に言うんですか。僕は神楽ちゃんのお母さんじゃないですよ」

 そんな会話を交わしながら万事屋の玄関を開け、応接間に入る。『糖分』と描かれた額縁の下にある社長の椅子、そこに黒いモジャモジャ髪の男がふんぞり返っていた。

「アハハハハハ、遅いぞ、金時!!この店はわしが――」

「金時じゃねえ」

 デカイ声で笑う坂本に銀時の蹴りが命中する。背後の窓に激しく叩きつけられながらも坂本は笑顔を絶やさない。

「最期まで話を聞け、金時」

「だったら、お前も俺の話を聞け。俺は金時じゃねえ、銀時だ」

「細かい事ば気にするな」

「頼むから気にしてくれないかな。8番出口なみに違和感を気にしくれないかな」

 頭を抱える銀時を見て坂本はまた大笑いをする。そして何気ない口調で宣言した。

「万事屋はわしが買い取ったきに」

「はアアァァァ!?」

「ちょっと、どういうことですか!?」

 銀時の新八の反応を飄々と眺めながら坂本が続ける。

「下の大家さんに一日分の家賃を払ったら貸してくれたぜよ」

「あのババア」

 銀時は歯嚙みするが、一日分だけでも肩代わりしてくれたことを考えると強くは言えない。その様子を見ながら坂本は拳銃を構えサングラスを白く光らせる。

「今日だけこの店は坂本商店ぜよ」

「うっせーよ、勝手に伝説の殺し屋にでもなってろよ」

「まあ、金時、実は本題はここからぜよ」

 坂本が声のトーンを落とし、真剣な表情になる。攘夷戦争を生き延びた猛者が放つ気配に思わず新八は唾を飲み込む。

「金時、今、世間では人気投票をやっとるのを知っちゅうがか?」

「はい、解散」

「お疲れ様です」

 銀時と新八が部屋から出ていこうとするのを坂本は必死になって呼び止める。

「ま、待てェェェ!!まだ言いたいことは終わっとらんぜよ!!」

「どうせ、人気投票の順位が低いとか言いてえんだろ。もうやったんだよその話。二番煎じなんだよ」

「金時にわかるか!!攘夷四天王の一人でありながら、人気投票の上位四天王になれんわしの気持ちが!!」

 そう言って坂本は銀時の服に縋りつく。それを煩わしそうに銀時は振りほどいた。

「うるせえ、ヅラだって上位四天王にはなってねえよ」

「それでも上位じゃ!!わしなんか最高順位9位じゃぞ!!常にオーバー新八の貴様らにアンダー新八の気持ちがわかるか!?」

「なんで僕を基準点にしたんですか」

 新八のツッコミを無視しモジャ二人の会話は続く。

「なぜわしだけ人気がないんじゃ」

「バカだからじゃねえの」

「わしゃ元ネタは坂本龍馬ぜよ。大河の主役、福山じゃ。桂小五郎や高杉晋作や坂田金時より人気があるぜよ」

「ゴリラ原作者もどうして坂本龍馬をこんなバカに変えたのかねえ」

「とにかく」

 坂本は勝手に部屋のティッシュをつかんで大きな音で鼻をかみ、勝手に万事屋のゴミ箱にティッシュを捨てる。

「今日はわしの宣伝をさせてもらう。わしの魅力1、まずはこれを見るぜよ」

 そう言って懐から坂本辰馬が表紙を飾った銀魂第五十四巻を取り出し銀時に渡す。

「これの四百七十七訓じゃ。試し読みもできるが、持ってない人は書店に行くぜよ」

「誰に向かって言ってるんですか」

 新八が呆れたようにツッコミを入れる。

「ここじゃ、ここで金時はこう言っちょるぜよ」

 坂本が指定したページを銀時が開きそれを後ろから新八が覗き込む。漫画内で銀時と陸奥が飲んでいるコマを坂本が指さす。

「『兵がいなけりゃ戦はできねェが金がなけりゃ兵は戦えねェ (オレ)たちの戦を支えてたのはあのサギ師さ』と言っちょる。つまり、金時やヅラや高杉が戦えるのはわしが武器や食料を工面しちょるからじゃ。お(まん)らが烙陽に行けたのも最後に師に会えたのもわしのお陰じゃ。わしがいなければ銀魂は途中で終わりぜよ」

「ふーん、まあ、俺の台詞だしここは認めてやってもいいぜ」

 銀時の反応に勢いを貰い、坂本はさらに喋り続ける。

「わしの魅力その2は平和主義者ということじゃ。これを見るぜよ」

 そう言って懐から坂本辰馬が表紙を飾った銀魂第四十一巻を取り出し銀時に渡す。

「『表紙を飾った』じゃねえよ、五人並んでいる中の一人だろ」

 銀時はそう言いながら四十一巻を開く。

「なんで地の文にツッコんでんですか」

 新八もそう言いながら四十一巻を覗き込む。いわゆる蓮蓬篇と呼ばれている話だ。坂本が大きな声で自慢する。

「この話で地球と蓮蓬の全面戦争になりかけちゅうところを、わしが蓮地同盟を成立させ被害を最小限に抑えたんじゃ。この話だけじゃなか。将軍喜々を味方につけたのも、お前(まん)らと高杉の仲を取り持ったのもわしの力ぜよ。剣を振るい銃を撃つばかりが戦ではなか。敵をも載せて船を進ませるのも立派な戦ぜよ」

「おお、そう聞くと重要な役割ですね」

 新八が感心しながら言うと、坂本は一息ついてから、悲し気に呟く。

「じゃが、こげな魅力も人気投票ではマイナス要素なんじゃ」

「え?どうしてですか?」

 新八の問いに坂本は言葉を絞り出す。

「これは、地味なんじゃ」

 坂本の言いたいことを理解し銀時は頷く。

「銀魂は曲がりなりにもジャンプ漫画だからな」

 銀時の言葉に坂本も頷き返す。

「そうぜよ。裏方は出番が少ない。そしてジャンプの読者というのは激しいバトルを好みがちじゃ。少ない出番でしかも戦闘を避けるキャラは人気が出んぜよ。じゃが、わしはこの問題は解決したと考えとる」

「え?どうやって?」

 新八の問いかけに坂本は手でVサインを作る。

「20年。銀魂が連載されてからそれだけの月日が経っとる。つまり、バトルを好んでた子供も裏方や平和の大切さを学んだ社会人になっとるぜよ。わしの夜明けは近いぜよ!!ガッハッハッハッ!!」

 大きな声で高笑いする坂本を新八と銀時は冷めた目で見る。

「銀さん、この人宣伝と言いながら勝利宣言してますよ」

「つーか、勝利できねえよ。ジャンプを読むとき人は皆子供に還るんだよ。読者はいくつになっても少年のままなんだよ。諦めろ」

 部屋からつまみだそうとする銀時から逃れ、坂本はソファの上に立つ。

「ならば、わしから一個だけ、皆に言わせてくれ」

 坂本から急に土佐訛りが消える。腰に両手を当て一気にまくしたてた。

「憧れるのをやめましょう。万事屋に金時がいたりとか、鬼兵隊見たら高杉がいるし、真選組に土方や沖田がいたり、銀魂を読んでれば誰しもが聞いたことがあるようなキャラたちがいると思う。人気投票だけは、やっぱり憧れてしまっては超えられないんで、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので、今日一日だけは、彼らへの憧れを捨てて、投票しましょう」

「「パクリじゃねえか!!」」

 銀時と新八のげんこつが坂本の顔面にぶつけられた。坂本がふっとび床に転がる。

 そのタイミングに合わせたかのように万事屋の玄関が開く音がした。

「銀ちゃん、ただいま。お客さんアルよ」

 神楽が定春を連れて応接室に入ってきた。

「すみません、ウチの坂本(バカ)を探して――」

 そう言いながら神楽の後ろから陸奥が姿を現す。彼女はすぐに坂本を見つけゴミを見るような目で睨みつけた。

「仕事ほっぽりだして何しちょるぜよ」

 陸奥に襟を引っ張られながら坂本は立ち上がる。

「陸奥ぅぅぅ、これは快援隊の宣伝活動ぜよ。お(まん)からもわしの魅力を伝えてほしいぜよ」

 カミソリ副官は数秒坂本の顔を睨んでから口を開く。

「生命保険の受取人を快援隊にしちょるとこ」

「アハハハハハ、陸奥は冗談が上手いぜよ……冗談だよね?」

「とにかく仕事に戻るぜよ」

 陸奥に引っ張られながら坂本は銀時を指さす。

「よう見とけ、今度の人気投票で快援隊はアレを狙う。陸奥とオババとわしで表彰台独占するぜよ」

「なんかとんでもないこと言い出したよこの人」

「できるわけねえだろ!!」

 新八と銀時のツッコミを坂本は快活に笑い飛ばす。

「ガッハッハッハッハッ、ちゅうことで陸奥、今度はおりょうちゃんの所に宣伝行っていい?」

「仕事しろ」

 陸奥が坂本を引きずりながら部屋を出ていった。が、すぐに陸奥だけが戻ってくる。銃を向けるような鋭さで新八と銀時を指さす。

「おい、白いモジャモジャとメガネ。お(まん)ら、快援隊をなめたらイカンぜよ」

 強い口調で高らかに宣言する。

「人気投票はわしとオババと超商船隊ロボカイエーンで表彰台独占ぜよ」

「坂本さんどこいったァァァァァァ!!」

 新八の叫びが応接間に響いた。




個人的には終盤まで戦闘シーンが少ないのが好き
それでいて、砂蟲や千鳥といった仲間が危険になる相手の時には戦えるところも好き
本当に平和主義で良いキャラなんですよ(同窓会での武市への発砲から目を反らしながら)

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