トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
中間管理職トネザワ~ストーカー~(アストンマーチャンのトレーナー登場)
https://syosetu.org/novel/333943/36.html
サクラチヨノオーは相撲トレーニングをするようです
https://syosetu.org/novel/333943/20.html
インターバル 休憩時間のこと。
トレーナー専用トレーニングジム。
「ハァ! ハァ! ハァ! …………」
マルゼンスキーのトレーナー(以下マルトレ)は高速で動くランニングマシンから振り落とされないように全速力で走っていた。後ろに行く身体を足を動かすことでバランスを取ろうとするマルトレだったが
「うわっ!?」
ランニングマシンの速度に耐え切れず、マルトレはバランスを崩し地面を滑るように後方へ飛ばされた。
「おいマルトレ! まだ35キロしか出てないぞ!!」
かつてアストンマーチャンを
「マルトレ、数分のインターバルの後に今度は上半身のトレーニングをするぞ! 肉体は一か所を鍛えればいいというわけじゃないからな!」
数十キロはある左右のダンベルをリズムよく上下に動かしながら、サクラチヨノオーのトレーナー(以下チヨトレ)が活を入れる。
「スゥーッ! スゥーッ! スゥーッ! …………わ、わかった!」
地面に大の字に倒れ、荒い呼吸を酸素ボンベを吸引することで整えたマルトレは空になった酸素ボンベを高々に掲げる。
(よし、俺はやるぞ……! そして必ず……マルゼンスキーを捕まえてみせるんだ!)
マルトレの脳裏にマルゼンスキーと初めてドライブをした、夕日の浮かぶ砂浜のことを思い出す。
『うふふふっ、捕まえてごらんなさーい♪』
そう言って逃げるマルゼンスキーを捕まえられなかった自分を。
相手がトップクラスのウマ娘というのはある。それでも女の子を捕まえられなかったことにマルトレの中にある男としてのプライドは傷ついた。
今度は絶対捕まえてみせる。
そう心に決めたマルトレは自転車でタクシーと並走したマートレと、偶然その場に居合わせたサクラチヨノオーをヒシアケボノを土俵外に投げ飛ばすほど鍛え上げたチヨトレに「自分をマルゼンスキーに追いつけるくらい強くしてほしい!」と土下座。当初は断っていた二人だったが、マルトレの必死の懇願に折れて一緒にトレーニングしながらという条件で指導することを約束した。
「よし! 今度は俺特製の筋肉増強&疲労回復スペシャルプロテインドリンクを飲め!」
「その後は筋肉を回復・筋肥大のためしっかりと休め! その間も食事には気をつけろよ!」
二人の的確かつ熱い指導と必死にくらいつくマルトレの根性によって、マルトレの肉体は劇的に変化。
一見すると筋トレ前と同じスマートな体型だが、全身の筋肉を「瞬発力があるが疲れやすい」白筋と、「瞬時に大きな力を発揮することはできないが持続性がある」赤筋を掛け合わせた「瞬発力と持久力を兼ね備えた」ピンク筋に作り変えることに成功した。
数日後。
マルトレはマルゼンスキーの運転で、初めて来た砂浜を訪れていた。
「ふふっ、まさかトレーナーちゃんからまた追いかけっこしたいって言われるなんて♪」
「今度は負けないぞ!」
「 ふふっ、そうこなくっちゃ! よーい──」
頬をほころばすマルゼンスキーが「ドンッ!」と言おうとした。その時だった。
「……ッ!?」
マルトレがバッ! と海の方へ振り向いた。マルゼンスキーもそれに続く。そこには
「アブッ! だ、誰か……」
「ウブッ! し、死ぬ……」
転覆し大きく破損したボードに何とかしがみつくカップルの姿があった。
「…………」
疲労で力尽きたのか、気を失った女性が海に沈んでいく。
「か、海上保安庁に!」
マルゼンスキーが携帯電話を取り出すと118番を押そうとしたが
「うおおおぉぉぉっっっ!!」
マルトレの咆哮でその指を止めた。
マルトレは多少荒れる波を無視するかのようにカップルめがけて海上を走る。
「……! よし、今すぐ陸に上がるからな!」
海に沈んだ女性をすくい上げ、二人にしっかりとしがみつくように指示すると海へ戻ろうとする波を押し返す勢いで陸へと泳いでいく。
マルゼンスキーが見守る中、マルトレは二人とともに砂浜に戻り疲労で大の字に倒れた。
カップルがお礼を言って立ち去り、立てるまで回復したマルトレが立ち上がる時にはすでに空は暗くなっていた。
「ごめん……今日は──」
「それ以上は言わないで」
謝るマルトレの言葉を膝枕をするマルゼンスキーが止めた。
「今日のトレーナーちゃんはすごくカッコよかったわ! だから……そんな情けないこと言わないで……」
そうして二人はそのまま満天の星空を見てから帰る場所に戻り、風邪をひいて数日寝込むことになった。
ちなみに2009年に100メートル世界最速記録を出したウサイン・ボルトの時速は37.58㎞。
筆先文十郎の一言。
中央トレセン学園のトレーナーよ、人間を超えるようなことをするな!