麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目) 作:がぱおら
「もうっ! いきなり鬼電するの止めてもらえま……、あの?」
「よっす、久々だねメガちゃん」
私とターカちゃんは、エリーンちゃんの仲間達の墓があった場所に来ていた。
棺桶にロッカちゃんを入れて、"高位召喚"を使った。
邪神討伐チームに、一応女神だっていたんだ。仲間との別れには呼ぶべきだろう。
「……ここって、確か……」
「流石に手入れする人がいなくなったら、こうなるよね」
既に、墓石は風化して、単なるデカい石となっていた。
エリーンちゃんもここに埋葬された。そう老ロッカちゃんが言ってたんだし、間違いあるまい。
「それで、今から土を掘り返して埋めるから、手伝って」
「はい?」
「あの、わたくしもですか!?」
スコップを三人分"転移"で呼び出して、女神とターカちゃんに手渡した。
「ターカちゃんにとっては、命の恩人だろうに。豪華な葬式する余裕なんてないんだし、墓参りも永遠にできないんだから、こういうとこでしんみりしてこうよ」
「……それも、そうかもしれませんね」
「貴女がこんな感傷的なことをするとは、とても思いませんでした」
「不老不死ライフお断りされた将来有望だった子の死だぞ!? 泣いて何が悪いって言うんだ!!」
「……いやその、何も悪くないとは思います、むしろ当然の……いや少しズレた感情ではありますが。でも全部、貴女の口から出てるのが……」
「文句言う前にキリキリ掘りなさい!」
「……はぁ。ロッカさん、お疲れ様でした。死後の安らぎと、次の生が幸福でありますように……」
「……その、女神様、なのですか? ええと、わたくしは」
「ターカさん、どうか今は、かつての仲間を悼むひとりの女としていさせてください」
「は、はい。失礼しました……」
私達三人は、ロッカちゃんやエリーンちゃんの話をしながら、穴を掘り続けた。
祈りに応えてたまに様子を見ていた女神や、晩年の活躍を見ていたターカちゃんから聞けるふたりの話は、結構やんちゃだった。
結局、冒険者としてかなり有名になったふたりは、あの村を守る「双花」という二つ名を得て、エリーンちゃんが寿命で死ぬまで元気だったらしい。
エリーンちゃんは子供時代の境遇がかなり寿命に響いたんだろうな。
流れ着いた新天地で建国を手伝い、知恵袋として最期までハーレイシャーン聖国を支えたロッカちゃん。
その人生は壮絶だった。きっと歴史に残るんだろうな。良い意味で。
国は滅んだけど、偉い立場だったんだから、他国の偉い人だってきっと顔とか人柄とか見ただろうし。
ふふふ、どうだ見たか。ロッカちゃんもエリーンちゃんも、私と同じ御伽噺の住人だ。
実質ロリババア仲間だ。二次元は永遠。
「きっと語り継がれますね」
「わたくし、本にして伝えますわ。きっとファンタジック過ぎて、信じられないでしょうから」
「ぷっ、ふ、ファンタジックって! キミらが言うかなそれ!! ははは!!」
ロッカちゃんを埋め終えた。
墓石の前で、目を瞑り手を組んで跪くターカちゃんをしばらくひとりにして、女神に聖剣を手渡す。
「もう使う人いないでしょ? 持って帰ったほういいよ」
「……そうですね。ディッツも聖剣を奉還しました。この聖剣もそうすべきでしょう」
「ふーん」
「ふーん、て……本当に興味ないんですね、ディッツに」
「どうせ死後列聖されるように働きかけたんでしょ? 私の邪魔しないなら何でもいいよ」
「可哀想なディッツ……。聖剣、貴女が持っていてもそれまでだとは思いますが……悪用はしないでしょうから」
「いいよ、私は後方で魔法を使う担当だったんだから。斧と聖剣で前衛頑張るのはふたりの仕事だよ」
「……そうですか。では、確かに受け取りました」
聖剣を手に、女神は帰った。
ま、メガちゃんは会おうと思えば無理やり会えるからなぁ。こんなもんでしょ。
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「わ、わぁ! すごい、すごいです! 空を飛んでいます!」
ターカちゃんは大はしゃぎだ。とても可愛い。
「じゃ、降りたい大陸……中陸? でもいいけど、見つかったら言ってね」
「じゃあ、あそこ! あの大陸にしましょう!」
「即決だねぇ。しっかり捕まってなァ!」
「きゃーっ!」
急降下すると、ターカちゃんが大喜びでしがみ付いてくる、可愛いね。
ジェットコースターなんて、異世界には存在しないもんね。初体験だろうさ。
老ロッカちゃんの最期の望みは、彼女を海の向こうの孤児院に放り込むこと。
それが終わったら、また畑を耕してスローライフしよう。
大陸が移動する風景を"定点カメラ"で撮影して、あの墓に埋めてやろう。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。