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コンコン・・・
深夜、ドアを控えめにノックする音が響く。椅子に座り、読書に耽っていた俺は、若干の眠気に目を擦りながらドアを開ける。すると、目の前に小学生なような背丈の少女、朝潮型駆逐艦一番艦朝潮が寝間着の姿で立っていた。
「どうした?朝潮」
「いえ・・・その・・・」
しどろもどろになる朝潮を見かねて、自室に招き入れる。
「失礼します。」
当然、朝潮はなぜこんな時間に訪ねてきたんだという疑問が沸いてくる。考えられる理由を思案しているとき、俺は自分のミスに気付いた。駆逐艦とはいえ、いくら何でも自室に招き入れるのは問題があるだろう。しかも深夜だ。仮に誰かに見つかったらどう釈明するべきだろうか。
「あっ・・・あの!司令官!」
そうこう考えていると朝潮が声を上げた。そうだ、朝潮に理由を気かねばならない。
「あの・・・朝潮と、ど・・・同衾していただけないでしょうか///?」
朝潮と、の後が小声だったためによく聞き取れなかった。もう一度彼女に言うように求める。
「もう一度・・・ですか///?わかりました・・・///司令官、朝潮と同衾していただけないでしょうか///?」
驚愕する。普段、とても真面目な朝潮が、顔を真っ赤にして俺と同衾したいなどと言っているのだ。一体全体どういうことなのか。理由を朝潮に問う。
「先程、寝ているときに悪夢を見たんです。それがとても怖くて、司令官のところに来てしまいました・・・。あの・・・ご迷惑ということは承知しています。でも、本当に怖くて・・・朝潮と同衾を・・・どうかお願いします司令官。」
涙目の朝潮からそのようなことを言われては、かなり断りづらい。しかし、恋人ではない男女が同衾など、まして朝潮は駆逐艦なのだ、倫理的にかなり不味い。だが、目の前の少女は泣いているのだ。年端もいかない少女を泣かせたままでは、大和男児の名が廃る。俺は朝潮に同衾を許可した。
「ありがとうございます、司令官!」
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朝潮は体を起こし、そう司令官に告げる。だけども朝潮に謝罪の念は無い。こうでもしなければ、司令官は朝潮との同衾を許可してくれなかっただろう。
「司令官、朝潮の嘘に簡単に騙されていて、とても可愛かったです。」
朝潮は司令官の耳元で呟く。息がかかり少しくすぐったいのか、司令官が少し呻く。
「朝潮は嘘つきの悪い子なのに、信じてくれる司令官の優しさ、朝潮、大好きです。」
司令官は優しい。無論、それは朝潮にだけではない。他の艦にもだ。そこは少し残念ではある。
「昔、朝潮が大破しているのに進撃しようとしたとき、司令官は朝潮に“君の代わりは居ない”とおっしゃってくださいました。そのとき、朝潮は司令官に恋をしました。」
自分が恋をしていることを自覚したのは、言われてからしばらくたってからだった。それまで、朝潮が司令官に向けていた感情は尊敬だった。しかし変わってしまったのだ。司令官ともっと一緒に居たいと、司令官が皆に向ける優しさを、朝潮だけに向けて欲しいと願うようになってしまった。
「朝潮は司令官の全てを愛しています。」
秘書艦になり、司令官と過ごす内に、司令官の新たな一面を見つけ、そのたびに好きになった。
「司令官、朝潮とケッコンしてください。」
普段ならば、赤面し、まともに言えないであろうことも、今なら簡単に言う事ができる。
「おやすみなさい、司令官。」
最後に、寝ている司令官にキスをする。このキスをファーストキスと呼んでいいのだろうか?いや、呼ばないでおこう。ファーストキスは、この胸に秘めている想いを打ち明け、司令官に受け入れられたときにしよう。この想いを打ち明けるのは、まだ先でいい、今はまだこれでいい。