人妻ではなく、未亡人でもありませんよ   作:お餅もっちもっち

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 遅くなって申し訳ねぇ!!

 ある種のスランプやったんです許してつかぁさい。

 本編どぞ




打ち上げ準備

 

 

 光の柱、それは普段見る事はなく、また見かけることもない現象。

 

 その光の柱が現在、三河の流体炉から天へと上り、ゆっくりと崩れてきている。

 

 それが崩れ切った時、三河の地は───。

 

 

「崩壊する……というわけですね」

 

 

 術式順転【蒼】の応用を用いて三河の地から一足早く極東武蔵の遥か上空で浮いたまま、真桜は流体炉から立ち昇る光の柱を見つめていた。

 

 

「この調子で行けばあと数分ほどで更地の出来上がり……フッ、らしくもない感傷だな。自分で招いた結果だろうに……」

 

 

 くだらないこと七割の人ではあったが、バカやる事の方が多かったが、それでも前世を含めたとしてもまともな大人であると言いきれるくらいには人情がある男だった。

 

 尊敬は難しいが、信用はできる人間だった。

 

 

「案ずる事はございませんよ、松平・元信様。後は委細お任せ下さい」

 

 

 両の手を合わせ合掌。一分ほど黙祷を捧げた後に転移地点を再設定し【蒼】を起動。自身の家に帰還した。

 さぁ、ここからは“調整”のお時間である。

 

 

 

 

 一方その頃、武蔵では三河から上がる光の柱を見た極東の住民達は「あれが花火か?」、「変な形だ」と思いを口にする。

 

 

「最近の花火はオリジナリティーが凄まじいのですね」

 

「(そんなわけ無いだろう!!)」

 

 

 それを内心で否定する一人の女、正純は三河の花火を見に来ていた。

 ちょうど近くに居たP-01sと一緒に。

 とにかく、急いで三河に行っているだろう真桜に事情を聞くために連絡を取ろうとした矢先、P-01sがその真桜本人へと連絡して──正確には連絡が来て──いた。

 

 

「……はい、はい。正純様はこちらに。ただ、少し花火が変だと仰るので、ついでに調べて頂けないかと思いまして」

 

「P-01s……? 花火が変だとは一言も言ってない気がするぞ?」

 

「いえ、こちらは問題ありません。はい、それでは正純様に替わります」

 

「えぇ……」

 

 

 それで良いのかP-01s。もうちょっとこう、なんか話すこととかないのかと思う正純だが、今は一刻を争う状況であるはず……ならば今まさに三河の地に足を運んでいるであろう友人に話を聞こうとし、どうぞとP-01sから渡された通神機を受け取り耳に当てる。

 

 

「『もし、正純です?』」

 

「Jud. 。ちょうど聞きたいことが……なんだか、騒がしくないか?」

 

 

 真桜の声と共に聞こえてくるのは金属がぶつかり合う音と叫び声。

 そして心なしか真桜が息を切らしている様にも思える声音。

 

 それを問えば、至極どうでもいいと言わんばかりに会話の中に爆弾が落とされる。

 

 

『「あー、すいません。今知らん所に転移(トバ)され、そこに居た怪異(奴ら)をブチのめしてる最中でし、てッ!!」』

 

 

 グヂャリ、生々しい音が通神機を通じて正純の耳に届く。

 その後も立て続けに耳に入れれば背筋がゾワっとする擬音の羅列が響き渡る最中、真桜が本題を持ち出した。

 

 

『「ところで今そっちどうなってます?」』

 

「それはこっちの話だ。三河で流体地脈炉が暴走してるのか知らないが、様子が変なんだ。一体何がどうなってるのか説明してくれ!」

 

『「あ? 地脈炉が暴走?……今その地脈炉どうなってますか」』

 

「えっ、いやだから、光の塔……柱かもしれんが、それが空に向かって伸びてるんだよ」

 

「正純様、申し訳ありませんが訂正させて頂きますと件の塔(または柱)は徐々にですが、崩れている様に見受けられます」

 

 

 P-01sの指摘を受け三河へと視線を向ければ、うっすらと、ゆっくりと光が浮かんでいくのが見える。

 光の欠片が、虚空へと消えていく。

 

 

『「あんのドグサレマッドサイエンティストがぁァァァァァア!!」』

 

「うわぁっ!!?」

 

「何か分かったのですか、真桜様」

 

 

 恐らく何が起こっているのかを察した友人は嗚呼もぅ!!と声を荒げ、スピーカーにするよう言われた正純はP-01sと一緒に耳を澄ませる。

 

 

『「良いですか二人とも、今から言うことを必ず守ってくださいっ」』

 

「えっ」

 

「Jud. かしこまりました」

 

「…躊躇ないな……Jud. 何をすれば良い?」

 

『「宜しい。ならばまどろっこしいのは、嫌い、ですので単刀直入に言いますがっ、三河は大爆発で消失します。早く避難なさい」』

 

「「は?」」

 

 

 言われた事が理解できず、思わず聞き返してしまったが何とか呑み込もうと待てよいま三河が消えるっつったか?

 

 

「なっ、なんでそんな話になるんだお前!?」

 

「正純様の言うとおり、それをする理由が無いと思われるのですが?」

 

『はい残念ながらあるんですそれが! そして光の柱が落ち切ったとき三河が消えますっ!!』

 

『その通り』

 

 

 ベチャッと何かが潰れる音を聞かなかったことにして、声を張り上げる正純、P-01sも首を傾げ疑問を呈すほどの暴論であった。

 そんな事をすれば聖連から睨まれる事になると誰でも分かることを事もなげに言ってのける真桜はその理由を口にした途端、なんだか腹の立つ挨拶と共に空へ通神映像が流れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通神映像には、三河の暴走を止めるために八大竜王であり三征西班牙(トレスエスパニア)所属。西国最強と「神速」ガルシア・デ・セヴァリョスの二重襲名者である立花・宗茂が行った大罪武装による砲撃を、鹿角の機転により逃れその二度目を防ぐ為に立ちはだかった東国最強の本多・忠勝と三河に続く橋の上にて、刃を交える姿が映っていた。

 

 そんな時だ。門が開き三河の大通りで通し道歌に合わせて動く山車に乗っている松平・元信がマイク片手に立っていた。

 

 

『いやぁ〜、ごめんごめん! 準備に時間がかかっちゃってね。あぁ、止めるならあと五分くらいじゃないかな。一体そこの立花くんはどうするつもりだい? 時間は有効に使っていかないとなぁ』

 

 

 こんな異常事態の最中、まさに雑談や世間話の途中といった様子で言葉を紡ぐ松平・元信本人がそこにいた。

 

 

『じゃあ改めまして……全国の皆、こんばんわぁ!!

今日、先生は地脈炉が良い感じに暴走しつつある三河に来ていまぁす!』

 

 

 身振り手振りが大袈裟に、それでも至って平然と。

 

 

「……元信公」

 

『はい、立花・宗茂くん? 何か聞きたそうだね?』

 

「Tes. 質問があります!」

 

 

 聞くが早いか、元信は左耳に手を添えて如何にも良く聞いてますよ。という姿勢で耳を澄ませる。

 対して宗茂はその態度に構わず声を張り上げる。

 

 

「一体何の為に三河を消滅させ極東を危機に陥れるのです!?」

 

『良い質問だね! だから先生は、逆に一つ問います。

 

 

 

 

────危機って、面白いよね?』

 

 

 

 

 ──は?……宗茂の今の気持ちと同じことを全世界の人類は思っただろう。

 まるで恋バナ中の乙女の如く身体をクネらせる姿は、何処ぞの総長を思い出させるが今はそんなことどうでもいい。

 全国が困惑から抜け出せぬまま、更に続ける元信公。

 

 

『先生よく言うよね、「考える事は面白い」って。じゃあさ?

すっっごく、すっごく考えないと死んじゃったり、滅びちゃったりする危機って、最大級の面白さだよね?

 だけどもっと面白いものがあるんだよ? もっともっっと!考える必要があるもの……答えてごらん? 宗茂くん』

 

「分かりません!」

 

『そうか、分からないか。それじゃあ、君は恐怖から目を背けて死ぬ人間だ』

 

 

 宗茂の答えを聞いた元信は一度目を伏せた。伏せて、開くその瞳は、冷たいものへと変わっていた。

 

 

「っ!」

 

『嫌だったら考えなさい。恐怖を克服するとはそういう事だ……じゃあ本多くんは分かるかな?』

 

 

 答えられなかった宗茂への質問を、今度は忠勝へと向ける。

 向けられた忠勝は、それはもう誇らしく片手を上げて言った。

 

 

「はぁ〜い、我は分かりませぇ〜ん!」

 

『はい、じゃあ罰として首から自動人形下げて街道に立ってね』

 

「扱い違い過ぎねぇかよ!?」

 

『はっはっは、そんな事ないさ。じゃあ最後は君に答えて貰おうかな?』

 

 

 バッと腕を振り、首に鹿角をぶら下げた忠勝の後ろに居る宗茂……の更に後ろ。二人のいる橋の向こう側を指差していた。

 

 

「「は?」」

 

「……あぁ、なるほど」

 

「いやなるほどって言われても我分かんねぇんだけど? お前分かる?」

 

「あっ、いえ。私にもさっぱり……」

 

 

 元信が指差す方には誰も居らず、鹿角だけが得心いったと頷くも残る二人は首を傾げるばかり、まさかの時間稼ぎかと疑った瞬間。

 

 

 バキッッッ!!!!

 

 

「なっ!?」

 

「……マジ?」

 

「Jud. 大マジかと思われます」

 

 

 空間に入った罅は徐々に大きく広がっていく。それを見た元信はとても嬉しそうにして告げた。

 

 

『ようやく来てくれたね、流石に時間かかってるからマズイかもとか思ったけど……最後のゲストが御到着だぁ!』

 

「な・に・が『最後のゲストが御到着だ』なんです? 今までの件全部説明してもらえるって事で良いんですかね、元信公?」

 

『おっと、怒ってるみたいだからちゃちゃっと紹介しちゃおうかな。

 極東アリアダスト教導院所属、番外特務兼副総長代理。グレーテル・真桜君デェス!!』

 

 

 言い終わると同時に、どっかの巨人が心の壁(ATフィールド)を破るような形で異空間から這い出てきたのには全世界の人々がビビった。

 

 

「Ahaaaaaaaaaaa!!!」

 

『うぅ〜ん。必要な事とはいえ、やっぱり落とし穴風にしたのが良くなかったのかな?』

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 また明日と言える日常と

 

 またいつかと別れる今日

 

 さようならは、なるべく軽くね!

 

 

 《配点》あばよ、大悪友(だいしんゆう)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「おぉ〜〜いオイオイオイ! えっなに? 一体全体アイツに何したんだよ殿!?」

 

『いやぁ、遊び心が過ぎちゃったみたいだね。ってな訳でおふざけはそのくらいにして答えておくれよ真桜君』

 

 

『………………………………え?』

 

 

 あれがおふざけ? 数秒、全世界の心は一致した。

 そして当の本人は力強い舌打ちをした後、溜め息を一つ吐いてその身体を亜空間から這い出した。

 

 

「まぁ巫山戯てはいませんが、今すぐにでもそこへ行って引っ叩いてやりたい気持ちで目一杯ですが、今回は許してやりましょう」

 

『うんありがとう。時間無いしね、さぁさ質問に答えておくれ』

 

「質問……? 嗚呼、【末世】ですね。確かそろそろだったはずですけど」

 

『うんうんうん! 大ッ正ッ解だよ!!』

 

 

 何度も頷き、天高く手を上げて叫ぶ元信の姿は、一種の狂人の様にも見えた。

 

 

『世界の滅び、それは最高のエンターテイメントだ。君達は今、末世という未来の無い卒業を前にしているんだよ。面白いよねぇ? 末世を迎えたくないのだとしたら、考えて考えて末世を覆し、その先に進まないと駄目なんだ。

 残された貴重な時間を使って考え、「大変良く出来ました」な答えを出せた子にはご褒美をあげよう!』

 

「ご褒美……嗚呼、マジで引っ叩けば良かった」

 

『全く、頭が……いや、この場合は直感かな? ともかく良すぎるのも困っちゃうな。そう、コレは末世を覆せるかもしれないモノだ』

 

「……それは」

 

 

 

 

『大罪武装だ』

 

 

 

 

 

 





 なかなか越えられない五千字の壁は未だ高く聳えております。

 すまぬ。本当はもちっと長く書こうと思ったのですが、何故かここで一度限った方が良いと思い至りましてござい。

 んなわけで、また次回も楽しみに……。

 誤字脱字、あったら教えてくだされ。
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