夢を持てない男も異世界から来るそうですよ? 作:shoshohei
だが私は謝らない(キリッ
この小説は、小説版の物語が終わった後の、あの人を殺した後に『もしタッくんが箱庭に呼び出されていたら?』という妄想から始まっています。
つまりは、パラレルワールドのタッくんというわけですね。つまり、たまに小説版から設定が乖離する時もあります。ご注意ください。
もう一つの小説が思うようにうまく行かずに、行き詰った際に思いついてしまった作品なので矛盾点が沢山あると思います。
ですのでどうかご注意ください!
ちなみにこの小説のたっくんはファイズに変身しません。そこに期待して頂いた方、誠に申し訳ありませんでした!
また、この小説は例の如く更新不定期になります。
それでは、どうかお楽しみいただけたら幸いです!!
ここで一つの、ある世界の話をしよう。
とある時代、とある国。
どこぞの島国に酷似した民主国家の水面下で起きた、人と人ならざる者の闘いがあった。確かに存在していた。
人ならざる者は、名をオルフェノクという種族だった。
人類の進化形態などと囁かれている、全身を隈無く灰色に染まった、まさしく異形と呼ぶに相応しい身なりをした生き物たちである。
彼らは人間が一度死んだときに、ごく稀に死から生還してその姿形、力を得る。
死の淵から生還し、そして生まれ変わった彼らはどういうわけか、人間を襲う。それは本能からの命令、心の中から呼びかける『声』が聞こえるのだ。
本能に従う彼らは、人間を襲い、生まれ変わり得た力によって同胞を生み出していく。襲われた人間は、オルフェノクに変わっていくのである。
だが、その力に耐えられる者はごく僅か。実質は殺人行為に等しい行為である。注がれた彼らの力に、人体が耐えられないのだから。
彼らは短命である。その超常の進化を遂げるも、人の身がそれに耐えられないが故に。
彼らは他を凌駕する生存本能の持ち主である。先行き短し命を持つが故に。
オルフェノクのその行動は陰で密やかに、国の軍事機密を握る者たちにさえ気付かれぬほどに行われていた。しかしある時、人間にその存在を感づかれるという事態が発生してしまった。
当然ながら危惧した国の軍の指揮を執る者は、自らの国の軍事力を持ってしてこれを排除しようとした。降りかかる火の粉を、自らの力で排するがために。
人間とオルフェノクの闘争。『生きたい』と願う心が生んだ醜い戦争だ。それが狼煙を上げたのだ。
しかし、どうにも世の中では異常で、例外というものは存在するものだ。
オルフェノクが多く誕生する中、一部のオルフェノクは『人間を襲う』という行為を忌避した。オルフェノクになった者の大半はその力に溺れ、人間性を喪失して人を襲うにも関わらず、彼らは人の心を失わずに『人』であろうとした。
ただただ、人間でいたいと願った。ただそれだけ。
いや、『人』でなくなることに恐怖したのだ。
陽だまりから真っ暗闇へと歩き出すことに恐怖したのだ。
人間と共存を望む者、または自分は人間だと訴えかけ、本能に抗い、オルフェノクとしてではなく人間として生きることを望んだのだ。
当然ながら、人間を劣等種として見下して、自身の種族を増やす駒にしか見ていない大半のオルフェノクはこの一部の者の思想を否定した。お前たちは人間達は違うのだと、人間達とは分かり合えぬのだと説得を持ちかけたが、やはり彼らは人として生きることをやめなかった。
その考えに至れぬ人間を襲うオルフェノクは、その者たちを『裏切り者』として襲いかかり始めた。
反抗したオルフェノク達も、その攻撃にあらがった。オルフェノク同士達の闘いが始まったのだ。
反抗したオルフェノク達は、やはり劣勢に立たされた。それも考えれば当然である。
同胞からは『裏切り者』として殺されかけ。
かつての同胞である人間からは『化け物』と罵られまた命を取られかける。
人間の中には彼らを認めて共に暮らそうとする者もいたが、ソレを認めぬ周囲に迫害され、またも殺されそうになった。
オルフェノクにも追われ、人間にも追われて彼らは苦しんで苦しんで苦しんだ。
その行動を繰り返すうちに、彼らは自身の正体を隠して生きていくようになった。
人間として生きていた家族にも、友人にも、そのほかの周囲の人々にも自身が灰色の化け物だと知られぬように細々と生きていったのである。
その者たちの中で。人間にも成り切れず、オルフェノクにも成れない者たちの中で。
本能に抗ったオルフェノクの更にごく一部、人をオルフェノクから守るオルフェノクが現れた。
罵倒され、石を投げつけられ、銃弾を撃たれ、危うく殺されかかっても。その者たちはオルフェノクの力で人を守ろうとした。
どれだけ姿形が変わろうと、どれだけ人智を超えた力を得ようとも、どれだけ傷つけられ殺されかけようとも、必死に本能に抗って人々を守ることを選んだのだ。
そして。
ここに、どこまでも人間であろうと願い、闘い続ける男がいた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
白い。
真っ白な結晶が、数多くパラパラと空から舞い落ちる。
天気予報では今日は多く雪が降ると言っていたのだから、速く帰らねばならない。
「……くそっ、今日に限ってなんであんな手強そうなのがうじゃうじゃ襲ってくんだよ」
鬱陶しそうに呟きながら彼は
かつての仲間に何も告げずに、一方的な別れを経て三カ月。
人を襲うオルフェノク、または巧を『裏切り者』と罵って襲ってくるオルフェノクの数は一方的に減らなかった。今日も今日とてどこから降って湧いて出たのか、数体ほどの手練れのオルフェノク達を、どうにかこうして灰に帰すことができた。
体全体に襲いかかる疲労感は今回は甚大な物であったのか、巧は肩で息をしながら近くのベンチに座り込む。
今回の相手は恐ろしく強かった。しかもそれが三体ときた。張り切り過ぎである。
今は有無を言わぬ灰となったオルフェノク達に少しばかり悪態を突きながら、巧は荒い呼吸を繰り返して空を見上げる。
アイツらにこんなとこ見られたら、なんて言うかな。
灰色の空を見上げながら、巧は回想に耽る。
恐らくは、かつての居場所で同じ同居人をしていた少女はきっと、鼻を鳴らして『結局人助けしてんじゃん。普段からそれぐらい素直ならいいのにね』とかなんとか言うのだろう。
その家の主である同じく同居人の男は、『タッくんはやっぱりタッくんだね!』などと言って嬉しそうに笑うのだろうか。
最近顔を見るようになった赤ん坊はどうしているだろうか。いきなり転がり込んできた『ちゅうか』が口癖のアイツは相変わらず鬱陶しいのだろうか。プレゼントとして贈られたギターはまだあるのかなどと、思い出したら切りがない。まるで間欠泉のように溢れだしてくる。
バカ。なんでこんな未練たらたらになってんだ。しっかりしろよ。
一たび思い出せば仲間の顔が溢れだしてくる自身に、巧は舌打ちがしたくなった。こんな身持ちではどうしてあの家を飛び出してきたのかが分からない。
決めたじゃないか。『アイツ』が何時か話していた、人間とオルフェノクとの共存を果たす。その『夢』を背負うと。
誓ったじゃないか。この手で命を奪った『アイツ』の分の罪まで、必ず最後まで背負って生きていくと。
揺らぎ始めた自身の意志に、巧はここまで来た理由を思い出して芯を通す。
その時に。
パラパラと雪が、鈍い灰色の空から落ちてくる。さきほど巧が屠った相手の体の色、そしてその敵の亡骸となった有無を言わぬ灰と同じ色だった。
オルフェノクは死んだら灰になる。それはオルフェノクに殺された人間も同じである。
彼らがその生命を終えるときには、体中から青白い炎を噴き出して灰へと還るのだ。
その死に方も、彼らが人間から進化したという証なのかもしれない。
パラパラと結晶を降らせ続ける雲を見ながら、巧はこう想った。
これは俺に対する当てつけかよ、クソッタレ。
思わず、この世界にいるのかどうかも分からない神様に対して内心毒を吐いた。
まあ神様がいたのならば、こんなひどい運命なんぞは作らなかったかもしれない。
人間同士が殺し合う世界などに、もしも神様がいたのならば作らなかったかもしれない。
思わず神様に対して内心山のような愚痴を零す。何時死ぬか分からないのだ。ならば今の内に沢山愚痴をこぼしていたって罰は当たるまい。
ふと、何か空から降ってくる物を感じた。
巧が再び空を見上げると、ヒラヒラと雪と共に舞い落ちる封書に視線が移った。
「…………?」
奇怪な展開に思わず眉を顰めてしまう巧。そこで彼はその手紙に疑心暗鬼な視線を向けながら、自身の元に舞い落ちてくる手紙を恐る恐る掴み取る。
絶賛命の危機である彼にとってはこの手紙にかまっている暇はないのだが、ご丁寧に自分の元に堕ちてきてくれた封書が少しばかり気になるのも事実だ。
巧は手に取った封書を裏返したり、もとに戻していたりを繰り返すと、封書の裏に記された『乾巧殿』という自分の名前が記された場所に目が止まった。
それを数秒ほど悩み、疑ってます感が五割増しした瞳で巧は睨みつけた。
怪しい。どう考えたって怪しすぎる。
こんな雪空から封書が降ってきたこともそうだし、まず巧宛の手紙が偶然降ってくるなんてこともまず怪しい。というかそもそもの話、誰がこんな無愛想な塊のような男に手紙を出すのだろうか。
かつて一方的に別れを告げた仲間だって、自身の居場所を知らないはずだ。
しかし敵からの手紙だったとしても、なぜわざわざ封書を送りつけてくるのか分からない。
あまりよくないと言えるお頭で思考の渦に嵌り始めた巧は、とりあえず手紙を開いてみることにした。
敵からの宣戦布告、という可能性は低いがそれならば別に構わない。
かつての旧友からの手紙であるならばまたソレもよし、ただ届けられるはずだったそれをありがたく頂戴するだけだ。
何か拾ったものを意地汚く読むような気持ちで後ろめたさはあるが、どうせこれは自身に宛てられた手紙である。誰も文句は言うまい。言うこともできまい。
彼は手紙の封を切り、中の内容を目で追う。
そこにはこう書かれていた。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その
とまあ、何とも胡散臭い手口にお似合いな胡散臭さ一〇〇%な内容だった。
「…………」
巧はそれらの文面を読み終えると、疑心暗鬼にでもなったかのような目つきでそれを見つめた後に、ため息を一つ。
よかった。どっかの頭が可笑しなオカルト教団に属しているような奴からの手紙で。
あと誰が少年だ、もうガキじゃねえっての。いや、まだ十八だけどさ。
まさしく安堵の息を突いた巧は、用済みとなった手紙を捨ててさっさとずらかろうとする。
巧はゴミでも捨てるかのように(実際あの手紙は巧にとってはただの紙くずである)軽い手つきで封書を投げ捨てる。
その直後。
目を瞑りたくなる様な閃光が辺り一帯を照らす。
思わずその閃光のせいで、顔を腕で覆ってしまう巧。
それが失敗だったと気付いた時には、もはや手遅れだった。
雪が積もる今日この頃。
現時刻を持ってして。
人類の進化形態、オルフェノクが跋扈するこの世界から。
同胞から『裏切り者』と罵られ、命を狙われ続け、人間を守り続ける
完全にこの世界から姿を消した。
人間よりも凄まじく限られた命を持った彼が赴くのは、全く異なる異世界である。
はい、初っ端から分かった方もいると想いますが、この小説のタッくんは自身が殺してしまった木場さんの『オルフェノクと人間の共存』の夢を背負ったことになっております。
彼を殺した罪と一緒に、その夢も背負って今現在真理とかに別れを告げて旅をしている最中に、こうして呼び出されてしまったわけですね!!
さて、綺麗にまとめられたかどうか凄く不安ですが、楽しんでいただけたでしょうか……?(ガクブルッ
またここから設定が追加されたりするので、ご愛読いただけたら幸いです!
ご感想なども頂けたらなお嬉しい!! なんちゃって!!
それでは、ここで終わらせてもらいます。
今回は第0章とも言うべき場所が終わったので、ファイズの次回予告みたいにやっちゃおうかな?
Open your eyes,for the next φ's