夢を持てない男も異世界から来るそうですよ?   作:shoshohei

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 遅れに遅れて申し訳ありませんでしたあああああああああああああああああ!!!
 いやはや、ちょっと次話に戸惑ってたのとそれと設定に矛盾を発見してそれをどうにか改善していてですね……まあこんなに遅れてしまったわけです。
 そんなこんなですいません! 亀更新ではありますが、色々とやっていきたいと思っております!

 ……しかし久しぶりの更新且つ難産な話でしたので、ところどころおかしい点や納得がいかない点が多々あると思います。そういう時は遠慮なく叩いてやってください!(おい


渦巻く疑念は灰色で

 時刻は日が沈みかけてきたといったところ。

 夕暮れ時の噴水広場のペリペッド通りに、今さっき逆廻十六夜を〝世界の果て〟から連れ戻して、ジン達と合流を果たした黒ウサギの絶叫が響く。

 

 

「な、なんであの短時間で〝フォレス・ガロ〟のリーダーと接触して喧嘩を売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリーで戦うなんて!」「準備の時間もお金もありません!」「聞いてるのですか三人とも!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省してます」」」

 

「やかましいのです!!」

 

 

 お前らなんで息ぴったりなんだよ。打ち合わせでもしたのか。

 

 

 すがすがしいほどの言い分を述べる容疑者三人――内一人はとばっちりと言えなくもないが――に対して、乾巧は内心一人ごちる。古今の犯罪者達でもここまで開き直りはしないだろう。

 

 ガルドとの一悶着を終えたその後、久遠飛鳥が啖呵を切って取り付けたギフトゲーム。

 そのことを勝手に勧められたのが黒ウサギの腹に据えたらしく、こうして彼女が説法を説いているわけである。

 

「巧さん! なんで止めてくれなかったんですか!?」

 

 怒り冷めやらぬと鼻息を荒げる黒ウサギの怒りが巧に飛び火する。

 彼は面倒くさそうに、

 

「コイツらが勝手にやったんだよ、俺は関係ないね」

 

「あら? 随分と姑息ね、一人だけ言い逃れようなんて。貴方だってあの外道が気に食わないって言ってたじゃない」

 

「それとこれとは別だっての。俺はあの紳士ぶってる虎が気に食わなかっただけで、何もお前らと仲良くそのギフトゲーム? ってのをやるつもりなんて無かったんだ」

 

 話してはいないし、話すつもりはないが、今ここで面倒事に巻き込まれるのは巧としてはハッキリ言ってごめんである。元来のめんどくさがりが顔を出したせいもあるが、黒ウサギの話によれば直接的に武力を競い合うゲームもあるという話だ。そんなものにかまけている暇も命もない。

 ただでさえ寿命以外での危険要素がぐーんと増えたところにこさせられたのだから、少しでも生存率は上げておきたいところだ。

 

 

 ――――それに、一番の厄介事も残ってるしな。

 

 

「……では、貴方はあの虎が何をしようが、目の前で人を喰い殺そうがどうでもいいって言いたいのね? それで他の人たちが傷つく結果になったとしても?」

 

「……別に、そういうことを言ってるわけじゃねぇよ」

 

 ただ、と巧は親指で後ろの黒ウサギとジンを指差し、

 

「俺はこいつらのとこが信用ならねぇから、勝手に俺をその〝ノーネーム〟って枠に入れるなって言ってんだ」

 

 ジンと黒ウサギに衝撃が走る。

 まるで雷にでも撃たれたかのような、瞳孔を大きく開いて巧に視線を向ける。その本人は、鋭い威圧を乗せた視線で睨み返す。

 彼の態度で二人は悟る。なぜ彼が自分たちと同所属扱いされるのを嫌うのかを。とげとげしい雰囲気を隠しもせずに噴出させているのかを。

 故に内心の苦悶が表出する。歪めた顔を必死に押さえつけ、黒ウサギは向き合う。

 

「……コミュニティのことを、黙っていたことに関しては深くお詫び申し上げます。申し開きをすることもできません」

 

「だろうな。まぁ『入る』って言っちまった手前だから仕方がねぇし、別に騙されることはどうでもいい。慣れてるからな。ただ俺はコイツらのコミュニティって組織が崖っぷちなんて話は聞いてない。そういうのは事前に話してもらうモンじゃねぇのか?」

 

「それは……」

 

「それに本当はお前、元の世界に帰る方法を知ってるんじゃないのか? 人出が足りないから嘘くらい突くよな。俺としてはこんな世界に長居するつもりなんてねぇし、帰れる方法を探すのに崩壊寸前の組織なんてまっぴらごめんだ。ハッキリ言って迷惑なんだよ。入るにしたって、協力するなんて俺は嫌だね」

 

 

 吐き捨てるような物言いの巧。ただただ図星を突かれるがままの黒ウサギ。隣のジンもぐうの音も出ない様子だった。

 それに引っかかるものがあったのか、はたまた自責の念が表情に表れるまでになった二人を見ていられなくなったのか、久遠飛鳥が口と目を吊り上げて意義を唱えた。

 

「ちょっと! さっきも言ったけど、何もそんな言い方をしなくてもいいんじゃないの? 確かに隠していたことは悪いことだと想うけど、彼らだって何も良心がなくてしたことじゃない。それなりの事情ってものがあったのだし、そういうところも考えるということもできないわけ!?」

 

「うっせぇな! ンなことは最初っから分かってんだよ! それにしたって俺からしてみればこのままハイそうですかって入るわけにはいかねぇって言ってんだ!!」

 

 

 語気を荒げて言葉が飛び交う。お互い、さきほどのやり取りもあってかどうやらフラストレーションが溜まりにたまっていたご様子で。段々と目が据わり、身に纏う雰囲気が硬質且つ鋭利になっていく。

 

 そろそろ止めなくてはまずいことになりそうです……!

 

 黒ウサギの背筋に嫌な汗が流れる。追求されている立場なので聞く耳を持ってくれるか分からないが、この場で色々始めてもらっては困る。しかし状況は、彼女の不安の斜め上を滑空していった。

 

「だとしても! もうちょっと柔らかく断るとか、そういう言い方ができないのかしら!?」

 

「一々うるさいんだよお前! 大体なんだよ、俺がどう断ろうがお前には関係ねぇだろうが!」

 

「な、なんですって……! 人がせっかく――――」

 

「頼んでねぇっての! このお節介女! バカ女!」

 

「なっ―――」

 

 

 あ、あれ? 段々話の軌道が逸れてきてませんか?

 

 さきほどの鋭いナイフのような雰囲気から一転、なぜかそろそろ止めなければ酷くバカらしいことが起こりそうな予感を俗に言う第六感で感じ取る黒ウサギ。

 彼女のウサ耳が不安げに揺れ、周囲がどうにも展開を掴めかねているところに、事は起こった。

 

「バカ! アホ!」

 

「あ、貴方ねぇ……! 子供じゃ―――」

 

 あるまいし、と飛鳥が続けることは阻まれた。巧はニの句も許さぬ猛威を舌戦で振るう。

 

「バカバカバーカ!」

 

 その幼稚な罵詈雑言の羅列に飛鳥は絶句し、頬を紅潮させた。彼女が生きてきた中でここまで言われたのは初めてである。しかも巧の悪口は留まるところを知らず、更に彼女の自制心を削り取るワードが繰り出されることとなった。

 

 曰く、宇宙よりも高くつまらないプライドを持った女だ。

 曰く、一々口うるさい小姑みたいな女だ。

 曰く、絶対に結婚できたとしてもすぐに離婚する性質だ。

 曰く、小さな親切大きなお世話を体現したような女だ。

 

 そして極めつけに乾巧は爆弾をぶち込んだ。

 

「ブス!」

 

 ブチリ、と。

 今の今まで生まれながらに教育されたお嬢様気質でどうにか堪えていたものの、どうやら生涯ここまで虚仮にされた人生は初めてらしく、とうとう久遠飛鳥の理性は決壊を迎えてしまった。

 彼女は少しとは言え自信を持っていた容姿に泥を塗られ、屈辱に顔を熟れた林檎のように真っ赤に染め上げると、口をへの字に結んで反撃を開始した。

 女の子に『ブス』なる単語は禁句というのを、デリカシー皆無な巧が知る由もない。

 

 

「言ってくれるじゃない……! この仏頂面! 不良男!」

 

「高慢女! メス猫! バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバーカ!」

 

「こっ、この……! バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ!」

 

「バカバカバカバカバカバカバカバカヴァァァァアアアアカッッッ!!!!」

 

「バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカァアアアアアアアアアアアッッ!!!!」

 

 もはや目も当てられない光景だった。

 他の〝ノーネーム〟一行は――あの逆廻十六夜でさえ――呆れて物も言えない罵声が噴水広場に響く。

 バカをバカにするバカという、もはや最近の小学生や幼稚園児でも使わないであろう古すぎる舌戦を数分にも及ぶまで繰り広げた後、ようやく〝ノーネーム〟で随一の常識人である黒ウサギの意識が帰還する。

 

「ちょ、ちょっとお待ちをお二人様! 不毛な言い争いはやめてくださいっ! 何より恥ずかしいですからっ!」

 

 対してまだまだ言い足らないのか、猫舌男の舌の矛先はウサ耳少女に向けられた。

 

「バカウサギ!」

 

「誰がバカですか誰がっ! バカって言ったらですね、バカって言ったほうがバカなんですよこのお馬鹿様ぁっ!」

 

 止めに入ったんじゃねぇのかよ、黒ウサギ。

 

 この時。

 珍しく、彼にしては非常に珍しく。逆廻十六夜の心の中で『ツッコミ』なるものを実感した瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■ 

 

 

 

 

 結局のところ、二人の言い合いに黒ウサギも混ざることになって喧嘩は悪化の一途を辿ることとなった。数時間を要する長い長い凄まじい闘い(笑)は、体力の大幅な消耗により理性を取り戻した黒ウサギによって中断されることとなり、事なきを得たので一件落着……とまではいかないものの、取りあえず非生産的な争いは避けることに成功した。

 

「……し、信じられない。女の子に、あそこまで、言うなんて……」

 

「本当、です……巧さんは、もう少し、女の子の気持ちをですね……ハァ……」

 

「うる、せえ…………」

 

 肩を大きく上下しながらもまだ悪態をつきあう一人の男と二人の少女。傍らで今までの惨状を目にしてきた一行はもう介入することを諦めたのか、傍観を決め込んで口も手も出さずにいた。

 しかしそこはやはりこれ以上は不毛と感じたのか、黒ウサギが大きく深呼吸をして息を整え、話の軌道を本題へと移す。

 

「……ええっと。大分話が逸れてしまいましたが」

 

「お前のせいだろ」

 

「貴方のせいよ」

 

「大分話が逸れてしまいましたがっ!!!」

 

 未だ止まらぬ二人を語気を強めて諌めると、今度こそ本当に黒ウサギが話を修正する。

 彼女は咳払いを一つして、

 

「……つまり巧さんは、私たちがコミュニティの惨状を黙っていたことがお気に召さず、そんなところには入りたくない。そう仰っているわけですね」

 

「……まあ、間違っちゃいねえよ」

 

「そしてそんなところには居たくない。協力なんてもってのほかだ……と」

 

「正確に言うとだな。別に黙ってたことはどうでもいいって言っただろ。そうじゃなくて、そんなところに入って帰る方法が見つかるのかって話だ。更に言えば、お前達が本当なら帰る方法は知ってるってこともあるかもしれないって思ってる。だって、それを教えたら俺が真っ先に帰っちまうかもしれないから」

 

 黒ウサギの表情が再び歪む。巧が視線を回すと、ジンも同じような表情を作っていた。

 そのことが巧の中で確信を生む。疑問がなくなり、それが確定するに足る証拠となる。

 

「で、だ。率直に言えば俺はアンタらが信じられない。さっきの約束だって破られる可能性だってあるかもしれねえからな」

 

 つまりは〝ノーネーム〟は信用するに値しない。背中を預けられない組織に協力するなんてことはできないから、自分勝手に動くと考えているのだ。それ以上は何もしない。求められても、決して動くことはしない。そう巧は考えていた。もしもここで帰る方法云々を教えてくれなければ、一言も言わずに立ち去ろうと巧は決めていた。

 

 先ほどよりも言動には出ていないが、嫌悪感を露わにした巧の雰囲気を感じ取った黒ウサギ達は息を飲む。そして押し黙る。彼がここまで拒絶しているのならば無理強いはできない。彼らはあくまで勧誘している側であって命令する権利はどこにもない。だから巧が『抜けます』とでも言えば『はいどうぞ』の二言で了承しなければならない。

 

「……どうしたよ、なんかねえのか。ねえんだったら――――」

 

「まあ待てよ」

 

 巧の言葉を遮る声が一つ。邪魔されたと感じた巧は、不満を乗せた瞳をその主へと向ける。

 その視線の先にいる逆廻十六夜は、ニヤニヤと軽薄な、掴みどころのない笑みを浮かべていた。

 

「……なんだよ」

 

「いや、別に。ただ俺はお前が何をしようとしているのか。なんで帰りたいのかも知らねえが、もしお前がここで抜けたり、もしくは抜けないまでも協力をしないってことになったらそれは結構デメリットになるんじゃねえか? ってことを言いたいのさ」

 

「……あ?」

 

 怪訝な表情を作る巧。十六夜の言う『デメリット』が、巧自身に対してか〝ノーネーム〟に対してか。それを図りかねたからだ。

 

「まずお前が抜けるとしよう。だが今からコミュニティを探して入れるとは限らない。ましてやこの近辺はお前が気にくわない〝フォレス・ガロ〟の傘下がほとんどだ」

 

「だから、別に抜けるなんて言ってねえじゃ――――」

 

「まあ聞けよ。まだ続きがあるんだ。それで次にお前が〝ノーネーム〟に入ることとなった。だがお前は信用ならない組織には協力したくない。つまりはほとんど一人で動きたいってことで良いのか?」

 

「……まあ、一応な」

 

 巧が納得がいかなそうに頷く。十六夜がその軽薄な笑みを更に深くした。

 

「さて、じゃあここで問題です。もし〝ノーネーム〟が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、一体お前はどうするでしょうか?」

 

 ピタリと。

 乾巧の動きが、僅かの間完全に停止した。十六夜の言葉に明確な反応を示すことができなかった。思考が停止したからだ。

 一秒か数十秒か、そのどちらかとも言える短い間に訪れた沈黙。その後に我に返った巧が、口を開く。

 

「……どういう、意味だ」

 

「分かんねえか? つまりは黒ウサギ達はこう考えていたわけだ。『コミュニティの状況を黙っていたお詫びに、巧さんを逸早く元の世界へと帰れるように努力しよう』ってな。……だよな黒ウサギ?」

 

「はっ、はい」

 

「それに俺達はコミュニティを再建するっていう目的がある。つまりはそこらかしこのギフトゲームだけじゃなくて色々と飛び回んなくちゃいけない可能性も十分あるって言う話だ。しかも昔はここらへんで有名だったって話じゃねえか。もしかしたらそういうツテとかも使えば案外速く帰れるかもよ? 加えて安心しろ。情報とかだったら俺が集めてやる。神様を普通にブッ飛ばせるこの俺がな」

 

 

 黒ウサギは目を大きく見開き彼を見る。だが十六夜は振り向きもしなかった。

 確かに黒ウサギは似たような考えを持って、どうしようかと思案はしていたのだが、十六夜のようにコミュニティ総出をもってして乾巧を支援するなどという案は考えもつかなかった。

 ハッキリ言うと、帰る方法は知っているがそれを行うだけの力は彼女にはない。この世界から別の世界へと行くためには、もっと別の強大な力が必要なのだ。

 

 だが十六夜はそれらを今の会話と黒ウサギの人となりから見抜き、更に彼女たちにとって限りなく良い方向へと向かうように発展させて見せた。何とも柔軟且つ回転の速い思考で、鋭い洞察眼である。

 十六夜はそれを悟らせまいとしているのか、黒ウサギ達には目も向けない。ただ巧に視線を注いでいる。彼の視線を浴びる仏頂面の巧は、目の前の少年を睨みつけながら吟味する。

 

 確かに黒ウサギ達が帰る方法を知っていないという線も捨てきれない。だからこそ、そうやって必死になって探すことを考えているのかもしれないこともまた然り。ならばこの男が言うことも一理あるだろう。

 

 なんか掌で転がされてるみたいで気に食わねえが。

 

「……本当なのか」

 

「ああ。ま、意訳は入ってるが概ねそんなところだ。少なくとも、この〝箱庭の貴族〟様は献身的だっていう童話が入ったお墨付きだしな。それでも信用できないってんならどことなりとでも行けばいいさ。ただ俺はこんな選択肢があるぜって言ってるだけだ。まあ神様をブッ飛ばしたってのは本当だし、〝箱庭の貴族〟がいれば色々と情報網とかにも余念がないっていうには事実だが」

 

 まあ、お前がどんな奴かも興味があるってのもあるしな。

 

 そこだけはおくびにも出さない。心の奥底にしまいこむ。

 未だ笑みを崩さない、彼からすれば真意が読めず気色の悪い笑みを浮かべる十六夜と、その周囲でビクビクとしたものを感じさせる少女と少年を交互に見る。

 

 十六夜が言う神様をブッ飛ばしたというのはなんとなく胡散臭い気もするが、実際危険な場所へと行ってケロッとして帰ってくるあたり相当な実力の持ち主とみていいのかもしれない。

 黒ウサギがさっき言っていた〝箱庭の貴族〟というのもまあ確かに有効そうだ。実際、あの虎の似非紳士が勧誘していたわけだから。

 

 それらのことを深く考えている巧。情報を頭の中で並べ立て、もう一度整理したうえで。

 

 

 

 

「…………………………………………………ハア」

 

 深々とため息をつく。

 呆れたような、疲れたような表情で後頭部を掻きながら、

 

「分かったよ。入る、入ればいいんだろ」

 

 投げやりな返事。やけくそと言ってもいい。

 だがその返事は、場の空気を変えるのに十分すぎる効力を持っていた。頑固で意地っ張りな猫舌男の明確な『YES』の返事を聞いた黒ウサギ達は、今までどんよりとした曇天雲のような表情から一気に晴れ晴れ晴天のような明るさを持った笑顔に早変わりする。

 

「い、いいんですか!?」

 

「……ただし、少しでも怪しいとか思ったら即刻抜けるからな」

 

「YES! その点については大丈夫なのですよ! 私たちのコミュニティには子供しかいませんから! そういった陰謀とは無縁なのです!」

 

 なんだそりゃ。本当に大丈夫なのか。

 

 十人が見れば十人が見惚れるであろう笑顔で告げられた衝撃の事実に、速くも嫌な予感しかしない巧である。

 喜びを分かち合う黒ウサギとジン。それらを半信半疑の感情で眺める巧とは真逆に、十六夜を除く他の異邦人たる少女達はホッと息を吐いた。

 

「……一時はどうなることかと思ったわ。私、ああいう空気は苦手なのよね」

 

「本当、貴方は色々と疑いすぎ。事情があるのは分かるけど、そんなんじゃ身が持たないと思う」

 

「うるせえよ」

 

「ヤハハハッ! 素直じゃねえなぁオイ。この俺が付いてんだ。もっと喜べよ」

 

「何様だよ」

 

「十六夜様だぜ。以後よろしくな乾くん」

 

 自身のペースを乱さない十六夜。全くもって底が見えない問題児に巧は舌打ちする。なんとなく、嫌な奴だと思ったのだ。

 

 速くも異世界の住人達と一悶着を起こした乾巧は、大天幕に覆われた空を仰ぎ見ながら思う。

 

 

 

 

 

 

 

 …………こんなんで帰れんのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 十六夜君があの策を提示したわけですが、まあ彼は箱庭へと導いてくれた恩義と巧が面白そうと思ったからこうしただけです。ええ、ただそれだけです。
 ちなみになんとなく黒ウサギ達が叩かれてる雰囲気があるようなないような……彼ら彼女らはいい子ですよ? ええ、本当に。原作を買えば分かりますが、本当に黒ウサギとかジン君はいい子なのですよ本当。ちなみに十六夜君や飛鳥ちゃんや耀ちゃんも。あ、今回耀ちゃんほとんど出番ねえマジでやっべえ……。

 まあ実際十六夜君ならば色々とツテとかなんとか無理やりにでも作ってくれちゃいそうですし、彼って頭がいいからこういう案が浮かんできたわけです、ほんと十六夜君アンタ良い子やで…………。

 さて、こっからやっとこそ物語を動かせる! 次回はあの白髪ロリの登場じゃあ!!
 ……思うけどたっくん良い子だけど動かしづれぇ………
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