高くなった冬の空には夕焼けがよく映える。雲も少なく、少し寂しげな空。河川敷から見えるこの光景も寂しくなった。
芝生に座り込み、横にあるカバンから袋を取り出す。中身は最近話題のコンビニスイーツ。値段が張っているから買うを躊躇ったけど、結局買ったやつ。
ピンク色のクリームが甘い。少し柔らかめのスポンジ生地が丁度いい。半分も食べれば飽きる味だが、分け合う相手もいない。寒風に吹き晒されながら残りの半分になったソレを全部食べる。
それだけでは空腹も満たされず、駅近くのラーメン屋に向かった。ネットの記事にも掲載されるほど有名な豚骨醤油ラーメンが名物な店。1人と言うこともあり、普段より早く席に着く。いつも通りの名物を大盛りにして、餃子と味たまも追加。
目の前に運ばれてきた器には少し濁った茶褐色のスープに麺ともやし。少し伸びた髪をヘアゴムで纏めて食べ始める。スイーツとは真逆で濃いめの味でしょっぱい。1人分にしては少し多めなソレを空いた胃袋に放り込んでいく。
外はラーメンの熱と新陳代謝で火照る身体にちょうどいい冷たさ。首元を少し仰ぎ、弱々しい風を当てる。体内の酸素循環がしやすくなった。
家への道を歩いていくと、ふと雑貨屋の看板が目に入った。用もなく足を運ぶと鼻の奥をくすぐる独特な香り。ここは入浴剤を多く取り扱っているようだった。
財布に余裕はある。手頃で、少し珍しめのやつを探す。手に取ったのはスノードロップが使われている入浴剤。悩むことなく、ソレをレジに持っていく。
荷物が増えたカバンを背負い直し、今度こそ帰路に。
頼りになるのは街頭の光と月明かりだけの暗い路地裏。家への近道を歩いていく。時折野良猫が塀の上から珍しそうに覗き込んでくる。少し手を伸ばせば届く距離。ゆっくりと手を伸ばして、顎に手を添える。可愛らしく頭を擦り付け、満足したのか踵を返して塀の裏へと飛び降りていった。
路地裏を抜けてと言うのにやけに喉が渇く。方向は同じく、車道を挟んだ向こうのコンビニに向かう。
店内に入ると時間もあって人は少ない。そのまま一直線にガラスケースに行くが、お気に入りの珈琲はちょうど売り切れ。店員に聞く勇気もない。諦めてアイスでも、と思ったらパン売り場に目が止まった。いつもの学校帰りに食べていたメロンパン。年柄にもなく懐かしくなって、ソレをレジに出す。ついでにレジ横のインスタントコーヒーのラージサイズ、ブラックをひとつ。
カバンとは別にビニール袋ひとつを携えて玄関をくぐる。部屋に向かい、荷物と一緒に体をベットに投げ出す。スーツを着たまま、シワになるなんて知らない。
顔を傾ければいつの日か撮った、まだメッシュを入れていた時の写真。溜息と後悔を噛み締めながら、横になったまま珈琲とメロンパンを口にする。
ソレは甘くて苦くて、懐かしい味だった。