彼女と違う高校に進学した。   作:姉小路

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彼氏、気になる

俺の名前は鵜戸大生、栃木でバレーボールに熱中する男子高校生だ。小さい頃に日本代表の選手に憧れてバレーを始めてから一途に続けて来た。そんな俺に今回ユース合宿の案内が送られてきた。

先生から伝えられたとき今までの努力が認められた気がして嬉しくこの合宿を今か今かと首を長くして待っていた。

満を持して合宿が始まると期待通り普段の部活では経験できない高いレベルでの練習がとても心地が良い。

だが一つ納得できないことがある。

 

「大丈夫?変な髪形のやつに声かけられたりしてない?」

 

今も周りが自主練する中でただ一人電話をする男、岩代義衡の存在である。別に電話している事に怒っているわけではなく彼の練習態度が気に食わないのだ。

常にヘラヘラとした態度を取り見るからに手を抜きながら練習をこなしている。またあの牛島さんに話しかけられてもあまり話さずすぐに何処かへ逃げている。俺なら聞きたいことが沢山あるのに⋯

とまぁこんな文句を言っているがコーチ達はちゃんと見てくれているので練習試合などで彼が出ているところは見たことが無い。

そう思っていた矢先に自分の入っていた練習試合に途中から入ってきた。

 

「岩代行って来い」

 

「了解です」

 

コーチに言われ渋々といった顔でリベロと交代で入ってくる。状況的には試合の中盤で相手チームは2点差で負けている状態なのでピンチサーバーを想定した投入なのだろう。

トントンと床にボールをバウンドさせながらこちらのコートを見据えてくる。絶対取る、そう自分に言い聞かせレシーブの体勢をとる。

 

ピー

 

笛が鳴ると同時に岩代義衡も動き出しボールを高く上げ飛ぶ。来る!!そう思った時には既に顔前までボールは迫っていた。

俺は危うくボールが顔に直撃する前に手に当てたが弾いたボールはそのままボールはコートの外へ落ちてしまった。

 

「切り替え切り替え!!」

 

「ナイストライ」

 

「次は取れるぞ」

 

そんな言葉をかけられたので考え事を辞めてすぐさま思考を切り替えて二回目のサーブに備える。アイツのサーブの速さは体感したから次こそは行ける。そう思い再びレシーブの姿勢を取る。

奴の打った二回目のサーブは俺の方ではなく右隣にいたリベロに飛んでいく。流石のリベロが上手いことあげたボールをセッターがトスをあげ佐久早さんが打つ。

 

「ワンチッ」

 

「戻れ戻れ!!」

 

スパイクはブロックに当たってコートの外へ外れたが相手の選手が繋いでゲームが継続する。

相手のセッターがすぐさま落下地点に入り数ある選択肢の中からトスを上げる。

速い攻撃もあった中選んだのはオープントス、岩代義衡へのトスだ。山なりに上がったボールにタイミングを合わせて彼が飛ぶ。

 

「ブロック3枚!」

 

放たれたスパイクは真ん中のブロックの手に当たり凄まじい音を立てながらボールは後ろへ吹き飛ぶ。吹き飛んだボールはそのままブロックアウト警戒をしていた選手の上を越えていきそのまま地面に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この合宿も佳境に差し掛かった今日、初めて練習試合に参加することとなった。参加してみてレベルが高いなとは思ったが俺でもついていけるレベルだったので意外にもそんな高くは無いのかもしれない。

結局途中からだったので参考にはならないが17得点で試合を終えた。牛島さんに比べたらまだまだだが大活躍と言って良いと思う。このあとも俺は出なかったが数試合回してその日の練習は終了した。

 

「義衡、夕食に行くぞ」

 

「前も言ったんですけど俺は一人で…」

 

「お、岩代くんに若利じゃん、今から飯行くとこなんだけどどう?」

 

ストレッチも終えて夕食の時間になると牛島さんに飯に誘われた。なんだかんだ合宿が始まってからずっと一緒に食べているが一応イヤだから毎回断っているがあまり効果はない。

今回も前例通り断ろうとしたら飯綱さんがやって来た。

 

「いやー佐久早も誘ったんだけど逃げられちゃってさぁ」

 

「そうなんすねー」

 

「なんか不機嫌だったんだけど知ってる?」

 

「分かんないっすね」

 

楽しそうに話す飯綱さんとその話に相槌を打つ俺、そして黙々と夕食の魚を食べ続ける牛島さんというカオスな状況で卓を囲っていた。正直飯綱さんと話す話題が無いんだよなぁ。結構気にかけて貰っているけど何をそんなに気に入ってもらったのかが分からない。この人との関りはこの合宿に来てから出し全国で当たったことも無い。そんな疑問が顔に出ていたのか飯綱さんから切り出してくる。

 

「どうして俺が君に話しかけてるか気になるって顔してるね」

 

「分かります?」

 

「まあこれだけ露骨にあしらわれたりしたら流石にね、それで俺がこんなに気にかけている理由だよね」

 

「はい、正直なところ俺と飯綱さんって関りないじゃないですか」

 

「俺はね、岩代くん君のプレーを全国の舞台で見てるんだよね」

 

全国と言うと前にあったIHでの試合の事だろうか?確かに数セットだけ牛島さんの代わりで入ってプレーしたがそんな僅かな間の事をピンポイントで見ていたとは。

 

「若利目当てで見に行った試合だったけど衝撃だったんだよね君のプレーが、まるで1年の時の若利を見てる気分だったんだから」

 

「そんなですか?」

 

「そんな、だよ。あの日のプレーはそれぐらいのレベルが高かった。だからこそどんな人柄かが気になって声をかけたんだけどね。正直若利とは違いすぎてビックリしたよ」

 

「まぁ牛島さんはオンリーワンな性格してますから」

 

そんな俺の言葉に苦笑いをする飯綱さんを気にせず魚を食べる。こんな事を言われている牛島さんの表情が気になりチラッと横を見ると普段と変わらない表情をしていた。

てか綺麗に魚食べすぎでしょ、全然骨残っちゃうって

 

「ま、今回の合宿で何となく知れたし次の春高での活躍を楽しみにしてるよ」

 

「まだ出場すら決まって無いですけどね」

 

油断大敵、いくら白鳥沢といっても負ける事はある。

まぁ今のままなら伊達工にも青葉城西にも負ける気はしないんだけどね

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