キャラ崩壊注意。
ゼーリエが傲慢不遜だけど元彼には滅茶苦茶ベタ惚れな時期があっても良いんじゃないというお話。

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ゼーリエの元彼は大魔族

『ゼーリエ様の元彼とのデート』

 

天空領土スカイピア、天国をモチーフとした観光都市であり、大魔族が領主でありながら国家公認で運営している領土でもある。

大魔族バアルは領土運営に関わる者達を集めた円卓で会議を開いていた。

 

「この日から一週間、領土を離れる。その間の問題は任せるぞ」

「ハッ!」

 

円卓に並ぶ上層部達は了承する。

領主は一ヶ月前から私用で領土から離れる事を事前に周知しており、引き継ぎも完璧にこなしていた。

だからこそ会議に参加する者達も領主が離れるのに慌てず冷静に対応していた。

しかし好奇心旺盛な若き青年はその私用が大魔法協会のゼーリエとのデートだと知っているからか思わず尋ねてしまう。

 

「あのぉ、そこまで一週間のデートは大事なのでしょうか?」

 

デートが大事なのは青年にも分かる。

本人やデート相手にとっても大事な日になるだろう。

しかし一週間という期間は領主としての立場としては些か長い長期不在になるし、万が一領地経営に支障が出ないように入念な引き継ぎをする位に徹底する姿にはそこまでやるのかと疑問を抱いたからだ。

 

「死活問題だ。もし遅れれば大魔法協会から苦情が出かねない」

「何故?」

「遅れた場合、到着するまでの間ゼーリエが泣き続けるからだ」

「は?」

 

その言葉に青年は宇宙猫状態に陥る。

あの傲慢不遜なゼーリエがデートで相手が遅れただけで泣くなど信じられない。

 

「信じられないのも無理はない。あれは、10年前だが、領土での新事業立ち上げで手が離せないから今回のデートは見送りにして欲しいメールを送った。その2日後に大魔法協会からゼーリエが連日泣き続いてるからどうにかしろと細則状が届いた」

「えぇ……」

「どうやらエルフは長命種故に時間感覚が周りより遅いのだが、悲しみなども長いらしくてな。急いで引き継ぎして切り上げ、3日目にゼーリエの元に行ったら3日間連日連夜泣き続けてたらしい」

「3日間も!?」

「いや食事や睡眠などの生きるのに必要な行動はきちんとしてたらしいが、それ以外はずっと泣き続けてたらしいんだ」

「えぇ……何その計画的な癇癪……」

「そう言うな。因みにゼーリエ側が仕事でデートが遅れることになった際には涙声で『遅れるからごめん』と伝える可愛らしい所もあるんだ」

「貴方も愉悦してません?」

「俺としては仕事で遅れるのは仕方ないと割り切ってるから大して気にして無いのだが、ゼーリエは気にするタイプなのさ。だから大魔法協会でもゼーリエのプライベート時には重要度が高くない事は絶対に連絡しないという暗黙のルールがあったりするんだ」

「完全に子供の癇癪に対しての対応じゃないですか……」

 

呆れる青年にバアルはそうだなと答える。

 

「確かにゼーリエは傲慢不遜だが、弟子が大好きだったり、記念日などは祝うのを欠かさない位に気配りも上手いから性格を知ってる側からすると良い人だってなるのさ。そういうわけで領土存亡に関わるレベル以外では戻って来ないから頼んだぞ」

 

そう言ってバアルは立ち去る。

 

「どうして二人は付き合ってないんだろう?」

「ん、知らないのか?」

 

通りかかった同僚が青年の言葉に答える。

 

「何が知らないんですか?」

「ゼーリエ様は元カノ……かつて付き合ってた仲なのさ」

「えぇ!?」

 

青年は驚いたのであった。

 

 

 

 

 

 

待ち合わせの噴水広場に向かうバアルはワンピースに麦わら帽子といった令嬢の様な格好をしたゼーリエを見つけて近付く。

勿論市街地で魔族がそのまま姿を現せば混乱するので、バアルは人間に変身する魔法を使っている。

向こうも気付いて声を掛ける。

 

「漸く来たか」

「10分前だが先に来てたんだなゼーリエ」

「ああ30分前には到着していた。まあそれは良い。それでは行くぞ」

 

そう言ってゼーリエはバアルの右腕に抱き付く。

 

「久し振りのデートだからな。色々見てみたい所があるんだ」

「そうだな。お互い忙しい身だからゆっくり見ていこうか」

 

バアルとゼーリエは街を散策するのであった。

 

 

 

 

「はむっ、そちらのチョコバナナのクレープを食べてみたい。一口分けてくれ」

「分かった。あ〜ん」

「あ〜ん」

 

クレープの売店でバアルとゼーリエはそれぞれ別の味のクレープを買ってお互いに食べさせ合う形で味比べをしていた。

 

「はむっ、チョコバナナはこんな味なのか。私のストロベリーも食べてみると良い。あ〜ん」

「あ〜ん」

 

バカップルの如く「あ〜ん」を口にして食べさせ合う光景に周りの視線が引き寄せられる。

人を欺く魔族とは容姿が良いので、角を無くした変身姿をしたバアルと美男美女しか産まれないのではと思われるエルフ種族のゼーリエは傍から見れば美男美女カップルである。

 

「ふふっ、こうして食べ比べをするのも悪くないな」

「そうだな。こうやって食べさせ合うのもデートの醍醐味だ」

 

ゼーリエが楽しそうに笑うのをバアルも嬉しそうに答える。

ゼーリエは平和を停滞と考える価値観ではあるが、日常を愛おしむ気質だったりする。

だから仕事帰りとかの際は魔法で家事を済ませたりなどするものの、同棲してた休みの日とかだと楽しそうに手料理を作ったりする位には家事を楽しんでた程だ。

かつてゼーリエの弟子であるフランメが、バアルと共に昼食を同伴する際に、エプロン付けて鼻歌交じりに手料理作るゼーリエを見て幻覚魔法解除を必死にやってたのは余談である。

 

「次は劇場か。久し振りに見ることになるがどんな作品がやっているのやら」

「今回は調べてないから行ってからのお楽しみってやつだ」

「確かにせっかくのデートなんだから全て計画立てなくても良いだろう。入念な計画を立てるのは仕事だけで充分だからな」

 

二人は劇場に向かうのであった。

 

 

 

 

 

エルフは生殖本能が薄い。

だから恋人時代でも本番行為は年一回程度で、スケベなエルフだと月一程度だとはゼーリエから聞いた。

だが代わりと行っては何だがエルフは温もりが恋しいという意外な性質がある。

 

「何を読んでるんだゼーリエ?」

「ああ…隣国の魔法体系についての解読書だ。以前から目を付けてたのだが、やっと届いたから楽しみにしていたんだ」

 

旅館の個室でバアルに背中を預ける形で胸元に寄りかかりながらゼーリエは本を読んでいた。

温泉旅館で夕食が出来るまでの空き時間で寛いでいるのである。

見ての通りゼーリエは本番行為よりも単純接触、つまり仲の良い異性と身体が軽く触れ合う程度の距離感が好きだった。

髪からも良い匂いがするし、抱き心地も良いのだがゼーリエ自体から誘惑をする意図ではなく、触れ合う続けるという行為が好きなだけだ。

もしバアルが思春期の人間だったなら誘われてると勘違いされて押し倒してただろうが、あいにく魔族だから性欲はコントロール出来る。

バアル自身もそういう行為よりも温もりを感じ合う今の距離感は好きなのでこのまま過ごせば良いかなと思っていた。

 

 

 

夕食を食べ終え、一緒に混浴も済ませて就寝の時間。

デートの際は同じ布団で添い寝をするのが暗黙の了解だ。

夜這いではなく、添い寝。

勿論偶に行為へ繋がる事もあるが、どちらかと言うとゼーリエが甘えてくる姿が微笑ましいという気分になるのだ。

 

 

「おやすみゼーリエ」

「おやすみバアル」

 

明かりを消して眠りにつく。

同じ布団で添い寝をするのだが、抱き付いているゼーリエの顔は幸せそうであった。

 

 

 

 

 

 

閑話 フランメとフリーレン

 

フランメ「師匠は意外と乙女らしいところがあってだな。添い寝が好きなんだ」

フリーレン「ふ〜ん。寝るのが好きなのは分かるけど添い寝が好きなのは変わってるね」

フランメ「ああ……元々抱き枕とかで寝てたりするんだが、元々は親しい異性に抱き付いて眠ると快眠出来るらしい。もし気になる異性が現れたらフリーレンも試して見ると良い」

フリーレン「う〜ん。私にそんな機会あるかは知らないけど分かった」




バアル
…ゼーリエの元彼だった大魔族。正確には魔王が産まれるより遥か昔に魔族に集落を襲われた際に助けた。
当初快適な暮らしを探求してたバアルと共に暮らすことになる。

ゼーリエ
…バアルと100年付き合ってた元カノ設定。傲慢不遜な態度は相変わらずなのだが、恋人時代の時には記念日や誕生日などはきちんと祝ったり、家事を鼻歌交じりに行ったりと献身的である。
20年単位で別れようと切り出したら、バアルが懇願して引き止めるのに味をしめて繰り返してたら100年目で受け入れられて別れてしまった。
その際オロオロしだすわ、終いにはポロポロ泣き出してバアルがゼーリエが気が向いてパートナーがいなかったら復縁すれば良いと言って「……うん」と答える位にはベタ惚れである。
しかし山より高いプライドがゼーリエから付き合ってという台詞を言えず、プライベートでデートに誘う位しか出来ないという恋愛下手。

フランメ
…ゼーリエの弟子で、バアルとゼーリエの熱愛時代を見てきた苦労人。
ゼーリエが惚れ気でバアルから別れようとした際に懇願されて引き止められたという話を聞いてフラグを感じてたが、5度目で遂に別れた際には「この馬鹿師匠が!」と思わず拳骨と説教した程。
因みにゼーリエがフランメに泣き付いたという貴重なエピソードだったりする。
その際にバアルへ詳細を尋ねると、バアルの研究してた理想郷の事業が進んだ事で、魔法探求で手が離せないゼーリエの側にいられなくなり、悲しい想いをさせることになるから別れを受け入れたという話を聞いて頭を痛めた。
泣いてたゼーリエにバアルが気が向いたら復縁しようと約束したが、バアル本人はゼーリエから付き合ってと言われる事が無い限りは失恋したと割り切ってる。
因みにゼーリエ以外の女性とバアルが付き合ったらゼーリエの脳が破壊されてしまうとフランメは理解していたりする。

フリーレン
…後に勇者一行時に無知な彼女は気になる異性を曲解してヒンメルに添い寝を頼んで尊死させかけたとか……

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