人外との戦いで人類側は生活圏の縮小を迫られた。劣勢で人類が滅ぶのも時間の問題だったがギアと呼ばれる兵器が戦線を停滞させ人類に時間を与えた、
戦いの最中壁に叩きつけられ今、遠い彼方の記憶ではなくほんの12年の前の事を思い出す。
母が病気になり死ぬ寸前に誰かを護れる強い人になってと言い残し息を引き取った、生きる術が乏しかった子供の私はその言葉にすがり付き軍人になった。
検査でギアに適合していると判明して私はなされるがままギアを身に付けた。これで戦えると目一杯の希望を膨らませていた、
だが現実は目の前で誰かが死ぬ所を見せつけられ、その無力感を味わいながら生ていた、今もそうだ。
だから必死に踠き戦い抜いた、その末に先輩や同期は誰一人いなくなり、戦う理由も見失った、
戦場へ出る度自分が凡人だと嫌でも理解させられ、善かれと思ったことは全て裏目になり何のために軍人になったのか解らなくなりいつしか自分に割り振られた事を淡々とこなす日々。
そんな中2人の後輩が来た、いつの間にか永い時間生きていたらしい自分はどうやって戦うかのイロハを教え込み時間が加速度的に進んでいく。
そんな日常を送り、ある簡単な任務がきた。何の変哲もない救出作戦だ。私が囮になり後輩と救出部隊が突入するとした作戦、
作戦だけ見れば失敗した。敵が罠を仕掛け私達はそれに嵌まった間抜けだが敵が罠を仕掛けるのはこれが初めてであり、上層部が荒れた事件でもあった
この件で私の後輩が一人死に、もう一人は生き残っていた。その事実が嬉しく駆け寄ろうとしたが拒絶された。
私の顔にいつしか張り付いていた虚飾にまみれた笑顔が後輩の癪に触ったのだろう、戦場で身近な人物が死んだ事を私はいつの間にか当たり前のように受け止めていた。
その場を離れ誰もいない場所で泣いた、その泣き顔は
それから後輩と自然と距離を置いた、全て仕事のように必要無いことはお互い口に出さず。それから少しして後輩の一人立ちが決まり2年顔を会わせる機会がなかった。
後輩に2人の後輩が出来た。私が忙殺されていた理由は後輩を守る為、無理を言って任務を回してもらっている、ゆっくりと成長させ、いずれは、
ある日後輩2人が私の元にきた。理由は仲直りして欲しいから、私としてはまだ時間がいると思っていたが2人によると整理は出来ているが後ろめたさがあるらしい。
一人立ちして少し戦場が解ったのか、色々な不安を抱えながら私なりのフランクさで会うことに決めた。
結果だけ見れば仲直りはしたといえるだろう、けど、もうどうしようもなく凝り固まった価値観は変えられない、けど、久々に2人で話す位は出来そうだ。
それ以降敵の襲撃頻度は減り後輩3人と居る時間が増えた、だが私は漠然とした不安感は募るばかりだった。
今までで比較的平和な日常を送ること数年。遂に私の不安が現実のものとなった、敵の襲撃は一ヶ所だが陥落までの時間が早すぎた為。私は違和感を覚え慎重になるべきと意見を出したが、場所が重要拠点だったことが災いし却下された。
露払いに長けた私が雑魚の掃討兼囮になり後輩達が施設の奪還を任され、1日後奪還作戦が開始、私は入り口から離れた場所で大暴れして敵の注意を惹き付けた。
後輩達が施設の中に無事侵入を果たし、私は1時間程で外の敵を全滅し終え。後輩達に連絡するが雑音ばかり聴こえてくるので、上層部に許可を得て内部に突入した。
中は敵の残骸があるばかりで後輩達が見つからない、いっそと思い中枢部に行く。扉が壊れ中を確認すると後輩達が倒れていた。
そばに駆け寄り息があるのを確認し回収班を呼びその場で待機。少しして後輩達がやられた相手が姿を表す、相手は人の形をして両手に武器と背中に4本の機械の触手の先端に剣を取り付けたのが確認出来た。
私が対峙した直後ギリギリ反応出来るスピードで相手が攻撃を仕掛けてきた、紙一重でいなし続けて5分後に回収班が到着し後輩達を回収していく。
相手は追おうとするが行かせる訳もなく10分の足止めに成功したが、相手がガチギレし力任せに暴力を振るい、私は吹き飛ばされ、回収班を追う敵、を見ながら私は走馬灯をみる。
嗚呼、そうだった、思い出した!
私は誰かを守りたくて軍人になったのだ!!初心と決意!それを思い出した今!力が漲るのを感じる!!
全身が軽くギアと呼ばれる何かの力の引き出し方が解る。長年の相棒、本当の意味で相棒になれた気がする。
今までで出したこともない超スピードで回収班のルートを追うすると後輩達を載せた車両は横転して乗員は投げ出されていた。
後輩達の意識は戻ったらしく健気に応戦しているものの、完全に遊ばれていてそれに飽きたのかトドメを刺そうとしている。
丁度その時、確かに間に合ったのだ!私は私の理想だった誰かを護れる人に確かになったのだ!相手のトドメを弾き超スピードの急制動をかけた反動で砂埃が凄いが関係ない!
軍人になって初めて心からの言葉が出る。
「大丈夫だ、私が護る」
簡潔で私の心情をこれでもかと表したものと同時の決意表明。
しっかりと相手を見据え。出方を見定める、あくまで冷静にそして全力で相手を斬る。
剣戟の早さは互角で力は完全に向こうが上、いなすだけで精一杯、それに加え背中の剣まで降りかかるのだ防戦一方で反撃は難しい。
しかし護るという覚悟を決めた私はギアの力を最大限まで引き出し防御を捨てた一撃に賭けた。
だが背中の剣一本を斬り飛ばした程度で防がれ、相手の剣は私の腹を抉り相手の肘あたりまで貫通していた
咽に貯まった血を吐き呼吸をする。呼吸をする度間抜けなスピーという音を聴く、身体はボロボロで腹は貫通している。意識はハッキリしていて力も何故か漲る!
腹に力を込め相手の身体目掛け剣を振る!ただ全力で無心で相手を斬る。相手が叫び私も叫ぶ相手に飲まれまいと奮い立たせる!
拮抗する時間は一瞬で結局私が斬ったのは緑色の半透明の球体とそれに繋がる機械のみで中の部分は最期まで斬ることは出来なかった。
なぜなら私の身体を貫通していた腕を振り抜き腹を左に大きく抉れていたのだから、肉片が散らばっている。全身の力が抜け膝をおる、それでも私は平静だった、嗚呼この時が来たのかとただ悟った。
相手が苦しんでいる声が聴こえる。その姿を見た時何故か自分を取り戻そうとしていると思えた。きっと妄想で自分の希望的観測だろう。
相手は苦しみながら何処かへ消え去り。
後輩達が駆け寄ってくる、私は語りかけようとしたが出来なかった。喉が潰れ声が出なかったのだ何度か口を開閉させるが口を閉じ、虚飾にまみれた笑顔ではなく本当の笑顔で後輩達に抱きつく。
涙が溢れ出す。一度たりとも叶えられなかった願いが最後の最期でようやく叶えられ力が段々と抜けていくこうはいたちのこえが
とおく
なり
やがて
なにもかん
じられ