そういえば喧嘩してるところ見たことがないな〜…したことないなぁ〜…と思い、書いてみました!!
【善りり】
「莉々愛ちゃんの分からず屋っ!!!」
善逸の声が蝶屋敷に響いた。女の子のことになるとうるさい善逸だったが、そのいつもとは違った。怒りが混じった最も低い声が蝶屋敷にいる人たちに驚かせていた。
その声がした部屋の近くに通り過ぎようとしていた凛音はその部屋の様子を見に行こうとした途端、善逸が勢いよく戸を開け閉めし、足音を立てながら去っていく様子を見かけた。
「ぜ、善逸!!」
凛音は善逸を呼び止めようとしても、善逸は珍しく無視するように去って行き、もう姿が見えなくなってしまった。
善逸が出て行った部屋をゆっくりと開けてみれば、奥の方に莉々愛が突っ立っていた。
「り、莉々愛…?」
恐る恐ると声掛けてみた。
凛音の声に気付いた莉々愛は凛音の方にゆっくりと振り向いた。
その時、凛音は驚いた。それは、莉々愛が泣いていたからだ。
「莉々愛…善逸と何かあったの?」
でも、莉々愛は泣いているにも関わらず、必死に笑顔でやり通そうとしていた。
「な、何もないよ〜」
そんな莉々愛を見た凛音は怒りが湧いた。
莉々愛を泣かした善逸が許さないと。
「何もないわけないよね?善逸と何かあったの?僕に言ってよ?」
莉々愛に歩み寄った凛音は莉々愛の二の腕を優しく掴み、心配そうに話しかける。
そんな凛音の優しさに莉々愛は顔が崩れるように泣き出した。
「私…善逸に……嫌われたかも…っ」
「えっ、善逸に?」
「怖かった…善逸に…っ、初めて…あんな顔されて…あんなこと言われて…怖かった…っ」
普段、女の子に怒らない善逸が莉々愛に突き飛ばすようなことをしていたことを知った凛音は更に怒りが湧いた。
怯えるように震えている莉々愛を守るように抱き締め、背中を擦った。
「怖かったね〜、莉々愛…」
「はぁ〜……」
大きな溜め息を吐いた善逸。
「チュンッチュンッチュンチュンッ(北西!北西!任務先は北西だよ!)」
「…分かってるよ、俺が悪いのは分かってるよ」
「チュンチュンッ!(任務行きましょう!)」
「はぁ〜…でもなぁ……」
「チュンッ!!」
先程から話が合わず、チュン太郎は善逸の頭に強く突いた。
「イッテェエッ!!何するんだよ!?」
「チュンチュンッ!!」
「何言ってるか分かんねぇわ!日本語喋ってよ日本語!!」
「チュンッ!!」
「いだだっ!!髪引っ張らないでくれよぉ!!」
未だに通じないチュン太郎と言い合いながら任務先に向かう善逸。
「カァーッ!!カァーッ!!カァーッ!!」
夜明けに1匹の鎹鴉が大声を上げながら蝶屋敷に急いで飛んで行った。
「緊急事態!!緊急事態!!我妻隊士重体!!我妻隊士重体!!只今、隠ニヨリ此処二運バレテ来ル!!カァーッ!!」
丁度、蝶屋敷に泊まっていた莉々愛がその鎹鴉の言葉が聞こえ、顔が青ざめるように息が止まった。
「ぜ、善逸…!?」
間もなくして、善逸は蝶屋敷に運ばれた。
体中血まみれで特に右腕が酷く出血しており、足音が複雑骨折している。更には頭に大きな傷が負ってしまっている。
蝶屋敷の主であるしのぶはすぐ、善逸の手術に取りかかった。
重体なため、時間は結構かかっていた。
手術室の前で立っている莉々愛は時間が過ぎて行く同時に不安が次第に増してくる。そんな彼女を寄り添う凛音。
「善逸…」
やっと部屋から出てきたしのぶは深刻そうな顔をしていた。
「蟲柱サマ!善逸は!?」
「落ち着いてください、今の善逸くんの状態は何とも言えません…」
「え…っ?」
「ぜ、んいつ、は…死なないよね…?」
「……申し訳ございませんが、それはその可能性があるかもしれません…でも最善を尽くします」
しのぶはまた部屋に戻った。廊下に残された凛音と莉々愛。
「はぁはぁ…」
莉々愛が酷く震えており、冷や汗もかいている。思い出したくもないことを思い出してしまっているのだ。
それは上弦の壱に殺された2人の姉のことを……。
ふと、目覚ました善逸。そして、驚くように目を見開いた。
善逸の目に映る風景は不思議なモノだった。
優しくて爽やかな青空と闇を表すような夜が共に1つの空に広がっていたのだ。
「え…ここ何処…?」
見渡せば何もない、ただただ草原が広がっていた。人の姿がどこにもいない。
「なんか怖いんだけど…ねぇ…たんじろ…炭治郎!!伊之助!!禰豆子ちゃん!!」
どれだけ叫んでも誰も現れない。
「凛音ちゃん!!りり…!!」
言いかけようとした言葉を飲み込んだ。
今更その彼女の名前を呼んでも来ないだろう。
「もう…俺の事なんか飽きられて嫌いになっているんだろうなぁ…」
自分でそう呟いたが、どこかで寂しく、悲しい自分がいた。
「はぁ…」
「善逸さん」
そんな時、善逸を呼ぶ少女の声がした。
声がした方に振り向けば、少女が2人いることに気付く。
ふと、善逸はその彼女たちを見て、誰かに似ているような気がした。
「えっと…君は?何処かで出会ったっけ…?」
「私は光莉よ」
「愛闇…」
「……ごめん、覚えてなくてごめん…」
「そうでしょうね、だってそもそも会ったことがないからね」
「あ、そうなんだ!?良かったぁ…って何で俺の事を知ってるのさ?」
「ずっと見てたから分かるよ」
「……もしかして君たち天使かな!?道理で可愛いと思ったよぉ!!」
「ふふっ、ありがとう」
「あ…」
クスリと微笑んだ光莉の表情が誰かに似ていることに気付いた。
「ねぇ、違っていたごめんだけど…君は莉々愛ちゃんのご家族、ですか?」
善逸にそう言われた光莉と愛闇は嬉しそうに微笑んだ。
「そう、私たちが莉々愛の姉よ」
「そうなんだ!えっ、でも君たちは死んだって……」
「うん…あの上弦の鬼にね…」
愛闇は怒っているような悲しいような表情でそう言った。その彼女の隣にいる光莉も同じような表情を浮かべていた。
「え…待って……ということは俺死んで…あ……」
思い出した。
任務先で鬼を探していたら、1人で泣いている女の子がいて、その女の子に慰めていたら様子が急変し、鬼となった女の子に襲われて……
「善逸さんはまだこっちに来ちゃダメよ」
「え…っ」
「まだ間に合う…元いたところに帰って…」
「……でも…」
「莉々愛が苦しんでいる…」
「そう、だから莉々愛に寂しい思いをさせないで、だって…」
「「善逸さんの帰りを信じて待ってるから」」
……ああ、そういうことか…やっと分かった…莉々愛ちゃんは……この子たちが死んで鬼のことを憎く思ってる、だから鬼である禰豆子ちゃんのことを信用出来なかったんだ…さらに俺が禰豆子ちゃんは襲わないと信じていたことを反対していた
「うん…俺帰るよ、帰って莉々愛ちゃんに伝えたいことがあるんだ!」
そんな時、ただの草原だったのに一斉に多種多様な花が咲き、何処からか桜の花びらが突然、善逸の視界を遮った。
その際に見えた、光莉と愛闇の安心したような笑顔が……
やっと視界が見えた先には、木で作られた天井だった。その同時に聞こえてくるのは規則正しい心音。
その音がする方をゆっくりと見れば、やっぱりいた。
善逸の手を握り、目元に泣き跡をつけたまま寝てしまった莉々愛の姿があったのだ。
「り、りあ…ちゃん…」
善逸の声が聞こえたかのように眠い目を擦りながら目を覚ました莉々愛。そして、善逸の方を見れば、目を見開き、何度も泣いたであろう涙を再度流した。
「ぜん…いつ…起きたの…?」
「莉々愛ちゃん…」
善逸が動けない程の身体を起き上がろうとする。
「善逸…!まだ治っていないから横になっていな…」
「ごめん」
「え…っ」
莉々愛に向かい合うようにやや前屈み気味で頭を下げた善逸。
「俺…今まで誰かに恨んだことも鬼が誰かを殺して、その鬼に恨んだことが無いから…自分が信じたい人に信じて来たからさ…だから莉々愛ちゃんの気持ちにちゃんと分かってやれなかった…分からず屋なのは俺の方だったよ…ごめん」
「……私も…ごめん…」
「莉々愛ちゃんは悪くな…」
「私はどんな鬼でも禰豆子のような鬼でも敵として見てた…鬼が大嫌いだから」
「…………」
「でも……少しは信じようと思った…凛音以外の鬼に」
「莉々愛ちゃん…俺これからは気を付けるよ、今回の鬼に騙されて分かったしさ…」
そんな時、莉々愛が善逸を抱き締めた。何処にも逃がさないように強く、強く抱き締めた。
「怖かった…姉さん達が死んで…善逸も死んだらと思うと怖かった……」
「不安にさせてごめんね…でももう大丈夫だよ、ほら、俺って嫌と言う程しぶといからさ、何度も死んでも莉々愛ちゃんの元に戻るよ」
「……もう死なないで…」
「うん…莉々愛ちゃんがいる限り死なないよ」
怪我していない左手で莉々愛をそっと抱き締め返した善逸。
そんな仲直りした善逸と莉々愛の様子を戸の隙間から見ていた凛音と炭治郎、伊之助。
「良かったな、凛音」
「うぅ〜…よかったよぉ〜…」
「ったく心配させやがって、手間がかかる子分たちだぜ」
【むいせら】
「あっ」
任務帰り出会った星羅は無一郎を見かければ、嬉しそうに胸を高鳴らせた。そして彼の名を呼ぼうとしたら、無一郎に近付く少女の姿があった。
その少女はやけに無一郎にベタベタで、無一郎は抵抗しない。
「むぅ…」
別の日。非番である星羅は無一郎を探していた。
そんな星羅に話しかけたのはしのぶ。
「あら?どうしたんですか?星宮さん」
「あ、えっと、無一郎さんを探してまして…」
「そうなんですね、そういえば先程甘露寺さんが無一郎に誘っていたのを見かけましたよ」
「えっ?そうなんですね…教えてくれてありがとうございます」
またまた別の日。久しぶりの無一郎との共同任務で嬉しい星羅。
しかし……
「ねぇ〜良かったら寄ってらっしゃ〜い」
「この後時間ある〜?」
「あなた、名前は?仲良くなりたいな〜」
無一郎に集まってくる女性の方々が顔を赤らめながら話しかけていた。
「むぅ〜…」
そして別の日。
「ねぇ星羅」
「…………」
無一郎が呼んでも星羅は無一郎の顔を見ないように無視していた。
「星羅?」
「…………」
「どうしたの?」
「…………」
「僕なんかした?」
「…………」
「言ってくれないと分からないよ」
「…………」
「…………」
「…………」
「ねぇ…」
「あ、炭治郎さん!」
無一郎が話しかけようとしたら、星羅は笑顔で炭治郎の元へ駆け寄った。
「…………」
さらに別の日。
「ねぇ星羅」
「…………」
状況を説明しよう。
星羅に無視され続けていた結果、無一郎は少し怒り気味で星羅を呼び出し、今、星羅に壁ドンしている状態である。
「何で僕のことを無視するわけ?僕なんかした?」
「…………無一郎さんが…」
「何?」
「…無一郎さんが最近私以外の女性の方と一緒にいるから…その…や、ヤキモチ妬いてました…」
「ふ〜ん…」
「……や、やっぱり忘れてください…」
「…僕には星羅しかいないから…ね」
今まで不機嫌気味だった無一郎が不意打ちするような笑みを浮かべた。
そんな無一郎の表情を見て、一気に顔を赤らめた星羅。
「そ、その顔、他の女性に見せてはダメですからね!?」
「何で?」
「何でって…そ、その…私だけ見せて欲しいというか…」
「大丈夫だよ、だって星羅しか見せないから」
「もう…無一郎さん反則すぎます…!!」
「可愛いなあ、星羅は」
先程までよろしくない雰囲気だったが、今は砂糖のように甘々な雰囲気になった2人でした。