E p i s o d e .1なのに、2話目ってね
南極に存在する組織
人理保障機関フィニス・カルデア
そこは魔術により秘匿され、人類史の観測・保持を使命とし魔術、科学関係なく様々な分野に精通する者たちが使命の為に、日夜研究と実験を行っている場所である。
人類史の観測・保持とは即ち、人類の歩みそのものであり、人が現れてからの数千年、神のいた時代が終わり西暦経て人類は地上でもっとも栄えた種となった。
人類をより長く、より確かに、より強く繁栄させる為の理にして人類の航海図
これを、魔術世界では人理と呼び、彼らカルデアは其れを尊名として守り続けているのだ。
簡単に言ってしまえば、人類が未来でも存続しているか確認している組織と思ってもらえばいいだろう。
つまりそこに所属しているという事は、能力を認められた事に他ならないのである。
ただし、魔術に関わる者において高い能力を持つ=凄いとなる訳ではなく、確かに凄いのだが、高い能力=道徳の欠如、という事が多く、魔術師になるには、何かしらの異常がなくてはならないとは的をえてると言えよう。
中にも例外は存在するのだが……
特にこの、招集させているのに自室で惰眠を貪っているこの男はその例外に当たるだろう。
「んん〜、もう…食え……金……後は…………んぁ?ふぁあ〜、今何時……あぁやったわ、支度するかぁ」
彼の名は『神門紅玉』
カルデアの戦闘部門トップという役職でありながら、時間にルーズであり、呼ばれてもすぐに来ない、よくサボってるというのがこの男だ。
現にカルデア所長であるオルガマリー・アニムスフィアに呼ばれたにも関わらず、集合時間に起きている。しかも何度も注意されているにも関わらずである。
過去にその態度から役職を降ろす為に、仕事を調査し立場を降ろすネタを探されたが、他の人が気づかない速さで書類作成等終わらせており、ただ仕事が終わり何もする事がない故に、休憩していた為、サボってる様に見えたというのが現実だった。
結果(戦闘訓練のみ、時間を含め完璧である。それでも、本気でサボる時はバレないようにしてる)何も言われなかった過去がある。
それでも集合時間を守らない事には変わりない為、結局お叱りは受けたのだが、この男、反省の色なしである。
「すまんすまん、遅れたぁ……ってあれ?」
「ふん、やっと来たのね。貴方が遅刻するのは分かってるから、予め速い時間を知らせたのよ」
管制室に軽い謝罪で入った紅玉を待っていたのは、カルデアの2代目所長であるオルガマリー・アニムスフィア。
数年前に急死した前所長であるマリスビリー・アニムスフィアの娘にして、魔術協会の総本山『時計塔』を統べる12人のロードの一角、アニムスフィア家の当主であり、高飛車でプライドの高い人物で能力は申し分ないのだが、前所長との比較と本人の難のある性格から職員達からの評判は良くない。
「それは余計な手間をかけて悪かったな、オルガ。いかんせんアラームってのは慣れなくてなぁ」
「もう貴方にその件で言及するのは諦めました、貴方には戦闘部門トップとしての役割しか期待していません、さぁ貴方も位置に着きなさい。他の人が揃い次第ブリーフィングを始めます。レフ、少しいいかしら」
そう言われ呼ばれた男は、すれ違いざまに横に止まり話しかけてきた。
「紅玉……前から言ってるが、あまりオルガを困らせてはいけない。流石に作戦が始まったら、時間は守ってくれよ」
話しかけて来た男の名は、レフ・ライノール。人理保障機関カルデアの顧問にして近未来観測レンズ・シバの開発者である魔術師だ。要はカルデアが活動する為の装置の1つを作った凄い魔術師である。
ちなみに、紅玉はレフの事はあまり好きではない。理由として、なんか胡散臭い、裏がある事を感じさせてくるから嫌い、なのに他の奴にはそんな素振り見せないから尚更気持ち悪い、との事。
「おう、頑張ってみるわ。それより早く行ってやれ、オルガがこっち睨んでやがる」
紅玉はそれだけ伝えると、壁にもたれかかり時間が過ぎるのを待った。Aチームから始まる各チームの面々と軽く挨拶などを交わし、ブリーフィングが始まったのを確認すると、1人1人のマスター候補のプロフィールを確認しながら時間を潰し始めた。
全てのマスター候補が揃い、ブリーフィングが始まり進む中、途中一般枠のマスター候補『藤丸立香』が、居眠りをかましてオルガに退室させられた以外は、滞りなくブリーフィングは終わりマスター候補達はそれぞれのコフィンに入りレイシフトの準備に入り始めた。
俺はそれを確認し、管制室に移動し席に着く。オペレーターによる最終確認が終わり、カウントダウンが始まったタイミングで、隣に居たレフが声をかけてきた。
「紅玉、君は始まりの狼煙が見えているかい?」
……5
「あ?急になんだよ」
……4
「私には見えているよ」
……3
「何が見えてんだよ」
……2
「君達
……1
「っ!!てめぇ!!なっ!?」
その瞬間、激しい熱と光により視界が埋まる。
咄嗟の事に目を閉じ、レフを掴もうとした手は虚空をきった。
「…ちっ!一杯食わされたな」
俺はゆっくりと目を開けた。
そして視界に飛び込んで来たのは、倒壊したビル群と燃え盛る街
「来る予定は無かったんだがな……ここが冬木、特異点Fか」
俺は本来来るはずのなかった、懐かしい街にして始まりの特異点
A.D.2004
炎上汚染都市冬木に降り立ってしまった。
……難産