ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園 作:コンスタンチノープル
反対に、この人の異名からこのウマ娘を連想させる、あるいは一緒の異名で呼ばれていたのでこの人をモチーフにしたオリキャラを登場させ、そのウマ娘と絡ませたいなという具合に構想しているストーリーもあります。
他には滝山君はモチーフとなっているプロ野球選手の応援歌の一節が個人的にウマ娘にマッチしていると思ったのでこの作品を構想した段階から登場させることを決めていたキャラクターの1人です。
どんな言葉かここでは具体的には言いませんが例えるならトウカイテイオーがツインターボの名前を間違えるときに言いそうな単語です。
―春野運動公園野球場 球場外の通路―
「あうっ……負けちゃった……」
ウララは敗戦という事実に打ちひしがれている。
「ウララ先生、顔を上げてください」
吹本が祖父のように優しくウララを慰める。
「でも……でも……」
「前に言いましたが今日の試合での目標は充分達成することが出来ました。それでいてお釣りがくるぐらいです」
「お釣りって……?」
吹本の言うお釣り、それは滝山のメジャーリーグ級の特大ホームランのことである。
「でも、滝山くん最後……」
「まあ確かに、振り返る点ではありますね。ですが、
「え?」
それはどういうことかと聞こうとしたウララと吹本の所に荷物などをまとめた選手たちがやってきた。
「いや~、終わった終わった」
「きちー」
「この後どうする?」
選手たちに悲壮感はなかったが。その悲壮感のなさはウララが望んでいたものとは程遠い。
「おーい、陸上部、バレー部、相撲部のみんな。打ち上げでもやんねー?」
「……え……?」
「あ、カントク、ウララ先生、お疲れ様でーす」
その姿は、果たしてこれが先程まで熱い試合を繰り広げていた選手たちだろうかというほど、弛緩した空気が漂っていた。
「ちょ、ちょっと待ってよみんな!」
「どうしたんすか?」
「みんな、もっと試合のことを振り返ったりとかさ、反省会とかしたりとかしないの?」
選手たちはまさかウララからそんな言葉が出るとは微塵も思っていなかった。
「反省って、俺たちなんか反省することでもあるんすか?」
「確かに試合には負けちゃいましたけどいつもコールド負けばかりだったのが今日は9回まで出来て1点差のいい試合だったんすよ? これ以上何しろっていうんすか?」
「みんな……負けてくやしくないの?」
ハルウララというウマ娘はレースに出ている時は負けても悔しさを感じないと思われていたがそれは違う。彼女も1着になりたいという願いを持っていて。確かに他のウマ娘たちと比べるとソレは薄かったかもしれないし凄まじい切り替えの早さを持っていたというのもあるが1着になれなければ悔しいと思っていた。
「別に悔しくないっすよ」
「そんな……そんな……みんなは、勝ちたいと思ってやってたんじゃないの?」
沢田が答えた。
「ウララ先生。高校野球っていうのは勝負じゃなくて教育の場っていうのが大事なんすよ。俺は最後の試合、末松みたいな凄いやつのボール捕れたからそれで満足です」
隅本が続ける。
「そうそう、教育なんすよ。勝負の勝ち負けなんかよりももっと大切なことがあるって教えるのが高校野球って舞台なんすよ。俺だって今日ヒット打ったから充分です」
ウララの中で何かが切れた。
「ちがう! そんなのちがう! まちがってるよ!」
「ウ、ウララ先生? どうしたんすか急に?」
「大丈夫ですよ。ウララ先生たまにこうなるんです」
大芝はウララの受け持つクラスの生徒なのでいつもの熱血だと思った。
「たしかに、勝ち負けよりも大切なことはいっぱいいっぱいある! でも! それは勝ち負けのことを『なんか』なんていわないでいっしょうけんめい勝ちたいって! 勝つためにがんばらなきゃわかんないことなんだよ!」
「でもウララ先生だって『楽しもー』いつも、試合中だって言ってたじゃないすか」
「あと『ワクワクしよう』とかも、俺たち充分ワクワクしましたよ?」
「ちがう! そんなのほんとのたのしいやワクワクじゃない! さいしょから勝たなくていい試合なんて! そんなの……そんなのないよ!」
今度は戸田がウララの過去について問う。
「でも、ウララ先生ってトゥインクル・シリーズで走ってた時は一度も勝てなかったんすよね? だから楽しもうとか言ってたのかと」
「『勝負をたのしみたい』っていうためには『勝ちたい』って思わなきゃダメだよ! みんながいうきょういくっていうのは! 勝ち負け以上のたいせつなものは! さいごまで勝ちたいって思い続けないと手に入れられないんだよ! だから……だから……ぐすっ」
最後、振り絞るように言葉を口にしたかと思うと、次の瞬間ウララは幼子のようにわんわんと号泣しだしてしまった。
「え、えぇ……」
「うわ……ウララ先生泣かしたとか顧問に殺されるの確定なんだけど……」
あまりのことに顧問がウララのファンである相撲部からの助っ人が特に狼狽している。
「ウララ先生、人が見ていますのでちょっと……」
一通り泣き終わると。ウララは末松に問った。
「えずっ……末松くんは……末松くんも……勝ちたいって思ってなかったの?」
「俺は……」
末松は何やら独特の空気を纏い、決意の眼差しで一同を見据えながら答えた。
「俺は勝ちたいです」
「末松……」
「だって今日勝てたかもしれないんですよ? 俺は悔しいですよ。俺が途中で打たれなきゃ勝てたんですから」
「勝ってどうするんだよ」
「勝ち続けます。勝って勝って……」
周りは、「ソレ」を口にする気かと思った。
「勝ち続けるってまさかお前……」
「駄目ですか? 俺たちが『甲子園』に行きたいって思うのが?」
ウララが涙ながらに呼応する。
「ううん! おかしくない! おかしくなよ! みんな! 甲子園に行こう!?」
「いや、
有賀は甲子園など夢物語どころか夢にさえ思わなかったほぼフィクションの世界に近い存在であると言うのであった。
「勝とうよ! 甲子園って全国大会なんでしょ? 甲子園でも勝って勝って……1番になろうよ!」
ウララの発言に一同驚くが中でも末松が一番驚いた。
「い、いや別に俺、甲子園に出たいとは言いましたけど、甲子園で優勝したいとまでは……」
しかしウララの言葉に同調する選手が1人……
「いいんじゃねえの?」
「滝山!?」
「『日本一を目指す』、ハイゴールだし分かりやすくて。でも夢のまた夢ってほどじゃないと思いますよ?」
「夢のまた夢というほどではない」それは末松の存在によるものであることは一同が分かり切っていることであった。
「あ、みなさん『お前はホームラン打ったから』って思ってるでしょ? 冗談、俺はそのあとのゲッツー2つが悔しくてしょうがないんすよ。特に2つ目、あそこで俺が打ってたら勝っていた。俺だって……勝ちたい。それに、ウララ先生は勝ちたいって最後まで思ってる奴にしか勝ち負け以上のモノは手に入れらんねぇって言ってんすから、信じてみてもいいんじゃないっすか? あと、折角入ってくれた末松をぼっちにはしねえってことで」
これまで、なんだかんだハルウララというウマ娘の言葉には「それをやってみよう」と思わせる何か見えない力「言霊」とも言えるような不思議な力が宿っていた。それは、勝負とは何かということを今まで見せたこともない鬼気迫る表情で説く今も宿していたのであった。
「分かりました。じゃあ、俺らは来年までですけど、いっちょ本気で甲子園とやらを目指してみますか。 な、
「まあいいけど、でも先輩たちこれで引退だから当面4人で活動だろ? ちょっと厳しいんじゃねえか?」
加治の言葉に3年の沢田が提案する。
「別に試合には出れねえけど練習ん手伝いぐらいならしてやるよ。
「俺は出てもいいぜ。でもカズはいてもしょうがねえだろ?」
「なんだよ。俺だって入れろよ!」
「駄目だ!」
急に厳しい叱責の声。その主は吹本であった。
「吹本先生!? なんでダメなんですか!? みんなせっかくやる気になったのに……」
「1、2年はまだしも3年はこれで部活引退だ! これからは受験勉強を頑張れ」
「えぇ~」
3年生たちとウララは不満そうに答えるが吹本は語気を強める。
「隅本、沢田。君たち今ウララ先生に『高校野球は教育の場』だと自分の口で言ったばかりだろ! 高校野球が教育の場だというんなら、その高校野球を今日この日を以って引退した君たちはその力を勉学に向けろ」
「そりゃ言いましたけど……でもやる気になったんですからやる気になってる後輩たちの手伝いをしてやるぐらいしてもいいんじゃないですか?」
ウララも吹本のまさかと思える言葉に喰い下がろうとする。
「そ、そうですよ吹本先生! せっかくやる気になって手伝うって言ってるんですよ!? すこしぐらいいいじゃないですか!?」
吹本は冷たく、しかしその言葉を自分にも向けて言い放った。
「遅すぎたんだ。君たちがやる気を出すのはあまりにも遅かったんだ。そしてそれは私もだ……」
「吹本先生?」
ウララが人が変わったような口調で話す吹本を心配する。
「有賀! 加治! 末松! 滝山! 君たち甲子園で優勝したいと言ったな?」
「はい」
「野球の事をほとんど知らないウララ先生が言った思いつきでもか?」
「目指すことは俺たちにもできます。 言うのはタダですから」
吹本は首を横に振った。
「それでは駄目だ! 甲子園で優勝したいんなら、それ相応の時間を犠牲にしなければならない。しかもただ時間を掛ければいいものではない。それに見合った正しい努力をしなければならない」
「分かっています」
「我々は他の名門・強豪と言われている高校とは何もかもが足元にも及ばない。征隆でさえ課題は山積みだ。しかも高実は特別野球に力を入れている訳ではない。厳しく辛い道になるのは火を見るよりも明らかだ。それでも目指すというのか?」
「覚悟の上です」
ウララや3年生たち、そして助っ人として参加した他の部の部員たちは普段の老紳士のような吹本からは想像できない姿に驚く。
「よし、分かった。私も本気で君たちを教えよう。ウララ先生、そうですよね?」
ウララはその雰囲気に圧倒されつつも答えた。
「は、はい! もちろんです! 生徒がやる気になって本気で何かをしようとしているのに、わたしたち教師が本気にならないなんて間違っています!! わたしも手伝わせてください! みんなも、野球部は4人になっちゃったからまた助っ人に来てくれるよね?」
「いえウララ先生、8月に新人戦が予定されていますが
ウララはその考えにまたも驚いた。
「ど、どうしてですか!? またみんなに来てもらいましょうよ」
「それは日程的に厳しいです。まず新人戦ですが相撲部は8月頭に大会を控えており、それが終わってから僅かな期間しかありません。体力的に厳しいでしょう」
「はい、そういうことなんでちょっと……」
「バ、バレー部は!?」
大芝が申し訳なさそうに答える。
「夏の大会が9月頭にあるんで8月の大会に助っ人なんてできません。秋の大会も11月に春高の予選があるので無理です」
「そ、そんな……」
ウララが担当する陸上部も8月の後半から競技会があるため無理はさせられない。ウララもそのことは分かっている。
「ウララ先生、例え今日集まってくれた子たちがまた来てくれても駄目なんですよ」
「どうしてですか?」
ウララはまた若干涙目になりながら聞く。
「野球において、キャッチャーとセカンドというポジションは特に野球というスポーツを熟知し、経験と技術を持った選手でないと務まりません。
「そ、そんなぁ~!?」
ハルウララ、事態を知ってしまったからには手伝いたくて仕方ないが彼女にはそんな暇はない。
ハルウララが一瞬言いそうに思えると考えさせられるが、よくよく考えたらやっぱり言わないであろうことを言わせてみました。
高校野球の歴史において「苫小牧」の名は語らずにはいられないものです。
ハルウララがダートが主戦場ということもあるので後々ホッコータルマエは登場させたいと願っています。
全然ゲームをプレイしていないでどの口が言っているんだって話ですよね…