ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園 作:コンスタンチノープル
2人に着けられたの異名に似た名前の競走馬がシンガポールの短距離界のレジェンドにいるのですが、海外の馬であることや引退したすぐ翌年にその馬名がある人物の蔑称として用いられるなどありウマ娘として登場する可能性は・・・低めかなと。
いえ、その馬は全く悪くないんですけどね。
「えっとね、この……なんていうんだっけ? えーっと……そう! ぶるぺん! 冬の試合やっちゃダメだよって決められている間にみんなでつくったんだよ!」
「俺や末松や市居も投げてみて問題なかったけど、みんな変なトコを感じたら言ってくれていいからな」
今後練習試合をすることを見越して体力作りもかねて専用グラウンド脇の一塁側と三塁側の両ベンチのすぐ外に2人の投手が同時に並んで投球練習をすることができるブルペンを新設したのである。これまで試合用のマウンドでなければ本格的な投球練習ができなかったのだが、これで練習が捗ったといえばピッチャーのボールをちゃんと捕れる人員が陸上部から時折手伝いに来てくれる横平だけだったためそう易々と事は運ばなかった。
ブルペン増設のためには他の場所から土を運んでこなければならない。しかも小石や砂利などが混じったものや砂でいけないのでじゃあ学校の土を集めて持ってくればいいという話ではなく、それなりに質のいい土を探してこなければならない。
ここでウララが大いに活躍した。ダートが主戦場であった彼女であるが日本の野球場は天然芝か人工芝でない限り土か土と砂の混合、クレー舗装であるケールが殆どである。それに対し日本のダートは日本の気候条件を考慮し水捌けの良い砂であるため日本のレース場のものを分けてもらっても意味がない。トゥインクル・シリーズで走っていた頃に海外のダートは砂ではなく土が使われていると聞かされたことが頭の片隅に残っていて、野球部の専用グラウンドで野球場は砂ではなく土であることは体感済みであったため、メジロ家やシンボリ家、サトノ家といった名家の中でもよく面倒を見てくれたシリウスシンボリが海外挑戦していたことを思い出し、シンボリ家なら個人所有で海外仕様の土を使ったダートコースを持っていそうだと思ったので連絡し、シリウスは芝が主戦場であったため当初のアテは外れたがなんだかんだ土を分けてもらうことに成功したのである。なお、ウララは突然何の説明もなく土を分けてほしいと言ったため、相談を受けたシリウスシンボリは当惑したが、なんだかんだルドルフからウララが高校教師になり陸上部を指導していると聞いていたため最初、走幅跳などを行う砂場で使うのだと思った。
いずれにせよ土を手に入れることはできたがいくらウララの口利きといっても無償でというわけにはいかず、4箇所ブルペンを作るためには埋め込み式のピッチャーズプレートとホームプレートが4個ずつ必要で、さらにグラウンドの外に増築という形で作るのでブルペン自体を囲うフェンスなどといった経費を差し引くとピッチャーが1人で投球練習をすることが可能になるピッチングネットを追加購入する費用がなくなってしまい、折角ブルペンが完成したはいいが投手3人組が一度に投球練習する機会は残念ながら無かったのであった。
「じゃあ宇多田と沈、それと羽鳥の3人から投げて」
「どうして3人からなの?」
ウララはこういう面はまだ素人である。吹本が解説する。
「投球練習は同時に捕手の技術なんかも視れます。投手志望者が11人いて、その内3人が捕手も兼ねているわけですが、投手は途中で代わりますが捕手はその代わる代わる投手たちの球を中腰で捕り続けなければなりません。これは大変重労働なので3人に最初に投球練習をしてもらい、それから捕手としての力量を視るというわけです」
「いやー、でもキャッチャーが出来る子が4人も入ってきてくれて嬉しいよ。これで俺はお役御免ってとこかな?」
キャッチャーが出来る新入生が入ってこなかった時のことを考え、この日は横平も練習に参加してくれていたのである。
「あ、俺は横平っての。野球部員じゃなくて陸上部員でたまに練習の手伝いに来てるんだ。でもみんながキャッチャーやれるんなら俺が顔出すのも今日で最後かな」
「でも末松の球ちゃんと捕れない奴ばかりだったら横平君に試合に出てもらうことになるかも」
「うげ~」
横平はあくまでもピッチャーたちのボールを捕るためだけの謂わばブルペンキャッチャーとして練習に参加しているので、試合には出場していないし当の横平本人にそのつもりがない。
「それじゃあ羽鳥君から投げてみようか。自信のある変化球があれば投げていいけど何かある?」
特にないので真っ直ぐからと羽鳥が答えたため、まずはストレートから投げることに。捕手は横平である。
「ナイスボール。1年生にしちゃ結構速いと思うしコントロールも結構いいですよ? ねえ、変化球何投げられる?」
「じゃあスライダーいきます」
羽鳥のスライダーは、打者の手元でスッと横に滑るように変化したため、どちらかというとカットボールに近いボールだった。
「次、スラーブいきます!」
「すらーぶ!? なにそれかっこいい!」
市居がウララにスライダーとカーブの中間の変化球で2つの名前からとってスラーブだ。と解説した。
肝心の羽鳥のスラーブは粗削りで磨けば光るという感じのボールであった。
「ツーシームいきます」
目に見えてすごく変化するわけではないが、よくコントロールされたボールで使い方次第では充分使えそうなボールだった。
「まだ何かある?」
「いえ」
「よし、じゃあ次は沈投げてみなさい。羽鳥はそのまま捕手に入ってくれ」
吹本がバッテリーごと交代させた。羽鳥がキャッチャー用の防具一式を身に着けながら沈と打ち合わせをする。
「みんな日本語上手いね」
「
「へぇ~。球種何投げられる?」
「カーブとシュート、それからフォークとチェンジアップ」
「ふーん、じゃあ軽くサイン決めようか」
サインを決めるとそれぞれホームとマウンドに分かれる。打席にはこれまた防具を身に着けた舘が立つ。
まずはベーシックにストレートから。スピードはかなりのものだったがコントロールにバラつきがみられる。しかしそれ以上に問題があった。
「スピードほどの伸びや切れは感じないね」
舘が感じたものは羽鳥も感じていた。
「そうだね。変化球も視てみないと」
変化球も一通り視たがどれも悪いボールではないが配球の中心になるかと言われれば決め手に欠けるものであった。
「よし、次は宇多田。沈はキャッチャーの準備をしておいてくれ」
「はい」
引き続きキャッチャーは羽鳥。
「うわっ!?」
宇多田がピッチングモーションを起こすとその豪快さに驚いた。左足を頭上まで高々と上げ、爪先までピンと伸ばしたそのモーションは正に豪快そのもの。そこから放たれるストレートも正に豪快だった。
「うわあっ!」
1年生にしてはかなりの速球である。
「1年にしては凄いんだろうけど、俺たちはこの1年間ユキちゃんの球見てきたからね」
市居の言葉、3年の有賀や他の2年生たちにとって尤のことである。ウララも、ピッチングフォームの豪快さにこそ驚いたが肝心のボールについては宇多田よりも末松の方が上であるため自然と驚かないでいた。
「じゃあ次、縦のカーブいきます」
「えぇっ!? じゃあ横もあるの?」
「うーん、横のカーブって表現をされることはあまりないですけど、羽鳥が投げたスラーブが近いと言えば近いですかね」
岸葉が解説する。宇多田が1球投じると驚きの声が上がった。かなり落差が大きく、切れも中々のドロップカーブを投じてみせた。
「スライダーいきます」
スライダーも中々の切れと変化。ストレートとドロップカーブ、スライダーだけでも投球の組み立てが出来そうである。
「スローカーブいきます」
「すろーかーぶ?」
「特に遅いカーブのことです。ちなみに速いカーブはパワーカーブって呼ばれています」
「えぇっ!? どうして? おかしいよ!?」
ウララがどうおかしいといっても既にその呼び名が定着しているので今更どうしようもないことである。
宇多田のスローカーブであるが、他の2球種と比べると特筆すべきものではなく、見せ球程度にはなるといったものであった。
他にもツーシームが投げられるとのことだったがこちらもスローカーブと同様で、他に球種もないとのことで交代となった。
「次は浅香、投げてみなさい。捕手も沈と交代だ」
吹本の言葉でバッテリーごと交代。既に沈が防具などを身に着けていたため、そのままマウンドとホームに着き投げ込む。
まずストレートからと浅香から言うので数球投げてみると、球速自体はそこまでのものではなかったが中々伸びのあるストレートを投げた。
「あの、吹本先生。みんなよく、ボールの『のび』とか『きれ』っていってますけど、なにがちがうんですか?」
ウララの問いは至極真っ当なものである。吹本曰く、ピッチャーの投げるボールの質の良さを表現したもので、相手打者や周りの体感によるものが大きいとのこと。2人が話していると更に岸井が補足する。
「でも、メジャーだと球場にレーダーかなんかを付けてボールの軌道やなんかを分析して、具体的な数字にしているんですよ」
「へぇ~、
「じゃあ次スライダー」
浅香の手持ちの球種はスライダー、カーブ、ツーシーム、フォーク、チェンジアップ。どれも中々の切れ味で、ストレートと併せてもすぐに実戦で使えそうなものであったが。
「あっ!」
「すいません!」
沈のほうがボールをこぼしたりなどが多く、課題がありそうな感じである。
「よし、次は碓井」
「はい!」
碓井のボールはストレートや手持ちの球種、カーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームとも、ボールの完成度自体はそこそこのレベルだが、コントロールが良く、全てにおいてまとまりのあるピッチングという感じであった。
「よし、次は……」
「監督! 次は俺が行きます!!」
五十風が食い気味に来たので意欲が高ければと五十風に投げさせる。
「うわっ!」
「うわー、すごく速いね!」
「どーですか! 俺のボールは!?」
甲子園で160km/hを投げたいというあたり、ストレートには自信があったのかウララや上級生たちも思うところありというストレートを投げたのだが……
「駄目だな」
「えぇっ!? 市居くんどうして? たしかに末松くんとおんなじってわけじゃないけど、すごい速いボールだと思うよ!?」
「違いますよ。おーい、160km/hじゃなくてストライク投げられるようになってくれよー」
コントロールに難あり。それでも武器になれば荒れ球とも呼ばれることはあるが明らかにノーコンや制球難と呼ばれて然るべきレベルのコントロールの悪さであった。
ブルペンを作るためにウララが土を手に入れるために奔走した話はもっと膨らませたり、掘り下げられたりしたんじゃないかと思うのですが、公立高校の教師という立場上、直接行って話し合うということは現実的ではなく、ウマホかSNSでの顔を見ないでのやり取りになってしまうでしょうから、そうするとウララの保護欲・庇護欲を駆り立てるハルウララという存在そのものが持つ力が大幅に下がってしまうので中々良いストーリーが思い浮かばず、長めのナレーションベースで書く結果になってしまいました。
最初は有給休暇を使って行かせようと考えたのですが、有給休暇は基本的に労基で6ヶ月勤めると発生する。教師の有給休暇は春休み・夏休み・冬休みにまとめて取るのが一般的であると聞いたので最初だったら冬休みか春休みに行かせられると考えたのですが、冬休みの教師の休暇は教師という職業柄、年賀状の数がとても多く、年末年始の休暇(12月29日から1月3日の6日間)と有給休暇を2日ほどとって自宅で書く人が多い。との情報を得たので、トゥインクル・シリーズで一度も1着になることはなかったがアイドル的な人気で一時代を築いたウマ娘であるウララは人間の教師よりも圧倒的に年賀状を出すウマ娘や人間が多く、そういった年賀状をSNSのやり取りで済ませるようなことはせずに1枚1枚住所などウララの苦手な難しい漢字が並ぶこともある部分など、他にも印刷の箇所はあっても手書きで何かしら書き添える年賀状を出すであろうと予想されるのでウララの冬休みの休暇は年賀状を書くことに費やしていると思い無理だ行けないと判断しました。
春休みの休暇は書類整理や教室・職員室などの片づけ等で大変忙しく、有給休暇は1日か2日取れれば良い方。という情報を入手したので運搬などの事を考えると1日2日ではさすがに話はまとまらないだろうと思い、とてもじゃないが時間が足りないので無理だ行けないと判断しました。