ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園   作:コンスタンチノープル

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 大分久々ですがウマ娘に斬り込んだストーリーを展開させております。

 アニメSeason2ベースのストーリーを展開しています。基本的にはアニメの感じを参考にしていますがハルウララがSeason1と比べると登場頻度は少ないですがSeason2以降にもトレセン学園の生徒として登場しているので「原作改変」のタグを新たに追加しました。


第22話

 まるで差し迫った事態など最初から起こっていないように優雅に紅茶を口に含むマックイーン。スペの言葉もどこ吹く風といったようすで切り返す。

 

「全く心配しておりませんわ」

 

「そんな、みんなライスさんのこと心配してるのに」

 

「それは違います。最低でも(わたくし)と同様に天皇賞に出走するウマ娘は」

 

 そしてまた一口紅茶を口に含み、窓の外を眺めた。

 

「ライスさんは必ず戻ってきます。(わたくし)に勝つために。パーマーたち出走予定の皆さんのトレーナーさんたちも、ライスさんは絶対戻ってくるから心配しないで自分のことに集中するよう言っておりました」

 

「そんなこと言っても……」

 

 心配するスペを諭すようにマックイーンは更に言葉を口にした。

 

「スペシャルウィークさん。(わたくし)は、ライスシャワーさんを信じている。それだけで充分でなくて?」

 

「うぅ、もう! ブルボンさん! 私たちは出走予定じゃないですからまた探しに行きましょう!」

 

 スペが1人飛び出していくと2人のやり取りを横で見ていたブルボンがマックイーンと対峙する。

 

「マックイーンさん」

 

「あら、貴女も(わたくし)に意見すると?」

 

 ブルボンは首を横に振った。

 

「無理はしないでくださいね」

 

「何のことでしょう? (わたくし)は無理など微塵も……」

 

「なら構いません。私は出走予定ではありません、マスターからライスさんを探しに外出する許可を得ているので探しにいってきます」

 

 マックイーンはブルボンには止めるような言葉はかけなかった。

 

「ブルボンさんこそ、怪我明けなのですから無理をされてはいけませんよ」

 

「はい。では」

 

 そういうとブルボンもライスを探しにその場を後にした。

 

「あ、ブルボンさん! どうしたんですか? 私はこっちのほうを探してみますから、ブルボンさんは向こうのほうをお願いします」

 

「スペさん」

 

 ブルボンさんは真剣な眼差しでスペを見つめる。

 

「戻ったらマックイーンさんに謝罪することを提案します」

 

「え!? ど、どうしてですか?」

 

 予想だにしなかったことを言うブルボンはその理由を述べる。

 

「マックイーンさんの眼や手足の動きからバッドステータス『動揺』を確認。ライスさんのマスターには及ばないにしても、マックイーンさんは誰よりもライスさんのことを『心配』していると考えられます」

 

「だ、だってマックイーンさん、耳や尻尾はいつもと変わらない様子でしたよ?」

 

「確かに私たちウマ娘は耳や尻尾の感情が現れやすいことは広く知られています。恐らく耳や尻尾に感情が現れて悟られることを避けるため集中していた分、眼や手足に微かに現れたものだと考えられます」

 

 ブルボンの考察は当たっていた。名家メジロの者として自身の感情を容易く他者に悟られることがないよう、耳と尻尾の動きには細心の注意を払う。メジロ家の者としては当然のことであるが耳と尻尾に集中するあまり眼や手足に出てしまうあたり、いくら天皇賞3連覇を期待されるメジロマックイーンとはいえまだ中等部の幼いウマ娘といったところである。

 

「それにマックイーンさんがあそこにいたのは、ライスさんが戻ってきた時に誰よりも先に出迎えるためだと考えられます。本当に全く心配していなければ、ずっと部屋で自分のことに集中していると考えられます」

 

「確かに……私マックイーンさんのこと考えないであんなことを……」

 

「そのためにも、ライスさんを見つけに行きましょう」

 

 こうしてスペとブルボンは二手に分かれてライスを探しに出た。

 

「うぅ……ライスちゃ~ん! どこにいるのー!?」

 

 一方2人1組で探すウララと末松。今は町中を探している。

 

「ウララ先生、もしかしたらあまり名前を呼びながら探さないほうが良いかもしれません」

 

「どうして!? お返事してくれるかもしれないじゃん!」

 

 末松はもしライスが行方不明になっていることが多くの人々にも知られぎが大きくなるとは避けるべきではないかと考えた。

 

「え? でもみんなでさがしたら早く見つかるかもしれないでしょ?」

 

 どう言い換えればウララが納得するか末松は思案し、言葉を考えた。

 

「えーっと……そうしたらみんなに『探してくれてありがとう』とか『心配かけてごめんなさい』って言わなきゃいけないから、大切なレースの準備が出来なくなっちゃうかもしれないじゃないですか」

 

「あ、そうだね! じゃあみんなにはないしょでライスちゃんをさがそう!」

 

 とりあえずウララが納得したので隠密裏にライスを捜索する。

 

「うーん、もしかしたら1人で落ち着けるような場所にいるかもしれませんね」

 

「じゃあ、京都レース場の近くに公園があったよ!」

 

 確かに1人になるにはいいかもしれないが末松は違うかもしれないと考えた。

 

「レースに出るか迷っているのに、わざわざレース場の近くに行くとは思えないですね」

 

「なら近くに川が流れてるよ! 川ならとおくからながれてきてとおくまでながれていくよ!」

 

 河原……充分考えられる。だがもしそうなら危ないかもしれないと末松は思った。

 

「もし川の近くにいたら、落ちて流されているかもしれませんね……」

 

「そんな……早くさがしにいこう!」

 

「いや、そんな深い川じゃないかもしれないですし……」

 

 末松は地雷を踏んだ。

 

 それは別としてウララの予想は当たっていた。手あたり次第であったが河原を探しているとライスの姿を発見したのである。

 

「いた!! ライスちゃ……」

 

 末松がウララの口を塞ぐ。逃走の恐れが考えられるからである。

 

「どうして!?」

 

「えっと……ほら、急に声掛けたらびっくりするじゃないですか。びっくりして川に落ちたら大変じゃないですか」

 

「あ、そうだね。末松くんやさしいね。じゃあこっそり近づこう」

 

 ウララを納得させゆっくり距離を詰める。ウマ娘の聴力を考えれば簡単に気が付くはずの距離まで詰めてもライスは何か考え事をしているのかその様子はない。

 

「だーれだっ!」

 

「ふぇっ!?」

 

 末松は頭を抱えた。ハルウララよ、背後から忍び寄り両手で目を塞ぐのは遠くから大声で呼ぶより逆効果になると思う。

 

「ご、ごめんなさい! 誰か分からないけどごめんなさい! 天皇賞出ないんで許してください!」

 

「ラ、ライスちゃん!? ごめん! わたしだよ!?」

 

「え……ウ、ウララちゃん!? どうしてこんな所に?」

 

 ウララから事情を聞いたライスは更に申し訳ないといった顔になる。

 

「そんな……ライスのせいでウララちゃんやウララちゃんの学校の生徒さんにも迷惑かけちゃうなんて……やっぱりライスはだめな子なんだ……」

 

「そんなことないよ! ライスちゃん、こんどのレースで1着になりたくてがんばってるんでしょ?」

 

 ライスはウララと末松に、以前自分を拉致したチームスピカの面々やブルボンにしたのと同様の話をする。

 

「そんな……わたしはライスちゃんに1着になってほしいよ! みんながライスちゃんのことおうえんしてないなんて……」

 

 ウララは更に何か励ます言葉を掛けようとしたが末松が制止した。

 

「なんで!? 末松くんはライスちゃんのことおうえんしないの!?」

 

「違いますよ。ライスシャワーさん、ちょっと俺と話してみませんか?」

 

「えっ?」

 

 ライスは若干怯えている。

 

「大丈夫ですよ現役でGⅠ獲るようなウマ娘を取って喰うなんてマネできるとは思ってないですし。変に口説こうとも思ってないです。ウララ先生はライスシャワーさんのトレーナーさんや皆さんに無事見つけたって伝えてきてください」

 

 末松はスペとブルボン以外の関係者と顔を合わせたつもりがない、実際はマックイーンも4人が話しているところを見ていたわけだがそれでも他の関係者とは顔を合わせていない自分が急に会っても警戒されるだろうから、顔の広いウララに言いに行ってもらう間にライスと話そうと考えた。

 

「わかった! みんなにライスちゃんがぶじだって言ってくるね!」

 

 ウララがその場からけていくと、初対面のライスと末松が残される。ライスにとってはかなり気まずい。

 

末松(すえまつ)征隆(ゆきたか)っていいます。親しい人はユキとかユキちゃんって呼んでます」

 

「あ、ライスシャワーだよ。ウララちゃんの学校の生徒なら末松さんもライスって呼んでいいよ」

 

「じゃあライスさん、早速ですがこれどうぞ」

 

 それは探している間にコンビニで購入したにんじんの入った野菜ジュースである。

 

「ウララ先生、ライスさんが喉渇いてたら大変だって棚に置いてあったやつ全部買おうとしたんですよ?」

 

「ふふふ……ウララちゃんらしいなぁ。心配させちゃうなんて、やっぱりライスはだめな子だ……」

 

 なお購入するにあたり、普通のプルタブ式の缶ジュースだと大事なレースの前に爪を怪我するかもしれないと、回して開けるタイプのフタのものとストローを挿す紙パックのものとどちらを選ぶか買う際に迷っていて、ウララなりの気遣いが感じられる。

 

「……まあ、嫌になるのも無理はないかなと思いますよ」

 

 早速末松は本題に斬り込んだ。

 

「現地入りしたら完全にビジターな空気でもし勝とうもんなら周りは敵、敵、敵……」

 

「ち、違うよ。敵はライスなんだよ。やっぱりライスはヒールなんだ……」

 

「でも、ミホノブルボンさんやトウカイテイオーさんが、ライスさんはヒーローだって言ってくれたって聞きましたよ?」

 

 ジュースを一口飲んでからライスが答えた。

 

「うん。あの時は……あの時はそういってくれたけど、やっぱり他のみんなはマックイーンさんに勝ってほしくて、ライスは勝っちゃいけないんだよ」

 

「でも、ライスさんが天皇賞に出たくないのって、メジロマックイーンさんは強くて勝てないから出ても意味ないってのじゃなくて、出たらメジロマックイーンさんに勝つから、ライスさんが勝つとみんなが悲しむから、だから出たくない。ってことなんですよね?」

 

 意外にもマックイーンがテイオーと話していた発言内容と非常に酷似したことを末松はライスに聞いたのである。

 

「うん、ブルボンさんとテイオーさんに言われたあとも、マックイーンさんに勝つために出来ることは全部やったつもりだから、出たら勝つと思うよ」

 

 末松は少し困った表情を浮かべながら夜空を見上げた。

 

「はぁー……やっぱ人間とウマ娘って身体だけじゃなくて頭の『つくり』も違うわ。これ、俺の嫌いな言葉だから出来りゃ言いたかなかったんだけどさあ、ライスさんって『いいなぁ』」




 書いていてブルボンはもっと察しが悪いほうじゃないかと思ったり、逆にスペちゃんはもっと察せるんじゃないかと思ったりまだ至らないところが多いなと考えさせられます。

 ですがそれを言うならそもそも決意を新たに漲らせるライスが町中の広告がマックイーンしかなくて自分が完全アウェーだと錯覚する状況に気を病んで宿舎から行方不明になる展開に無理があるのですが、ライスの決意を揺るがすほど京都の町がマックイーンに溢れ、天皇賞の話をする大衆の口からもマックイーンの名前しか出てこないほどの偏向した異常な事態が発生しているとお考えいただければと思います。

 ここの話は書き始めた当初から書きたい内容の1つだったのでキャラ崩壊や原作崩壊と指摘を受けても書き進めたいシーンなのです。

 アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書きをお読みいただければとおもいます。

今後の高知実業(ストーリー展開)の方針

  • 目指せ!全国制覇!
  • 目指せ!模範的高校生スポーツマン!
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