ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園   作:コンスタンチノープル

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 サトノ家のモデルとなっている企業は社会人野球のチームを持っているので作中にサトノの名を冠した社会人野球チームを出すのは考えているのですが、華麗なる一族はモデルである実際の競走馬の牧場は野球とは関係ないのですが、華麗なる一族という名前の由来となった小説の主人公たちの家である財閥の傘下にある特殊鋼メーカーのモデルとなった企業も都市対抗野球に3回出場しベスト8に進出したこともあり、プロ野球選手を輩出し、逆にプロ野球でプレーしていた選手が引退後に所属していたり監督をしていたこともある強豪野球部が存在しました。

 今その企業自体の野球部はなくなってしまったのですが、その企業を子会社化した世界的な鉄鋼メーカーは全国に7チーム野球部を持っていて、現在廃部になったチームを合わせると10の野球部を北は北海道から南は九州まで全国に持っています。しかもただ持っているだけではなく、10のチーム全てが社会人野球の主要な全国大会で最低でもベスト8以上には進出しており、中にはプロ野球やメジャーリーグで伝説的な大活躍をしたレジェンドといって相違ない名選手を輩出したチームもある社会人野球屈指の名門野球部をいくつも保有する世界的大企業です。

 なので華麗なる一族が野球部を持っていることにするのも全然アリではあるのですが、サトノ家と違い「華麗なる一族」とだけで具体的な家名が出ていないのが難しいところなのです。


第25話

 ウララも怒ったがブルボンも怒りに満ちた鋭い眼光を末松にぶつける。そのつもりはなかったが詫びることなく自身の言葉について解説する。

 

「ライスさんだけがヒーローになるべき存在ではないと思います。貴女だってクラシック二冠は充分ヒーロー足り得る蹄跡を残したと思います。2人だけじゃないです、全てのウマ娘がヒーローになるべき存在なんじゃないですか? あんたんとこの大将(シンボリルドルフ)が言ってる『全てのウマ娘が幸せに暮らせる世を』ってなあ、そういうことじゃねえんですか?」

 

「じゃあ何でライスさんに変なことを吹き込んだのですか?」

 

 ひとまず末松は誤解を解くためにライスと自分が交わした会話を話した。するとブルボンは得心がいくのであった。

 

「どうやら私たちがあの場に到着したタイミングに問題があったようですね」

 

「まっことそうで。これから締めの話に入ろうって時にウララ先生が皆さん連れてくるもんだから途中で話が終わっちゃったんです」

 

「そんな……わたしのせいでライスちゃんがわるい娘になっちゃおうとしてるなんて……」

 

 ブルボンも末松もウララのせいではないとフォローする。

 

「確かに、俺もライスさんがヒールの魅力っつうか魔性っつうかに呑まれかけている気配はここんとこのやりとりで薄々感じてたんで、ここいらで怒られんの覚悟で話しときます。俺もさっきは全てのウマ娘がヒーローになるべき存在とは言いましたが、ライスさんとはID交換した仲ってのもあって推してるウマ娘ですからこのまま世間に後ろ指さされるようなヒール一直線にはなってほしくないですからね。もし怒らしちゃったり泣かしちゃったりしてレースに影響するかもって時は、多分ライスさんのトレーナーさんがフォローすると思いますけどミホノブルボンさんからもフォローしてもらってもいいですか?」

 

「分かりました。私の以外にもロブロイさんや他にライスさんと親しい方々に話を通してフォローしてもらうようにします。ライスさんのトレーナーさんにも話しておきましょう」

 

 末松は礼を言い、迷惑をかけてしまったことを詫びて頭を下げた。

 

「大丈夫です。それから私のことはブルボンと呼んでいただいて構いません」

 

「そんな、もったいないですよ。俺ごときが」

 

「いえ、皆さんそう呼んでいますし、あなたの先ほどの『全てのウマ娘がヒーローになるべき存在』という言葉とウララさんが信頼をおく人物であるという事実を踏まえても、堅くフルネームで呼ばなくても問題ありません」

 

「ブルボンさんも末松くんとお友だちになるんだね!? やったあ!」

 

 ウララにとっては大親友であるライスと仲が良いブルボンもまた大親友である。そのブルボンが末松と仲良くなるのは喜ばしいことなのだが、一教師としてはちょっとぐらい心配してもらいたいのもまた事実である。

 

「時にブルボンさん、目的は果たしたとみますがこのままお帰りで?」

 

「いえ、マスターからオフを頂いてここに来たのでもう少し……高知レース場などを訪ねようと考えていたところです」

 

「マ、マスター?」

 

 ブルボンが自分のトレーナーのことだと説明すると末松は困惑しながらウララに尋ねた。

 

「あの……ウララ先生、ライスさんはトレーナーさんのことお姉さまって言ってましたし、トレセン学園ってそういうトコなんですか?」

 

「え? わたしはトレーナーのことはトレーナーって呼んでたよ?」

 

 ライスとブルボンが特殊なケースである。他にも特殊な例はあるがここでは割愛する。

 

「おっつ……話題が逸れちゃいましたね。もしよかったら今日、ダブルヘッダーでこの後もう1試合あるんで観てきませんか? 監督に志願して次の試合先発にしてもらうよう頼みますんで」

 

「ダメだよ末松くん。吹本先生の言ったことは守らないと」

 

 次の有田商工との試合、先発は胡で有賀と市居の継投で小豆島水産との試合でリリーフで投げた末松は登板どころか野手として出場することさえ予定されていない。

 

「ブルボンさんにカッコイイところ見せたいかもしれないけど、ムリしてケガしちゃうかもしれないからダメだよ」

 

「ウララさんの言う通りです。私1人のために強引な試合への出場はお奨めできません」

 

「いえ、実は高実(うち)の野球部ってずっと負けっぱなしなんです。去年の夏からずっと、公式戦は40年勝ってないんです。練習試合でもいいんでここいらで勝たないと空気が悪くなります。俺が流れを変えます」

 

 実際、新年度に入ってからも連戦連敗で部内には良くない空気が伝播しだしてきている。特に1年生たちの中には自分たちを試合慣れさせたり、経を積ませえるために積極的に試合に起用されていることを勝てない責任に感じている部員も少なくないのであった。

 

「うーん……わかった! じゃあ、先生もいっしょにそうだんに行くね」

 

「ありがとうございます。あブルボンさん、ちょっと……」

 

 少しウララと離れ、ブルボンと2人きりで話す。

 

「ああ言ったのも確かに事実ですけど、俺としては俺の覚悟をブルボンさんに見せたい。ってのもあったりします。まあカッコつけたいって言われても仕方ねえことってことで」

 

「分かりました。あなたの覚悟というもの、観せていただきましょう」

 

 ウララと末松がすぐに吹本に直談判すると意外なことにすんなりと認められた。

 

「ウララ先生、ちょっと」

 

「なんでしょう?」

 

 吹本がウララと末松を引き離し小声で話す。

 

「実は先に言っていた予定は元々変えるつもりで、次の試合最初から征隆に完投してもらうつもりだったんです」

 

「え~っ!? 吹本先生、ウソはよくないですよ!」

 

 あまりのことにウララが大声を発すると吹本は耳を押さえ、周囲は何事かと目をやる。

 

「大会が始まったら急なアクシデントで予定を変えなければいけないことが起こるかもしれません。そういう咄嗟の出来事に対応できるようになってもらいたかったのですが征隆から自分が投げると言ってきてしまったので私のほうが予定が変わってしまったんです」

 

「そうだったんですか。でも……えっと……」

 

「ええ、大丈夫ですよ。話を聞いたら征隆にチームを引っ張っていこうという自覚が出てきた証じゃないですか。これは良い予定外です」

 

 そんな話をウララと吹本がしている間にブルボンは試合がよく観れる好位置に陣取った。流石はクラシック二冠、三冠にも手をかけたほどのウマ娘といったところである。

 

「ウマ娘さんココをとるなんて通だね」

 

 2人の青年が話しかけてきた。

 

「あれ? もしかして、ミホノブルボンさんですか?」

 

ぎになるかもしれないので内密に、あなた方は……先ほどの試合に出ていましたね」

 

 1人は三宅(みやけ)三千郎(みちろう)といい、小豆島水産高校野球部不動のエースで4番にして「四国の麒麟児」と称され、その将来を嘱望される高校野球界屈指の豪腕豪打を誇る怪物選手である。

 

「まあこちらとしてもビッグネームが顔を揃えたこの場がぎになったら面倒ですからね」

 

 もう1人は(さくら)捌洲應(やすお)といい、ブルボンと三宅だけをビッグネームといっているのだが彼も小豆島水産野球部において三宅と双璧を成す怪腕投手にして三宅登板時はそのボールを受ける扇の要にして打っても三宅とともに中核を担う天才バッターと言う、周りに人がいれば「お前もビッグネームだ」と言われて然るべき有力選手である。

 

「せっかく末松を期待して乗り込んだはいいけど肩透かし喰らっちゃいましたからね」

 

 三宅は秘かにであるが着実に話題になりつつある末松征隆という存在と投げ合うことを楽しみにしていた。しかし蓋を開けてみれば先発は1年生の宇多田だったというわけである。

 

「全く、向こうの監督さんもわざわざ小豆島水産(うち)に来ないか誘った選手を先発にぶつけてくるなんて……まあ、話題の末松君が投げてこないんならウチが本気にならないと思ったからなんだろうけど」

 

 香川県には公立高校にも県外から越境入学することができる留学制度が存在する。宇多田は全国有数の名門校である小豆島水産から誘いを受けたほどの有力選手だったのである。櫻は宇多田と同じくピッチャーとキャッチャーをやる選手だったことから中学時代の宇多田を知ると同時に、彼が自分の在学する高校から誘われたことも知っていたのである。

 

「練習試合とはいえ小豆島水産(うち)を2点に抑えるなんて、逃したものは大きいかな?」

 

「お2人はなぜ次の試合を?」

 

 ウララが周囲にもよく聞こえる声量で末松が次の試合の先発を志願していると吹本に言ったからに他ならない。3人とは別に他の小豆島水産の選手や監督、指導者たちも別の場所からこの試合の行方を観んとしている。

 

「ま、これで末松(あいつ)がホンモンかパチモンか分かるってもんなんですよ」

 

「末松さんの投げるボールはかなりの速さでは?」

 

 ブルボンも他のウマ娘たちと同様に去年の高実の試合中継を観ている。

 

「ただ速いだけじゃ、良いピッチャーとはいえないですよ。三宅(ミチ)も僕も、残念ながらさっきの試合で末松君の球を直接打席で見る機会はありませんでしたからね。対戦したやつは次元が違うなんて大層なこと言ってましたけど、上位を打ってるやつが言ったわけじゃないですから」

 

「ただ速いだけでは勝負に勝てないということでしょうか?」

 

 三宅が「そのとーり!」と言うと、ブルボンも納得がいくのであった。

 

「成程、ウマ娘(私たち)のレース相通ずるものがありますね」

 

「それに、有田商工はそんじょそこらの生半可な連中じゃない。特にあいつ(・・・)相手に互角以上のピッチングするようなら、違う地区だけど考えないと」

 

「『あいつ』とは?」

 

 櫻によれば、三宅には有田商工に激しく意識する選手がいるとのことであった。

 

あいつ(・・・)は必ず甲子園に出てくる。全国制覇を狙うには手強い相手ってことですよ」

 

 一方、高実との試合に臨む有田商工。ウォーミングアップを終え、そのベンチで監督がスターティングメンバーを選手たちに発表していた。




 ここからウララ成分が減ってしまう展開を考えているのでどうやってウララを供給するかが悩みどころ。

 アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書きをお読みいただければとおもいます。

今後の高知実業(ストーリー展開)の方針

  • 目指せ!全国制覇!
  • 目指せ!模範的高校生スポーツマン!
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