ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園 作:コンスタンチノープル
吹本先生が監督を続けるパターンは勿論考えていますが、新しい監督がやってくるパターンも考えていて、モチーフにする人物の候補も絞っております。
とりあえず、ウララが野球部の監督になる可能性は今の所全然考えていません。
必死に背走する舘、ギリギリという所で左腕を目一杯伸ばす。
「アウト!」
舘の伸ばしたグラブの先端、零れ落ちそうな寸でのところ、いや半分近くボールはグラブから出ていたがなんとか捕球した。
「あっぶねー……高鶴さんと違って
藤は肝を潰した。しかし実際の所、そんな暇はない。
「あれ?
5番バッターの渥美は木製バットを手に打席に入った。
「高校野球は今年から飛びにくいバットを使うようルールが変わりましたから、木製バットを使う選手も中にはいるとのことですよ」
レイチェルは意外とこの手の情報に明るい。
「台湾じゃ、1年生までしか金属バットで試合に出れないです」
「そう、2年に上がったら木製バットしか使えません」
「あと……確か、韓国も木のバットしか使えないって聞きました」
台湾からの留学生組は勿論知っている。日本は高校までは金属バットを使えるのに対して、台湾と韓国は高校生から木製バットの使用が義務付けられている。台湾は1年生のみ出場する大会によっては金属バットの使用が認められることもあるがあくまで1年生のみである。その1年間のうちに木製バットに適応しないと2年生以降は金属バットの使用は認められていないのである。
「へぇ~、なんだかプロ野球選手みたいだね!」
「日本の高校野球で木製バットを使う選手は珍しいです。国際試合では木製しか使用できないので日本代表は苦労しています。ウマ娘で例えるなら、海外遠征で向こうの芝に苦労するようなものでしょうかね」
ウララはダートが主戦場だったためその例えでは分からなかった。
「渥美さんは
藤は渥美が得意とされている、腰の高さのアウトコースにシュートを要求した。末松は藤の思い切ったリードに一度首を横に振ったが、藤が譲らず同じボールを要求したので今度は頷きピッチングモーションを起こす。
「っ!」
乾いた木製バットの打球音が鳴る。打球はレフトフェンス上部へのファウル、あと数十cm高ければ場外に飛び出ていた特大のライナーであった。
「渥美君は
「高校野球の選手がそのような異名をとるというのは大変珍しいケースではありませんか?」
櫻がブルボンに渥美の解説をしている。「紀伊の虎」という異名は高校でついたものではない。
「んや、中学ん時からそう呼ばれてんの。U-15、中学生の日本代表に選ばれて出た大会でガンガン打ちまくったから着いたんだよ」
「成程」
一方藤は次のボールについて思案を巡らせていた。
「得意なコースでカウント獲れたから余裕がある。低めのボールになるカーブで」
今度は1回で藤のサインに頷きピッチングモーションにはいる。ボールは初球よりやや低めのコースから曲がるカーブ。ボールに外しきれていないので失投といっていい。
「うおっ!?」
強烈な打球がワンバウンドでセカンドの高海を襲う。なんとか処理してセカンドゴロで2アウト。
「取り敢えず、これまでの成果が出ているといっていいでしょうな」
「どういうことですか?」
ウララは吹本の言葉の意図が理解らなかった。
「先ほどのセンターフライも、今のセカンドゴロも、入学当初の彼等でならアウトに出来なかったでしょう。練習試合に積極的に出場させてきた効果でしょう」
「つまりみんな上手くなってるってことですね!? すごいすごい! みんな~がんばれー!」
打席には件の
「さて、お手並み拝見」
「はい、そうですね」
ブルボン自体は野球についてそこまで詳しいわけではないが、以前マックイーンが学園ウマチューブ公式チャンネルの配信に乱入し野球のベストナインを発表した際に、自身をクリーンナップほどは目立ちはしないが、上位打線の支援や下位打線の起点作りとして万能な活躍を求められる6番バッターとしたことから沢田石をそういう選手だと思うのであった。
「低めスプリット、ホント低めに外れてくれればコースは多少外れててもいいです」
藤のサインに頷き初球を投じた末松。要求通りスプリットが低めのボールになり、沢田石が見送って1ボール0ストライク。コースは真ん中ややアウトコース寄りといったところである。
「初球が外めだったから次はココ」
末松がサインに頷きピッチングモーションを起こす。藤の要求はインコース高めのストレート。ボールは悪くなかったが沢田石のバットに一閃される。
「っし!」
打球は鋭いライナーでセンター前に落ちるクリーンヒット。2アウトからであるが初ヒットを許した。
「末松くんのボールがかんたんに……」
「ですが
試合がもつれた展開になると練習試合ではあるが……と吹本は思考を巡らせる。一方の沢田石はファーストベース上でベースコーチに立つ日吉田にバッティンググローブを渡した。
「とんでもねえ球投げやがる。芯の近く喰ったつもりだけど痺れが半端ねぇ」
「
打席に2年生で唯一この試合スタメンに選ばれた竹野内が入る。その構えはどこにも力の入っていないような、バットも右肩に担ぐようにしたリラックスしたものであった。
「投げにくいなぁ、ああいうタイプはやり
末松はどことなくやりにくさを感じた。
「うーん、アウトコース低めにストレート」
藤のサインに頷き、ピッチングモーションを起こす末松。ボールは要求よりもやや外のボール球になった。
「っ!?」
しかしこのボールに竹野内が思い切り左足をホームベース側に踏み込ませて打ってきた。打球は3塁線へのファウルとなる。
「読まれた? 確かにオーソドックスな配球だけどあそこまで踏み込んでくるか? よし、コレだ」
末松が2球目を投じる。インコース高めのストレートである。しかし変わらず竹野内は踏み込んできた。
「成程、常に踏み込んでくるタイプか」
打球は今度も3塁側へのファウルとなった。
「よしイン攻めでいこう。コレで」
藤のサインはインコース低めのストレート。末松は頷きピッチングモーションに入る。
「よしきた!」
「アウト!」
打球はサード真正面への平凡なゴロ。滝山が難なく捌き3アウト目を取りこのイニングの守りが終わった。
「ナイスプレー! みんなかっこよかったよ!」
ウララが選手たちを称える。
「まだ序盤だから気ぃ抜くんじゃねえぞ」
バッターボックスに市居が入る。
「ボール!」
「っ!」
南野が市居に2球目を投じたところでブルボンは気付いたのであった。
「もしや、あの南野さんというピッチャーは、ボールを正確に投げる技術に長けているのでしょうか?」
「おや?」
「そのとーり!」
南野魁というピッチャーの武器、それはルドルフの言葉を借りるとすれば正確無比なコントロールである。
「普通、ストレートと手持ちの変化球ではコントロールしきれないボールがあることが多いです。ですが、南野君の場合はストレートも変化球もハイクオリティなコントロールを持っているようです。どこで分かりましたか?」
「キャッチャーの選手のグローブが末松さんの時と違いそこまで大きく動いていなかったので、それで」
「流石はミホノブルボンさんだね。でも
ブルボンたちが話していると次のボールが市居の左腕に直撃した。
「ヒットバイピッチ!」
「ったぁ」
市居はバットを置きファーストへ歩き出す。
「どうして!? じゃあなんで今ボールが市居くんに当たったんですか!?」
ウララにも吹本から同様の話がなされていた。
「それは
「どういうことですか?」
南野はストレートの他にスライダーとシュートを中心にピッチングを組み立てる。スライダーとシュートは左右反対の方向に変化するボールで特に右バッターがアウトコースのスライダーと読んで踏み込んで打ちにいったところにインコースのボールが来ると避けきれずにデッドボールになってしまう。というケースが彼には珍しくないのである。
「特に
「そうですね。そんなことするはずないですもんね」
ウララのこういう所が数多のウマ娘や人間を惹きつける魅力の1つなのだと吹本やベンチにいる高実の部員たちは思うのであった。
「よーし! 末松くーん、かっとばせー!」
初球、南野は躊躇なくインコースから更に懐をエグる厳しいスライダーを投じてきた。ブルボンに三宅が思う彼最大の武器について解説する。
「あーやってぶつけた後、すぐに何の迷いもなく身体に近いトコエグってくる度胸の強さ。アレが南野ってヤツの1番の武器さ」
「確かに攻め続ける姿勢を崩さない精神の強さは大きな武器でしょうね」
「おや? ミホノブルボンさんには何かお考えのようで?」
今まさにトゥインクル・シリーズの最前線で活躍するブルボンには思うところがあった。
「攻めの一手のみではそのうち行き詰まってしまうかと考えられます。
「なーるー」
「ですが、同じ距離でも天候によってバ場の状態は変化します。レースによって右回りで行うか左回りで行うかの違いや、レース場によっては坂があるところもあります。他のウマ娘たちにブロックされたり、自分の過失ですが出遅れることだってあります。そういった不測の事態に対応するためでは一手だけではなく、駆け引きが出来なくてはならないと考えています。ましてや高校野球の公式大会は常に一発勝負のトーナメント方式と聞きます。不測の事態に対処しきれず負けてしまったでは済まないのでは?」
「ああ、それについては
練習試合ですが強豪相手なので練習試合ですから延長戦は無いのですが前書いた夏の予選より長丁場になるかもしれません。
アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書きをお読みいただければとおもいます。
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