ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園   作:コンスタンチノープル

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 遅くなり申し訳ございません。ハーメルン以外のプラットフォームでの活動が忙しく、今後のこの作品のストーリー展開について色々情報を集めたり話し込んでいたりしていました。

 3月ごろまでは忙しくなってしまうので更新が遅くなることが増えると思います。

 遅くなりがちですが感想でもメッセージでも可能な限り答えますし、メッセージを頂いた方にはわたくしのほうから言っていくこともあるかと思います。


第37話

「勝った勝った~!」

 

 無邪気に喜ぶウララは満面の笑み、高実の部員たちはグラウンド整備を終えて小豆島水産と有田商工の選手たちと話している。また、少し離れた場所では吹本がそれぞれの高校の監督たちと談笑している。

 

「甲子園じゃ今日みたいにはいかねえからな」

 

「絶対出てこいよ。楽しみにしてるから」

 

 高鶴と沢田石は再戦を期待している。

 

「まずは功董に勝たないと」

 

末松(お前)なら功董でも折れる。ぼちぼち他の高知代表とやりたい」

 

 沢田石もなんだかんだ末松の実力を認めている。

 

「有田商工相手に奪三振16で1失点完投か……」

 

「ただのいいピッチングじゃないよ。4回3アウト目からの16アウトの内、15個が三振。途中でヒットやデッドボールでランナーは出したから連続で()ったのは3つだけだけどフォアボールはゼロ、後半いくほど手が付けられないって感じだったね。これはちょっと、考えを改めないといけないね」

 

「といいますと?」

 

 三宅と櫻は輪の中に行こうとせず、まだブルボンと話している。

 

「甲子園には功董学館というチームが春夏9大会連続高知代表で出場しているので普通は功董の対策を練るのが普通です。ですがそれでも勝負に絶対はないです。高知には他にも瑛北義塾や桂浜水産という功董に並ぶチームがあるのでそこにも対策を講じておくことも普通です」

 

「成程」

 

「今日の末松君()のピッチングなどを加味すれば、高知実業も要注意チームに加えるべきということです」

 

 ブルボンはこの点はライスとは別の勝負観であると思うのであった。

 

「ま、この試合実際に観なかった連中は練習試合だし参考になんねえって言うだろうけど観た奴は違う。観てんのにそれがわかんねえ奴は最低でも小豆島水産(ウチ)有田商工(連中)にはいねえよ。ミホノブルボンさんも理解ったクチ?」

 

「ええ、練習試合が100%の力を出すことは稀であると言うのであれば、その100%に近い力を相手が出さざるを得ないパフォーマンスをした末松さんの実力はかなりのもの。ということですね?」

 

「それは確かに言えることだけど、今日のピッチングがマックスだっていうんなら、夏当たった時は小豆島水産(うち)なら末松君を打ち崩せるよ。必ず、間違いなくね。さミチ、僕たちも行こうか」

 

 この勝利に慢心し、実力を磨くのを怠るか。それとも末松征隆という選手は今の実力で頭打ちであるというのであれば自分たちが夏の甲子園で対戦する時には必ず勝つという櫻の言葉には、自分たちも夏に向けてやるべきことをやり尽くすという決意をブルボンは感じ取り、2人と別れた。

 

「末松さん」

 

 2人と別れたブルボンは、ぎになるのを避けるために小豆島水産と有田商工の関係者たちやギャラリーが去るのを待ってから末松に声を掛けた。

 

「あ、ブルボンさん! さっきの試合みた? すごかったよね!?」

 

 ウララは本当に自分のことのように爛々と話すのでブルボンも思わず顔がほころぶ。周囲だけではなく時に自分でも自分の事を「サイボーグ」と称したり、酷い時は「情緒1年生」と揶揄されるほど表情の変化に乏しい彼女を微笑ませるのは流石ウララと思うがそれだけではない。

 

「ええ、観させて頂きました。末松さん、貴方の『覚悟』は充分伝わりました」

 

 実際は割とノリノリで黒沼トレーナーにメカジョークを披露したり、達成することこそ叶わなかったものの、クラシック三冠を目指した意志や情熱などは他のウマ娘を超えるものを持っているといっても過言ではない。

 

「え? カクゴってなんのこと?」

 

 ウララのこの問いにブルボンはどう答えるか迷った。彼女もウララが教職に就くほどの努力は重ねたことは無論理解しているのだが、同時にウララが少しでも難しい言葉の理解力や語彙力が低いことも理解しているのでどのように説明することが適切か考え言葉にした。

 

「……末松さんは、ウララさんに笑顔になってほしいそうです」

 

「え!? わたしいつもニコってするようにしてるよ? はい!」

 

 ニコッと笑顔を見せるウララはブルボンの言葉を理解していないようだが彼女の答えはこの場においては満点回答といって問題ない。それにしてもウララはかわいい。

 

「えーっと……」

 

 ライスにはウララを歓涙(感涙)させると言ったが、この場でウララを泣かせると言えばそれこそウララはその意味を理解できないだろうと末松は思ったので訂正しなかった。

 

「末松さん、今日の勝利は貴方のステータスを『追う者』から『追われる者』に変更させると思われます。より一層の研鑽に励まれるべきでしょう」

 

「けんさん……?」

 

 しまったと思うブルボンだったがこれについてはすぐにウララでも理解できる言葉を持ち合わせていた。

 

「……『トレーニング頑張ってください』、ということです」

 

「だいじょうぶだよ! みんな日本一目指していつもがんばってるから!」

 

 どうやら自分の言葉は不要だったとブルボンはウララたちと別れた。

 

「じゃあまたねー!」

 

 なお、ブルボンも黒沼トレーナーに電話で了承を得て末松とLANEのIDを交換した。

 

「あ、そうだ!」

 

「先生どうしたんですか?」

 

「聞きたいことがあったんだ。末松くん、先に行ってて」

 

 そういうとウララは末松を先に行かせ、帰り支度をしている有田商工の監督、伊藤の下を訪れた。

 

「変わった匂い、ですか……」

 

「はい! はちみー屋さんのはちみつレモンドリンクみたいな匂いがしたんです!」

 

 試合中に感じた「匂い」について、どうしても確かめたかったのである。

 

「流石、ウマ娘とあっては敵いませんな」

 

「じゃあ!」

 

 ウララの嗅ぎとった匂いの正体、それは伊藤が独自の調合で作らせている有田商工野球部秘伝のスペシャルドリンクであった。

 

「ハルウララ先生は中央のトゥインクル・シリーズで走っていたほどですから、その頃は風邪をひいても街のドラッグストアで売っている市販の風邪薬を勝手に購入して飲むようなことはするなといわれていたと思います」

 

「うーん……あ、そういえば!」

 

 日本の野球界は特別この面に疎いのだが海外球界や他のスポーツではアンチドーピングの観点から自己判断で勝手に風邪薬などの市販薬やサプリメントなどを購入し、服用することはご法度とされている。昔のウマ娘界は謎の厳しさがあり、カフェインもNGだったためコーヒー紅茶やチョコレートもご法度だった時代がある。アグネスタキオンとマンハッタンカフェが聞いたら卒倒するに違いない。

 

「えっと……じゃあそのスペシャルドリンクの作りかた、おしえてくれませんか?」

 

「教えてと言われましても……」

 

 一応門外不出ではあるため教えるか迷った。

 

「おねがい……ダメ?」

 

「う~ん……いいでしょう!」

 

 ウララから上目遣いでおねだりされて断れる者はいない。仮にいるとしてもそれは真にウララのことを思う者であろう。

 

「ありがとうございます!」

 

「いえいえ。それで、基本的には蜂蜜とレモン汁を混ぜて水で解いたものです。分量は……」

 

 伊藤はメモ帳にそれぞれの分量を書き記し、ウララに手渡した。

 

「これは他の学校には秘密にしておいてください」

 

「わかりました! ほかに試合のとちゅうにおやつとか食べたりもするんですか?」

 

「おやつ……ではないですが、あまり特別なものは食べさせないように、試合の合間にバナナやチョコレートを食べさせています」

 

 ウララはちゃんとお礼を言って校舎へ向かった。吹本と野球部員たちは視聴覚室で反省会の準備をしている。

 

「ただいまー」

 

「あ、ウララ先生。どうぞこちらへ」

 

 さされた椅子に座った。

 

「じゃあぼちぼち始めよう。ウララ先生、例の匂いの正体は何かわかりましたか?」

 

「はい! モチロンです!」

 

 早速ウララは伊藤から教えてもらったスペシャルドリンクについて話すのであった。

 

「レシピももらいました! はい」

 

「ありがとうございます。レイチェル、これを次から作ってもらえるか?」

 

「はい、わかりました」

 

 ウララは更に間食のことも伝えようとしたのだが……

 

「えーっとあと、試合の途中に、えっと、えっとねー、そう! にんじんぷりん食べてるって!」

 

「うん……?」

 

 困惑する一同、よくよく聞いてようやくバナナとチョコレートだと理解するまで15分を要した。

 

「それで今日の試合、勝ったことは喜ぶべきだが同時に相手から学ぶこともあった。具体的には守備だ」

 

 それは8回裏の碓井のセーフティバントの構えに対する有田商工の守備についてであった。

 

「名門と呼ばれているチームは、1つ1つのプレーを成立させるために選手全員が『今自分が何をすることがベストか』常に考え動く。守備だけではない、攻撃もだ。その点については3回に先制点を獲るに至る一連の流れは見事だった」

 

「うん! みんなすごかったよ!!」

 

 ウララに褒められ一同嬉しい。

 

「それと、これも今後の課題だが全員力不足は否めないところだと思う」

 

「そんな! みんながんばったじゃないですか!?」

 

 みんなどこへ出しても恥ずかしくない自慢の生徒であると反論するウララだったが吹本はことはどこのチームでもあることであるが重大であると言う。

 

「1、2年生が3年生よりも体力や力の面で劣ってしまうのはしょうがないことですからね」

 

「ウララ先生、3年生は1、2年生よりも1年も2年も沢山頑張っているんだから1、2年生よりも力がついているってことです」

 

 レイチェルの説明はウララにとっても分かりやすいものであった。

 

「特に8回の北沢のレフトフライは完璧に捉えてはいたが純粋に力負けしたんだ。征隆も9回完投して3者凡退で抑えたのが初回と7回だけ、うち得点圏にランナーを背負ったのが5回ある1失点に抑えはしたがお前ならもっと良い投球ができる」

 

「ええ、やってやりますよ」

 

 並みのピッチャーなら9回完投して16奪三振1失点、与えたフォアボール0は称賛されるべき快()乱麻のピッチングである。しかし末松征隆というピッチャーのポテンシャルはそこに留まるべきものではない。

 

「今後、大まかな練習は守備の連係と体力の向上をメインにしていく。夏に向けて励むように」

 

「はい!」

 

 こうして今後の目標を決めてこの日の練習試合を終えるのであった。




 実は有田商工との対戦は試合後にこのスペシャルドリンクや試合中の補食について知るためであったといっても過言ではないのです。

 そのためにも伊藤喬監督は必ず出すと決めていたキャラクターです。練習試合ということもあり、試合中はあまり目立つキャラを立てられませんでしたがなんだかんだ目標は達することができました。

 アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書きをお読みいただければとおもいます。

今後の高知実業(ストーリー展開)の方針

  • 目指せ!全国制覇!
  • 目指せ!模範的高校生スポーツマン!
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