ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園   作:コンスタンチノープル

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 二刀流の新入部員を多く入部させると言うアンケート結果を基に新入部員のモチーフになる選手を決定したのですが、偶然にも浅香君のモチーフにした方は全国屈指の進学校出身だったので使わない手はないですね。

 天童君と羽鳥君のモチーフにした方も結構な進学校出身だったり。


第40話

 会見後、すぐの野球部。練習を前に部員たちが集まっている。

 

「で、これからの事なんだけど……」

 

 主宰は有賀、唯一の3年生で主将なので当然といえば当然である。

 

「有賀さんはまだいいですけど、2年生(おれたち)はまだ1年、1年生(こいつら)は2年ありますからね」

 

「そう言ってくれるな。3年生(こっち)だってこれから厳しくなるかもしんないんだから」

 

「でも今更勉強って言われたってどうしろってんだよ」

 

 部員たちの懸案事項は今後、授業が難しいものになり、定期テストなども厳しくなるという事である。

 

「ていうか景賀たちはいいのかよ!?」

 

 高海たち1年生の心配は台湾からの留学生たちは大丈夫なのかという事である。

 

「いや、オレたちは大丈夫」

 

「学業には自信アリ」

 

 南部校長の人脈でこの高実に留学してきたわけで、台湾からの留学生3人は問題ない。むしろ学業優秀者のほうである。

 

「しょうがない。俺が勉強教えましょう」

 

「え? 天童お前……」

 

 天童裕次郎。先日行われた1学期中間テスト、学年21位。

 

「俺も協力しましょう」

 

 羽鳥弘嗣。同じく1学期中間テスト、学年10位。

 

「おいお前もやるんだよ」

 

「分かったって」

 

 浅香任三郎。同じく1学期中間テスト、学年7位。

 

「え!? おまえらそんなに頭良かったの?」

 

「私立いったら野球野球で勉強する暇ないと思ってそれで高実(ここ)選んだぐらいで」

 

「俺は折角勉強できるんだから野球で進学して野球バカになるなって親に功董や瑛北なんかの学校案内捨てられました」

 

「俺はヤング入りたいって親に言ったら目だって断られました」

 

 なんだかんだこの3人は似通った中学時代を過ごして高実に進学してきたようである。

 

「先生からは卒業後も野球を続けたいんなら就職じゃなくて進学が絶対良いって言われました」

 

「まあ勿論勉強サボらないことって言われましたけどね」

 

 天童と羽鳥は今のまま文武両道に励めば関東や関西の野球部が名門・強豪と云われている難関私立大学にも一般入試で入れるレベルだと言われたようである。

 

「俺は野球を続けたいんなら東江大学(東大)京師大学(京大)の野球部も視野に入れて勉強も頑張ってくれって頼まれました」

 

 基本的に東江(とうこう)大野球部も京師(けいし)大野球部もそれぞれのリーグ戦では最下位が定位置である。東大野球部などリーグ戦で1勝したことが全国ニュースになるほど常時厳しい戦いを強いられている。しかし国立大学の野球部としてその強さはこの2校が抜きん出ており、常に名門・強豪の私立大学を相手にアップセットを狙って闘いを挑み続けることには大きなやりがいがあるといわれた。

 

「目指してみるのもアリですかね。みんなに教えるのも自分の勉強になることがあるんで俺は全然いいです。これから頑張っていきましょう」

 

 何はともあれ全員1年生だが学業優秀者が6人もいるという僥倖。皆協力してくれるというので今後、野球部で独自に集まり勉強会を開催していくという方針を固めて吹本とウララに提案した。

 

「うむ、今後学業について厳しくしていくと校長先生が方針を打ち出しているから概ね賛成だ。やる日を決めたら前もって教えてくれ。空いている教室が使えたら利用できるよう頼んでみよう」

 

「みんなできょーりょくして勉強するんだね! きっとたのしいと思うよ!」

 

 みんな勉強だから楽しいものではないとは思ったがツッコまない優しさがあった。

 

「あ、そうだ! みんな! こんどおよばれどうですかっておさそいがきたよ!」

 

 学校や吹本ではなくウララに野球部の用事で連絡が来るのは一体どういうことかと一同疑問に思った。学校も理由を把握すると遠征費などの諸経費を向こうが持ってくれるということもありぜひ行ってこいということになりこの誘いを受けることになった。

 

「いいのかよ……練習試合ごときで保土ケ谷球場なんか使って」

 

 5月ももう終わりが近くなったある週末、高実野球部が誘われてやってきたのは神奈川県立保土ケ谷公園硬式野球場。高校野球全地区の中でも「神奈川を制する者は全国を制す」という格言が生まれるほど全国屈指の激戦区である神奈川において、大会の際には実質的なメイン球場として使われる。

 

 収容人数15,000人近くと、アマチュアの試合をメインに使用される球場としては大きなこの球場でもカードによっては満員札止めになり、場外にTVモニターを設置して観戦してもらうことがあったほど神奈川は全国的な強豪校も多く、高校野球人気が高い。

 

 独立リーグの試合でも使用されることのあるこの球場に、どこで聞いたか知らないが少なくない観客が入っていた。

 

「今日はダブルヘッダー、初戦は横浜紫桜(しおう)、2戦目は光陰(こういん)学園だ」

 

 2校とも甲子園出場経があり、プロ野球選手を数多く輩出している神奈川屈指の強豪校である。

 

「紫桜との試合は有賀、光陰との試合は紫電が先発だ」

 

「え? 末松先輩じゃないんですか?」

 

 吹本の言葉に問う加納の言葉は彼だけのものではなく、他の部員たちの疑問を代弁したものといっていい。

 

「2人が投げることが、このおよばれのこーかんじょーけんなんだよ!」

 

 元気よく答えるウララにどういうことかと思っていると吹本が件の2人をベンチ裏に呼び出した。

 

「有賀、紫電。2人ともこの試合、甲子園を懸けた試合のつもりで投げてくれ」

 

「どういうことですか?」

 

 市居の疑問は至極真っ当なものである。

 

「詳しいことは言わないつもりだが、2人にとって今後を左右する試合だということだけ伝えておく」

 

「……分かりました」

 

 有賀は察した。

 

「でもそれなら緊張しますね」

 

 そういうと、有賀はベンチへ戻り初戦の先発に向け準備を始める。

 

「2人とも完投するつもりで投げてくれ。そのつもりで投げさせる」

 

「有賀くん市居くん! がんばってね!」

 

 運命の試合を迎えるその保土ケ谷球場のバックネット裏プレススペースに2人のウマ娘の姿があった。

 

 練習試合を終え、市居は7回1失点、有賀は8回2失点と充分な好投をみせた。2試合を終えて帰り支度を終えようかという所で試合を見つめていたその2人のウマ娘が声をかけてきた。

 

「お初にお目にかかります」

 

「あ、どうも……」

 

「話しがあるのでこちらへ」

 

 2人ともまだ本格化が始まっていない幼いウマ娘だったが、その身に着けている衣服などからどうやら名家の者であることが推測できる。

 

「さて、早速本題に入らせていただきます。有賀幸一さん、市居紫電さん……」

 

 淡い鹿毛のウマ娘がそういうとその場に緊張の糸が張り詰めた。

 

「――採用です」

 

 手を合わせながら淡い鹿毛のウマ娘が意味不明な言葉を口にする。

 

「え?」

 

「は?」

 

「やったぁ!」

 

 ついてきていた事情を知っているウララが妙に喜ぶ。

 

「採用っ! あなたが……あなたたちが私たちのエース! 私たちの探していた、念願のエースです。ですから採用っ!」

 

「ちょっと何言ってるか分からないんですけど」

 

「ウララ先生、これは一体どういうことですか」

 

 2人の困惑は至極真っ当、当然のことである。

 

「もうダイヤ、2人とも困ってるじゃない。ちゃんと順序立てて話しなさい」

 

 もう1人の黒鹿毛のウマ娘からダイヤと呼ばれた淡い鹿毛のウマ娘が黒鹿毛のウマ娘とともに改めて自己紹介をする。

 

「申し訳ありません、取り乱してしまいました。私、サトノダイヤモンドと申します。ダイヤと呼んでください」

 

「私はサトノクラウン、クラウンって呼んでくれていいわ」

 

「あの……それで、採用というのは……」

 

 2人が名乗ってもダイヤの言った「採用」という言葉の意味が分からない。あまりにも突然のことだったからである。

 

「お2人とも、わがサトノの野球部に採用ということです」

 

「サトノ……サトノ家っ!?」

 

 サトノ家。シンボリ家やメジロ家などに匹敵するウマ娘界新進気鋭の名家でURAへの運営協力や慈善事業といったレースの文化発展に多大な貢献している世界でも有数の一大コンツェルンである。

 

 メジロ家などと比べるとまだ歴史の浅い新興の家系ではあるが、競走ウマ娘界の発展に並々ならぬ力を注いでいる、それと同時に人間においてもプロバスケットボールチームやプロダンスチーム、アマチュアの社会人野球企業チームやウマ娘と人間が同じフィールドでプレーするものでいえば競技麻雀のプロチームなどを保有している。

 

 野球部も21世紀になってから創部された歴史の浅いチームであるが、主要大会での優勝経がある。プロ野球からドラフト指名された選手が多数在籍していたこともあり、反対にプロ野球経者を選手や指導者として数多く招聘するなど活発的な活動をしている。

 

「今回の試合、お2人をサトノ野球部に迎えるべきか決めるテスト……いえ、野球ですからトライアウトですね? とさせていただきました」

 

「2人とも見事合格したってわけ」

 

「おめでとう! 有賀くん、市居くん!」

 

 誠に嬉しそうに、屈託のない笑顔で心から喜ぶウララ。

 

「有賀、折角の誘いなんだからお前は受けろ」

 

「監督」

 

 困惑する2人を吹本は諭した。

 

「有賀、厳しいことを言わせてもらうがお前の成績じゃこれから頑張っても大学進学は厳しい。スポーツ推薦をしようにも野球部での実績も乏しいからこっちも厳しい。だがこうしてお前のことを必要だと言ってくれるちゃんとしたところの野球部がある、自分の力を求められている場所で自分を磨いてみてはどうだ?」

 

「有賀くん、市居くん。まわりからひつようにされるってね……えっと、えっとね……そう! とってもいいことなんだよ!」

 

 これは生徒の進路を決める重大な決断である。有賀も市居もウララと吹本が受け持つクラスの生徒ではないが卒業後、陽の当たる真っ当な道を歩んでほしいと願うことは教師として当然のことである。

 

「……ダイヤさんとクラウンさんでしたっけ?」

 

「はい」

 

 有賀も自分の将来を決める重要な岐路になると理解し、真剣な眼差しでダイヤとクラウンを見据える。

 

「今日のピッチング見てってことですけど、今日のはたまたまかもしれません。正直俺、野球の実力はチームメイトで1コ下の末松や市居(こいつ)にも劣ると思います。そんなピッチャーをなんで欲しがるんですか?」

 

「ハァ……貴方、頭が悪いのね」

 

 クラウンが普段からは想像もつかない悪態をついたので一瞬くダイヤだったが有賀に前向きになってもらうために火を点ける意味でわざとそんなことを言ったのだと一瞬で察知してこの一言に乗る。

 

「今はそういう話をしているのではありません! それを決めるのは貴方ではありません。サトノのエースはサトノが決めます。サトノが選んだのは有賀幸一さん、貴方なんです!」

 

「分かりました。そういうことでしたら。ただ、こちらからも条件を付けさせてもらってもいいですか?」

 

 ダイヤとクラウンはスカウトされる側だというのによく言うなと思ったが有賀の要望は5月末に高校生にかけられたスカウトに対する希望としては真っ当なものであった。




 高知実業が進学校の路線でいくのは部員を少なくするための手段です。

 今後、野球部が強くなっていく過程で学校が普通の高校か世間で底辺高校と揶揄されるような偏差値の低い学校だと野球部への入部を希望する中学生がどんどん入ってきてしまいます。名門や強豪と呼ばれる私立高校だったら事前のスカウトやセレクションで選ばれた少数精鋭の部員数にもできるのですが高知実業はあくまでも公立高校なので表立ってそういう活動はやり辛いです。

 そこで学業に厳しい難関進学校にすれば入部してくる新入部員を少なく書けるという考えに至ったわけです。

 部員数を少なくしたい理由は、大人数になると名前や実力の設定に時間と労力を費やすことになるだけではなく、折角その時間と労力を費やして考えた部員たちを活かしきることができない可能性が高い、試合にベンチ入り出来る人数は限られていますから最後の大会にベンチ入りすることも叶わない部員が大勢出てくることになる、実力や性格などで他の部員と被ったりするなどして個性が死んでしまうキャラクターが大量に出てくる、つまり無に産んで犬死にさせるだけのキャラクターが沢山出てきてしまうのでそれを避けたいと思ったわけです。

 そういった部員たちを活かそうと思うと話が間延びしたりしてハルウララやウマ娘の成分が薄くなってしまうのでそれは皆様が望まれるところではないと判断したためです。

 アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書き、第39話の後書きをお読みいただければとおもいます。

今後の高知実業(ストーリー展開)の方針

  • 目指せ!全国制覇!
  • 目指せ!模範的高校生スポーツマン!
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