ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園 作:コンスタンチノープル
なのですが難点としては現時点でわたくしがシンコウウインディをサポカでしか所持しておらず、まだ育成できていないこと。元のキャラが分からなければ崩壊させようがないですからね。
「最後の大会に出させてもらってもいいですか?」
「そんなこと? 別に構わないわよ」
有賀の要望とは残り2ヶ月に迫った最後の夏の大会に出場させてほしいというものであった。
日本の高校野球でそんなことはほぼないが、メジャーリーグではトレードで獲得する側の球団がその選手が今いる球団に対してトレードの成立と公示までの1試合か2試合ほどの出場をさせないでほしいというケースは珍しいことではない。
「なら最後の夏、不甲斐ない成績だったり、怪我してプレーできなくなったら遠慮なく内定取り消しにしてくれていいですから」
「その言葉、ますます気に入ったわ。是非あなたにサトノのユニフォームを着てもらいたいわ」
どうやらクラウンは気に入ったようである。
「それで、市居さん。あなたはどうされますか?」
市居はかなり神妙な面持ちである。
「大変ありがたい話ですけど。お断りしようと思います」
「っ!」
「えっ!? どうして! なんで!?」
ウララは今にも泣き出しそうな顔になる。
「まだ2年だっていうのもありますけど……というかウララ先生は知ってますよね? 俺に野球部入ってもらいたいって家に来た時に」
「え?……ああーっ!!」
ウララは市居の姉、零がまだ成人していない姉弟たちは大学まで卒業させると言っていたことを思い出した。
「そういう訳ですから大学目指しているのでスカウトは大変光栄なお話ですがお断りさせていただこうかと」
「そ、そんな! ダイヤちゃん、クラウンちゃん! 市居くんは大学を卒業するまで待ってもらってもいーい!?」
市居と吹本はそんな都合の良い話通るわけないだろうと頭を押さえた。
「構わないわ。サトノとしても大学で実績を挙げた選手を迎え入れれば野球部に箔がつくものよ」
「市居さん、あなたの家の家計が苦しいと言う事情はこちらも把握しています。よろしければあなたの大学進学にあたって必要になる学費や寮費などの一部をサトノ家で負担させていただいてもいいんですよ?」
「いやちょっと待ってくださいよ。どうして2人はそこまで……甘いっていうか、俺たちに肩入れってか……入れ込むんですか?」
本当に理解に苦しむといってもいい、百歩譲って一旦大学に行ってもらうまではこれまで社会人野球やプロ野球のスカウトがとったことがあると言われているが大学に掛かる費用の一部をもつまでいくと、いくらサトノ家といってもおかしいといわれても仕方がない。ましてや誰も触れていないがクラウンに至っては市居が大学野球でも活躍することが当たり前ともとれる発言をしている。
「なんで、と言われましても……」
「そうね……ねえ」
クラウンは次に思いもよらない言葉を口にした。
「……2人とも。あなたたちは……海の向こうに興味はあるかしら?」
「うぇっ!?」
「えーっと……」
まさに青天の霹靂、最早異世界ファンタジーの魔物の巣窟の如く絶え間ないゲリラ雷雨のような落雷である。
「俺たち、普段高知ですから、ここが既に海の向こうってわけで……」
ここでこのジョークをかませる有賀は中々のメンタル強者といっていいかもしれない。
「いえ、私たちが言っているのは瀬戸内海のことではなくてですね……」
「ちょっとダイヤ!?」
「いやあの、冗談だと思いますから」
その冗談にこの反応をするダイヤもある意味では
「分かってますよ。でも本気には聞こえなくって、
「俺だってそうですよ。メジャーはユキちcy……末松君が光る舞台です。俺程度じゃ精々海の向こうっていったら韓国か台湾、近いとこメキシコぐらいなもんですよ」
過小評価ではない、むしろこれでも大きく出ているほうだと言っていいほど有賀と市居の高校野球における実績は無いに等しい。
「そんなことありませんよ? 私はお2人にもメジャーリーグの舞台に立てる可能性があると感じました」
「ダイヤは香港と日本の二拠点生活をしている私よりもよっぽど野球に触れる機会はあるから眼は確かよ」
「あ! もしや、野球は学生の間だけと考えていたんでしょうか!? そんなこと勿体ないです!」
「えっ!? 2人とも学校そつぎょうしたら野球やめちゃうの!?」
突如降ってわいた話だが市居はまだしも有賀は自分が野球で進路が決まるとは思ってもみなかった。
「私とクラちゃんには破るべきジンクスがあります。お2人もご存知のことと思います」
「え? ジンクスってなんのこと?」
ただ一介の高校生、それも人間の男性である有賀と市居、それとこの場に同席している吹本にも「サトノのウマ娘はGⅠでは勝てない」という「ジンクス」の事は広く知られている。むしろ「ジンクス」という表現さえ優しいほうの表現で、一部では「呪い」や「呪縛」などという言い方をされることもある。この場合、ウララが世事に疎いというのが合っている。だがウララはそんなジンクスを気にするような狭い度量では当然ない。
「私もクラちゃんもまだ、トレセン学園への入学は先のことですが、きっとこのジンクスは私とクラちゃんの2人で破ってみせます」
「だけど、このジンクスを世間で堅いものにしたのは、野球部も1つの理由ではあるのよ?」
「え? どういうこと?」
元からサトノ家のウマ娘はGⅠで勝てずに一族皆苦杯を喫する思いが続いている。そこへきて野球部やバスケットボールチームが大会で優勝したので「サトノ家のウマ娘は」というのがより強調されてしまう結果となっているのである。
「ですが野球部も同じサトノです。その優勝を願わないということは、有り得ない選択です」
「確かにサトノ野球部は大会で優勝したことはあるけど、3大大会での優勝はまだないの」
高校野球で例えるなら春季地区大会や秋季府県大会での優勝経験はあるが春夏の甲子園や秋季都大会、道大会、地区大会、それ以上の明治神宮大会、国民スポーツ大会での優勝経験はないという表現が合っているだろう。
「お2人もサトノ野球部に在籍する間は3大大会、中でも2大ビッグタイトルと称される『都市対抗』と『日本選手権』の優勝は至上命題としてプレーしてもらうつもりです。ですが、サトノ野球部にはもう1つ悲願があります」
「都市対抗や日本選手権で優勝するぐらいの悲願なんてあるんですか?」
それは野望ともいえる大願であった。
「サトノから、メジャーリーグで活躍する選手を輩出することです。有賀さん市居さん、お2人にはその可能性を感じたんです」
ただメジャーリーグで「プレー」する選手を輩出するのではない。メジャーリーグで「活躍」する選手を輩出したいというのである。これは並みのことではいかない。
「プロ野球で活躍する選手は既に輩出しているのでとなると次はメジャーリーグです」
サトノ野球部から日本プロ野球に進んだ選手で、首位打者のタイトルを何度も獲得した球界屈指のアベレージヒッターがいる。過去に「プロ野球で活躍する選手を輩出する」という目標を掲げていれば、この選手が達成したことになるのは間違いない。
「そんな重たいもの俺たちじゃ背負いきれませんって」
「お2人はご自分の実力を軽んじすぎていらっしゃるかと」
「ダイヤさんとクラウンさんが買い被りすぎなんですよ」
「かい……かぶ……? なんでカブさんを買うことになるの?」
吹本がウララに買い被るの意味を説明するとウララはぷんすこ! と怒った。
「そんなことないよ! 有賀くんも市居くんもすごい選手だよ! ストレートは『びゅーんっ!』っていうし、へんかきゅうは『ぎゅいーんっ!』って曲がるよ!」
「ウララ先生、そんなピッチャー探せばいくらでもいるんですよ?」
「いや、そんなことはないぞ」
これまで当人同士に話を任せていた吹本が口を開く。
「2人とも征隆を観てるから自分の事を大した投手じゃないと思っているかもしれないが、征隆を観て研鑽に励んできたお前たちも、今や名門・強豪と云われる高校のエース級に匹敵する実力にあるといっていい。サトノダイヤモンドさんとサトノクラウンさんが云うメジャーリーグで活躍する選手になれる可能性があるというのも言い過ぎというわけではないぞ」
ここでダイヤが市居に喰らい付く。
「市居さん、あなたが高知実業の野球部に入部されるまでのお話はテレビで観ています。あなたのお姉さまが仰られたあなたは野球をすることが使命であり、その使命から逃げるなという言葉……全うされるおつもりでしたら徹底的に高みを目指してみるべきではありませんか?」
「わかりました。そう言われては、だけどその姉から大学は出すって言われたので本当に大学出るまで待ってくれますか?」
「勿論です!」
「ダメダメになったり、怪我するかもしれませんよ?」
ダイヤはスランプに陥っていたらサトノの野球部で脱却させる。もし故障で選手生命が絶たれていればマネージャーなどで雇い入れると豪語した。
「どうしてそこまで?」
「なぜって? それは簡単なことです」
「あのハルウララさんのチームの選手ですからね」
それが、高実や吹本ではなくウララのところにこの話を最初に持ってきた最大の理由である。
「成程、ウララ先生のためってのも1つあるんなら、いっちょダイヤさんとクラウンさんのいう悲願とやら、目指してみようじゃないですか。市居、お前はどうする?」
「俺も、ウララ先生のためだっていうなら」
そしてそれは有賀と市居の2人に決断させるに至るには充分過ぎる理由であった。
「やったぁ! 有賀くん、市居くん! えっと、えっとね……頑張ってね!」
ハルウララから直接「頑張ってね」と言われれば並の人間でも10万馬力のパワーを得たも同じであるといって過言ではない。
「私たちもお2人のご活躍、陰ながら見守っております」
「サトノからメジャーに駆けていくその日を心待ちにしているわ」
こうして神奈川遠征は大成功となった。
「そうそう、高知実業の皆様はまだ招待するところがあります」
「ゑ? それは?」
「明日の、日本ダービーよっ!!」
流石サトノ家、20人を超える人間とウララを東京優駿の関係者席に招待することもわけない。ダイヤとクラウン曰く、ウララの顔もあって比較的容易に関係者席に招待することができたという。
高実ナインは翌日、ダービーの激闘をその目に焼き付けて高知への帰路についた。
第25話の前書きにも書いたことですがサトノ家のモチーフになった方が経営されていらっしゃる会社は社会人野球に属する野球部が存在するのでこの2話のストーリーを考えました。
有賀くんのモチーフになっている方が高校から大学進学せずに社会人野球に進み、そこからプロ入りされたのも大きいです。その方がいたチームは企業ごとなくなっているのですが、この「企業ごとなくなっている」というのは単に会社が倒産したという話ではなく、当時のその地域や日本そもそもの事情も絡んでいる少し複雑な話です。その方のプロ入りについてもその事情が少し関わってきます。
因みに、有賀くんのモチーフになった方の名前は実写ドラマ化、後に映画化もされる人気野球漫画の中心キャラクターの苗字にも使われています。
サトノ家ともなればグループの1部門である野球部に入部させる新入社員の野球の実力を推し量るためにその選手が所属する高校の野球部ごと四国から関東に招待してその遠征に必要な交通手段、宿泊施設などの確保、そのための必要経費やその都度掛かった諸経費等を全額負担し強豪校との練習試合をセッティング、なおかつその試合を行うための球場としてその都道府県でアマチュア野球の大会が行われる際にメインに使われるような大きく格式のある球場を押さえるぐらいのことは空腹のオグリキャップがラーメンどんぶりにマンガ盛りされた銀シャリを1杯平らげるぐらい簡単にやると思います。
と言いましてもそれは基本的には高校野球界で既にある程度実力が知られている有名選手か、指導者か学校がパイプのあるチームの選手などです。今の高実にはまだそのようなものは無いですし、有賀くんも市居くんも高校野球においてはほぼ完全に無名選手です。今回2人の実力を生で確認したいとオファーがあったのも偏にハルウララのおかげであるといえます。ウララは高実の教師ですから学校のパイプといえばそうかもしれませんが野球とは関係ないところからこの遠征が行われるに至っているので普通のパイプではないです。
アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書き、第39話の後書きをお読みいただければとおもいます。
今後の高知実業(ストーリー展開)の方針
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目指せ!全国制覇!
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目指せ!模範的高校生スポーツマン!