ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園   作:コンスタンチノープル

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 ノーリーズンは投稿時点でまだ育成ウマ娘では未実装なのもあるのですが、筆者が戦国武将ネタを名前が出る所はそのまま実名で書きたいと考えている人間なので実名の使用はハーメルンの利用規約に抵触してしまうのでもしかしたら出さないかもしれません。

 他にも史実の馬が戦争や運搬などの主役だった時代はウマ娘においてどうなっているのか詳しくは明言されていないのも大きいですね。戦国時代でいえば彼の騎馬隊はかなり有名ですがウマ娘ではどうなっているんでしょうかね?

 登場する可能性は低いと聞くのですが、クロフネが登場したら競走馬のほうは文字通りアメリカからやってきましたけど幕末ネタが多用されるのかなとも思っています。もし幕末ネタが多用されるウマ娘なら高知(土佐)のハルウララとは中々の親和性だと思うんですけどやはり実名は使用できないですからね。


第42話

 高知へと戻ったウララたち高実ナイン、小豆島水産、有田商工、横浜紫桜、光陰学園といった名門・強豪と好勝負をしたことが広まり高知県内外から練習試合の申し込みが舞い込むようになった。来たる夏の高知大会へ向け、積極的に実戦を重ねていく中で試合に勝利することも増えていった。

 

 そしてついに、高校野球の本番ともいえる夏の甲子園を懸けた予選大会を迎えたのである。

 

「やったぁ! 勝った勝ったぁ!」

 

 高実は1回戦からの登場。初戦を浅香が見事な完封勝利で40年ぶりの公式戦勝利を挙げると救世主誕生と沸いた。2回戦は先発ピッチャー沈、キャッチャー羽鳥のバッテリーで挑み、沈が5回まで試合を作ると、6回からピッチャーを羽鳥、キャッチャーを沈に入れ替えるという奇策ともいえる作戦を展開し、この2人が投打でゲームメイクをして2回戦も勝利。準々決勝へとを進めたのであった。

 

「問題は次、正に決戦でしょう」

 

 準々決勝の対戦相手は功董学館。この春の甲子園まで春夏9大会で連続甲子園出場していいる高知の絶対王者である。正に決戦といっていい。

 

「みんな聞いてくれ」

 

 2回戦終了後、学校に戻り早くも次戦の話を始める。

 

「私としても勝利の余韻に浸りたいところだが次の試合の話をさせてくれ」

 

 ここで話しても遅いぐらい、選手たちも表情を改め作戦会議が開始される。

 

「功董学館は間違いなく強大な相手だ。ゴールデンウイークに対戦した小豆島水産や有田商工に匹敵……いや、上回るといっても差し支えないだろう。投手、野手の走攻守全てにおいて隙のないチームだ」

 

 特に今年のチームは夏の甲子園優勝候補にも挙げられるほどの強大な相手である。

 

「まず相手の打線、塩畑(しおばた)玉田(たまだ)は機動力に長けた走攻守3拍子揃った得点源だ。淀井(よどい)里辺(さとべ)は何でも出来る繋ぎ役、捕手の(おき)は主に下位打線だが高校ナンバーワン捕手といっていいだろう。そして(おん)漆嶋(ななしま)の2人は現時点でメジャーリーグの超一線級の強打者と比べても勝るとも劣らない最強打者と言わざるを得ない。この2人の後を打つことが多い未光(みこう)も2人に隠れてはいるが本来であれば超高校級の強打者と云って然るべき選手だ。控えの選手も他の名門・強豪といわれるチームなら中心選手になっているような選手が揃っている」

 

 ウララはイマイチよく分かっていないが皆の表情から凄い選手たちが揃っているんだという事を察した。

 

「先発投手は……宇多田、お前でいくつもりだ」

 

「ええーっ!?」

 

 ウララの絶叫も止む無し。ざわつく者、指名された宇多田のように目を見開くもの、一同愕といった反応である。

 

「どーして? どーして末松くんじゃないの!?」

 

 普段心掛けている丁寧な言葉使いも忘れてウララは吹本に喰って掛かる。

 

「監督、俺はいつでも行けますよ?」

 

「ああ、何時でもいけるようにしておいてくれ」

 

「監督さん、いくらなんでも宇多田クンじゃ厳しいんじゃないですか? せめて有賀センパイか市居センパイじゃないとそんな打線は抑えられないと思いますよ」

 

 レイチェルの言葉は尤もである。

 

「叶う事なら征隆は決勝まで使わないでいきたい。恐らく片貝(テル)のことだ、征隆、有賀、紫電のうち誰かが先発、或いは継投、若しくは3人全員を注ぎ込んでくると踏んで徹底的に分析・研究をしていることだろう」

 

 吹本の言葉は、言われてみれば確かにそうだと思わせるものであった。

 

「勿論3人とも分析・研究されたぐらいで容易く打ち崩せる投手ではないだろう。だが相手がそうしてくることが分かり切った上で敢えて後手に回るようなことをするのは得策ではない。野球において後攻を取る以外で後手になるのは不利と言って差し支えない。理想はここまで登板していない宇多田、天童、胡の3人で乗り切るのが理想だと思う」

 

 これに異を唱える部員が2人、意見を同じくする者1人。

 

「俺と岸井だってまだ投げてないですよ! 俺たちだっていつでもいけます!」

 

「ボクじゃ末松先輩と比べたら力不足かもしれないですけど、溫寶春(たかはる)の首とる決意ぐらいならとっくにしていますよ?」

 

 五十風と岸井はまだ登板していないこの言葉も当然である。

 

「ほら、北沢もなんとか言えよ」

 

「俺じゃまだ通用しないさ」

 

 同じく登板のない北沢にも何か意見するよう五十風はけしかけたが当の北沢は自分の力はまだ功董学館には(・・)通用しないと控え目に自分をみる。

 

「無論、お前たちは絶対に登板させないということではない。だが今の高知実業の強みは投手が14人と豊富であることだ。碓井は遊撃手としての守備力と他に残ったチームの攻撃力を考えた場合、遊撃手から動かすことは考えたくない。蔣も間に合わなかったがそれでも12人いる」

 

「うぅ……ごめんなさい」

 

 ウララは蔣がサイドスローに転向したばかりで、フォームの地固めを完成させるために一心同体というほどではないが二人三脚で野球部に顔を出す時は蔣にほぼ着きっきりで基礎トレーニングを積み重ねてきたがピッチャーとしてはこの夏に間に合わせることができなかったことに責任を感じている。

 

「いえいえ、謝らないでください。それだけフォームを変えるというのは大変なことなので私も蔣が間に合わないことは想定していました。1、2回戦で投げている浅香、沈、羽鳥も登板は考えていないが野手としていける準備をしておいてほしい」

 

「なんならマウンドも」

 

「気持ちだけ受け取っておく」

 

 どうやら浅香は完封したことが自信に繋がったようである。

 

「征隆、有賀、紫電の3人で準決勝と決勝を戦いたいから3人も登板させることは想定していない。征隆と紫電も野手の準備を整えておいてくれ。できれば有賀は使わないつもりだ」

 

「わかりました」

 

 この「使わないつもり」という言葉を準決勝で使うために次の準々決勝は使わないと受け取った有賀は素直に受け入れた。

 

「かといって想定外の事が起こらないと決めてかかるつもりはない。あらゆる事態に対応しなければ勝つことは出来ない。なにせルールが変わって延長に入ったら10回からすぐタイブレーク、15回で引き分け再試合だったのがイニング無制限になって1人の投手は15回までしか投げられないとなったわけだからこれだけ投手がいても足りなくなる事態は充分に想定される」

 

「たいぶれーく? きゅうけいがあるんですか?」

 

 ウララはまだ延長戦を経していない故に出た発言である。実際は選手たちの負担を軽減する観点から早く決着をつけるためにイニングの最初からランナーを置いた状態で開始することである。ただしどのように始めるか統一されたルールは決められていないため大会やリーグ戦によってルールが異なるケースも存在する。

 

「へえ~、そんなルールがあるんですね!」

 

「野手として準備といったりはしているがもしかしたら投げることになるかもしれないことは頭の片隅に置いておくようにでは各自次戦に向けて体調や調子を整えておくように」

 

 こうして解散した高実ナインだったがよりにもよって試合当日の朝に緊急事態が発生することになる。

 

 それは、準々決勝の試合に責任教師としてベンチ入りするためにいつもより早く高実の職員室に姿を見せていたウララが取った1本の電話から始まる。

 

「はい、高知実業高等学校で……あ! 宇多田くんのお母さん! 今日は……あの、どうしたんですか? なんだかくるしそうで……え! ええぇーっ!?」

 

 ウララの絶叫が学校中に響き渡った。

 

「ゑ!? 宇多田が食あたりで病院に?」

 

「そーなんです! 今日の試合先発ピッチャーだってはりきって、昨日の晩ごはんにおうちのみんなでスタミナがつくものを食べようって、いろいろたくさん食べた中のカキさんのおなべが多分って……」

 

 牡蠣である。

 

「いくらスタミナ料理だからってなんでよりにもよって試合前日にそんなものを……それで、病院ということですが大丈夫なんですか?」

 

「はい、しんじゃうことはないですけど、でも……でも……今日の試合……」

 

「起きてしまったことは受け入れましょう。これから考えます」

 

 宇多田を除いた全員が集まるとそのことが伝えられた。皆一様に動揺するものも中にはいる。

 

「皆落ち着いてくれ、それで今日の試合の先発だが」

 

 一同息を飲む。中でも天童と胡は自分だと覚悟を決した表情をしている。

 

「征隆、お前に任せる」

 

「えっ!? で、でも! このまえのときは宇多田くんと天童くんと明捷くんでっていってましたよね!?」

 

 他の面々もく中、当の末松は落ち着き払った表情である。

 

「あれはあの時はです。今は状況は大きく違います」

 

 そういうと吹本は末松と対峙し、その右肩に手をやった。

 

「征隆、この絶体絶命ともいえる窮地を任せられるのはお前しかいない!」

 

「わかりました」

 

 その眼には彼の天皇賞(春)の時のライスシャワーのような炎が燃え上がっていた。

 

「末松くん、が……」

 

「ウララ先生?」

 

「あ、ううん。なんでもないや」

 

 ウララは、ただ「頑張ってね」の一言をいうことができなかった。それはウララにもどうしてか分からなかったが、今の末松に頑張ってと言うべきではないと、考えるよりも先に本能が止めさせたのである。ウララにとって自分のレースでも感じたことがなかった、「怖い」という感情があのウララでさえ言葉を飲み込ませたのであった。

 

「言わなきゃ……どうして? ……言わなきゃいけないのに、どうして……言えないの?」

 

 同時にウララはこの本能を超えようとしていた。本気で頑張る生徒を応援できない先生にはなりたくない。果たしてウララはこの「怖さ」を乗り越えることができるのか? そもそもなぜあのウララが「怖い」と思ったのか? かくして絶対的王者との対戦を前に、予定していた先発ピッチャーがアクシデントで登板できなくなるという、正にハルウララたちにとって風雲急を告げる運命の一戦が刻一刻と迫りつつあった。

 

 この日の高知は、夏の蒸し暑さとドンヨリとした曇り空が支配していた。そんな天気にも関わらず、絶対王者、功董学館の試合ということもあり、球場は試合開始前から長蛇の列、外野席を開放するほどの多くの観衆とプロ野球やメジャーリーグのスカウトたちが押し寄せていた。




 今回のウララは今までで一番元のウララと乖離してしまったとは自覚してはいます。申し訳ございません。

 また試合が始まろうとしているわけですが次の試合の打撃結果をまとめるため、次話の投稿はもしかしたら遅れるかもしれないことをご了承ください。

 アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書き、第39話の後書きをお読みいただければとおもいます。

今後の高知実業(ストーリー展開)の方針

  • 目指せ!全国制覇!
  • 目指せ!模範的高校生スポーツマン!
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