ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園   作:コンスタンチノープル

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 ハルウララ以外のウマ娘を出したいと思うも高知と東京という距離をどう埋めればいいか思案中……

 一応出すと決めているウマ娘はいます。


第3話

新島(にいじま)くん! 川田(かわだ)くん! 二人って中学のときは野球やってたんだよね!?」

 

 数日後、ウララは陸上部の練習終わりに二人の部員に声をかけた。

 

「は、はい。まあ、やってましたけど……」

 

 一人は新島秀人(ひでと)。短距離選手の1年生である。

 

「こんどの野球部の大会に助っ人で出てほしいんだ!」

 

「えぇ嫌ですよ。野球部やる気ないじゃないですか」

 

 この早速断ったのが川田創士朗(そうしろう)。同じく1年生で走幅跳の選手である。

 

「みんな楽しくやってるよ! でも人数が足りなくてこのままじゃ大会に出られないんだって。だから、二人なら助けてくれるんじゃないかと思ったんだけど……」

 

「なあ川田、ウララ先生がこうやって直々に頼んでんだからOKしてもいいんじゃね? 先生、俺は別にいいっスよ」

 

 この一ヶ月弱でウララは生徒たちとそれなりの信頼関係を築くことができていた。そのお陰で早速新島が助っ人に加わってくれることになった。

 

「いや、俺も全部が全部嫌ってワケじゃないんすよ。別に出てやってもいいっすけどそれって野球部のヤツが頼みにくることじゃないっすか? ってことなんすよ。陸上部のウララ先生が頼みにくるのはちょっと違うんじゃないっすかってことなんすよ」

 

「うぅ~っ……よくわかんないけど、最初は末松くんが野球やりたいっていって、でも野球部が人数いなくて……それで……」

 

「あー、経緯は分かりましたけど考えさせてください。それに新島だっていいって言ってますけど笹井先生がOK出してくれなきゃ目だと思うんすけど。笹井先生には話通してるんすか?」

 

「笹井先生もいっしょに見にいってるからじじょうは知ってるよ! だからオッケーしてくれるハズだよ!」

 

 ウララはこの後笹井から怒られるが無事了承を得ることが出来た。とりあえず川田は保留ということになった。


 後日の終礼にて。

 

「みんなに先生からおねがいしたいことがあります!」

 

 ウララは受け持つ1年B組の終礼でも野球部の助っ人を頼み込むのであった。

 

「男の子も女の子も大かんげいだよ!」

 

「ウララ先生、甲子園は女子試合に出ちゃいけないんですよー」

 

「ええ~っ!? そうなの!?」

 

 クラスは笑いに包まれたが一人神妙に話を聞く男子生徒がいた。

 

 数日後の昼休みのこと、その生徒が別の男子生徒を連れて職員室のウララの下を訪ねてきた。

 

大芝(おおしば)くん、どうしたの? えっとそっちは……」

 

「1-Cの庄埜(しょうの)です。大芝とはバレー部で一緒で」

 

 ウララが受け持つB組の大芝淳徳(あつのり)とC組の庄埜捷正(かつまさ)は、先日のウララの頼みを聞きに来たのであった。

 

「じゃあ二人とも野球部の試合に出てくれるの!?」

 

「監督がいいって言ってくれたら」

 

「わかった!」

 

 ウララは早速バレー部顧問の忠岡(ただおか)拓臣(たくおみ)に話を付けに席を立った。

 

「構いませんよ。おーいアツ(大芝)ショウ(庄埜)。怪我はしないようにな~」

 

「ありがとうございます! 忠岡先生」

 

 しかし忠岡は首を傾げるのであった。

 

「ですがウララ先生。別に9人揃わなくてもいいじゃないですか」

 

「でも野球は9人いないと試合ができないんですよ?」

 

「いや、だって高校野球は人数が足りなくても他の高校と一緒のチームで出ていいってルールがあるって聞きましたよ?」

 

「え、ええ~っ!?」

 

 ウララのこれまでの努力は一体何だったのだろうか?


 早速その日の野球部の練習に新島、川田、大芝、庄埜の4人を連れて見学にやってきたのであった。

 

「いや~申し訳ない。ウララ先生が大変親身になってくれているので言い出しづらくて……ですがこれで、高実(うち)の単独チームで大会に出ることが出来ます」

 

「もう……おしえてくれたってよかったじゃないですか!」

 

 怒る姿もかわいい。

 

「流石短距離と走幅跳の選手だけあって足はえーな。スライディングのやり方とか分かる?」

 

「中学の時は野球やってたんで大丈夫っすよ」

 

 野球部員たちは新島と川田の俊足に納得しながらもいている。

 

「俺、ショートやりたいです」

 

「ショートはまあ今誰もやってないけど、身体能力が要るから厳しいぞ? よし、試しにノックしてやるからやってみな。おーい隅本! ファースト入ってくれ」

 

 庄埜がショートをやりたいと言い出したので沢田がノックを打つことになった。

 

「いくぞー」

 

「おっしゃー!」

 

「あ、わり……」

 

「よっ!」

 

 いきなり目を見張るプレーを披露する庄埜。沢田がミスショットしてショート後方への高さもそこそこの鋭いライナーをジャンプ一番キャッチしてみせた。

 

「ふっ!」

 

「うおっ!」

 

 着地すると、今度はプロ顔負けの矢のようなボールを隅本のファーストミットに突き刺したのである。

 

「すごい! すごいよ庄埜くん! 『ぴょーん!』ってとんで『ばしっ!』ってとって『ぎゅーん!』ってなったよ!」

 

「小学校の時にソフトボールやってたらしいんですよ。中学で野球始めようとしたけど入ったトコが厳しくてすぐバックれてバレーやってたらしいです」

 

「へぇ~。それで、大芝くんは?」

 

「え?」

 

「野球やってたからわたしにおはなしに来てくれたんじゃないの?」

 

 ウララと吹本と一緒に並ぶ大芝はバツが悪そうに答えた。

 

「いや、それが……俺、野球やったことなくて……」

 

「ええ~っ!?」

 

「ウララ先生が困ってそうだったから、未経の俺一人じゃって思って、それで経者の庄埜を連れてきた感じで……ダメでしたか?」

 

 き、少し申し訳なく思うウララであったが吹本は大して気にする素振りはない。

 

「いやいや、高実(うち)には高校から野球始めたいって子も前にはいたから大丈夫さ。今は人が足りていないからいてくれるだけで大歓迎だよ。じゃあどうだ? 試しに最初は打ってみるか?」

 

 日本にはバッティングセンターという商業施設があるぐらい野球の中でもバッティングは野球経の無い素人でも楽しめる娯楽の一つとして根付いている。

 

「おーい、加治。相手してやれ」

 

「はい!」

 

「バットはこうやって握るんだよ。構えは大体こんな感じでこうスイングする」

 

 キャッチャーの沢田が防具などを着けた姿でバッティングを軽くレクチャーする。

 

「おし! じゃあいってみようか。加治ー、いきなり本気で投げんなよー。軽くな、軽く」

 

「分かってるよ!」

 

 沢田がキャッチャーボックスに座り、大芝がバッターボックスで構える。加治が加減して白球を投じた。

 

 次の瞬間、愕の光景が広がった。

 

 加治の投げたボールを大芝のスイングしたバットがジャストミート。ボールはピンポン玉のように高々と舞い上がり外野フェンスの上段に突き刺さったのである。

 

「うそーん」

 

「す、すごーい! ボールが『ぴゅーん』って! 『ぴゅーん』ってとんでいった!」

 

「なんと……今のは春野でも文句なしのホームランだ」

 

 吹本曰く、今大芝が放った大アーチは夏の甲子園高知予選が行われる二つの球場の内、プロ野球公式戦開催規格に対応した広い高知県立春野運動公園野球場であっても充分ホームランになるという。

 

「い、今のがホームラン!? すごい! すごいよ大芝くん!!」

 

「お~い加治、ちょっと本気で投げてくれ」

 

 吹本は加治に本気で投げさせたが大芝は鋭い当たりを連発する。

 

「はっはっはっ、これはこれは、お~い隅本、滝山。このままじゃ試合で4番を取られてしまうぞ」

 

 吹本の言葉は冗談半分、本気半分であった。

 

「わ、分かってますって」

 

「吹本先生、ちょっとお時間宜しいですか?」

 

「笹井先生? それに……」

 

 笹井が男子生徒を1人連れてやってきたのであった。

 

明月(あきづき)くん。どうしたの?」

 

 彼の名は明月竜彌(たつみ)といって、陸上部の1年生でやり投の選手である。

 

こいつ(明月)も野球部の助っ人に加えてやってもらっていいですか?」

 

「宜しいんですか?」

 

 吹本は多少なりとも野球部に対していい印象を持っていなかった笹井が自ら顧問を務める陸上部の生徒を、それも既に二人もウララが連れてきている状況で差し出すとは何か裏があると感じるのであった。

 

「いーの!? 明月くん!」

 

「あーはい、笹井先生から頼まれたんで」

 

「それで、交換条件と言ってはなんですが……」

 

 吹本は早速来たかと思った。

 

「滝山を陸上部に入部させてほしいとまではいいません。ですが、陸上部と掛け持ちでたまに陸上部(こちら)の練習に参加させてはもらえませんか?」

 

「笹井先生!」

 

「いやウララ先生。これは滝山の今後のためになることだと思って言ってるんです。彼の動きなんかをみるとまだ粗削りなところがありますから、陸上部(うち)でフォームなんかちゃんとしたものを身に着ければ、野球だってもっと上手くなると思いますよ?」

 

 笹井のこの提案にウララは丸め込まれた。

 

「う~ん、でしたらいいでしょう。滝山に聞いておきます。彼がやるといえば私は止めません」

 

「ありがとうございます。おーい、川田ーちょっと」

 

 次に笹井は野球部の助っ人を決めかねている川田を呼び、何事か話した。

 

「はい、わかりました。でも、期待しないでくださいね?」

 

「わかってる」

 

「どうしたの? 川田くん」

 

「あ、ウララ先生。俺、助っ人します」

 

「本当!? ありがとう!」

 

 笹井のその真意を、ウララはまだ知らない……

 

 肝心の明月の野球の実力であるが、流石はやり投の選手という肩の強さに足も速く、充分過ぎる戦力であった。


 ある日の昼休み、ウララの下に一人の男性教師がやってきた。

 

「ウララ先生、ちょっといいですか?」

 

荻原(おぎわら)先生、どうしたんですか?」

 

 荻原寛稀(ひろき)、2年C組の担任教師である。

 

「ちょっとウララ先生にお願いがありまして……」

 

「なんですか?」

 

「ウララ先生が野球部の助っ人を集めていると聞いて、もう人数は集まりましたか?」

 

 ウララは嬉しそうに「ハイ! 12人、サッカーだってできちゃいます!」と元気よく答えた。すると荻原は少し困ったような顔をする。

 

「そうですか……いやですね、ウチの部からも助っ人を出してもいいかななんて思ったりなんかして……」

 

「そうなんですか!? あ、でも吹本先生がいいって言わないと……」

 

「吹本先生には私から話しましょう。それに、ベンチには20人入れられるので多くて困ることはないでしょう」

 

「そうですね! たくさんいたらもっと楽しくなりますね!」

 

 ウララはまだ陸上部の副顧問なので越権行為といってもいいのだがなんだかんだ生徒を思ってのことである。

 

「それで、荻原先生ってたしか相撲部のこもんですよね!?」

 

「はい! 相撲部から3人助っ人に出そうと思っています!」

 

 荻原は相撲部の顧問を務めていて既に対象の部員にはもう話を通しているとのことである。

 

「えっ!? 3人も!? ありがとうございます!」

 

「いやいや、他ならぬウララ先生が探しているんですから。それで……その代わりと言ってはなんですが、ちょっとお願いがあるのですが……」

 

 荻原には下心があった。といっても淫らなものではない。

 

「なんですか?」

 

「実は……なんというかその……コレにウララ先生のサインを頂きたいのですが……ダメですか?」

 

 荻原寛稀、ウマ娘レースの大ファンである。差し出されたのはレースで走っていた頃のウララのグッズであった。

 

「ええ~っ!? で、でも、わたし1勝もできなかったんですよ!? わたしでいいんですか」

 

「私もウララ先生の走る姿に勇気づけられた一人でして! 是非! ウララ先生のサインを頂きたい!」

 

 荻原の職権乱用も大概である。

 

「そういうことならよろこんで!」

 

 しかしウララはまた嬉しそうにグッズにサインを書く。

 

「ありがとうございます! 大切にさせていただきます! 相撲部からの助っ人の件、この不肖・荻原にお任せください!」

 

 こうして高知の片隅で、新品の歯車と古びた歯車がゆっくりと回り始めたのである。




 ハルウララの口調についてですが、レース引退後教師になるための勉強に打ち込み、教師になるには教育実習もやっていることでしょうからその時に言葉遣いを直されていると思うので実際のハルウララよりは少し丁寧な言葉遣いにしつつも時折いつものハルウララの言葉遣いが出る感じにしていますがどうでしょうか?

試合が始まるとハルウララの出番が少なくなることが予想されるのですが試合シーン書きますか?

  • 試合もちゃんと書いて。
  • ウマ娘の出番少ないんなら書かなくていい。
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