ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園   作:コンスタンチノープル

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 件のウマ娘はまだ育成で引いていなくてサポートカードもRしか持っていなくて編成に入れて育成を回していないので完全にエアプで書いてしまっているのですがこの言葉をいわせることができるのはこのウマ娘しかいなかったのです。

 解釈違いも甚だしいかもしれませんが何卒大目に見ていただければと思います。


第49話

「互いに、礼!」

 

「ありがとうございました!」

 

 岡谷の声で挨拶と礼を交わす高実、功董の両ナイン。頭を挙げると激戦の健闘を讃えあい、更に握手を交わす。

 

「ナイピッチン! ナイバッチ! 完敗だったよ!」

 

 とりわけ漆嶋は眼の前に並んだ岸葉と握手を交わすと我先にと末松のもとに歩み寄り、堅く握手を交わして称賛の絶叫を挙げる。その声は外野の芝生スタンドまで響くものだった。

 

「僕は君と同じ2年生だ。君たちがこの1勝に慢心しなければまた今日みたいな勝負をすることになるさ。その時は末松君、君のベストボールをスタンドに撃ち込むよ」

 

「させるかよ」

 

 次いで溫が末松と握手を交わし、静かに再戦を熱望する言葉を述べた。すると他の功董の選手たちも、多くが末松と握手を交わした。

 

 握手を交わすと高実の選手たちがホームベースを横一線に整列し校歌斉唱、スタンドの観衆は事ここに至ってもまだ功董が敗れたことが信じられないと茫然自失の表情を浮かべる者が多かった。

 

「いえ! ただ僕たちの力が足りなかっただけです。完敗でした!」

 

 全てが終わりグラウンドを後にして球場外の通路に出ても高実と功董の扱いは違った。功董の選手たちや監督の片貝の下には大挙して記者が押し寄せる。一方高実は勝利したハズなのにも関わらず選手たちや吹本、ウララにインタビューする記者の人数は功董のソレよりも少ない。

 

「はい、末松くんがヘンだったから、投げ続けても12回のとちゅうでこーたいさせてくださいって吹本先生にはつたえました」

 

 それまでは元気に選手たちの健闘を称賛する言葉を溌剌と記者たちに話していたウララも末松の交代に関しては冷静な口調で答えた。

 

「今日は私は何も出来ませんでした。むしろヒットエンドランの失敗などで苦戦を強いてしまいました」

 

 吹本も恐縮といった様子で受け答えする。

 

「この試合で壊れてもいいって覚悟で投げたのがよかったんだと思います。そこまで覚悟決めてかからないと勝てなかった相手だと思いますんで」

 

 末松のその受け答えの言葉を遠巻きに聞いていた1人のウマ娘の姿があった。そのウマ娘は記者や観客たちの多くが引き上げていった頃合いを見計らって末松に声をかけた。

 

「スエマツユキタカ、だっけ?」

 

「あんたは……」

 

「な、なんでこんなトコに……」

 

「あ! エースちゃんだ!」

 

 カツラギエース、まごうこと無き歴戦のウマ娘である彼女が、何ゆえかこの試合の行方を見定めていた。

 

「ようウララ。ちゃんはよしてくれよ。勝って良かったな」

 

「うん! エースちゃんも、今の試合観ててくれたんだね? 凄かったよね!?」

 

「あぁ……なあ、末松征隆」

 

 ウララへの優しい表情から一転、鋭い眼光をエースは末松向けた。

 

「アタシは、オマエにエースは感じねぇ」

 

「っ!」

 

 とても、ノーヒットノーランを成し遂げたピッチャーに掛ける言葉ではない一言が、普段のエースからは想像もできないような冷淡な口調で放たれた。

 

「なんで!? どーしてそんなイジワルなコト言うの!? 末松くんは、わたしたちのジマンのエースだよ!!」

 

「そりゃ自分で考えることだ」

 

「わからないよ! ねえなんで!? なんで!?」

 

 そのままではウララは泣き出さんばかりにエースに噛み付いてきたので仕方なくウララを引きはがして1対1で説明することにした。

 

「ここならいいだろう」

 

「ねえ! どーしてなの!?」

 

 エースは静かに語り出した。

 

「なあウララ、野球チームのエースってのはどんなヤツのことを言うと思う?」

 

「えっとね……チームでイチバンスゴいピッチャーのことだよ」

 

「違うな」

 

 いきなり否定にウララの尻尾と耳はピーンとなる。

 

「いいかウララ? 団体戦の、チームのエースってのはな、ただそのチームで一番実力があるヤツがなるんじゃない」

 

「どういうこと?」

 

「エースってモンは、そのチームの浮き沈みに関わるんだ」

 

「うき……しずみ?」

 

 言葉選びを間違えたとエースは反省した。

 

「エースってのは、試合に出れない、野球チームのエースピッチャーってのは投げれない他のピッチャーなやんか全部の想いを背負って戦い抜くのがエースってモノなんだ」

 

「それなら末松くんはチームのみんなのおもいをせおって……」

 

「いや、ダメだ」

 

 その一言にウララは噛み付いた。

 

「あのなウララ、末松(ヤツ)はこの試合でぶっ潰れても構わねえって投げてたんだろ?」

 

「うん、でもわたしはこわれちゃヤダって」

 

「それでいいんだ。エースってのはな、絶対に途中で倒れたり潰れたりしちゃダメなんだ。最後の最後まで立ち続けて、闘い続ける姿を見せるのが『エース』なんだ」

 

 それは、カツラギエースというウマ娘も理解できるようになったのは最近のことだという。

 

「アタシもそれが分かるまで大分走ったけどな」

 

「エースちゃんはまだ走ってるもんね!」

 

 カツラギエースというウマ娘は、今はセミリタイアという形をとって走り続けている。彼女は田舎のレースに必要な設備等も乏しい環境で生まれ育ち、トレーニングの機会に恵まれない幼少期を過ごし、地元に出張レース場が来た際にも場数を踏んだウマ娘たちには一切歯が立たず、地元の人々の間にも諦めムードが漂っていた。

 

 そのような経緯から、固定観念や閉鎖的な考えを打ち破ることを目標に中央にやってきて、たゆまぬ努力を重ね、三冠ウマ娘のミスターシービーやシンボリルドルフといった強者たちとしのぎを削り、遂にはジャパンカップを制して名ウマ娘の1人に数えられるまでになった。

 

「ちっこいのにはアタシが走ってる姿を見せるのがイチバンだからな。でもそれはドリームトロフィーリーグじゃダメなんだ」

 

「どりーむ……とろふぃー……りーぐ?」

 

「そういうレースがあるんだよ」

 

 その出自から、エースは「地方の名もない小さなレースクラブや、クラブさえない田舎の小さな町や村にも必ずいいウマ娘はいる」と考え、主に地方の田舎町を中心に日本中を廻ってその町々、村々の幼いウマ娘たちに自らの経を伝えている。

 

 田舎の幼きウマ娘たちにとって、自分と同じ田舎の恵まれない環境から中央に殴り込んで努力に励み三冠ウマ娘たちと互角の走りを幾多も繰り広げたエースは、田舎のウマ娘たちにとってはシービーやルドルフ以上のヒーローとして崇められていることも少なくない。そんなエースの言葉を幼きウマ娘たちは眼を爛々と輝かせながら聞いている。

 

「一緒に走ってやることもあるんだ」

 

「へぇ~」

 

 しかし言葉よりもひとたびコースに出て、その走る姿を見せることが、その田舎の幼いウマ娘たちにとってはその後走り続ける力になるのである。そんな小さなウマ娘たちに自分の背中を見せ続けるために、今もエースはトゥインクル・シリーズの舞台で走り続けているのである。

 

「なんかな、行く先々で色んなちっこいのの『中央でGⅠ獲りたい』とか『エースさんみたいになりたい』って言葉を聞くとな、アタシの『勝ちたい』って思いに火を点けてくれて、もうとっくに最初の3年間を走り終えてピークアウトもいいとこなのにクラシック期やシニア1年目の連中相手に、今でも互角の勝負ができるんだ」

 

 ウマ娘は「想い」を背負って疾るとも云われている。今のカツラギエースというウマ娘はその言葉を正に体現していると言っていいかもしれない。

 

「だからな、そんなちっこいの達のためにも、途中で壊れたり潰れたりする姿は見せられねえんだ。アタシは『カツラギエース』だからな」

 

「エースちゃん……」

 

「わかったら末松(アイツ)にも言っといてくれ。『エース』ってのはぶっ壊れてもいいとか、潰れても構わないなんて思いながら出ちゃいけないってな」

 

 元気よく「うん!」と答えたウララにエースは一旦待ったをかけた。

 

「どうして!?」

 

「言っといてくれとはいったけどすぐに言う必要はない。末松(アイツ)が自分で考えて、辿り着けなかった時にそっと教えてやるくらいにしといてやれ。ウララは先生なんだから、生徒が自分で考える機会を()っちゃダメだ」

 

「そうだね!」

 

「それに、もしかしたらアタシとは違う、末松(アイツ)なりのエースってものを見つけられるかもしれないからな」

 

 そうしてエースはウララと別れた。これから高知レース場のローカルシリーズのウマ娘たちを始め、四国のウマ娘たちのもとへ行くそうだ。

 

「ウララ先生、なんだったんですか?」

 

「うんあのね……末松くんにね、エースってなんなのかもっとかんがえてほしいんだって」

 

 みんなの輪に戻ったウララは末松に彼女なりの言葉でエースの想いを伝えた。

 

「藤君」

 

「あんた……」

 

 そんな輪に1人の青年が訪ねてきた。

 

「えっと……たしか沖くん!」

 

「はい。いや、あのハルウララさんに名前を知ってもらえてるなんて光栄です」

 

 先ほどまで激闘を繰り広げていた功董の沖晶彦その人であった。

 

「藤君、ちょっといいですか?」

 

「えっと、なんですか?」

 

 その雰囲気に藤は身構える。

 

「今の僕が言ったところで負け惜しみにしか聞こえないかもしれないが言わせてもらう。これで勝ったなんて思わないでね」

 

「えぇ、そりゃ一番分かってるつもりですから」

 

 場外戦ともいえる腹の探り合いが始まったかに思えた。

 

「今日の試合勝てたのは全部末松君のお蔭だ。第一、キャッチャーが試合中にイラついて不機嫌な態度をグラウンドやベンチで表に出すものじゃない」

 

「そうですね、誠にその通りで。ゆっても、今日はハッタリかましたのもあるんですけどね」

 

 沖は頭を抱えた。

 

「あのねぇキミ、嘘だろうが本当だったとしてもおいそれと自分の手の内を相手のキャッチャーに明かすもんじゃないよ?」

 

「沖さんはもう引退ですからね」

 

「ふぅーん。じゃあそんなハッタリをかました理由とやらも教えてくれるというのかな?」

 

 羽鳥が注意したが藤は大丈夫だと言った。

 

「もう功董のキャッチャーは沖さんじゃなくなるから大丈夫」

 

「褒め言葉として受け取っておくよ? 僕がキャッチャーのままじゃそんなに都合が悪かった?」

 

「そりゃあ不都合も不都合、俺たち他校(ヨソ)のキャッチャーにとっちゃあいい迷惑ですよ」

 

「それも褒め言葉として受け取っておくよ」

 

 藤も沖も、至って冷静に会話しているがトラとライオンが対峙しているような張り詰めた雰囲気が漂っていた。




 カツラギエースはエアプエースなので口調や考え方などがゲームや他の作品と違う所が多いかもしれませんがこれを言わせることができるのが筆者の中でエースしかいなかったのでどうにかお許しいただきたい。

 ただ、キャラ崩壊していてもそこは長く走り、今も走り続ける中での心境の変化や大人になったような感じを出せたのではないかと思います。ウマ娘の二次創作ガイドラインに触れるような変なことは言わせなかったつもりです。

 ですがそれでもエアプエースであることは確かなので低評価を沢山受けることは覚悟の上で、それでも書きたいことでした。

 なので全然カツラギエースじゃなければどんどん低評価入れて感想に批判を書き込んでいただければと思います。

 アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書き、第39話の後書きをお読みいただければとおもいます。

今後の高知実業(ストーリー展開)の方針

  • 目指せ!全国制覇!
  • 目指せ!模範的高校生スポーツマン!
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