ハルのウララの 2XXX海の向こうの甲子園 作:コンスタンチノープル
具体的なユーザー名・作品名を挙げることはしませんが、当ハーメルンで筆者と懇意にしている方が執筆されている野球を題材にした作品で、その作品自体はパワプロシリーズを参考にした能力値を設定しているキャラクターが数多く登場するのですが、ある試合のシーンで能力値を設定していなかった打力が低いとされていたキャラクターがセンターに決勝ホームランを打つというシーンを読んで感銘を受け、神は細部に宿るばかりではなく、細部にこだわらなかったことでこんなに良いストーリーを書くことができるんだと思ったからです。
パワプロで例えるなら、このランナーは走力FやEでキャッチャーの肩力と守備力は両方ともSなのに三盗が成功するのはあり得ない。や、逆にこのランナーの走力はSでキャッチャーの肩力と守備力は両方ともEでランナーは好スタートを切ったのに盗塁失敗するのはおかしい。といった具合で能力値を決めたことによって書ける内容に制約が掛かってしまうと気付かされたので今後もパワプロシリーズなどゲームを参考にしたステータスを設定するのはしない方向でいこうと考えております。
これについては筆者が現在当作品に力を入れているため長期間更新していませんが、パワプロの能力値に重きを置いた別作品を投稿しているため、そちらとの差別化を図る目的もあります。
ただ数字を全く出さないというつもりではありません。最もポピュラーな数字でピッチャーの球速がありますが、これについては必要であればその都度出すつもりです。他にもホークアイやラプソードなどを用いたスタットキャストやセイバーメトリクスで使われる数字は出せれば出したいと考えております。ただセイバーメトリクスやスタットキャストの数字はゲームのステータスよりも遥かに膨大な種類があり、現在進行形で新しい項目が増えたり、無くなったり、新しくアップデートされたりし続けているので学生時代から散々勉学から逃げ続けてきている筆者に全ての項目を網羅することは恐らく不可能なので一部の項目になると思います。
これらの数値を出そうと考えているのはスタットキャストやセイバーメトリクスは万能ではないからです。セイバーメトリクスを駆使する球団の代名詞であるアスレチックスがポストシーズンで苦戦を強いられることを当時のゼネラルマネージャーがセイバーメトリクスに重きを置く戦術は多くの試合を重ねる中で勝率を高めていくことに主眼を置くものであり、勝率ではなく先に定められた数の勝利を挙げなくてはならない短期決戦には必ずしも向いてはいないと、その限界を認めているので公式戦が一発勝負のトーナメント方式で特にメンタル面を始め、選手が持っている能力以外にもパフォーマンスに影響を及ぼす要因が多い日本の高校野球には向いていないので敢えてこれらの数字は設定することができると思ったからです。
つまりはOPS1.500の選手が1番から9番まで並ぶ超重量級打線を相手に3番手、4番手レベルのピッチャーがマダックスを達成するぐらい、厨設定もいいところのパワーインフレした設定を最初から無視すること前提に創ってもいいという、いくらアマチュアとはいえクリエイターがそんなストーリー書いていいのかということを出来るのが日本の高校野球という舞台だからです。
ですがだからと言って数字や成績をパワーインフレさせていいかは別問題なのでインフレさせる所、させない所、そもそも数字をつけない所はキャラクターの元ネタなどを参考に決めていくつもりです。
「がんばれー! 高海くーん!」
4回表、先頭の高海は初球からセーフティバントの構えで相手に揺さぶりを仕掛ける。
「ボール!」
「実際にするんならファーストのほうが成功しそうか?」
サードの白橋に比べ、ファーストの川平のほうが動きに若干重さがある。
「ストライク! バッターアウト!」
しかし的射-北淵バッテリーの徹底したインハイ攻めに高海は空振りをとられ三振、碓井は追い込まれてからバットを引いたがストライクで見逃し三振に討ち取られてしまった。
「ドンマイだよ!」
「いやいや、2人とも的射によく球数を投げさせてくれた充分だよ」
吹本の言葉通り的射は続く胡にフォアボールを与え、この試合両チーム通じて初のランナーが出塁する。
「盗塁させてみましょう」
「えっ!? でもめいしょーくん、足はたしかに速いですけど、すごい速いぐらいでもないですよ?」
「アンダースローという投球フォームは、基本的に盗塁阻止のためのクイックモーションが他のフォームより難しく、盗塁しやすいのです」
日本野球において、ピッチャーの牽制とクイックモーションのスキルは必修科目である。しかしサウスポーの場合はファーストランナーとセットポジションで正対し、ピッチングモーションと変わらないところから牽制を投げることも可能であるため、クイックモーションをしないサウスポーも一定数存在する。
「まず岸葉に1球投げさせ、そこから走っていくように」
初球の前にまず牽制球を投げてきた。そもそも初球は走らないつもりだったため余裕をもって帰塁する。
「ボール!」
初球。アウトコース高めにボール球を投げ1ボール0ストライク。吹本は的射のクイックモーションの精度を確認して、改めて盗塁のサインを出す。
「流石日本のピッチャー、サウスポーでもクイックがちゃんとしている。でも走れないほど完璧ってわけでもない」
2球目、サウスポーはフォームの途中まで牽制かバッターに投げるか分からないのでスタートは切り辛いが、1球牽制をもらったため胡は比較的容易にスタートが切れた。
「セーフ!」
岸葉は盗塁を成功しやすくするためにアウトコース高めに外してきたボールに飛びつくように空振りして援護したがそれでもセカンドベース上はギリギリであった。
「今のでギリギリか……流石は強肩北淵。並みの選手ならアウトになっていましたな」
「でもこれでチャンスですよ! いっけー! 岸葉くーん!」
「2アウト1ストライクとはいえチャンスだ。こういうトコで打ってこそ4番だろ……」
3球目、インコースのボールゾーンからストライクになるカーブに岸葉は手が出ない。
「チクショウ、背中からくる感じじゃねえか」
4球目、同じボールにタイミングが合わず空振り三振でこの回の攻撃は終了した。
「ドンマイだよ! 岸葉くん! まだチャンスはあるよ!」
「すいません……フロントドアに完全にやられました」
「ふろんとどあ? ってなぁに?」
インコースのボールゾーンからストライクに変化する変化球の使い方でその球種は問わない。
「ホームベースが家ですからバッターが立つインコースを正面玄関に見立ててフロントドアって言って、反対にアウトコースのボールゾーンからストライクに変化する変化球の使い方は裏口とか勝手口に見立ててバックドアって呼ぶんです」
とはご存知岸井の解説。
「じゃあ、ひじょう口もあるの!?」
さすがにそこまではない。
「ですが、この回収穫はありました」
「しゅーかく?」
最初の一巡、的射-北淵バッテリーの配球は右バッターにはアウトコース、左バッターにはインコースと基本的に同じコースを中心に投げてきていた。この回も胡まではそうだったのだが岸葉を迎えた際に盗塁警戒のため左バッターのアウトコースとこれまで投げてきたのと逆のコースに投げたのである。
「ここまで一定の所に投げ込み続けていたのを急に違う所に投げた。次の回から集中力が乱れて球が荒れるかもしれません」
「なるほど!」
「有賀、沈。相手もこの回2巡目だ、何か仕掛けてくるかもしれないから充分注意しろ」
「はい!」
「わかりました」
4回裏、瑛北の攻撃も1番の西江から、表の攻撃でチャンスを逸しているため慎重なピッチングが求められる。
「ファウル!」
西江はベース寄りに立つだけではなく、バットを短く持ってコンパクトなスイングで対応してきた。
「ファウル!」
「うーん、チャンスを逃した直後にこの粘りは不味いですな」
「えぇっ!?」
確実に流れを引き寄せる瑛北。西江は結局フォアボールで出塁し、続く2番浜崎はファーストへ送りバントを決めて1アウトランナー2塁で迎えるバッターは3番大縣。理想的な得点が入るパターンである。
「うぅ……みんながんばれー!」
この場面、大縣も変わらずベース寄りに立ち、バットを短く持って構える。
「この場面、長打は狙ってこないでしょう」
「どうしてですか?」
セカンドランナーは俊足の西江であるため、外野まで飛べば長打でなくともホームまで還ってこれる可能性が高いためである。
「ファウル!」
際どいコースはカットしてくる。追い詰められた状況といっていい。
「ベース寄りに立ってるからインコースを攻めたくなる。だけど……」
沈のサインに頷き、有賀がピッチングモーションに入る。
「くっ……」
バッテリーの選択はアウトコースからボールになるスライダー。思わず大縣は手が出て打ち損じてしまい、平凡なライトフライに討ち取った。
「さて、ここが中盤の勝負所……」
4番北淵は他のバッターよりも半歩ほどであるがベースから離れて立ち、バットを長く持って構えている。明らかに長打を狙ってきている構えである。
「ファウル!」
初球、有賀のアウトコースボール球のストレートを捉えると、打球は1塁側のスタンドに飛び込むライナーとなった。
「外れた分助かったな……
「しまったな~。今のはボール球だったかな?」
「なんにせよ初球でストライクが取れたからコッチが有利。次は……」
沈はインコース低めのストレートというサインを出したが有賀は首を横に振った。
「
「なら……」
次に沈が出したサインに有賀は頷きピッチングモーションに入る。
「ボール!」
バッテリーの選択はインコース高め、ボールになるシュート。北淵は打ちにいく素振りを見せたが手を出さずボールとなり1ボール1ストライクの平行カウントとなった。
「うーん、外は打てるから敢えて離れて立ってるのか……それとも内に狙いを絞ってるのか……」
「コレで試してみましょう」
バッテリーはこの場面で有賀のウイニングショットの1つであるアウトコースからボールになるスライダーを敢えて投じた。
「ファウル!」
北淵はこのボールをライトのファウルゾーンに打ち返した。
「困ったな……こりゃどっちでもないな……」
甲子園でも上位に進出してくるであろうこのレベルの高校の4番バッターであれば、もしアウトコースを打つのが得意であれば見極めてバットが止まる。インコースに的を絞っているのであれば最初から手を出してこない。その見送り方の反応を確かめるために投げた所謂「捨て球」と称されるボールであった。そのため、この結果は完全に想定外である。
「参ったな……
功董の漆嶋と同じタイプ、つまり狙い球を絞ったりヤマを張ったりせず、何も考えず無心……いや、ただ「打ちたい」の一念だけで来たボールに身体が反応して好打することが出来る。所謂、真の天才バッター。北淵京一というバッターはその類の選手であった。
「こういうバッターは気後れしたらまず打たれる。強気に攻めましょう」
沈のサインに頷き投じられたボールは2球目と同じインコース高めのシュート。ただ強気なだけではなく、直前に投じたアウトコースからボールになるスライダーと対になるボール。考えられた配球だった。
「っ!」
「あっ!!」
しかし天才的な北淵のセンスがこのボールをジャストミートする。打球はセンターの後方を襲う大飛球、舘が懸命に背走する。
「アウトっ! スリーアウト、チェンジ!」
打球はバックスクリーン手前で失速し、ウォーニングゾーンで追いついた舘のグラブになんとか収まった。バッテリーの気迫が僅かに勝りこのピンチをどうにか凌ぐことができた。
「ナイスピッチング! 有賀くん! 沈くん!」
ベンチに戻ってきたバッテリーをウララが労う。
「いや、最後はギリギリでしたよ」
キャッチャーの沈は謙遜の言葉を述べる。脇で聞いていた吹本は言葉にこそしなかったが「キャッチャーはそれでいい」と思うのであった。
「インハイのシュートをあそこまで持ってくなんて、今日の俺の球、走ってないのかな……」
有賀が少し弱気になったところですかさず吹本が言葉をかける。
「いや、気合の乗った球だったから最後にギリギリのところで打ち取ることが出来たんだ。今日の有賀の球は充分走っている。瑛北相手にも通用するぞ」
「そうだよ有賀くん! 今日の有賀くんのボールは……その……そう! 『ばびゅーん!』ってボールだからゼッタイ大丈夫だよ!!」
ウララと吹本から言われると有賀としても嬉しくなる。
「さて、この回だが相手バッテリーの配球は徹底している。ここで変えてくる可能性も十分考えられるが右打者は外角、左打者は内角に意識を置きながら打席に立ってくれ」
「はい」
吹本から言われた作戦を胸に、まず先頭バッターの天童がバッターボックスに入る。
「ボール!」
初球はアウトコースのストレート。外れてボール。
「次、外のゾーンに来たら打つ!」
2球目、狙っていたアウトコース、ストライクゾーンのボールが来る。迷わず天童が出したバットがボールを捉える。
「っし!」
打球はピッチャー返しの痛烈な当たり。お手本のようなセンター前ヒット……
「っ!」
「あっ!?」
かに思われた。
「アウト!」
ショートの西江がこのヒット性の当たりを難なく正面に回り込んで捌き、アウトに仕留めて見せたのである。
やや怠慢でもあるのですが、選手個々の能力値を深く考えなくていいチームを中心に組んでいるのです。
アンケート選択肢の詳細については第21話の前書きと後書き、第39話の後書きをお読みいただければとおもいます。
今後の高知実業(ストーリー展開)の方針
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目指せ!全国制覇!
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目指せ!模範的高校生スポーツマン!