なんか退場が悲しすぎたし、プレナパデスにももうちょっと救いがあってもいいじゃあないか。
わかりにくいですがブラボ要素が結構あります。もしかしたらこれを元に清書とかするかも。
いい感じのタイトルあったら教えてください
嫌な人はもっといい小説読んだ方がいいと思います、割とマジで。
清潔に整えられた病院のベッドの上。
その上で静かに寝ている大人の姿に、私はため息を吐く。
「……」
生徒を守るという強い信念を持った大人。
その信念のためならば、たとえ自らを犠牲にしようと決して止まらない。
典型的な愚か者だ。一体なぜそういった行動をとってしまうのか。そんなことをして、助けられた人間が喜ぶと思うのか。
「……こんなところで歩みを止めるつもりか、先生。」
思わず漏れ出た言葉に、しかし先生は反応を示さない。
しかし私は、この言葉が彼女に伝わっていると信じている。
「お前の馬鹿な自己犠牲のせいで、大事な生徒が色彩に奪われた。お前はそれを諦めるつもりか。」
たとえ彼女が諦めると言っても、私はこれをやめるつもりはない。……最も、この大人の鏡のような人物が諦めるという選択肢を取るはずがないだろうと知っているわけだが。
私は眠り続ける先生の額に手を置く。
「……お前は知らないだろうが、救われた身だ。一度くらいは手を貸してやろう。……せいぜい彼女を…お前の生徒を、救って見せろ。」
そして、乗せた手のひらから先生に向け、この世界で神秘と呼ばれるそれを流し込む。
だが私の神秘にも限界はある。これだけの量を流し込んだとしても、やっと先生が立ち上がり、少し歩ける程度のものだ。
「……私にはこれが限界だ。足掻いてみせろ。」
そう言って、彼女が完全に目覚める前に病室を離れる。
少しやりすぎたか。一方に肩入れするというのは禁止だと言われていたことを思い出す。
最も、そんなことを言っていた奴はとっくの昔にこの世界に見切りをつけ、立ち去った後だが。
"世界"に目をつけられず、しかし滅びをこの世界だけに留める、小さな奇跡。あの先生であれば、きっと有効に使ってくれることだろう。
煙草を燻らせつつ、この世界を後にしようとした時。
「……貴様か、箱の主人を蘇らせたのは。」
「なぜ呼び起こした。それは無意味な行為だ。」
「理解できぬ。死者の蘇生など、あってはならないことだろう。」
全身に白い司祭のような服を纏い、さらに白い仮面を身につけた集団。
無名の司祭と呼ばれるそれらは、私の帰り道を塞ぐようにして私の前に現れた。
「"夢"の管理者。箱の主人を呼び起こすことが、貴様にとって利益のあることだというのか?」
「そんなはずがない。貴様の領域は"夢"、現実に干渉する理由など何もないのだから。」
「やはり理解できぬ。なぜ今になって干渉した。何の意味がある。」
そう捲し立ててくる、神の傀儡共に向けて煙を吐き出し、そのまま火のついた煙草を吐き捨てる。
「神を蘇らせることにしか興味のないお前たちにはわからんだろうさ。夢というものは人やお前たちのいう忘れられた神々が居るからこそ鮮やかに彩られるものだ。それがなくなってはただ灰色の世界が広がるばかり。それはつまらないだろう。」
「つまらないから手を貸しただと?」
「理解できぬ、いや、理解することなどできぬ。」
「最後に残った観測者、やはり貴様は今ここで殺すべきだ。」
そう言って後ろから現れるのは、現在滅びに向かっているこの世界の元凶となっている生徒であった。
……面倒なことになった。
正直言って私はそこまで正面戦闘が得意なわけではない。できなくはないがいかんせんこの世界は銃弾を弾く化け物が闊歩する世界だ、銃といくつかの武器を主体に戦う私ではとんでも無く相性が悪い。
そしてそんな私の目の前にいるのは、司祭共によって反転した生徒。
……どうやら私の命運はここまでらしい。せめてあのノロマがくるまで時間が稼げるといいが。
ともかく、黒服にも褒められた話術で何とかしてみるとしようか。
「……おい。お前の名前は知らんから狐と呼ばせてもらうが。お前はそれでいいのか。」
「……」
だがその狐は私の言葉に一切の興味を示さずに、その手に握られているアサルトライフルを向け、そして情け容赦なくその引き金を引いた。
「っ!」
私はその凶弾を鍛え上げた反射神経によって何とか避けつつ、続けて話しかける。
「どうせそこに居る傀儡共は話していないだろうから言うがっ、お前と違って先生はまだ諦めていなかったぞ!」
「……っ」
その言葉を聞いた狐がトリガーから指を話す。…どうやら言いくるめは成功したと言ったところか。とりあえず射撃をする手を止めることはできたらしい。
隙はできた、ならば弱者はとっとと逃げるべきだろう。
「もう少し話していきたいところだが、私はあいにくお前ほど頑丈ではないのでな、さっさと逃げさせてもらう。そのうち先生も来るはずだ。……選択はお前がしろ。」
「……」
結局ほとんど私が喋っていただけではないか、失礼なやつめ。
そんなことを考えつつ、私は用意していた世界の渡手とも呼べるそれを呼び出す。
「ではな、キツネ。お前の認識外から足掻く様をゆっくり見させてもらうとするよ。」
渡手の巨大な腕に包まれつつ、私はそう言い残してその世界を去った。
♢
燃え上がるアトラ・ハシースの方舟。
最後の生徒、あのキツネがいなくなった時を見計らい、私は再び先生の前に姿を現す。
「……随分と見にくくなったな、プレナパデス…いや、先生。」
『……』
「まだ先生と呼ぶんだねだと? …ハッ、私にとっての先生はお前だけだ。馬鹿が。」
随分と大きくなったせいで、私の背丈でさえギリギリと言わざるを得ないほど高い位置にあるその仮面を軽く撫でつつ、会話を続ける。
「全く、私の計算じゃ生きても数時間だと思っていたが、随分と…いや、お前、すでに死んでいるな?」
『……』
「…馬鹿が、確かに強引に歩かせたのは私だが、そこまで生きろとは言ってないぞ。……全く、やはり私の見込んだ通り筋金入りの愚か者だな、お前は。」
ため息をついて、私はそのまま奴の隣に座る。
どうやらこの愚か者は、ここで死を遂げるつもりらしい。全く、大した覚悟だ。
『……』
「なに? この世界の自分はどうなったか? ……問題なかろう、お前のシッテムの箱のAIをあちらに動かした、箱が二つ揃えば奇跡の一つや二つは起こるだろうさ。」
そんなことを言っていると、宇宙から地球へ落ちていく流れ星が、青と赤の入り混じった美しい色へと変わっていくのが目に入る。
「……みろ、言った通りだ。しかしお前たち先生という人間は揃いも揃って馬鹿ばかりだな、あの状況で生徒を優先するとは、信じられん。それを信じてあのキツネを託したお前も大概だがな。」
『……』
「自分だから、だと? ……はあ、全く…だがまあ、それでこそお前と言ったところか。」
ズズン、という音と共に、周囲の地形が徐々に崩れていく。
どうやらもはや時間はないらしい。
『……』
「ここでお別れ、か。……ハッ、馬鹿め。」
『……?』
「一体何のために私がここにいると思っているんだ? 私はメリーバッドエンドよりハッピーエンドが好きだという話を懇切丁寧にしてやったことを忘れたのか?」
バレないように船内に仕込んでおいた神秘を起動させる。
私以外立ち入れない場所を経由するんだ、安定性を求めるためになかなか苦労した。それでも成功率は五分五分といったところなのだが。
『……』
「宇宙は空にある。宇宙を求めすぎた馬鹿者共がここで散るのであれば何の違和感もないが、少なくともお前はそうではないだろう?」
『……!』
「本来は神だろうが人だろうが立ち入らせない場所だが、だがお前にならいいだろう。…ほれ、これを持て。」
そういって私は先生にそれを持たせる。
『……?』
「あん? ああ、ただの頭蓋だ。本来なら砕く必要があるが、今回は召喚するための陣がある、持っているだけでもいいだろうさ。…では、いくとしようか。」
その言葉と同時に陣が起動、空間が捻じ曲がり、腕が出現する。
現れたそれは先生をつかみ、そしてそのまま運び出す。
「勇者は死ぬとしても美しい場所で。少なくとも君は、こんな場所で死ぬべきではないだろう?」
なされるがままに運ばれていく先生。私はそれを、彼の姿が見えなくなるまで見送る。
見送ってから、改めて下へと落ちていく流星を見る。
「……ふむ、存外に空も美しいものらしい。」
私がいなければ、先生の死場所はここだったのかもな、とそう思いつつ、私も先生と同じように渡手の腕でその場から立ち去った。
♢
色彩の嚮導者はもういない。
そこにいるのはただの生徒と先生、そしてそれを楽しげに眺める彼女だけだろう。
主人公
プレ先時空にしかいないゲマトリアの1人、もしくはそれに近しい立場のハピエン中毒の観測者。
口が悪いので先生に馬鹿だのなんだの言いまくってるが実際のところめちゃくちゃ信頼してる。
描写が少ないので分かりにくいがだいたい160cmくらいの女の子。
原作やってないのでただの知識不足なだけかもしれませんが、ストーリー読んで見た感じプレ先が急に立ち上がれるようになった理由とかが全然補足なかったので上手い具合にねじ込んでみた結果できた子です。書いててめちゃくちゃ楽しめました。