主人公の誕生日更新ということで コレクライシカデキナクテスマンナ
「なあ…気づいたか?さっきのクモの巣、元素で構成されてたぞ」
「そうなの?」
「向こうにもクモの巣見えるし、どれだけ掃除してないのって話だよね…」
―――これまでのあらすじ。鍾離さんから『千尋の鈴』*1なる物品を借りてきてほしいと頼まれやってきた玉京台。目標人物のピンばあやという人にはすんなり会うことができたけれど、「鈴はこの中にある」という壺を
行く手を塞ぐように巣を張る大蜘蛛*2を叩き落とし、雷スライムの群れも奈落へ吹き飛ばし*3、装置を起動して進む。今のところ
壺なんて割れ物だし、たぶん持ち歩いてはいなくて放置してるんだろう。それで蜘蛛が入り込んで巣を作ってるのもまあ、わからなくもない*4…元素生物は自然発生するものらしい*5ので、スライムがいるのもまあ不思議ではない、とはいえ……そもそも、こんなとんでもない壺を持っておいて放置してるの謎だよな。
いったい何者なんだ、あのおばあちゃん…そんな思考をしていたのはパイモンも同じだったようで、何か言いたげ。何だろう?
「あのさ…この変わった壺に、『洗塵の鈴』まで持ってるってことはさ…あのおばあちゃん、もしかして仙人なんじゃないか?」
「仙人?あんまり、そんな感じしなかったけど…?」
「うん…でも、そうか。そう考えれば確かに…ここ、奥蔵山のあの秘境みたいだとは思ったし」
「だろ!?でも…仙人たちって『絶雲の間』に住んでるんだよな?なんで璃月港にいるんだ…?」
「さあ…まあ、何事にも例外は付き物だと思うよ」
確かに、仙人と人間は生活圏を分けているものだと思っていた…思っていたというか、実際仙人のどなたかが言っていたと思うのだけれど。
しかし、今ここで私たちが思い悩んだところで仕方がない。用を済ませてから本人に聞いたほうが早い。とりあえず、今は
「ひ…日依、スゲーよな…あんなおっかない大グモに、ためらいなく突っ込んでいくの…」
さて。風域で一段上の足場に上がって、また魔物を蹴散らして……門を塞ぐように大きな巣を張っていた蜘蛛に退去(物理)してもらったところで、ドン引きパイモンからそんなコメントをいただいた。そういやパイモン、初見で後退りするくらいビビってたよね。とはいえ…
「まあ、慣れてるからね」
「慣れてるのか!?」
「慣れてるというか…ありがちというか?少なくとも、前まで相手してた化け物どもの大半よりは全然かわいい方だよ」
「う、うそだろ…?」
愕然としているパイモンには悪い(?)けど、呪霊とはそういうものだ。負の感情が
「私も苦手ってほどではないけど…日依の世界って、もしかしてとんでもない魔境だったり…?」
「見方によるかな…蛍ならなんだかんだうまいことやっていきそうに思うけど。それよりも、っ!?」
――不意に感じた害意と寒気。ふと見下ろした足元には、氷の結晶のような紋様―――慌てて飛び退いたそこに、氷でできた籠のようなものが生成された。
「うわ!?何!?」
「大型スライムだ!けど…な、なんか今まで見てきたやつと違うぞ!?」
…たぶんあの真ん中に鎮座してる装置を起動すれば、風域が発生して上の足場へ移動できる…んだろうけど、封印されてる。うろついてる大型スライム、それもパイモンの言う通り今までとなんか違うやつを倒さないといけないらしい。…いい加減この壺しまったものを取りに行くの大変すぎるでしょ、と呆れてしまいたくなるけどそれはまた後で。
氷の籠はただ狙って生成されるだけで、移動し続ければ捕捉されることもないらしい*6…水スライムもいるから、凍結反応で固められないようにだけ気を付ければいいか。
「ぅぐっ…!」
とか言ってるそばから蛍が凍らされてるけど。仕方ない、厄介な相手が多いときは無理せず個別に対処*7。ひとまず蛍に気を取られていた水スライムを思いっきり弾き飛ばした。
…あ、そっちにも蜘蛛の巣あったのか。引っ掛かってややこしいことになってる。かわいそうに…『迅雷』でまとめて吹き飛ばしておこう。
「ここ、いったい何層まであるんだ…?」
さて…大型スライムたちをどうにか倒し*8、案の定現れた風域で上へ。
パッと見た感じ、もう魔物の姿はなさそうかな…?やれやれ、ようやく呆れてしまう余裕が出てきた。いい加減この壺しまったものを取りに行くの大変すぎるでしょ…。
「オイラたちも、こんな壺を持ってたらな…少なくとも、野宿はしなくて済むよなぁ」
「たしかに…」
「そうだねぇ…まあでも、蜘蛛に入られないようには気を付けないとね」
「ううっ…そ、そうだな…」
「それはそれとして。あとは、この装置を起動するだけなのかな…?」
ポツンとある装置に蛍が触れると、隣の足場に橋が架かる。それを渡っていくと……
「ここは…突き当たりか?」
「ここが一番奥っぽいね。それで…」
「…これが、『洗塵の鈴』…」
蓮の浮かぶ池に囲まれた舞台のような場所。大きな一枚岩の机だったり、小さな棚だったりが置かれている。ここが物置ってコト…?
そして…一枚岩の机の真ん中に、ひときわ目立つそれが鎮座していた。鈴と聞いていたからてっきり丸くて小さいものを想像していたけれど、どちらかといえば鐘に近い形状のものだ。なんというか……福引きで1等が当たったときにカランカランと鳴らされるアレっぽい。ともかく、これが『千尋の鈴』*9らしい。
『見つかったかい?若者は動きが機敏で助かるよ』
「ッ!?い、いえ…むしろすみません、お待たせしてしまい」
…突然響きわたったピンばあやの声に飛び上がりそうになった。探索が大変だったからすっかり忘れてた…つい恐縮してしまったけど、ピンばあやはおおらかに笑っていた。
『ほぉっほっ、たいして待ってはおらんよ。さて…出るにはどうするんじゃったか…』
「「「えっ!?」」」
「若者は体がよく動いていいのう。こんなにすぐ見つかるとは…」
はてさて……不穏な発言でかなり肝が冷えたけど、ほどなく現れた出口から無事に出ることができた。…あれ、完全に秘境と同じ出口だったな…。
そして出てみれば、そこは元いた通りの玉京台の一角。にこにこ笑顔のピンばあやがいて、机の上には白磁の壺。…違うのは、蛍の手の中にお目当ての
「ピンばあや…もしかして、あなたは…仙人、なの?」
「ふむ…仙人。その二文字を他人から言われたのは久方ぶりじゃのう。ばあやが仙人かどうかは、もうわかっとるじゃろう?」
意を決したように問うた蛍の言葉に、ピンばあやは……どこかいたずらっぽい笑みを見せた。…その
「でもおばあちゃん、この鈴、本当に持っていっていいのか?岩王帝君にあんなことがあったばかりだし、てっきり警戒されるもんだと思ってたけど…」
「おかしなことを言うねぇ。今までにこの璃月港からどれだけの仙人が去り、その度にどんな波風が立ったか知らないじゃろう。しかし、そのどれもが
言われてみれば確かに…パイモンの指摘は私も気になった。今この時勢の中でこんなこと、怪しまれて当然じゃないか…けれども、ピンばあやはどうやら鍾離さんと同じ考えであるらしい。要するに伝統を重んじる態度。
…『絶雲の間』の仙人たちとここまで大きく違うのは、やはり誰よりも世俗に近いところにいるからなのだろう。あちらとこちらの差をここでも如実に感じることになるとはね…。
「犯人捜しにばかり熱を上げて、『送仙儀式』を
「…もし、その"旧友"が鈴を返さなかったら?」
「ほぉっほっ。もしそうなったら、ばあやが直接出向いて返してもらうさ。ずいぶんとご無沙汰しておることだし、お茶でもしながら世間話をするのもいいじゃろう」
…蛍の質問の意図は読めなかった*10けれど、ピンばあやは鷹揚に笑って……あぁ、なんとなく鍾離さんのあのぎこちなさの理由がわかったかも。何というか…ちゃっかりしているというか、身の振り方に気を遣わないといけないという気にさせられる感じがある。何かちょうどいい言葉が…どちらかといえば褒め言葉な言い回しがあったと思うんだけど、思い出せない…。
「そういうことだから、鈴は持ってお行き。あぁそれと…あなたたちにお使いを頼んだ人に伝言を頼みたい。…"時間があったら、またお茶をしに来てほしい。ばあやの持ち物は少ないが、急須くらいは持っておる"、とな」
「おう、伝えておくぞ!ありがとな!」
まあ、そんなことは置いておこう。鍾離さんに頼まれたおつかいはこれで完遂。ちょっとした伝言も頼まれつつ、玉京台…なのはここも一緒か。とりあえず、待っているであろう鍾離さんのもとへ戻ることにした。…なんだかんだ、パイモンの対人能力の高さに毎回助けられてる気がする。まあ今更だよなぁ。
「ああ、確かに『洗塵の鈴』だ…ふむ、いい状態だな」
翻って…と言うほどの距離でもなかったか。同じ玉京台ではあるけれど、ここは祭儀場。苦い思い出になった迎仙儀式が執り行われ、送仙儀式も行われる予定の場所。ちょうど品物*11の確認をしていたらしい鍾離さんは、蛍から受け取った鈴をしげしげと眺めると、満足げに
「なあ鍾離…ピンばあやとは知り合いなのか?」
「まあな。そうでなければ、『洗塵の鈴』の在り
「そりゃ、そうだけど……う~ん、あやしいぞ…」
相変わらず淡々としている鍾離さんを、パイモンは眉間に皺を寄せて見ている……まあ、言わんとするところはわかる。この状況でこの識者先生も仙人じゃないかと考えるのは……早計だとは思うけど、ごく自然なことだろう。ただでさえ世間離れしてるしな。
「そうだ、ピンばあやから伝言を預かってたよね?」
「おっ、そうだ!…『時間があったら、またお茶をしに来てほしい。ばあやの持ち物は少ないが、急須くらいは持っておる』ってさ!」
「ハハッ…その口調、似合わないな。しかし、彼女の急須は確かに良いものだ。美味い茶が飲める。…時間があったら、いい茶葉を持って会いに行こう」
まあ今考えることでもないから、それは別によくて……パイモンの存外うまい声真似に鍾離さんは頬を緩めて、それから懐かしむような表情をしていた。
…てっきりなんか敷居が高くて気後れしてるものかと思ってたけど、そうでもなかったのか?はて……まあいっか。他人同士のことだしな。
あの大型スライムに困惑された方、多いのではと思います 急にそんなオーラだの何だの言われても……わ、わかんないッピ……
・日依
戦闘が本分な自覚がある呪術師
デカい虫ぐらいは慣れてる むしろ消極的戦闘しかしないヤツは生ぬるかった
・蛍
生存力高いしなんだかんだやっていけそうだよな 世界を渡る旅人はかくがちげぇ
・パイモン
コミュ力◎
それはそうと しばらく見てないうちにフォント増えてる気がするわね…
・鍾離
おつかいの依頼主 なんだかんだ底が知れない
前回のそそくさは何だったのか まあええか
・ピンばあや
ふしぎ()な壺をお持ちのおばあちゃん
ちなみにピンは"萍"と書くらしいけどまあ親しみやすさ重視な感じで