魔法少女にあこがれてたよね!?   作:スカイ・■

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初めての出会い!

「見てみて!またキュアマジアが魔物を倒したんだって!それも人の大切な物を食べて強くなろうとする悪い魔物を!ばばっと!最後は必殺技で決めたんだ!まるでプリキュアみたいだよね!他の魔法少女も大好きだけど、この人はちょっと違うって言うか、まるでフィクションの世界から現れたみたいで、ほんと最高だよ!」

「へ、へぇ……」

 

私が魔法少女になってから1ヶ月が経った。

妹のうてなは益々、キュアマジアに熱を上げ、最近は魔法少女として『公式』での活動はいつかとそわそわしている。

辞めようにも、まるで運命がそうさせないと動いているか、いつの間にかこんなに経ってしまった。

 

「でもプリキュアにしては個人の活動なのが気になるって言うか……もう一人居れば完璧だと思うんだよね。理由があるのかな……でもトレスマジアとは交流もあるみたいだし、もしかして追加メンバー枠?え、もしかしてキュアマジアがこの街に来ちゃう!?」

 

来ちゃうもなにも目の前にいるんだけどね。

やれ、街の修復が終わるまで、隣街の魔法少女が退院するまでと理由は様々だが、なし崩し的に今も私は隣街の魔法少女をやっている。

マスコットであるヴァーツさんには連絡を取って、私の現状は打ち明けたが、酸素ボンベの補充は魔法で何とかするので、代わりが見つかるまでこの街を守ってくれと頼まれてしまった。

その代わりに、確定ではないにしろ、うてなを魔法少女として相応しいかどうか審査してくれるという約束を取り付けた。そんなわけで週3ぐらいのペースで隣街に借り出されていた。

 

ちなみに、私の魔法少女のペンダント(トランスアイテム)を見て貰ったところトレスマジアが使っているものと元は同じであるものの、間違いなく壊れているのに何故か正常?に動いてるよく分からない状態らしい。

酸素が消費されるのは風の魔法が関係していると言っていたが、私の魔法少女としての適性があまり高くないことも影響している可能性もあるそうだ。

 

『えっと非常に言いにくいんですが、貴方の魔法少女としての適正は……ほぼ、ありません。意思の強さは申し分ないんですが、変身に必要な魔力が低すぎるんです。その魔力量だと変身しても成人男性ほどの力しか出せない筈……足りない魔力をその酸素ボンベの中身で補っているのかもしれませんね』

 

分かってはいたが、やはり私は魔法少女に相応しくない人間だったようだ。

魔法少女の才能に血縁関係は影響しないようなので、これでうてなもダメということにならないのは幸いだが、少し浮かれていたところに針を刺されたような気分である。

 

紛い物の魔法少女。キュアマジア。

それが私。

有り難いことに人気は上々で魔法少女達を専門に取り扱う出版社から雑誌のオファーが来たこともあったが、そういうのは全部断っている。

 

リスクヘッジ。もしそういうのを残してしまったら後々、魔法少女として自由に走り回れていた時のことを思い出して辛くなるかもしれないからだ。

 

だからごめんね、うてな。キュアマジアの公式グッズが発売されることはないんだ。

 

「あ、うそ!もうこんな時間!?ご馳走さま!行ってきますー!」

 

はい。行ってらっしゃい。

笑顔で見送る。

 

その日私は定期検査の為、学校を休んでいた。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。疲れた」

 

そして時刻は午後5時。2時からの検査だったが間の待ち時間が長く、こんな時間になってしまった。

母が車庫に車を納すので先に降りた私は、最近の癖で酸素ボンベの残量を気にしてしまう。

 

 

残量96%

 

先ほど予備と交換した為、殆ど満タンだった。

これなら活動にも問題なさそうだが、街の修復作業はないし、魔物が出なければ問題ない。

 

「んっ」

 

その時、ピンっと魔物の気配を感じたが、かなり近いようだ。この街ならトレスマジアが対応するだろうし、私が出向く必要はない。

 

……ない、のだが距離としては3キロほど先。殆ど目と鼻の先である。

 

少しだけ見ていくかと私は魔法少女に変身した。

 

そして場所は廃工場。トレスマジアが既にことに当たっていたようで、魔物の残骸が転がっている。

 

やはり来る必要はなかっただろうか。

 

「あっ!」「いや!」「や、やめてっ!」

 

帰ろうとした矢先、姦しい笑い声がする。悲鳴にも聞こえるそれの行方を追えばトレスマジアが魔物に捕まっているではないか。

 

「大丈夫ですか!?」

 

私は青白い光、ヴァーツさん曰く、風の魔法を纏ってそれらを払い除けた。

 

「はぁはぁ……おぉ、キュアマジアか。助かったわ」

「あ、あなたが最近、サルファが面倒見てるって言う」

「ひぃ、ひぃ有り難う。笑いすぎて死んじゃうかと思ったよ」

 

てっきり物凄く強い魔物なのかと思って魔法を使ったが、アメ細工のように砕けた。

 

どうしてこんなのに先輩達が捕まっていたのかと、問い掛けようして目の前の存在に気付く。

 

「ぁ、ぁぁ……キュア、マジアぁ」

 

夜のように暗い装束を纏った少女だった。

魔法少女かと思ったが、布の面積が少ない……少し卑猥だ。野生の痴女かと思ったが、それにしては恥ずかしそうにしているし、もしかして誰かに無理やりそのような格好をさせられているのだろうか。

ならばと私は自らのマントを渡そうと

 

「気をつけて!そいつはエノルミータの女幹部よ!!」

 

「幹部!?」

その手を止め、後ろに下がる。

 

「あっ」

 

成る程、トレスマジアはこの子に追い詰められていたのか。

見た目では分からなかった。名残惜しそうにこちらに手を伸ばす、そんな姿を見ていると何だか庇護欲が擽られるがそういう魔法を使っているのかもしれない。

 

油断は出来ない。これまで私が戦ってきたのは悪の組織エノルミータが産み出してきた魔物だけだった。

他の街に出るものより少し強い個体が多いらしいが、幹部はまた別格の強さをしているのだろう。

そう言えば、あの街の魔法少女、クロムマジアはエノルミータの幹部に敗れたと聞く。

 

「先輩方、戦えそうですか?」

 

「もちのろんや」

「ええ」「行けるよ!」

 

一人では不安だが、ここにはトレスマジアがいる。協力して当たれば何とかなる筈だ。

家も近いし遠慮はいらないと私は魔法を全身に纏って拳を構える。

 

「あ、あの……違くて、これは……間違いで」

 

ホロリと女幹部の瞳から大粒の涙が溢れた。

 

「あれ?変だなぁ……涙が止まらないや。さっきまで、あんなにゾワゾワしたのに、貴方に……キュアマジアだけは、そんな目で見られるのは、嫌だなぁ」

 

強敵になると決死の覚悟をしたが、それはまるで迷子になった子供のようで、握りしめた拳の力が抜けていく。

 

──助けないと。

 

「敵の言葉を信用したらあきまへんえ」

「ですが!彼女は泣いているんですよ!?」

 

私にはまだ悪の組織エノルミータが何故、魔物で人々を襲ったり、魔法少女を傷つけているのか分からない。それ相応の理由があるのかもしれないし、ないのかもしれない。

今分かることは私の好きなプリキュア達はそんな彼らとだって手を繋ぐことを諦めなかった。

出来る出来ないじゃない。大切なことは見て見ぬふりをしないことだと私は思う。

目の前の彼女は自分に助けを求めている。

 

それに手を伸ばさないで何が魔法少女だと、私はサルファさんの制止を振り切って手を伸ばした。

 

「さぁ、もう大丈夫です。私が貴方を」

 

 

そういうことされると困るんだよ

 

 

彼女が伸ばした手をあと少しで掴める。その直前で影の中に彼女は潜り込んでしまった。

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