気がついたらテレッテでお手上げ侍   作:TTT

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討伐?

 

 「もうさいっあく!」

 

 「……何回目の奇襲だっけか?」

 

 「五回から数えてない」

 

 「思っていたよりも消耗が激しいな」

 

 モノレールの中のシャドウ討伐は困難を極めていた。と言うのも統括するシャドウがいるためか、タルタロスのシャドウと違い搦め手を多く使ってくる。

 

 「消耗すると逃げるシャドウを追いかければ後ろに出現したシャドウと挟み撃ち。そのまま逃がせば屋根から落ちてきたシャドウの奇襲。極めつけには棺の回りをうろつくシャドウ……明らかに今までとは毛色が違うな」

 

 「性格悪すぎません!?」

 

 「まあまあ、ゆかりっち、落ち着いて」

 

 「これが落ち着けるかっての!」

 

 ゆかりはすっかり怒り心頭。みんなも気をはり続けているので集中力が切れてきている。こうなってくると連携もうまく行かなくなってきたりと足並みが揃わない。なにか方法を考えなくては……

 

 

 

 

 

 

 

 『次の車両にシャドウの反応を3つ確認。とはいえ、感知外からの転移がある以上、あまり当てにはならないが……力不足で申し訳ない』

 

 「美鶴は良くやっている。最低数がわかるだけでも大きな違いだ。順平、いけるか?」

 

 「もちろんっスよ!」

 

 真田先輩が車両と車両をつなぐ扉をあけると同時にペルソナを呼び出す。

 

 「モルフェウス! ドルミナー! ドルミナー! ドルミナー!」

 

 順繰りにドルミナーを打ち込み、なにかしでかす前に動きを止める。

 

 「ふっ!」

 

 「やぁあっ!」

 

 「っ!」

 

 そして眠っているシャドウを各々が一撃で沈めていく。最初こそ正面から戦っていたが、このままではダメだと途中でやり方を議論し、俺達は一つの答えを導きだした。それがこの永遠に眠らせよう作戦である。

 

 「はい、順平」

 

 「ありがと、ゆかりっち。ペルソナは呼び出せば呼び出すだけ消耗するけど、なんでかジュース飲むだけで多少は気が楽になるんだよな……」

 

 「結局は精神力がモノを言う。心に余裕を持つと言う意味でも小休止を入れるのは効果的なのだろう」

 

 「魔石もある」

 

 ゆかりから受け取ったジュースを飲みながら湊のくれた魔石を砕く。スーッと気持ちが落ち着く。ゲームだと数値化されているものが現実だとわからないので非常に困る。

 

 「順平の負担が大きい」

 

 「動きを制限するのは順平のペルソナが一番だからな……」

 

 「だからってこのまま続けてたら……!」

 

 「わかっている! わかってはいるが……っ!」

 

 「ちょいちょい! オレっちは、まだまだ大丈夫だから! てかぶっちゃけこれが一番被害が少なそうだし、他の手だてもないっしょ? もうちょっとカッコつけさせてくれよ」

 

 『順平のバイタルは正常だ。だが、少しでもおかしくなればすぐにこの戦い方は止めさせてもらう』

 

 「了解っス」

 

 桐条先輩の通信に返事をして、空いている座席に座り一息つく。

 

 「とはいえ、ペースはそんなに良くないよナー」

 

 「ゆっくりと進みたいところだが、あまり時間をかけるわけにもいかない」

 

 「だからって順平に無理させるくらいなら……!」

 

 「そうだな。最悪、多少の無茶は理事長に押し付けて力押しすることにしよう」

 

 「肌にあってる」

 

 「ミナっちゃんってわりと真田先輩寄りだよネ」

 

 『っ!? 巨大なシャドウの反応が上に出現した! みんな、そこから逃げるんだ!』

 

 「「「「っ!?」」」」

 

 桐条先輩の通信が入るや否や全員がその場を跳ぶように離れる。戦闘が終わったばかりで気が抜けていたのか、全く考えていなかった。大物シャドウの方からこちらに攻撃を仕掛けてくることを。

 

 「いぃい!?」

 

 「ひゃぁあ!?」

 

 俺とゆかりの声が響く。俺達が居た場所の床は上から落ちてきたシャドウの攻撃により、なくなっていた。そして、シャドウの姿が露になる。そのシャドウは髪の毛が聖典になっており、体色の半分を「B(ボアズ:闇)」と「J(ヤヒン:光)」に分けていた。

 

 「普通こういうボスって一番先頭の車両で待機してるもんじゃないのか!?」

 

 「シャドウ相手に常識やお約束は通用しないと言うことか」

 

 「手間が省けて楽」

 

 「なんだって良いけど一つだけはっきりしてることがあるわ。コイツを倒せばおしまいってこと!」

 

 『みんな、来るぞ! 構えるんだ!』

 

 桐条先輩の通信を合図にしたかのようにシャドウがこちらへと飛びかかってくる。それと同時に列車が凄い勢いで動き出す。

 

 「きゃあ!?」

 

 「なんだ!?」

 

 『モノレールが動き出した!? まずい! このままでは前方に停車しているモノレールと衝突する!』

 

 「短期決戦と言うわけか。シャドウも余裕がないと見える」

 

 「倒すだけ。やることは変わらない」

 

 「簡単にいってくれるよネ……しゃあ! 期待に応えるとすっか!」

 

 聖典の髪の毛の攻撃を回避しながら魔法を打ち込み、仲間を呼べば眠らせて動きを封じて処理し、仲間が傷つけば援護をしつつ回復する時間を稼ぐ。少しずつ、でも確実にダメージを与えていく。

 

 「――――――――――――!!!」

 

 「っ! さらに加速するのか!?」

 

 「あぁ、もう、めんどくさすぎ!」

 

 シャドウが力を振り絞り、さらにモノレールを加速させる。それを見ていた湊が一歩前にでる。

 

 「ミナっちゃん?」

 

 「もう……終わり。ファルロス!」

 

 「ゥォオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!」

 

 湊の呼び掛けに呼応するかのように、あの夜のペルソナ、タナトスもといファルロスが出現した。そこからはあの夜の焼き増しだった。聖典の髪の毛を長刀で切り分けながら喰らい、ついには直接頭にかじり喰らっていた。

 

 「これは……なんと言うか、圧巻だな」

 

 「ダメ、見てらんない……」

 

 真田先輩は圧倒され、ゆかりは目を背ける。

 

 「順平。コイツを倒しても列車は止まらない。止めてほしい」

 

 「えっ!? お、おう! 任せとけよナ!」

 

 湊に言われ、いろんなボタンを適当に操作してモノレールを止め、なんとも言えない雰囲気のままシャドウ討伐は終わったのだった。

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