それから拳太郎がアメリカに渡ってから、事態は変わっていった。
彼を批判していたメディアや政党、そしてそれに関係した企業らは全世界中から批判を浴びて資金援助の強制停止、並びに市場への上場取り消しといった制裁を受けていった。
それによって、拳太郎を批判する声は次第に止んでいき、今では拳太郎を英雄視する声のみが残っていた。
そして、個人活動にて彼を晒しあげたり、批判しようものならば、たとえアカウントであろうと強制的に削除され、中には逆に名指しで世間に晒されるようになった。
拳太郎を絶対視する世論の声が過剰なまでに上がっていったのだ。
それは世間が拳太郎を英雄視したからか?はたまた____
________その圧倒的な力に畏怖したからなのだろうか?
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日本を去ってより1年。
「…というわけで、彼女の身柄、預かってくれません?」
「いや突然呼び出して何言ってんですかアンタ」
目の前に座っているホークスの言葉に拳太郎はすぐさま返す。
ここは日本の治安維持組織『公安』のとある一室。拳太郎の前に座っているのはホークスそして___
「ズズズ…」
優雅にコーヒーを啜るレディ・ナガンであった。
時は遡ること数日前。i・アイランドにて生活していた拳太郎の元に一本の連絡が入る。それは以前一戦交えたダツゴク『レディ・ナガン』こと筒美火伊那の完全釈放であった。
AFOが個性に仕掛けた爆破によって治療を受けていたが、戦いの最中に回復し、他のダツゴク達を制圧し、サポートしていたのだ。その戦果が認められて、釈放の権利を与えられたが、彼女自身は前任のトラウマがあるため社会に出る事を拒否。
それによって彼女と接触した拳太郎にホークスは連絡を入れて、部屋に案内されてこんな状況になったというわけだ。
「いや、説明されても全く意味わからないんですけども…なぜ?」
「いや〜貴方がAFOと戦っている合間にナガンも目を覚まして各地で残党の捕縛に協力してくれましてね。それが認められて釈放という事に」
「いやそれ聞きましたし。なら素直に出ればいいでしょうに」
「それを彼女は拒否したんですよ…」
「いやおかしいでしょ。なぜに?」
「誰かに利用されるのが怖い…とのことで」
「…」
その言葉に拳太郎は返答を止める。
こんな彼女ではあるが、元は正義感のあるヒーローの1人であった。街中で見かければ子供達でさえも駆け寄るほどの活躍ぶりで同期ヒーロー達の中からも賞賛の声が上がっていた。
だが、そんな彼女には裏の顔があったのだ。それは、『公安直属のヒーロー』として敵と癒着したヒーローやそれに迫る非道なヒーロー達の秘密裏の抹殺である。
ヒーロー飽和社会の中で、少しでも敵と癒着していた事実が広まれば、ヒーローに対する信用度は地の底へと陥り、社会も崩壊しかねない。
それを防ぐために公安はトップクラスの実力を持つ彼女へ任務を任せたのだ。
だが、それは彼女のヒーローへの憧れを消し去り、精神を次第に蝕ませていく。そして遂に限界に陥った彼女は自らの手で当時の公安のトップを殺害。タルタロスへと収監されたのだ。
拳太郎自身も彼女からその話を聞いており、ホークスの言葉に返すことは出来なかった。
だけども、改めて考えてみれば
「いや、だからと言って僕に預けるのはおかしいでしょっての」
「まぁ…それはそうなんすけども…今の彼女の事情を知ってるのは貴方だけですし、俺が匿うのもあれで…万が一、同じ事をされてもすぐに拘束も可能ですからね」
そう言いホークスはニッコリと笑みを浮かべるがそれを拳太郎は即座に手を横に振る。
「だから無理ですって!!せっかくゴタゴタから解放されると思ったらこれですか!?それにもう1人なんて入れたら!僕がねじれさんに殺されますよ!!」
「そこを何とか!お願いしますって!」
すると
「後輩くん。あまり無茶を言うなよ」
今まで黙って聴いていた火伊那はコーヒーを置きホークスを制止する。
「いくら監視とはいえ、思春期の男子の家に私の様な大人が上がり込んじゃ教育上よろしくないだろ。それに毎晩盛ってる3人の中に放り込まれるなんて私もごめんだよ」
「「いやアラフォーが何言ってんですか」」
「あ"ぁ!?」
それから話は沸騰していき、拒否と議論が繰り返される中、遂に決着がたく。
____「分かりました…引き受けます」
「ありがとうございまぁあああす!!!!」
結果として、拳太郎とその家族そして壊利の生活費・学費・その他諸々の全額支給を条件に呑んだのであった。
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「つうわけで、よろしく頼むよ。3人とも」
「「は?」」
渡航し目の前に立つ火伊那にねじれとメリッサの声が重なる。目の前にはシャツにロングスカートといったラフな服装の彼女の姿があり、それを見た2人のうち、ねじれの首がブリキのおもちゃのように拳太郎へと向けられる。
「拳ちゃ〜ん」
「ヒィ!?」
彼女の気迫に拳太郎は身の毛を立たせる。
「これはどういうことかな〜?なぁ〜んで私達がいるのに、別の女がいるの〜?」
「いや…それは…」
「しかも、だいぶおっぱいデカいけど、まさかおっぱい大きいから頷いたの?」
「ちちち違う!!断じて違うから!!!」
「じゃあなんで?何でなの?ねぇねぇ何で?また一日中、搾られたいの?窒息させられたいの?ねぇ答えてよ。なんで?ねぇねぇ」
「ぎゃああああ!!!怖い怖い怖い!!ちょっと!!アンタからも説明してくださいよぉ!?」
「ん?まぁそうだよね」
ねじれに詰め寄られる中、拳太郎の涙の悲鳴に、メリッサと談笑していた火伊那は髪をかきながらねじれを見る。
「お嬢ちゃん。今回はそこの坊やに無理を言ってもらったんだ。勿論私だって邪魔なのは承知してるし、私生活にも介入しないように約束する。だからさ、あまりその子を責めないでくれよ」
「…………………黙っててよおばさん」
「あ"ぁ!?まだピチピチの30代だよ!!」
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それから4人の同居生活が始まる。
部屋の構造は4LDKという大豪邸であるため、火伊那の部屋も問題なく用意でき、彼女は皆とは別空間に入るようにその部屋で生活を始めた。
自分の荷物を開き終えた彼女は布団の上に寝転がると、天井を見上げた。タルタロスの金属の牢でも天井でもない。
「…外どころか、日本から出たけど…どうしよう…」
やっと手に入れた自由。だが、たとえ自由だとしても考える時間が必要だ。いずれはここから出ていく。それまでに何とか自分がやりたい事、やるべき事を見つけなければならない。
「ヒーローはもうごめんだね…。だけど」
そんな中で、拳太郎の言葉を思い出す。それは自身の過去を告白した際に彼から投げかけられた言葉だった。
___ヒーローよりヒーローしてるじゃないですか。不本意であったとしても、憧れのために自分の手を血に染めながらも、ヒーロー達の名誉を守ったその姿を、僕は心の底から尊敬します
だからこれからは、自由に生きてみては?
「……自由に生きて…か。イラストにも興味あったし、やってみようかな」
すると
____ドシャァアアアン!!!
「!?」
___ガタガタガタガタ
「ぎゃああああ!!!!」
___ゴトゴトゴトゴト
「ほら拳ちゃん!暴れないで!!メリッサ!顔塞いじゃって」
「は〜い♡ダーリンったら顔赤くして可愛いんだから〜♪」
___パンパンパン!
隣の部屋から拳太郎の叫び声やねじれ、メリッサの声と共に妙な音が聞こえ始めた。それを耳にした火伊那は叩き起こされ飛び起きた。
「アイツらどんな営み方してんだよ!?最初は危惧してたけど、こんな激しい音じゃ興奮するどころかイライラがたまるだろうが!!」
そう言い火伊那は毛布にくるまる。
「〜!!!」
必死に毛布を頭に被り、身を包ませるものの、その音が何度も鳴り響く。
すると、次第に激しい音は鳴り止むと、次第に何かを打ち付ける音と微かな喘ぎ声のみが聞こえてくるようになった。
その生々しい音もあれだが、先程の激しい騒音に比べればどうって事なく、あたりが静まり返った事で、被っていた毛布から顔を出すと、大きく背筋を伸ばす。
「ん…んん!!…ようやく静かになりやがった」
そして、大きく背伸びをし、リラックスすると、火伊那は今度こそベッドの上に横になり目を閉じたのだった。
「これで安心して寝られるぜ…ガキどもはいい夜にしろよ…」
その後、3人のよろしくやってる(ねじれとメリッサだけ盛ってる)声と音に耐えきれず参戦することとなり関係をもってしまうのだった。