【近日中フルリメイク】……あなたが、先生、ですか。はじめまして、不知火カヤと、申します。   作:猫型探索者

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大変お待たせ致しました。
まさか、ここに来て趣味用として使っていたPCが駄目になるとは思っていなかった……。



迫る影/不知火カヤ

 

 

 対策部の部室ではなく、今は使われていない空き教室。在りし日の賑わいが微かに感じられるその場所の、窓際の席に座って、校庭にて、今も繰り広げられている戦闘を眺めながら、思考する。

 

「これから、私はどう動くべきか」

 

 私に化けて、連邦生徒会に入り込んだ誰かさんの対処を急ぐべきか、状況が急変したアビドスの支援をすべきか、はたまた、外部と連絡を取るべきか。

 

 理想を言えば、最優先に当たるべき事は私のドッペルゲンガーの排除であることは理解している。

 が、それは現状、あまりにも現実味のない、夢物語のようなお話でしか無い。

 

 なにせ、今、私は、私が私だと証明するものを、何一つ持っていないのだから。

 

 手元にあるのは、胸ポケットに入れ続けていたせいで汗を吸い、シワシワになったお札数枚と、使えるのか使えないか分からないクレジットカードが一枚。

 

 そして、長年私と共に戦い続けてくれた、二丁の相棒――Perseverance(FN.B.HP)Forward(RM.95.DD)

 

 それが、今の私の持ち物全てだ。

 

 学園都市たるこのキヴォトスにおいて、学生証を始めとした身分証の類いは、冗談抜きで命の次に大切な物の一つであると私は考える。

 

 そんな物を、私はあのドッペルゲンガー、もしくはその協力者に奪取された可能性が非常に高い。

 

 こんな現状で連邦生徒会に戻ったところで、良くて門前払いからのなりすましとしてヴァルキューレに連行、下手をすれば、今度こそ殺される可能性がある。

 

 それも、生存出来る確率が限りなく低い方法で。

 

 そもそもの話、私は何者かに拉致され、あの場所――アビドス砂漠の奥地に、生存に必要なものを剥ぎ取られた上で放置された。

 

 それは、相手は殺しも厭わないということの証明である。そして、私はこのキヴォトスに身を捧げる覚悟こそあるけれど、まだ死にたくはない。

 

 最悪、脳みそだけになっても生にしがみつきたいと思っている程度には、私は生き汚いのだ。

 

 

 ……もちろん、気概の話だけれど。

 

 

 ともあれ。

 

 今は、アビドスで、ひっそりと。

 砂中深くに身を埋め、散々に傷付けられたこの体を癒しながら…………私のドッペルゲンガーと相まみえるその時を、楽しみに待つと致しましょう。

 

  

 ――それはそれとして。

 

 

 やはり、どうにかして、外との連絡手段を持つ必要性がある。

 

 確かに、このアビドスで、卒業の日までホシノさんやユメさんと、のんびり平和に過ごすのも悪くはないけれど――。

 

 

『――カヤちゃん。もしも、私に何かあったその時は…………キヴォトスのこと、よろしくね!』

 

 

「アナタと、約束してしまったから」

 

 そういうわけにも、いかなくて。

 

 あの言葉は、私の心に、勇気と、希望と、信頼されているという喜びと…………この立場から、決して逃れられなくなる呪縛を、与えた。

 

 実を言うと、だけど。

 

 あの時、私には、あなたが最後の逃げ道を塞ぐ、大きな壁に見えていた。

 

 頼られて、嬉しかった。

 

 それと同時に、もう逃げられないという恐怖も、少しだけ、感じていた。

 しかし、いまは、心に芽生えてしまった微かな感情にすら蓋をして、この度し難い現状への対処に当たるべきなのでしょう。

 

 あまりにも後手に回りすぎていて、自分でも情けなくて笑ってしまう程度には、対処療法が過ぎるのだけれど。

 

 それでも。

 

「何もしないよりは、マシ。ねえ、そうでしょう」

 

 誰もいない教室に、独り言が響く。

 当然、それに対する返事は無くて、聞こえてくるのは、風に運ばれた砂が窓を叩く音と、校庭から聞こえる戦闘の音だけだった。

 

 ふと、立ち上がって窓の外を見てみれば、目の前にはどこまでも澄んだ青空と、どこまでも続いているような不毛の大地が広がっている。

 

「…………景色を見るときには、役に立つのですよね。この目も。幼子(おさなご)には泣かれるというのに」

  

 三階から眺めるこの光景も、普通の人から見れば、ただの綺麗な風景画に過ぎないのだろうけど、私から見れば、一面に広がる大パノラマだ。

 

 見えなくても良いものが見えてしまうのが、玉に瑕ではあるけれど。

 

 

 ……窓硝子に反射した私の顔。

 

  

 そこに映る私の瞳は、やっぱり、どこか人と違う。

 

 このキヴォトスにおいて、縦長の瞳孔――所謂ネコ目と呼ばれる生徒は山程居ると言うのに、どういう訳か、私のような横長の瞳孔を持つ生徒は居ない。

 

 人が、自分と違うもの――未知の物に対して抱く感情は、三通りに分かれると私は考えている。

 

 一つは、好奇心。

 一つは、無関心。

 そしてもう一つは、恐怖心。

 

 ええ、ええ。

 理解できますとも。

 

 未知の物、得体のしれないモノは、幼年期の少年少女にはさぞ恐ろしく映ったであろうことは。

 

「…………はっ」 

 

 私は、私の顔が、目が嫌いです。

 人と違うし、皆からは怖がられるし、友人であっても目を合わせてくれる人はほんの僅か。

 

 場所によっては、悪魔の化身だと罵られ、蔑まれたこともありました。気味が悪いと出会い頭に撃たれたことも、一度や二度ではありません。

 

 それでもなお、私がここまで、心を折ること無く道を歩んでこれたのは――。

 

「あなたが居たからなんですよ、()()()

 

 校庭を舞う、桃色の髪を目で追いかけていると、一つ、気付いたことがあった。

 だから、窓を少しだけ開けて。

 相棒――FN.ハイパワー(パーサヴィアランス)()()()構え、照準を合わせる。

 

 狙いは、ホシノへその銃口を向けている赤髪の少女。確か、便利屋68の社長、陸八魔アル、だったか。

 

「ホシノは、ヘッドショットを食らったって、どうってこと無いのは分かってるのですけれど」

 

 それでも、大切な人が傷つく姿は見たくないから。

 私は、また、引き金を引くのだ。

 

「っ!!」

  

 撃鉄が振り下ろされ、強めの反動とともに弾丸が飛び出す。

 

 それと同時に、右腕に鋭い痛みが走り、射撃の反動を抑えきれない私の手から、相棒が別れも告げずに離れてゆく。

 

 けれど、放たれた弾丸は、寸分の狂いも無く、陸八魔アルの愛銃の銃口へと飛び込んでくれた。

 こんな時に考えることじゃないかもしれないけれど、高難度の射撃を成功させると、不思議と笑みがこぼれてしまう。 

 

 しかし、だ。

 

 その余韻に浸る時間は、すぐに終わりを迎えた。

 

 発砲音で、私の存在に気付いたのであろう()()()()傭兵の一人が、私にライフルの銃口を向けていた。

 

 他の傭兵は皆、生徒(子ども)なのに、どうして一人、大人が混じっているのだろうか。

 確かに、ブラックマーケットでは、そういった傭兵団も数こそ少ないものの、存在はする。

 

 大人と子ども、それぞれが長所短所を補い合って、上手く経営を回している傭兵団も、知っている。

 

 けれど、生徒(子ども)の中に、一人だけ大人が混じった傭兵団なんて、聞いたことも、見たこともない。

 

 それに、動きが、あまりにも、洗練され過ぎている。そう、それは、まるで。

 

 

 まるで――軍人のような。

 

 

「……ぁ」

 

 

 キラリと、彼のライフルの銃口が光った。

 

 

「ッ!!!」

 

 

 右胸に、衝撃。

 視界が、急激に揺らいで。

 

 気付けば、私は、床に倒れていた。

 

  

 





カヤ室長の今後について【誰かの家に転がり込む場合は、家がある地区が活動拠点となります】

  • アビドス編終了までこのまま滞在
  • アビドス編の途中でDUへ出発する
  • ホシノの家に転がり込む
  • 即座にDUへ向かい防衛室へ突撃
  • ヒナの家に転がり込む
  • シャーレに転がり込む
  • ナギサの家に転がり込む
  • 柴関ラーメンで働く
  • ツルギの家に転がり込む
  • カンナの家に転がり込む
  • ノアの家に転がり込む
  • 便利屋68と共に行動する
  • イチカの家に転がり込む
  • マコトの家に転がり込む
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