私立武良穂学園の生徒会室にある一区画。
生徒会メンバーが日々、学園をより良い場所にするために活動しているその部屋を不法に占拠して研究に励んでいる人がいる。彼女の発明は人を幸せにするのか、それとも不幸せにするのか。
奇天烈で摩訶不思議な発明品と発明家の暴走が今日もまた巻き起こるのであった……。

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マジカミの二次創作です。


雪船エリザ出張研究所

 私立武良穂学園の生徒会室にある一区画。

 多くの資料や書類が保管され、物に溢れる生徒会室の中でも、一際に物が集まっている部屋の隅。そこでは24時間365日、昼夜を問わず、ある人物によって研究と発明が進められていた。

 その場所について生徒会メンバーはこう語る。

「スペースの無駄」

「お姫ちゃんが楽しそうなことをしています」

「そこにダンベルを置きたいんだ」

 メンバーの評価はさておき、その場所は代表者及び占拠人によってこう呼ばれていた。『雪船エリザ出張研究所』と……。

 

 この日もまた、研究所で発明が行われていた。研究に終わりは無い。それが研究所の所長(自称)のモットーである。

「完成しましたわ〜〜!!!」

「うわぁ! 大声を出すな!」

 大声を上げた所長に、東山陽彩は危うく呼んでいた本を取り落としそうになった。不機嫌さを見せつつ、陽彩は所長に声をかける。

「また下らないものを作ったのか? エリザ」

「下らないものなんて作りませんわ! ワタクシは人々の役に立ち、自らの羞恥心を満たすものしか作りませんわ!」

 高らかな声と共に返したのは、所長の雪船エリザだ。雪船エリザ出張研究所を立ち上げた(もとい生徒会室の一部を不法占拠した)張本人であり、発明のスペシャリストである。彼女の手にかかれば、作れないものなどないのだ。

「満たすなら『羞恥心』じゃなくて、『好奇心』だ……。それと、僕の読書の時間を邪魔しないでくれ」

「邪魔なんかしませんわ! それに陽彩! 聞いてちょうだいな!」

「断る。僕は本を読むんだ。静かにしていてくれ」

「それなら丁度いいですわ! 早速、実験に付き合ってもらいますわ!」

「話を聞いてないのか!?」

 騒ぎ立てる陽彩を他所に、エリザは装置を取り出した。机の上を埋め尽くすような箱にカメラやセンサー、プリンターが搭載されている。

「これは……、なんの装置だ?」

「ふふふ…! 聞いて驚くことなかれですわ!」

 エリザは胸を張った。

「『自動製本機』ですわ!!」

 陽彩は本を読み始めた。

「無視するんじゃありませんわ!!」

「すまない。本当に驚くことが無かったからな。ついスルーしてしまった」

「驚かない!? ワタクシチャンサマの世紀の大発明を前にして、なぜ微動だにしませんの!?」

「キミの手元の機械で調べてみるといい。自動製本機を、だ」

 エリザは両肩を少し持ち上げると「あぁ、そういうこと」とジェスチャーする。陽彩は小馬鹿にしてきたような態度と事実小馬鹿にしてきたエリザに対して苛立ちを覚えた。

「ワタクシの作る製本機は、そんじょそこらの三下製本機とはレベルもクオリティも違いますわ!」

「キミはいつもいつも、そう言って、結局出来上がったものはどうだ? 悪いがキミの発明が僕の期待以上だった事なんてないぞ」

「それでは早速、機能の説明をしますわ!」

「話を聞く気は無いのか……」

 エリザは中空を指差しながら語り出す。

「陽彩、AIは知っていますわね?」

「僕を馬鹿にするな。Artificial Intelligence。人工知能のことだ」

「さすが陽彩。話が早くて頼もしいですわ」

「僕はキミが話を飛ばし過ぎて、なにも理解できて無いんだが……」

「最近、そのAIが話題ですわね」

「そうだな。AI技術はここ数年で飛躍的に進歩した。だが、それがどうしたって言うんだ?」

「今のAI技術を使えば、イラストやCG、人間との対話やゲームのプログラミングまでできてしまいますわ」

「早く本題に入ってくれないか? 説明に飽きてきたんだが……」

 ドヤ顔で語っていたエリザは、さらに自慢げな表情をして続ける。

「だから、ワタクシチャンサマも作りましたの。AIを」

「ほう……」

 一瞬の間。

「可笑しいですわね……。本来の予定なら陽彩が『ギョギョ〜っ!』と驚く予定でしたのに……」

「僕が今までいつ魚類学者の様な驚き方をしたことがあるんだ?」

「まぁいいですわ! 続けますわよ! 陽彩」

「本当だ。無駄な時間を作らないでくれ」

 エリザは自動製本機の箱部分を指差した。

「ここには、ワタクシチャンサマが生み出したスペシャルなAIが入っていますわ!」

「そんなことは話の流れから分かる。そのAIでなにをするかを説明してくれ」

「ふふふ! 答えは陽彩の手の中にありますわ!!」

 陽彩の手の中。そこには一冊の本があった。

「本がどうしたって言うんだ?」

「正確にはジャンルですわ」

「ジャンル? 小説ってことか?」

「その通りですわ!」

 この瞬間、陽彩は思考を巡らせた。嫌な予感がした。普段は杞憂に終わる予感だが、エリザの時だけは的中率が高い予感であった。

「エリザ、いくつか質問をしていいか?」

「構いませんわ! どんな質問でも受け付けますわ!」

「その『自動製本機』とやらは、AI技術を使って小説を書く機械なのか?」

「その通りですわ」

「AIということは、何かしら学習して小説を書くんだよな?」

「もちろんですわ」

「その学習元はどこから持ってくるんだ?」

「既存の小説ですわ~~~!」

 陽彩は大きく振りかぶってチョップを繰り出した。エリザの額を狙ったそれは、悲しいことに陽彩の身長が足らず、エリザの谷間に刺さった。「ひゃん!」というエリザの嬌声が生徒会室に響いた。

「セクハラですわ!」

「権利侵害だ!」

 二人が同時に叫ぶ。

「いきなりなんてことをしやがりますの!?」

「そんなことより、君の方が問題だ! 君はAIの学習による倫理的な問題を知らないのか!?」

「それぐらい知ってますわよ」

「じゃあなんでこんなものを作ったんだ! AIの創作したものに著作権は認められてないが、それでAIの学習元にされたことによって多くのクリエイターが苦しんでいるんだぞ!」

「だから分かっていますわよ。陽彩はきっと勘違いしていますわ」

「勘違い? なにに対してだ?」

「まぁ、見てなさいって」

 エリザはそう言うと、陽彩の手から小説を取り上げた。小説は即座に自動製本機のセンサーの上に置かれる。小さな起動音の後、自動製本機のモニター上に『学習完了』の文字が表示された。

 刹那、陽彩は身体を大きく捻った。足を前後に開き、全身の勢いを乗せた拳がエリザに向かって放たれた。陽彩はこの瞬間、かつて蒼から教わった護身術を思い出していた。どんな相手であっても、一撃で戦闘不能にすることができる技。捻り運動を取り入れることで拳の威力を上げる。さらに顎先を掠るように殴ることで、相手の頭を揺らし、脳震盪を起こすことができる。非力な陽彩がとっさの場面で身を守れるように蒼が教えた技術であった。

 陽彩の拳は、エリザの顎を抉る角度で迫っていった。しかし、陽彩には足りないものがあった。それはエリザの顎ではなく、乳先までしか届かなかった身長。そして蒼の想像のはるか下をいく、筋力であった。拳はエリザの乳先を絶妙な威力で掠っていった。

 「ぐぉぉぉおおおおお!」エリザの嬌声(?)が再び生徒会室に響いた。

 

「乳首が取れたかと思いましたわ……」

「安心しろ。乳首は取れても再生する。そんなことよりもだ」

「ワタクシの乳首をそんなこと呼ばわりするんじゃありませんわ……」

 陽彩はエリザの言葉を無視して続ける。

「君は今、自分が何をしたのか分かっているのか?」

「ワタクシチャンサマのAIに学習をさせましたわ」

「分かっててやったなら大問題だ」

「ところがどっこいノープロブレムなのですわ」

 エリザはセンサーの上の小説を取り上げる。

「作者は……、『道頓堀川ランボー』。ミステリー小説家ですわね」

「その『道頓堀川ランボー』先生の文章を勝手に学習させたんだ。はとんだ無礼者だよ」

「ノンノン! そこに誤解がありますわ!」

「誤解……? どういうことだ?」

 不思議そうな陽彩の顔をドヤ顔でエリザは見下ろした。陽彩の表情は再び苛立ちに変わる。

「ワタクシのAIは、文章を学習するのではありませんわ」

「文章を学習するのではない? じゃあ一体なにを学習するって言うんだ?」

「聞いて驚き顎をかっぴらきやがれですわ!」

 ドヤ顔から超ドヤ顔になったエリザは高らかに答える。

「小説の展開ですわ!」

「……は?」

 陽彩は固まった。目の前の自称天才が何を言っているのかが分からない。ギフテッドと呼ばれて久しい自分であるが、親戚として小さいころから共に過ごすことが多かった目の前の金髪電波系お嬢様かぶれ小娘の言っていることが理解できないのだ。(自分がおかしくなったのか? そんなことはない。おかしいのは目の前のコイツだ)そう思うことでしか聞かされた情報を受け入れることができない。

 そんな固まった陽彩を他所にエリザは装置の解説を始めた。

「ワタクシチャンサマのAIは小説の中身を学習することによって、その小説を読んでいる人がどのような展開を好んでいるかを導くことができますわ!」

「……好んでいる展開?」

 危うく思考停止しかけた陽彩であったが、ギリギリのところで会話を続けた。

「世の中には星の数ほど文学作品がありますわ。その中には自分の好みに強く合致するものもあれば、その反対に好みとは遠く離れた作品も数多くありますわ」

「それは小説に限らず、作品に触れる限り必ず付きまとう事象なんじゃないか?」

「ですから、このAIはその人が好んでいる作品群を学習することによって『その人が理想としている物語』を導き出し、物語を生み出すことができるのですわ!」

 高らかな宣言とともにエリザは自動製本機のスイッチを押した。自動製本機は起動音を鳴らした後、プリンターを動かして本を作り始める。

「なるほど。確かに僕が懸念していたことは杞憂だったようだ」

「学習元の著作権は犯していませんわ。ユーザーの好みを学習してオススメ動画を用意するカミチューブのAIとやっていることは変わりませんわ」

「オススメ動画を出すんじゃなくて、動画そのものを生成するAIってことだな」

「イグザクトリーですわ!」

 自動製本機から機械音が再び鳴る。

「製本完了ですわ!」

「ずいぶんと速いな」

「ワタクシのAIだから当然ですわ!」

 エリザは自動製本機から出てきた紙を手に取った。

「まだ学習元が少ないから原稿用紙5枚程度の短編しか出力できなかったみたいですわね」

「その学習元を自分で用意したならともかく、僕の小説を勝手に学習しての発言だから色々と言いたいことがあるな」

「言いたいことはこの小説を読んでから言いやがれですわ」

「読む前に言いたいことが山ほどあるんだよ……」

 エリザが差し出した小説を渋々ながら陽彩は受け取った。『道頓堀川ランボー』はミステリー小説家であり、その物語は独特な語り口で引き込まれる魅力がある。また読者に謎解きをさせつつ、しかし手がかりを小出しにしつつ読者の謎解きをミスリードさせるのが心地の良い裏切りが売りの小説家である点も特徴だ。

 理不尽にもエリザ製AIの学習元にされた作品は『怪獣二百面多(かいじゅうにひゃくめんおお)』。200個の顔を持つ怪獣が各地で様々な事件を起こす痛快ミステリーである。終盤に追い詰められた怪獣が200個の顔から怒りのデスレーザーを乱射する場面は、緊迫感と迫力のある表現で本当に目の前で起きている出来事のように感じてしまう。

 そんな素晴らしい作品を学習元にした小説だ。良作が書かれる可能性は少なからずあり、仮に良作でないならAIと製作者の精度が悪いだけであろう。陽彩の予想は後者だ。

 期待どころか(これを読む時間に本家の小説を読みたい)と強く願いながら、陽彩は自動製本機の小説を読み始めた。

 

 数分後。

「陽彩……。その反応はどういうことですの?」

 陽彩は頭を抱えていた。

「AI製とは言っても文学作品ですわ。作者に感想を言ってもいいと思いますわ」

「エリザ……。あぁ、のAIはすごいと思う。事実、小説が完成しているんだ。すごいことだ」

「それはワタクシの自動製本機の感想ですわ。ワタクシが聞きたいのは自動製本機が書いた小説の感想ですわ」

「それはだな……」

 そこまで呟くと陽彩は再び頭を抱えた。頭を抱えた、というよりは、両手を顔に当て現実から目を背けていた。

「そこまで思い悩むなんて……。陽彩、もしかして……」

「……もしかして、なんだと思う?」

「ワタクシチャンサマのAI小説にそこまで感動しているのね!」

「それはない」

 即答である。

「キミの小説の感想を言葉にしようとしていたんだが、なかなか……。いや、全くまとまらなかったから悩んでたんだよ」

「それは素晴らし過ぎて、ということではなくて?」

「素晴らしい、ことは無いな」

「うーん、悔しいけど陽彩が言うからには好みに合わなかったということ……」

「あー……、それも違うな」

「どういうことですの?」

 陽彩はもう一度、AI製小説に目を通す。学習元の『道頓堀川ランボー』の雰囲気はほとんど無いオリジナルの表現で、それでいて学習元の意外性のある物語が展開されている。しかし

「AIが書いた小説であれば、十二分によくできた作品だろう。それに学習元を考えれば、好まれそうな展開の物語に仕上がっている」

「それならワタクシチャンサマのねらい通りですわ」

「ただ……」

「ただ?」

 小説から目を離した陽彩は真っすぐにエリザを見た。エリザは笑顔であるが疑問を浮かべた表情をしている。

「僕の」

「陽彩の?」

「僕の感性から言わせてもらうと」

「えぇ」

「面白くない」

「……え?」

 エリザは固まった。構わずに陽彩が続ける。

「さっきも言った通り、AIが書いた小説としては完成度は良いし、『その人の好みの物語を書く』というのも概ね達成していると言ってもいい。ただ根本的に作品として面白くない」

「面白くない?」

「あぁ、面白くない。起承転結もしっかりとできている。オリジナルの特徴であった謎解きと意外性も上手く表現されてる。目標は完遂されてる。でも面白くない」

「面白くない?」

「世の中にあふれる『小説』とも表現できないような雑多な文章たちと比べれば、明らかにAI製小説の方がよくできている。でも数ある『小説』の作品の中で比べたら圧倒的に面白くない」

「面白くない?」

「面白くない」

「面白くない?」

「何度も聞くな。面白くない」

 エリザは膝から崩れ落ちた。

「ワタクシチャンサマのAIが書いた小説が、面白くない……」

「そこまでショックを受けることもないだろう。最初からうまくいくことなんて普通は無い」

「……いや、まだですわ」

「なにがだ?」

「今回は学習元が一冊しかない状態で出力をしましたわ! でも学習元がもっとあれば面白い作品を生み出すことできるはずですわ!!」

「それならそれで、自分でやってくれ。僕の小説はもう貸さない」

「確かこの引き出しの中に陽彩の小説が入ってたはずですわ……」

「なっ!? なんで知ってるんだ!!」

 引き出しから陽彩の小説を取り出しながらエリザはドヤ顔で答える。

「ワタクシもこの生徒会の1人ですわ。冬眠前のリスが色々なところにドングリを隠すように、陽彩が生徒会室のあちこちに小説を隠していることはお見通しですわ!」

「隠してるんじゃない! 閉まってるんだ! それに僕はリスみたいに隠した場所を忘れたりはしない!!」

「でも閉まっている場所がバレている以上、本当にそこに本があるか今一度確認したほうが良いと思いますわ」

「なっ!? まさか!!」

 陽彩は思い当たる引き出しと戸棚を開いていった。無い。そこにあったはずの本が一冊も無い。

「エリザ! お前まさか!!」

「勘違いするんじゃありませんわ。ワタクシだけではありませんわ」

「……蒼や丹が動かしたって言うのか?」

「そりゃそうでしょう。この部屋の中に何冊隠されていたと思っていますの?」

「くっ、いつでも読めるようにしていたのが、こんな風に裏目に出るなんて……」

「そして蒼と丹が見つけた小説はワタクシが預かっていますわ」

「なっ!?」

 エリザは積み上げられた本を自動製本機のセンサーの上に乗せた。

「学習スイッチ、オンですわ~!!!」

「やめろぉぉぉおお!!!!」

 陽彩の叫びはむなしく、生徒会室にあった陽彩の小説はすべて学習元にされていくのであった……。

 

「現代文学への冒涜だ!」

「まぁ落ち着きなさいな。これも技術の発展のためですわ」

「発展のために僕の小説は犠牲になったっていうのか!!」

「発展に犠牲はつきものですわ!」

「覚えてろよエリザ! 今度、雪船の集まりに呼ばれたときに無理やりにでも参加して、キミの悪名を親戚中に広めてやるからな!!」

「別に構いませんし、そもそも陽彩は普段から参加しないんだから、たまには雪船のみんなに顔を出すべきですわ」

「そっ、そうかもしれないが……」

 狼狽える陽彩を横目にエリザは文章の生成を始めた。学習元の小説は12冊。これだけあれば陽彩好みのAIオリジナル小説が完成するはずである。

「できましたわ!」

「あぁ、僕の小説たちがこんな姿に……」

「さっそく読むといいですわ! そして感動すればいいのですわ!!!」

「読みたくない……、って言っても読ませるんだろ?」

「モチのロンですわ!」

「はぁ……。分かったよ」

 

 数分後。

 小説を読み終わった陽彩が顔を上げた。

「クオリティは上がってる」

「やりましたわ!」

「僕好みの話に仕上がってる」

「狙い通りですわ!」

「でも面白くない」

「面白くない!?」

「あぁ、僕もびっくりしてる。最初に生成されたものより圧倒的にクオリティが上がってる。でも面白くない」

「なっ……。どういうことですの?」

「これは一つの仮説なんだが……」

「仮説?」

 先ほどと変わって真剣な表情で陽彩は語る。

「好みの展開、とはつまり読み手が想像できる範囲に狭められていることにならないか?」

「狭められている?」

「僕が小説を読んでいて『面白い』と感じるのは、自分の想像とは違った展開になった時だ」

「それで?」

「でもキミのAIは読み手の好みの展開になるように小説を書く」

「そうですわ」

「だから物語に意外性が生まれない。読み手の好みの範疇でしか物語を書けないから」

 エリザに電流が走る。

「確かに『この展開が好きだ』というものは誰にでもあるだろう。でもそればかりが続くと、読み手に取ってありきたりな作品になる、ということだ」

「一理、ありますわ……」

 再びエリザは膝から崩れ落ちた。悲しいことに、このAIに人を感動させられる物語を生成する能力は見込めないだろう。自分の発明は無駄になってしまったのだ。

「そろそろ下校の時間だ。僕は家で『道頓堀川ランボー』の続きを楽しませてもらうよ」

「それでも……」

「なんだ? エリザ」

「それでも、ワタクシは諦めませんわ……!」

「勝手にしろ」

 

 数か月後。エリザはこの技術を応用して、読み手の地雷的表現を的確に出力する小説生成AIを完成させる。どんな人でも読んだ瞬間に嫌な気分にさせてくれる小説を書く自動製本機だ。

 この装置が書いた小説を読んだ陽彩が、蒼から新たに伝授されたアッパーをエリザの顎にクリーンヒットさせたのは言うまでもない。




 マジカミがやりたい。
 サービス終了が発表される直前くらいから構想を考えて、「よっしゃ! 小説を書いたるで!!」ってタイミングでサービス終了が発表。「でもせっかく考えたし……」で書き始めるも、ラストランを見届けるためにゲームに専念。サービス終了後は燃え尽き症候群で書く気にならず……。で、ようやく筆を執って完成させた感じです。
 普段から怪文書ばっかり書いてるんだけど、久々にSSを書いての感想としては「クッソ疲れた」。なんじゃこれ、体力がもたねぇ……。
 なにはともあれ……。続きを書くとしたらオフライン版が出た後かなぁ~、と思いながら構想だけは練っておきます。ただ、自分の中のマジカミキャラ解像度が思ったより低くなってたから、オフライン版が出ないと真面目に続きが書けないし、構想も練られる自信が無い。
 そんなわけでマジカミがやりたいです。
 オルナインもといスピカでした。

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