ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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更新が遅くなってすいません。暑さと湿気のせいかどうしても調子が上がらないものでして⋯⋯

それと私事ですが最近、名探偵プリキュアにハマってます。キュアアンサーとキュアアルカナシャドウが可愛い。



まさかこの歳でプリキュアにハマるとは⋯⋯人生何があるか分からないものです。



標的(ターゲット)164 悪役(ヒール)

 

 

 

 

 

 

────ツナサイド

 

「⋯⋯」

 

 ティオネを氷漬けにした後、どこかへと飛んだツナはフィンの元へと降り立った。雲雀によって気絶させられたフィンをツナは黙って見ていた。

 すると空中からアキが現れ、剣を振り下ろすもツナは後方に飛び引いて躱した。

 

「団長⋯⋯!!」

 

 命に別状こそなかったが、それでも重傷であるのは明白。まさかフィンがここまでやられる事は想定外だった為、アキは衝撃を隠せないでいた。

 フィンへの報告の為に一度、作戦本部へと戻ったアキ。だがそこにはフィンの姿は無く、いたのは血を流し意識を失っているラウルだけであった。ラウルの命に別状は無かったが、フィンが誰にも何も言わずに居なくなるなどありえない。嫌な予感がしたアキはすぐに、フィン匂いを辿り捜索しこの場へと辿り着いたのである。

 

「貴方がやったの⋯⋯!?」

 

「だったら? お前がフィンの仇を討つとでも言うつもりか?」

 

「くっ!!」

 

 怒りの感情が込み上がるも、ここでツナに挑んでも勝ち目などない。アキはツナを睨みつける事しかできないでいた。

 

「敏捷の補正がかかる【猫歩猫道(キャットウォーク)】、【猫恩返(キャットリターンズ)】。後は打撃魔法の【パウハッシュ】。お前のスキルと魔法をフルに使ったとしても勝ち目があるとは思えないがな」

 

「な、何で私のステイタスを⋯⋯!?」

 

「お前も消しておかなければいけない危険人物の1人。だから調べた。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「私を消す⋯⋯!? 危険人物⋯⋯!?」

 

「感が鈍いな。7年前にお前達を⋯⋯オラリオを滅ぼそうとした奴が目の前にいるというのに」

 

「っ!?」

 

「ようやく気づいたか。俺の正体に」

 

闇派閥(イヴィルス)⋯⋯!?」

 

 ツナが闇派閥(イヴィルス)だと理解し、アキは衝撃のあまりその場で固まってしまう。

 

「な、何を言っているのよ⋯⋯!? そんなの信じられる訳⋯⋯!?」

 

「英雄橋でのラウルとの奮闘」

 

「っ!?」

 

「俺は見ていた。橋を直すゴブニュを護る為に戦っていたお前とラウルをな」

 

 英雄橋。古代、人類の為に命を賭し都市の大穴を塞がんと戦った英雄達の彫刻が並べられたオラリオの名所の1つである。

 7年前。都市が闇派閥(イヴィルス)によって絶望の淵に追い詰められた。そんな中で英雄神話を失わせない為にゴブニュは英雄橋を直していた。そこへ闇派閥(イヴィルス)が現れ、ラウルとアキはゴブニュと英雄橋を護る為に戦った。そしてこの戦いが2人の初の偉業となり、ラウルとアキはLv.2へと至った。

 7年前にいなかった筈のツナが知る筈がない出来事である。

 

「あの時はお前を警戒する理由はなかった。【ロキ・ファミリア】に所属していたとはいえ、7年前のお前はまだLv.1の冒険者だったからな。だが暗黒期を乗り越え、今やLv.4。しかもLv.4の冒険者の中でも最上位の冒険者。消さない理由がない。だから今度は徹底的に調べた。お前が帝国の貴族だった事も。両親が亡くなり、没落し貧民街(スラム)で生きる事になった事も。奴隷商に狙われ、自分の身を護る為に暗黒期のオラリオに逃げ込んだ事も。【ロキ・ファミリア】に入団したものの、ラウルとアリシア以外まともに話す人物がいなかった事も。遠征で仲間が死に、ダンジョンと自分の死を恐れ【ファミリア】を脱退しようと思った事も。自分と同じくダンジョンへの恐怖に屈したラウルを集合場所に連れて行った事も、学区でレフィーヤと出会った事も」

 

(あ、ありえない⋯⋯!?)

 

 ツナの言った事は全て事実。その中には仲間ですら知りえない情報まで混じっている。アキは衝撃のあまり固まってしまっていた。

 

「一方でラウルはスキルや魔法を1つも発現していないがラウルには故郷に家族がいる事が分かった」

 

「まさか⋯⋯!?」

 

「すでに手を回してある。あいつが家族が見捨てる事のできる人間かどうかお前が一番がよく分かっている筈だ」

 

「⋯⋯どこまで腐ってるのよあんたは!!」

 

「今さら何を言っている。俺はノアール、ダイン、バーラを死に追いやったんだぞ。一体、お前はあの戦いで何を学んだんだ?」

 

「っ!?」

 

 ノアールという言葉を聞いた途端、衝撃のあまりアキの目が限界まで開かれる。

 ノアール、ダイン、バーラ。かつて【ロキ・ファミリア】に所属していた幹部達の名である。元々は他派閥の【ファミリア】であったが、【ロキ・ファミリア】に改宗(コンバージョン)し、オラリオに来たばかりのフィン、ガレス、リヴェリア達に冒険者としてのいろはを叩き込んだ人物である。

 しかし7年前の戦いにて闇派閥(イヴィルス)が都市中に大量の怪物(モンスター)を放った事でオラリオは窮地に追い込まれた。元々、老いによりこの先の成長ができない事を悟っていたノアール達は都市を護る為に、自分と同じ境遇の老兵達を扇動し、オラリオを護る為に自爆特攻し命を落とした。

 

「その為にティオネを利用しこの地を再び混沌に陥れる」

 

「ティオネに何をしたの!?」

 

「凍らせた。あの氷は俺の炎でしか溶かせない。つまりティオネはこのままずっと冷凍仮死状態になる。そしてティオネの民衆に見せつけ宣戦布告し絶望させ、ティオネとティオナの過去の所業を民衆に告発する為にな」

 

「っ!?」

 

 ただでさえ今、オラリオは武装している怪物(モンスター)が地上に進出し民衆は恐怖に呑まれている。そんな状況でツナの目論見が達成されれば【ロキ・ファミリア】の名声は地に落ち、オラリオは混乱に陥る。アキはかつてない危機感を覚える。

 

「時間を稼いでも助けは来ないぞ。もうお前達幹部はすでにもうやられている」

 

「そ、そんな事⋯⋯!?」

 

「信じる信じないはお前の自由だ。だが俺は神エレボスの意思を継ぐ者。今度こそエレボスの成し得なかったオラリオ崩壊を実現する」

 

 エレボス。闇派閥(イヴィルス)の首魁にして、原初の幽冥を司る地下世界の邪神である。エレボスの采配によって、オラリオ史上、最も死者を出した死の7日間という出来事が起き、当時を知る者からすればエレボスは恐怖の象徴である。

 アキは剣を壊さんばかりの強く握り、殺意に満ちた視線でツナを睨みつける。

 

「⋯⋯違うね」

 

「団長!!」

 

 すると意識を失っていたフィンが目を覚ます。だが受けたダメージが大きく立ち上がる事は叶わなかった。

 

「意識を失っているフリをして話を聞いていたのか」

 

「よく言うよ⋯⋯最初から気付いていた癖に⋯⋯」

 

「だったら? それで今の状況が何か変わるとでも思っているのか? すでにお前達の幹部を倒した。そして何があってもいいようにラウルの家族だけじゃなく、メリサ、アイナ、ヨーグルも人質に取れる手筈は整っている」

 

「っ!?」

 

「?」

 

 ツナの言う人物の名を聞いて、フィンは瞠目しアキは聞いた事のない名だったのか困惑の表情を浮かべていた。

 メリサ。フィンがロキと初めて出会った村、プレブリカの酒場で働いていた小人族(パルゥム)。フィンの友人である。

 アイナ。本名はアイナ・リンドール。リヴェリアの従者であり親友である。神の恩恵(ファルナ)は刻まれていなかったが、オラリオに来る前にフィン、リヴェリア、ガレス、ロキと共にかつて世界を旅した仲間である。しかしアイナは故郷であるハイエルフの里以外では空気が合わない体質であり、現在はとある村にて療養している。

 ヨーグル。ガレスの故郷、ロンザの鉱夫にしてガレスのかつての仲間であり弟分である。今はどうしているかはガレスも知らないが、ロキの助言通りにしているならば【ファミリア】を結成し、鉱石や宝石を好み鉱脈を見つける事のできる精霊、ノームと共に仕事に勤しんでいる筈である。

 

「お前は切り捨てられるだろうが、あの2人はできないだろ。特にリヴェリアの方はな」

 

「君にそれができるとは到底思えないね⋯⋯」

 

「そう思わせただけだ。だからベルと【イケロス・ファミリア】を操り、この騒動を引き起こした。お前達の全てはお前達の戦力を分断及び、お前のもう1つの魔法、【ティル・ナ・ノーグ】を封じる為にな」

 

 【ティル・ナ・ノーグ】。Lv.および潜在値を含む全アビリティ数値を魔法能力に加算させ、投槍による攻撃を放つ投槍魔法である。1超長文詠唱である事、1度発動すると再度使用するのに24時間のインターバルが必要とするというデメリットが存在するも威力は絶大であり、まともに喰らえば階層主であろうとも仕留められる威力を持つ。

 

「いくら武装した怪物(モンスター)を倒す為とはいえ、この魔法を使えばダイダロス通りに集まっている冒険者に被害が出る。いくらお前と言えどオラリオ中から反感を買う羽目になる」

 

「⋯⋯どうやって調べたか分からないが驚いたよ⋯⋯けどそんな事はどうでもいい(・・・・・・・・・・・)

 

「どうでもいい? 指揮官とは思えない台詞だな」

 

「仲間の為だろ?」

 

「⋯⋯」

 

 フィンの口から仲間という言葉が出た瞬間、ツナがここで初めて言葉を紡いだ。

 

「⋯⋯やっぱりお前を誤魔化す事はできなかったか」

 

 しばらく沈黙が続いた後、ツナは右手で額を押さえながら言葉を発した。

 

「けど信じてた。お前なら俺の狙いに気付いてくれるとな」

 

(気づく⋯⋯!? 何を言っているの⋯⋯!?)

 

 フィンの言葉を聞いた途端、安堵の表情を浮かべるツナ。なぜツナがそんな反応するのか分からずアキは困惑する。

 

「これで後腐れなくオラリオを去れる」

 

「オラリオを去る⋯⋯!?」

 

「やはり⋯⋯犠牲になる気だね⋯⋯」

 

「犠牲⋯⋯!?」

 

「簡単さ⋯⋯闇派閥(イヴィルス)の残党を名乗り、ベル・クラネルと【イケロス・ファミリア】を操り、今回の騒動を引き起こした黒幕を名乗る事でオラリオ全土を恐怖と絶望に陥れる事で【ヘスティア・ファミリア】を被害者にし、全ての憎しみを自分に向けさせる⋯⋯仲間を護る為にね⋯⋯」

 

「なっ⋯⋯!?」

 

 フィンがツナの真の目的について説明すると、アキの思考が停止してしまう。

 

(仲間に自分の仲間の存在を知らせていなかったのはその為⋯⋯!?)

 

 ツナがリリに炎真の存在を知らせていなかったのは敵である自分達に悟らせない為ではなく、ツナの真意を話す事ができなかったからだとアキは即座に理解する。

 

「アルフィアが教えてくれた。下界救済の為に悪を演じ、お前達に試練を与え成長させようとした事をな」

 

 ツナがこの作戦を思いついたのはラキア侵攻の際に、アルフィアとの戦いにてアルフィアの過去の所業を知った事を思い出したからである。

 

「7年前。闇派閥(イヴィルス)の首魁だったエレボスはオラリオを蹂躙。そして都市の北西の大寺院にてオラリオに宣戦布告した。それを再現する。今回の騒動を起こした黒幕として名乗り上げ、【ロキ・ファミリア】の幹部もすでに倒した事をオラリオ全土に伝える」

 

 異端児(ゼノス)が地上に進出し、【ロキ・ファミリア】は取り逃がす程の強さを持った怪物(モンスター)がいる事で今、オラリオ全土は混乱に陥っている。

 ただでさえオラリオ全土には恐怖が蔓延っている。そんな状況で、エレボスと同じ場所で闇派閥(イヴィルス)を名乗り宣戦布告すれば、ツナが本当に闇派閥(イヴィルス)だとオラリオ全土に思わせられる。闇派閥(イヴィルス)の恐怖は当時を知る者からすれば恐怖と絶望でしかいない。そしてその恐怖は当時を知らない者へ次々に伝播していく。

 神は下界の人間達の嘘を見破れるのは対面している場合のみ。高台でのツナの言葉の真偽を見破る事はできない。一方で殺すつもりがなかったとしても、【ロキ・ファミリア】が倒された事実について聞かれれば隠し通せない。仮に誰もが沈黙したとしても肯定したと同義になる。

 

「それに冒険者が俺を恨むように手は打っている」

 

 骸が裏で手を回し、冒険者同士を争わせるように仕向けた。その理由は異端児(ゼノス)達を討伐される可能性を下げる為。後にツナがオラリオに宣戦布告の際に、冒険者同士を争わせるように仕向けたさせ、フィンの魔法を封じる為だけに利用した思わせる事で【ヘスティア・ファミリア】への批判を全て自分に向けさせ【ヘスティア・ファミリア】を護る為であった。

 そして利用されていたとはいえ、ベルと同じく非常時に自分のプライドや報酬の為に他人を攻撃したのは自分の意思。故にベルを非難していた冒険者達はベルの事を責める事ができなくもなる。

 

「民衆も同じだ。俺が戦争遊戯(ウォーゲーム)でLv.1の幻術使いだと民衆に思わせられたと知れば、ベルに向けられた憎しみは俺に向く」

 

 ベルに非難が向くように利用されたと知れば当然、民衆も黙っていない。

 

「そしてこの出来事を神々は放っておく筈がない」

 

 邪神とはいかなくとも、刺激を欲している神が多くいる。自身が楽しむ為に恐怖を扇動し、混沌と化していくオラリオを見ようと動く神が絶対に現れる。現に今回の騒動で人々が恐怖している中、刺激を欲している多くの神はこの騒動を楽しんでいる。

 仮にツナの真意に気づいたとしても多くの神はツナに便乗する。自身の楽しみ為に。

 

(何でこんな作戦が思いつくの⋯⋯!?)

 

 民衆、冒険者、神でさえ利用し、オラリオ中からありとあらゆる負の感情を自身に向けさせるツナの作戦。どういう人生を送れば作戦を思いつくのか分からずアキは言葉を失っていた。

 恨みの前では論理的思考は失われる。D(デイモン)に利用され暴走した【シモンファミリー】、恋人であるエレナを失った事で道を踏み外し、【ボンゴレファミリー】を最強のマフィアへと変えたD(デイモン)、チェッカーフェイスに復讐する為に己の命すら捨てる事を厭わなかった【復讐者(ヴィンディチェ)】、そしてユニとγが死ぬ原因を作った白蘭を殺した自分のように。

 フィンには及ばないものの、【ファミリア】の中でも冷静さと頭脳明晰なアキでさえ、重傷のフィン、凍らされたティオネ、ノアール、ダイン、バーラ、自分のスキルや魔法、過去の話を聞かされた時はツナが本当に闇派閥(イヴィルス)だと本気で思ってしまった。

 アキでさえ気づけないのであれば、ツナの真意に気づく者など圧倒的に少数派。多くの者は恐怖や恨み、怒りの感情に振り回されツナが闇派閥(イヴィルス)を演じているなど気づかない。

 仮に【ロキ・ファミリア】がツナの真意を伝えても、大多数の圧力の前では都市最大派閥の言葉など無力。むしろ闇派閥(イヴィルス)を名乗るような者を庇えば信用を失う。つまりツナの真意に気づいた者がいたところでツナの計画を止める事ができないのである。

 

「だがこのオラリオには英雄がいる。最弱の種族と呼ばれている小人族(パルゥム)でありながら、Lv.6まで【ランクアップ】し、都市最大派閥の団長を務める男が。後はお前が俺を倒した事にして都市の安寧をもたらす。それで全ては丸く収まる」

 

 1度は敗れてもフィンが自分を討伐した事にすれば、オラリオを渦巻く負の感情は消え、オラリオに再び安寧が戻る。つまりフィンを偽りの英雄にする事でツナは全ての問題を解決しようと考えていた。

 

「⋯⋯僕がそうしなかったら?」

 

「都市最大派閥の団長である以上、【ファミリア】と都市を護るべき責務がある。それに俺を踏み台にし偽りの英雄になれば小人族(パルゥム)の再興の野望に1歩近づける。俺を利用しない理由はない」

 

 偽りの英雄になるだけでこの事態を収められ、かつさらに名声を手に入れる事ができるのであれば合理主義者であるフィンがこの選択を受け入れない訳がない。

 

「それにお前は自分が偽りの英雄である事を自覚している。メリサよりも一族の再興を選んだあの日から」

 

 20年前。プレブリカの村に大量の怪物(モンスター)に襲来した。その怪物(モンスター)達をフィンは【ヘル・フィネガス】を使って討伐した。無事に怪物(モンスター)は討伐できたものの、狂戦士と化し怪物(モンスター)達を返り血を浴びたフィンをメリサは恐れた。

 一族の再興。その為に勇気を持った小人族(パルゥム)の女性を求めているフィンはメリサを見切りをつけた。初恋の相手のだったにも関わらず。

 こんな選択肢を取る英雄などいない。その事をフィンは自覚している。それでもなお一族の再興の夢を叶える為に全てを捧げている。

 

「仮に偽りの英雄にならなくても結果は同じだ。ウラノスの口からオラリオ全土に俺をフィンが倒した事にする手筈になっている。悪いが最初からお前に選択権はない」

 

 今回の騒動でギルドに不信感がある者も少なくはない。しかし創設神であるウラノスが武装した怪物(モンスター)を保護していた事に辿り着くものはいない。ウラノスの言葉とフィンの人望があれば嘘でもオラリオを安寧をもたらす事ができる。

 

「そんなの⋯⋯【ファミリア】の仲間はどうするのよ⋯⋯そんな事を知ったら⋯⋯!?」

 

「全てを護るにはこれしか思いつかなかった」

 

「っ!?」

 

 ツナは顔を俯かせながらグローブを壊さんばかりの勢いで拳を強く握る。そんなツナを見てアキは見て悟ってしまう。自分には想像もつかない思いでツナがこの作戦を実行したのかを。

 

「みんなには俺と違って夢がある」

 

 ベルは英雄に、ヴェルフは最高の鍛冶師(スミス)に、命は故郷の社の救済、異端児(ゼノス)達は人間達と友好を結ぶという夢がある。

 

「リリと春姫はやっと安心できる居場所ができた」

 

 元いた【ファミリア】で虐げられ、ずっと辛い思いをしていたリリと春姫は心の底から笑えるようになった。

 

「ヘスティアは零細【ファミリア】からようやく脱却できた」

 

 2億ヴァリスの借金はあるが、それでもヘスティアは自身の【ファミリア】が周知されるようになり、心の底から喜んでいた。

 

「ここでみんなの未来を終わらせる訳にはいかない」

 

 ツナには夢はない上に帰るべき場所もある。皆は決して喜びはしないだろうが、ベル達の未来を護る為にツナは悪役になる事を選んだ。

 するとツナは懐から1つの(ボックス)を取り出すと炎を注入。(ボックス)をフィンへ向けると晴の炎が飛び出しフィンの体を包むと、雲雀から受けた傷が癒えていく。

 (ボックス)を開くには基本的に正しい属性の炎を注入しなければ開かない。たが大空の炎は属性に関係なく全ての(ボックス)を開く事ができる。ただし(ボックス)の性能を全て引き出す事はできない。

 雲雀は相手が誰であろうと容赦はしない。フィンが雲雀と戦う事になった時点でこうなる事は想定内であった為、ツナはあらかじめ用意していたのである。

 

「ティオネを凍らせたのは本当だ。けど俺の仲間が後でちゃんと溶かす手筈になっている」

 

 ツナは炎を逆噴射させるとゆっくりと上空へと上昇していく。

 

「⋯⋯ごめん」

 

 ツナが謝罪の言葉を述べるとそのまま加速し、エレボスが宣戦布告した寺院へと向かって行く。

 

「団長⋯⋯」

 

「⋯⋯もう何をしても無駄だ」

 

 




思ったよりも長くなった⋯⋯


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