これは入学式を控えた生徒の話

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短編小説なので、気軽に見てくれると幸いです。




重たい初日

 

 

 

「…ついにここまで来た」

 

 

 

今僕がいる場所は巷では有名な進学校として謳われている東京高度育成高等学校。

 

進学率、就職率100%と誰もが欲しい特権であり、各所から自分の子供を入学させようと考えている親が多いのも事実だ。

もう一つ事実があるとすれば、確かに貴校で卒業した生徒の何割かは国を取り纏める政治家や世界各地で活躍するスポーツ選手、大物業界の重鎮等幅広い分野、場所で活躍している。

 

 

全員ではないところが進学校と言えど自分の努力次第なのだろう。つまり世間はそう甘くはないという事だ。

果たしてここにいる生徒の何割は気づいているか。いや意識して実行しているか。

 

 

 

バスを降りて門をくぐった後、周りに広がる異様な景色を観察し、近未来な校舎へと向かう。

校舎前には人が多く集まっているが、そうでは生徒もいることから全校生徒へ周知しているわけではなく、今日が入学式でもあり、自然とクラス表の存在であると予想がつく。

僕はクラスを確認すると、直ぐに校舎へ入ることなく校舎の周囲の景色を見ていた。学校には関係ない娯楽施設や多くの競技が出来るであろうスポーツセンターが校舎が占める敷地と同等なエリアが広がる。

本当に学校なんだろうかと考えながら、一休みしていた。

 

 

 

何とか間に合った。

危うく入学初日で遅刻魔のレッテルを貼られるところだったが、いい運動になったかな。

 

 

席は窓際の一番後ろで、僕にとってもここからの真新しい雄大な景色を風に擽られ、授業を聞くのもいい。

 

あんまり意味もないが前にいる生徒を観察し、事前に対処できるのも利点である。初対面では浅いが、無知よりはいいと思う。

 

 

 

そうして、僕が来て五分後にこのクラスの担任が入ってきた。

 

「本日からこのクラスの担任を請負うことになった真嶋 智也だ。担当教科は英語だ。クラス替えは一度もなく、教師を含め3年間はここにいる者達で時間を共有する事になる。今のうちから交流を深めるのもいいだろ。後皆知っていると思うが、この敷地内からは出ることは許されず、勿論外部の者との接触や連絡は禁止だ。そして他の学校でもそうだが、本校では苛めには敏感だ。もしいじめが発覚すれば、その関係者は皆退学になるから気を付けるように。では次にこの学校のシステムついて簡潔に説明する。」

 

そう言うと、一つの紙袋から大量の端末を教壇に置いて、一番前の生徒にそれぞれ人数分配布していく。

 

丁度僕のところに回ってきた事で、真嶋先生が話を再開する。

 

「この端末は学校用の自分の端末と思って構わない。いわば学校から報告や連絡する際に必要であり、生徒同士でのコミュニティとしても扱える。ただし、今まで使用していた各々の端末はこちらで回収する。お前達が卒業する日には忘れずに返品し、今配布した端末を回収する。ここまでで聞きたいことはないか?」

 

そこで質問する者はいなかった。

 

それがわかると、再び話を戻す。

 

「ここから話す内容は余りにも信じられんと思うが、疑問に思うことがあればこの話が終わってから質問して欲しい。できる限り質問に答えるよう努力する。初めに端末内に設定のアプリを開き、そこに自己PPという物があるはずだ。まずはそこを見てもらいたい。」

 

僕を含めて皆がそこを見ると、100,000PP(=10万PP)と出ていた。皆が目を通したのを見計らい、真嶋先生は口を開く。

 

「それは10万ポイントであり、わかりやすく言うと1円=1P、つまり10万円がお前達の学年一人一人に振込まれている。言わばお前達へのお小遣いだ。ポイントの振込は月の初めに行われ、次の振込は5月1日と決まっている。しかし来月貰えるとは言え、無駄使いはしないよう有意義に使用するように。それと無理やり他人のポイントをタカる行為も厳しい処罰として退学となる為、肝に銘じとくといい。ここで俺の話は終わりだが、ここに来て質問したいものは挙手してもらいたい。時間の都合上複数いる場合今の時間では難しいが、心配せずとも、式の後に必ず時間を用意する。」

 

そう言われると、クラスの殆どが騒めつく。真嶋先生が自分達に10万PP振込んだ辺りからそうだったけど。

クラスの反応はポイントを多く貰えたことへの喜びと驚きで、多くは放課後に遊びの約束や大きな買い物をしようとしている。一部はそのポイントの多さに怪しんではいるけど、それだけである。

 

 

真嶋先生が周囲を見渡すと、3人の生徒が挙手していた。

 

 

一人は学生と思えない人相にスキンヘッドの男子生徒、一人は青髪の青目の生徒、一人は銀髪に杖を持参する女子生徒だった。それぞれ成績は高く、Aクラス内ではトップの実力者かもしれない生徒達だ。

 

「葛城から聞こう。質問はなんだ。」

 

それに対して葛城という生徒は一礼すると、先生に話し始める。

 

「私は葛城 康平です。質問の時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、私達にポイント振込まれた理由はどういうものか教えていただけますか?」

 

「その点は話してなかったな、済まない。確かに無償でポイントを配るのは怪しいと思うのは当然だ。理由は学校上層部というよりも理事長本人がルールを設け、今までこうして入学式のある今日に生徒へ支給するようシステム化している。それに本校は国からも支援を受けている、それを踏まえると、お前たち生徒一人一人の未来に期待しているからだと俺は思う。その期待を裏切らないよう、この学校でお前達は己の実力の向上に努め、国を引っ張る存在に一人でも多くなれると信じている。話はずれたが、このような回答でいいか?」

 

「私の質問に真剣に考えて答えていただき、ありがとうございます。是非ともこの学校で多くを吸収して、国の期待に応えられる人材になる事を約束します。」

「期待しているぞ。」

 

「はい!」

 

葛城という男子生徒と真嶋先生の会話は内容としてスケールの高い、努力を重ねても届かないもの。それを入学式前に熱く語っていて、学生物の青春ドラマを見ている感じだった。(一人を除き、皆同じ思いだった。)

 

「次は坂柳だな。」

 

坂柳はゆっくりその場を立つと、葛城と同じように一礼する。神様と錯覚してるのかな?

 

「来月貰えるポイントについてもう一度教えていただきたいです。」

 

それに対して、真嶋先生は少し顔が強張らせるとすぐに戻り、坂柳に回答する。

 

「それについては先程言ったように、今日は10万PP支給され、来月5月1日にはポイントは支給される。この回答でいいか?」

 

「大丈夫です。再度答えていただき、ありがとうございます。」

 

坂柳という女子生徒は質問前よりも笑みが深くなる以外変わらず、先生へ返答すると席に着いた。

 

「次は僕が質問していいですか?」

 

「ああ。時間はまだあるから、大丈夫だ。」

 

「僕の質問はクラス替えをする方法はないのかという事です。」

 

その質問に皆ざわざわと騒ぎ始める。担任の真嶋先生も同様だ。

 

「…クラス替えは基本はないと言ったはずだ。」

 

「自分から何かしたらではどうですか?」

 

それに真嶋先生は言葉を詰まらせる。

 

「…仮に出来るとして、お前はクラス替えしたいのか?」

 

生徒は一瞬考えると、こちらを向いて「はい」っと言った。

 

「そうか、何があってかその考えになったかわからないが、今はいいか。質問は他にはないか?」

 

「僕は大丈夫です。回答をありがとうございます。」

 

質問が全て終わると、真嶋先生は深呼吸をして気持ちを整える。

 

「では皆入学式が始まるまで大人しくしているように、トイレに行きたい者又は飲み物を買いに行きたい者は余裕を持って行くように。」

 

そう言うと、真嶋先生は廊下に出ていく。

それからAクラスは廊下に出る者、周りと話す者と別れていた。

 

「すいません、今お時間はいいですか?」

 

質問した3人のうちの1人、坂柳さんが突然僕に話しかけてきた。

 

「どうかしました?」

 

「あなたがお聞きした内容ですが、あれにはどういう意味合いがあるのでしょうか?」

 

「…思い付いちゃったからじゃ、駄目?逆に聞かなかったら、後から後悔しそうだし。」

 

「なるほど。ご意見ありがとうございます。」

 

「これで納得してもらえるなら良かったよ。」

 

彼女は満足したのか、或いは他に用事ができたのか、それはわからないけど教室を出て行った。

 

 

 

 

……ハァ…大変な所に来てしまった。

 

しかし、上位から見て2番目から5番目の奴はどんな人相や思想を掲げているのだろう…。

 

 

クラスは違うらしいし、僕が関わる事はそうそうない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス争い、学校内での試験等がない限りは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファイル.160 

 

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学力 77

 

 

機転思考力 77

 

 

運動能力 77

 

 

協調性 77

 

 

 

担任からのコメント

全てが平均以上であり、将来が期待される生徒である。短所が見られない稀な生徒だが、欠点は……。過去に通っていた学校所在や出生地など、生きてきた形跡が一切見つからない不思議な生徒である。能力についても入試だけでは判別できず、様子見を兼ねてDクラスとなる。

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。



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