pixivより転載
どうにも地磁気の影響で、タイムワープがうまくいかないようだ。しかしそれも地磁気が治まったらどうにかなるだろう。そんな流れでの、国賓として訪日をしたパタリロだった。とは言ってもいつものパタリロ、余計なことをしでかしてパーティー会場を放り出されてしまった。
その辺のトラックの荷台に放り出されて、しばらく。パタリロが下りた先は、山深い道だった。さて、どんなド田舎に飛ばされて来たのだろう。パタリロが数歩歩き出したときに、それは見えた。
「『哭倉トンネル』? ――」
不意に、砂嵐が巻き起こる。アナログテレビの頃のそれだった。パタリロはそれに囲まれ――
そして、その場から消え失せた。
あとにはパタリロの歩いてきた足跡だけ。
「いたたた……なんだったんだ」
「お主……どこから現れた?」
「は?」
パタリロは頭を抱えながら起き上がる。何やら柔らかい感触がした。それが人の身体だと気付いたのは、青い着流しが見えたからだ。
パタリロは地面の上、トンネルの前で男と縺れこんでいた。
パタリロが飛び降りると、立ち上がった男――白髪の片目カクレが特徴的――は怪訝そうな顔でパタリロを見下ろす。パタリロが見上げる形になるほど大柄な男だ。
「なにやら超常的な現象が起きたようじゃが」
「はっはっは、気にしないでください。――ところで今は西暦何年です?」
パタリロにはわかっていた。見上げた看板、同じ「哭倉トンネル」でも古び方が違う。今は比較的新しい。恐らく自分はタイムワープしてしまったのだろう。ただどうにも調子が悪く、元の時代に戻ることができない。ひとまず現地住民と思しき人物と友好を図ろうととりあえず時代を確かめることにすると、白髪の男は首を傾げた。
「せーれき……昭和31年ではあるぞ」
「昭和31年? と言うことは1956年か。それでここはどこだ」
「哭倉村と言うところじゃ」
男は言葉を切った。
「――ここに、妻がおる」
このときのパタリロは知らない。
行く当てもないのでそのまま男についていき、村で起きたと言う殺人事件の容疑者として危うく私刑の死刑にされるところになることを。それを、スーツ姿で顔に傷のある男に「日本は法治国家ですよ!」と庇われることなど。
そして悍ましい村の秘密を知り――
「そんなもの知るか! 血液製剤M!? 金儲けのにおいがするぞ!!」
――金欲しさに暴れ出すことなど。
これは血液製剤Mを手に入れるためにパタリロが水木やゲゲ郎はおろか龍賀一族まで巻き込み暴れ倒す物語である。
了