自暴自棄になった愛され少女が仲間に自分を売る話 作:暇じゃない暇人
だからこそ多くの者を救えたという一面があるので、余計誰かに自分を任せるよう様な行動を取れない。ほとんどが上手く行ってしまった弊害ともいえる。
人によっては不快になる表現があるかも知れないので注意です。
怒られた。
それもまあまあきつく。
「なんでみんなを置いて勝手に飛び出したの! シルビアたちと一緒に居た意味を自分から無に帰してどうするの!」
「それになにか起きたらまず私に報告して! 確かに頼りないところはいっぱいあるとは思うけど、みんなの力に成りたいの! だってCEOだから!」
「え? 普通のCEOはそんなこと言わない? えっと……よそはよそ! うちはうち!」
「締らないな~って。それは言っちゃダメだよ。……私もちょっと気にしてんだから。え? な、なにも言ってないよ? それは言っちゃダメだって言っただけで……だ、だからそのあとなんてなにも言ってないよぉ~ホントだよぉ~」
「もう! からかわないの! メッ!」
「本当に、本当に心配かけるようなことしないで。もっと私たちのことを頼っていいから。だから無茶なんてしないで。あなたがいなくなったら、私……」
う~ん思い返してみてもCEOからは特にきつく怒られてないな。やっぱあの人は誰かを叱るのに全然向かないわ。
CEOは簡単にあしらえたが、修理部はそうはいかなかった。俺に対してめっちゃきつく怒って来たのは魔法出力デバイスの担当をしている女だったな。
あのグルグルメガネめ。
何が「あなた一体どうな使い方したんですか!! 出力端子も魔道基石も
「はあアア!? 術者じゃなくて杖を基準に魔法を発動させるように遅延効果を付与して!? ほとんど密閉空間に近い鎧の中に突っ込んで過剰出力の電気とおぉ!? ほとんど爆破に近いレベルの火魔法を0距離発射させただあぁぁ!!? あんた頭おかしいのか!? んな使い方しよう
もんならぶっこわれんのも当然じゃボケナスがああああぁぁぁ!!?」だよ。うるせえ。耳がいかれるかと思ったわ。
でもまあ、確かにあの使い方はまずかったと思う。
一応ここの備品のはずだし、それを壊すのはやっぱまずいか。いつも使ってる銃ならあれくらいでは壊れないから感覚バグってたのかな? まあ、やっちまったモンはしょうがない。俺は悪くない。悪くないったら悪くない。
しかしどうやらやりすぎてしまったらしく、短杖型魔法デバイスの修理費は俺持ちになってしまった。
非常に遺憾であるが、直前に安全を怠ったうえ、臨時とは言え隊長の指示を無視って暴れたのだからこれくらいで済んでよかったと取るべきか。
あの行動について聞かれると、自分でもなんであんな行動を取ったのか良く分からないから黙り込むしかない。沈黙が金であるとは限らないというのに。ほらよく言うじゃん。雄弁は銀って。
俺がやったことは命令無視に自分や仲間の命を危険にさらすような危険行為だしな。
あの鎧は確かに脅威だったが、全員で囲めば大した危険にはならなかっただろうし。ありえないとは思うが4人でも抑えきれなかった場合は、素直にCEO達の到着まで持ちこたえるっていう選択をするべき場面でもあったしな。
何度思い返してみても俺がやったことは注意を怠った危険行為以外の何物でもないんだよな~。
ま、後悔は一切してないけど。
幸いなことに減給の類は一切なく払われる給料については変動はないらしい。俺がやったことを考慮すればもっと厳しい処罰を下すべきな気もするが、ここは軍じゃないからか、大分甘めな処分が下されたな。
軍ではなくても命がかかった職場なのだからもっと注意するべきと思うのだけれど……まあいいか。甘い処分で済んで俺はハッピーってやつだ。
さて、どうするかね~。
ん~ま、とりあえず修理に出してた俺の愛銃ちゃんがどうなってるか確認に行きますかね。
銃を直してくれてる業者はアークパレス(俺が今いる会社で所属している企業)内にいないので、外にいる修理屋に依頼を出して直してもらっている。
技術的にもパレス(6文字は言いにくいから3文字に省略)で直すことは出来るのだが、俺の愛銃は少々人には言えない改造が施されているので身内しかいないパレスで修理依頼を出すのはかなり憚られるのだ。
あのグルグルメガネをはじめパレス内のやつらは基本、まじめで危険な改造をしようもんなら止めてくるやつが多いから(俺の見た目が幼すぎることも理由の一つとは思うが)外にいる技術があって、金を渡せば違法改造でもやってくれるところに依頼を出すしかない。
……本当は頼めばやってくれないことはないと思うのだが、あまり借りを作りたくないという本音があったりするが、それは内緒である。
そう言うわけでやってきました。裏路地の裏路地のさらに裏路地にある小屋の中の地下にある、誰が来んねんこないなとこ、と突っ込まずにはいられない超隠れ名店!(どう考えても違法営業)
へーいやってる~?
「あー? なんだ。お前か」
お前かってなんだよお前かって。
「もう取りに来たのかい?」
そうだよそうそう。君の仕事の速さを信じてきたんだよおばあちゃん。
「……ちょいと待ってな」
は~い。
今の超無愛想なBBゴフンゴフン……老婦人が俺の愛銃ちゃんを修理してくれる銭ゲbゴフンゴフン……凄腕のガンスミスです。
クソ高……少々高価ですが、仕事の腕は確かなんですよ~…………………本当に悔しいけど腕だけは確かなんだよな。あの
「──注文の品。確かに直したよ。……あんた、どんな使い方したんだい? 銃身が完全に逝ってたよ」
やめろよ
「一応、同じような使い方しても壊れないようには改造しといたよ。……ま、10分以上連続で使ったら壊れるだろうけどね」
え!? マジっすか!? 直してくれるだけじゃなく改造までしてくれるなんて! あなたは最高の職人です!(鮮やかなまでの手のひら返し)
「ハハっ。気にすることはないよ。料金にちゃんと上乗せしといたからさ」
…………前言撤回。早死にしやがれこの
「ほら。さっさと料金をお出し」
いやでも~その上乗せされた分って完全にそちらが付けたオプションじゃないですか~……やっぱりその分はサービスってことで~…………………タダにしてくれたりは~~~~
「なんだい。もうこの銃はいらないのかい? しょうがないね~…………………闇市に流せば多少の小遣いにはなるか」
快く、支払わせてもらいます!
「カハハ。……毎度」
そうして俺は愛銃を(全財産と引き換えに)引き取ったのだ。
クソ~覚えとけよ
――――――――――
今、俺は食堂にいる。
アークパレスに所属している者のほとんどはこの建物内にある社員寮に寝泊まりしているので、夕飯時は大盛況。
人混みが苦手なヤツや、人嫌いのヤツ(意外にも結構そういうやつはいる)は時間帯を外して食堂に来る。
ちなみに俺が今いる時間は大体夜の10時ほど。ピークを外すも外した時間帯。
この時間に食堂に来るのは、任務帰りで夕飯を食べそびれたヤツか、夜通し作業することを決めたワーカーホリックどもが夜食をテイクアウトするために先んじてくることなどが大半である(もちろんただ単に昼夜逆転しているだけのやつもいる)
今の時間帯だと、料理上手で基本食堂に常駐している台所組はいないか。
逆にもう少し遅い時間だと誰かいることがあるのだが、そこまで遅い時間だといつも仕事に忙殺され気味のCEOくらいしか来ることがないので、実質CEO専属料理人みたいになっているらしい。
もちろん出てくる料理はCEO好みのものが大半である。
ほとんど人のいない食堂は閑散としたオーラを放っていて、どこかもの悲しい気分を覚えるかもしれない。ま、俺は全くそんな気分を覚えないけど。
この食堂は基本的に自動化されているので人がいなくても食事自体は出来る。
そうはいっても台所組が作ったものの方が断然うまいらしいのだが、まあ、クソにげえか死ぬほど辛いかの二つくらいしか分からない俺のバカ舌には関係ない話だけどな。ハハハ。
電子マネー、現金、各種クレジットカードにも対応しているここの食券販売機なら観光客もお手の物。
そう言うわけで俺も買おうと思ったのだが、
あれ~~~?
お金がないぞ~~~?
財布を開くもお金がない。
スッカラカン。完全完璧にオケラである。
なんで~? と頭を悩ませる俺の頭に衝撃が走る。
そう。あの
チクショウが~~~~~!!!
ヤベエよ。どうしよう。今晩は飯抜きってことですか~?
別に~いいですけど~? 一晩くらい飯抜きなんて、全然応えないですけど~?
やれやれ(首竦め&首振り)致し方ない。泣き寝入りして、本の背表紙でもしゃぶってやり過ごすか~。
はあー。というため息を吐きながら券売機に背を向ける俺。つばでも吐きかけてやりたいが鋼の忍耐力で我慢する。
民度の高い日本人なめんなよ!(ちなみに俺の前科は殺人・強盗・窃盗・傷害・薬物・詐欺商法に要人誘拐に国家転覆未遂に~後は……外患誘致? …………………ごめんなさいもう日本人なんて二度と名乗りませんので石は投げないでください)
さてそうと決まったら自室にある部屋の中から(味覚的に)美味しい本を探すとしますか。
俺は食堂に来たものの何もせずに帰ろうとして「N? 一体何をしてるんだ?」と声をかけられた。
声がした方向を見てみると犬耳に長身な女性。身長に反してスリムな(ぺ○ャパイ? 誰がそんなことを言った?)体形をしていて、真面目そうな、もっと言えば堅苦しそうな人物がいた。
まあ、言わなくても分かるだろう。前衛担当のシルビアさんである。
──────────ああ、なんで会っちゃうんだろう
「──いえ、ただ所持金で食券を買えないので部屋に一度戻ろうと思って……」
そう返す。まるで部屋にはお金がまだあるようにも聞こえるように。
「そ、そうか。…………で、では、ここは私が奢ってやろう! なに、日頃Nには世話になってるからな。それのお返しということで……どうだろうか?」
途中まで威勢よく話していたのに、最後辺りがしりすぼみになってこちらに確認を取ってきた。
まるでCEOみたいな行動だが……まあいいか。
「…………そうですか。では」
「──お言葉に甘えさせていただきます」
う~ん。人の金で喰ってるものにケチ付けたくないが、うまくもまずくもねえなこれ。星ゼロを進呈しよう。
「本当に良かったのか? いちばん安いメニューで。それはあまりおいしくないことで有名だぞ」
「ん、モグ、ン……ええ。これで私には十分です。──むしろ贅沢なほどかもしれません」
あ~味薄いな~。ファミレスでよく食ってたアンチョビピザが喰いてえぜ。
「……あ、あ~その。……ちょ、調子はどうだ? なにか困ったことがあるなら遠慮せずに相談していいぞ。私は君の、Nの、味方……だからな」
この人は一体何を言ってるんだろうか?
「……」
「今日のことはあれだろ? 私たちの危険をいち早く排除しようとしただけなんだろ?」
「……」
「ふ、二人も別に怒ってはいないそうだ。むしろNのことを心配するようなことを言ってたぞ」
……話を振ってくれてるところ申し訳ないのだが、今食事中なので話しかけないでほしい。今コロナなんだから黙食を心がける。これ常識だろ?
……………………………………あ、そういやもうコロナ終わったんだっけ? ん? というかこっちの世界コロナなんて流行ってたっけか? あれ~どうだったっけ~?
「それにだな。私も別に怒ってはいないだ。むしろN。君のことが心配なくらいなんだよ」
「……」
モグモグ。ゴクリ。
フー。やっとひと段落。小さな体じゃ食べる速度はどうしても遅くなるな。食欲があんまりないのに食べているから、それも当然か。
さて、ずっと無視してるのも悪いしいい加減応答するか。
「え~とだからな。その……」
「──心配をおかけしたようで、申し訳ありませんでした」
ぺこりと頭を軽く下げる。流石に食器に頭をぶつけるような真似はしない。
「い、いや、別に謝ってほしいわけじゃない。私は何か君が困っていないか、心配で」
な~んか含みがある言い方だな。困っていることなんて………なんだっけ?
「あ~そうだな。二人にも後で話しかけた方が、いやもう夜も遅い。明日にした方が良いかもな」
困ってること~困ってること~。ンンん? 何かあったか? う~ん、まあいいか。
それより今はこの味がうっすい料理をさっさと完食してしまおう。ウオー本気スピードだー!
シルビアは何か目を閉じて考え込んでるようだし。今ならはしたない真似しても誰にもバレない。
行くぜ! 魂のバキューム食い! モグギャグモグギグ。
……ごちそうさまでした。フッ、口周りをあまり汚さずに早食いしてやったぜ。練習の成果が活きたな。
「──ああ、そうです。少しだけ困ってることがありました」
「二人には朝一で連絡してーそれから……ん? な、なに! 困ってることとは一体?」
おー体乗り出してきた。肘をテーブルに着けちゃだめだよ~。マナーがなってないなー。
「……そうですね。……今からあなたの部屋に行ってもいいですか?」
「え、私の部屋か? ……別に構わないが」
「ではそこで話します」
「あ、ああ。そうか、分かった」
今困ってることなんて考えても何もないと思ったが、よくよく考えてみるとあるじゃないか。
そう。そもそも今、俺は一食分の金すらないじゃんか。
そうして俺たち二人は食堂を後にした。困ってることを聞いてきたのは彼女なのだし。別にいいよな。
ピッというカードの認証音がして、個室につながる部屋の扉がシャーと開く。
つくづく思うけど、この世界は明らかにファンタジー系列の異世界のはずだが、やたらと現代技術が使われている。
まあ、少し調べると分かるけど科学とは少し違った技術が使われているらしいから、現代技術とどっちが上かっていう話は意味がないのだろうがな。
二人で中に入り、シルビアが明かりをつける。
部屋の構造は基本的に社員寮の全部屋が同じなのでもちろん俺の部屋とも作りは一緒だから、電気の位置は分かるのだが、一応客人という立場なので下手に動くのはやめよう。
シルビアに案内される通りに進むとそこは寝室だった。
「あ~すまない。椅子は一つしかなくてな」
「いえ、気にする必要はありません。……ベットに腰かけても構いませんか?」
「えっ!? あ、ああ。別に、構わないぞ」
動揺しすぎだろ。と思わなくもないが口には出さない。
「──では失礼して」
スッ。とベットに腰かけた。シルビアはというと机にある椅子を持って来て、座る。
「それで、困っていることとはなんだ?」
「ええ、……実はいま、お金をほとんど持っていなくて……」
「そ、そうなのか? まさか食事代も?」
「──はい。実はそうなんです」
少々困惑している彼女の顔。
「──意外ですか? 私が金銭に困っていることが」
「ま、まあ。そうだな。君は金銭の類はしっかりしていると思ったからな」
そうだな、確かに俺はあんまり金を使うことはないかもな。趣味なんてないし。
「と、というかだな。そういうことは私以外に適任がいると思うのだが……例えばそう、CEOとかどうだ」
「CEOですか」
「ああ、彼女は君のことを溺愛……は言い過ぎかもしれないが、まあ君のことがすごく好きだし。それこそ食に困るような事態ならいくらでも力になってくれると思うのだが」
「ダメです。CEOともあろうものが一社員の私生活に。それもその社員の過失でしかないような困窮に手を差し伸べるなんて、周りに示しが付きません」
「そ、そうかもな。だったらほかのやつにでも」
─────ああ、そうだ
「助けてくれないんですか?」
─────そうだよ
「いや、そういうわけではないが……わ、分かった。じゃあお金を貸そう」
─────原因は
「期限はまあ、返せるときでいいから」
─────お前たちだ
「利子もいらないある時払い。それでもいいか?」
─────俺が困ってる原因は
「──いえ、流石にそれはいけません。そうゆうことは対人関係において悪手にしかならないでしょう」
─────お前たちのせいだ
「ですから」
─────俺が、帰れなくなったのは
「わたしのことを」
─────お前らとなんて
「今夜一晩」
─────関わらなければよかった。
「
ブチュっと。何かが切れた気がした。
「えっ」
困惑の顔が見える見える。
「か、買うって。それは……どういう」
「言ったとおりの意味です。私の体を金銭で
何を聞いてんだろう? 彼女は。
「待ってくれ、流石にそれは承服できない」
「なぜですか?」
「いや、だって、……仲間を買うなんて……」
「フム。察するに、仲間と金銭的な肉体関係を結ぶのは嫌だ。ということでしょうか」
──つまらないこと言いやがって
「あ、ああ、そうだ。仲間を買うなんて行為は唾棄すべきことだ」
「そうですか。では言い方を変えましょう。これは
「人助け?」
「はい。
──免罪符が欲しいんだろ?
「私はいま、お金に困っています。ですが何もせずにお金をもらうというのも心苦しい。それも、相手が仲間だなんて」
「いや、だが」
言葉を被せる。
「ですが、私を
反論なんてさせない。
「──それに、これはあなたにとっても望むべくなことだと思うのですが」
「私に、とって?」
「はい。あなたにとって」
今から言うのは単なるブラフ。
「シルビアさん。あなた……」
頭の上にある犬耳ではなく、人間の耳がある方に口を近づけて囁く。
「時折、
ブラフ。本当はそんな現場なんて見ていない。でも、疑惑はある。
「それに、
これもブラフ。
「……そ、そんなこと」
「ではなんで……
これはホント。
部屋の作り自体は全部屋共通で、もちろん俺の部屋も形は一緒。
社員寮ではあるがこの建物は非常に大きい。それこそ3LDK風呂トイレ別というワガママっぷり。
彼女の自室に入った時、一瞬だが見えたのだ。
簡単な食事を摂るためであろう机と、人を呼んだ時用かは分からないがいくつも椅子が置いてある部屋を。
さて、一体彼女はなんていうのか?
「……」
──ああ、
「本当なら一回だけのつもりでしたが、さっき夕食を奢っていただいたので、今夜一晩。朝日が昇るまでの間」
「──あなたの気が済むまで私のことを
──何も言い返せないなんて……可愛い。
「どうですか? 悪いことではないと思いますが」
──もうあきらめろ
「…………いや、やっぱりそれは駄目だ。そんなことは認められない」
「……」
「N。気は今冷静さを欠いている。普段の君らしくないじゃないか!」
──なに、知った気でいるんだよ
「考えなくても分かることだ。今日の任務中でも明らかに君の様子はおかしかった。何かあったんだろ? 君が、そこまで追い込まれるようなことが」
「……」
「N。私は君のことを傷つけたいわけじゃない。仲間として、友として。大事な君の助けになりたいんだ。君に一度助けられた身として」
──ああ、本当に
「私だけじゃない。エストックも、スレージュも。もちろんCEOだって。君の力になりたいと思っている者はとても多い。それこそ、アークパレスにいる全員が動いても不思議じゃない」
──お前たちは
「だから、そんな風に自分を安売りするようなことを言わないでくれ。もっと自分のことを大事にしてくれ! 私は、いや、私たちは、いつだって君の味方だ!」
──ホント
「だから、悩みがあるなら言ってほしい。助けが必要なら言ってほしい。こんな、こんな形じゃなくて! もっと正しい形で頼ってくれ! お願いだから!!!」
────気持ち悪くて理解不能だ。
「………………そうですか。分かりました」
「じゃ、じゃあ」
「ええ。それなら
「……は?」
「アークパレスの皆さんが本当に私の味方になるというなら、外に話を持ち掛けましょう」
「……ちょっと、待って」
「いいですよ。
シルビアが、アークパレスに所属している奴が全員。俺に感謝していて、俺の
そう。
「外ならば、私を使う人くらいいるでしょう。これでも、見た目はそこそこいい方ですから。幼女性愛者くらいならば。こんな私にも食いつくでしょう?」
「あ、ああ。いや、待って」
待たない。
「教えてくれてありがとうございました。シルビアさん。おかげで無駄な時間を過ごさなくて済みます」
いいのか?
「じゃあ、私はもう行きますね」
ベットから立ち上がり、一歩、扉に向かって歩く。
「それでは」
二歩。
「──さようなら」
三歩目で、ガバッと肩を引かれて、ベットに押し付けられる。
「……分かった」
「何がですか」
──知れたことを
「──N。私は今から君を抱く」
──そうだ
「君が一体何を抱えているのかは知らないが、全部忘れさせてやる」
──へえ
「いやなことも! 苦しいことも! 私が! 全部!」
──できるといいね
「そうですか。別にいいですけど、ちゃんとお金は払ってくださいね」
彼女が望んでいない言葉を掛ける。望んでいないからこそ投げかける。
「ッ! ……分かった」
苦しそうな顔でそう答えた。
なんでそんな顔をしているのだろうか?
「はい。では契約成立です」
──頼むから
「それでは」
──俺のことを
「私のことを」
──完膚なきまでに
「気のすむまで」
──壊してくれ
「使ってくださいね」
──おねがいだから
「ご心配なく。わたし、これでも処女じゃないので♪」
ニッコリ笑顔でそう言い放つ。
彼女はそんな俺を見て顔をしかめた。なんだろう、もしかして処女厨だったのか?
だとしたら悪いことを言ってしまったかもしれない。ごめんね?
シルビアの顔は辛そうで、苦しそうで。全く幸せそうじゃなかったけど。
俺はそれを見ても特に何も思わない。もう何も思えない。
彼女が俺に覆いかぶさってくる。俺のことを捕食するために。
シュルリ、シュルリと衣擦れの音が聞こえてくる。
俺は一切の抵抗をせず、彼女に自分の身をゆだねた。
──どうか俺を壊してくれ
「ん、ンチュ」
唇が合う。情熱的ともいえる接吻。
でも彼女の顔は全然楽しくなさそうだ。
──お願いだから
下の服に手を伸ばした。どうやら脱がせるのに手間取っているようだ。
う~ん。今度からハーフパンツみたいのからスカートに変えるか。
──
頭をなでられた。なぜだろう?
──これ以上誰かを傷つけないように
頬に手を添え、俺の目を見つめてくる。ちょっとだけ照れくさい。
──どうか、
再度口づけを交わす。ん? 舌が入って来たな。
──
ああ。可愛い顔。もっと見せて。
シルビアは苦痛に近い表情を浮かべながら
ああ、もっと。もっと。
そうだよ。あなたたちが悪い。俺が介入しなかったら大変なことになる君たちが悪い。だからそれは自業自得。
それくらいの痛み背負ってくれるでしょ?
そうして
朝日がすっかりのぞき始めている。きっちり夜通し行った。
「さすがはタンク。体力は凄いですね」
でもこちらはまだまだ余裕だ。どうやら
まあそれならそれで構わない。何せ、
だって彼女は証明してくれた。仲間とか言いながらちゃんと俺を
彼女のベットからひっそりと起き上がる。
起こさないようなこっそりと抜け出し、机の上にあったメモ用紙を拝借して書置きを残す。
とりあえず、この内容を見れば彼女は昨夜のことを誰にも話さないだろう。
そのまま寝室から出るためにドアノブをひねり、一晩を過ごした部屋を後にした。未だに眠っている彼女のことは振り返らない。
外の廊下につながる扉を開ける際、”あ、そういえばお金貰ってない”ということを思い出したが、別にいいかと思いなおす。
だって既に相応の
「う~ん。シアワセ!」
硬い身体で伸びをしながら廊下を歩く。とりあえず自室へ行こう。
一睡もできなかったから一眠りしてもいいし、何か準備するのでも構わない。
「あ、……スカートに変えないと」
ショートパンツ? ハーフパンツ? とにかく俺が今履いてるのはそういったタイプのものだ。どうせならスカートに変えよう。
「て、ああ。だとすると下着もか~」
一応下着は女性用を履いてるが、正直言って色気なんて一切ない女児用パンツだ。
「タンスになんかあったけ~」
以前渡された服を全部確認したわけではないのだし、見せパンみたいに見られること前提のやつもあるかもしれない。
ん? 見せパンの意味ってこれで合ってたか?
「ん~。どうでいいや」
そうだどうでもいい。これから俺が行うことについても心の底からどうでもいい。
意味なんてないし、今までの関係も努力も全部まとめてぶっ壊すようなものだろうけど。だからなんだ? そんなことは
「そうだよ! だって私は自由に生きていいんだから!」
そうだ、神様だってそう言っていたじゃないか。君は自由に生きていいんだって。
「
「
「あはははは! 本当に
ルンルルンと鼻歌を歌いながら進んでいく。とても気分は爽快だ。
ああ! ホント今までどうして暗い気分でいたんだろう? こんなにも楽しいのに。
──ああ、どうしてこうなってしまったのだろう
みんなの苦しむ顔を見るためにもっと体売ろう。そしたらたくさん代価をくれる。
──俺はただ
そしたら次の人のところに行って、そのまま全員分やっちゃおう。うんそうしよう。
──ただ
そのためにはう~ん次はどうしよう?
──ただ
エストックちゃんとか? 彼女は私に借りがあるし、追い込めばやってくれそう。
──家に
まあ、適当に考えよう。
それこそただ
「
小さな子供は歩いていく。
どこにもつながらない
ただ、ひたすら、歪な
都合のいいヒーローは現れなかった。
でも自分のことは救えなかった。
これはただ、そういうお話。
これにて完結。あとはおまけを出して終了です。
一応他者視点もあった方が良さそうなので。