この素晴らしい世界で俺だけが祝福されない   作:ZAT  

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第17話

 デュラハン討伐の翌日。

 報奨金を貰った冒険者達が酒場で宴会を開き、ギルド内は昨日までの静けさが信じられない程の盛況。

 

「あの時はいきなり体ごと引っ張られたから何事かと思ったよ。まさか、後ろからアクア様の魔法が飛んでくるとは。イチノセって盗賊職なのに、意外と力が強いんだね」

 余りの酒臭さに耐えかねて宿へ直行するつもりでいたのだが、飲んだくれ達に一人絡まれていたミツルギに声を掛けられた。

 そんな彼の誘いでベルディアとの戦いを話題に昼食ということに。

「アクアの”パワード”があったからな。普段なら揺らすのが精々って所だ」

「なるほど、アクア様の支援魔法なら納得だ」

 ……様呼び?

 と、少し気がかりだったが彼女はアークプリースト。

 異世界にきたばかりの頃、命を救われた事があったりしたのだろう。

 

「キョウヤの方はどうだったんだ? エンシェントドラゴンゾンビ、とかベルディアは言ってたか。それにお前にピッタリとも」

「あのモンスターは最近僕が倒したばかりでね、死体が大きかったからギルドに任せておいたんだけど。まさか魔王軍に利用されるとは」

「かなり強そうに見えたが、一人で倒したのか?」

 最初に会った時からパーティーメンバーらしき姿は彼の近くにない。

 ”ソードマスター”ならパーティー位いつでも組めそうなものだが。

 

「三人で、かな。魔王軍幹部となれば相当な実力だと踏んで昨日は一緒じゃ無かったから、君は会ってないかもしれないけど」

 そのレベルでドラゴン討伐に同行させるのは結構酷くないか? とも思ったがあまりよその事情に口を挟むのは良くないだろう。 

 

 突然、テーブルに金貨の入った袋が置かれる。

 袋を持つ手の元を辿ると、カズマとメンバーの三人がいた。

「探したぞイチノセ。これ、お前の分の報酬な」

 

 どうやらカズマ達はベルディアの討伐報酬として三億エリスを受け取っていたらしい。

 とどめを刺したのはアクアの浄化魔法なので当然なのだが、カズマは俺にもその一部を分けてくれたのだった。

 カズマ達と合わせて五等分、金額にして六千万エリス。

 冒険者になってから稼いできた額を遥かに超える大金。

 ありがたいのだが、こうも急にまとまったお金が入ると意外と困る。 

 税金とかどうなっているのだろうか。

 

「見直したよサトウカズマ、ベルディア討伐の作戦を考えたのは君らしいね。鬼畜だとか呼ばれていたから最低な男だと思っていたが」

「そういうお前は自己中が過ぎるけどな」

「!?」

 カズマ達も一緒に、と席に着いた所でキョウヤがいる事に気づき、なんとなく険悪な雰囲気に。

 そんな事は露知らずのアクアに勧められるがまま酒を飲まされた二人、頬が赤くなる頃には自然に打ち解けていた。

「そういえば見つかったんだな、魔剣。ベルディアとの戦いに間に合って安心したよ」

「君が直ぐに売ったりしなければそんな心配は必要無かったはずだけどね。僕はいくらでも払うつもりだったのに」

 

「確かに短絡的だったな。五百万エリスくらい吹っ掛ければいい小銭稼ぎになったのに」

 魔剣グラムを売ったのはカズマらしい。

 三億エリスに浮かれているのか、端金だと言わんばかりに話す。

 「君ってやつは……。まあ、君とは違って心優しい誰かが届けてくれたみたいでね。ギルドでは正門に行くよう急かされたから誰かは聞けなかったんだけど」

「もう一回スティールしてやろうか、その魔剣」

 酔っている所為かお互いに攻撃的だ。

 放っておくとまた雰囲気が悪くなりかねない。

 

「二人は、ベルディアを倒したときにスキルが増えたりしなかったか?」

 冒険者カードのスキル欄を見せる。

「”死の刻印”? なんか物騒な名前だな」

「カッコいいではないですか、カズマ! きっと、攻撃した相手が一週間後に死ぬのです!」

「当たったら死ぬとかそんなぶっ壊れスキルがあってたまるか!」

 目を紅く輝かせるめぐみん。

「習得してみたが、状態異常スキルということ以外はよく分からなくてな」

「私も”闇耐性”というものが出ていたな」

「僕にも増えていたよ。”限界突破”、一時的にステータスが上がってスキルが使えない状態になるみたいだ」

 キョウヤがスキルを発動させると赤いオーラが出て、威圧感が増す。

「ダクネスとミツルギは分かるが、イチノセの効果は謎か。……なあ、ダクネスに撃ってみたらどうだ?」

 カズマがとんでもないことを言い出した。

 めぐみん程ではないが、俺もそれなりに凶悪な効果だと思っている。

 驚異的な耐久力を持つダクネスだが、流石に気が引ける。

「イ、イチノセ……是非とも私に”死の刻印”とやらを使って欲しい! 大丈夫だ、アクアが居れば大抵の状態異常は治る筈だ!」

「ほら、本人もいいってさ」

「やっぱり君はとんでもない鬼畜だな……」

 キョウヤがドン引きするが、どちらかと言えばダクネスの方がヤバいと思う。

「そこまで言うなら使ってみるか」

 右手にスキルを発動させ、興奮するダクネスの肩を軽めに突く。

 体が一瞬黒く光るが。

「……なんともないな。耐え難い激痛が襲うかと期待したのだが」

 残念そうな顔をするダクネス。

 

「ダメージが上がるとか、倒した後に魔力が回復するとか……考えられるのはあたりだな」

「これだけでよくわかるな、カズマ」

「ゲームは腐るほどやってきたからな、大体予測はできるぞ……お、あった。”死の刻印”、”限界突破”、どっちも十ポイントか、結構高いな」

「さすがはヒキニートのカズマさんね!」

「ほめるなよ、アクア。……後で覚えとけよ」

 

 昼間から始まった宴会は、日が暮れるまで続いた。




デュラハン編、無事終わりました。感想、評価してくださった方ありがとうございます。
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