Blue Archive -Document GUYS feat.LXXX- 作:LN58
本来は遊んでいる暇などないアビドス遠征;怪獣無法地帯の発生により無尽蔵に出現する怪獣たちを一刻も早く根絶する使命を帯びている【キヴォトス防衛軍】と軍事顧問:北条 アキラであったが、
十分な準備もなく人知を超えた超常の存在の総称である“
集中力というものがいつまでも続かないように、怪獣退治へのやる気:士気もまた間断なく維持し続けられるものでもなく、適度な休息と余暇を与えてストレス発散に付き合う必要があった。
そんな中、学園都市:キヴォトスの新機軸として公開された文化施設というのが
これにより、キヴォトス中に四次元移動で展開された
その第1回の開園初日、夕暮れ時にアビドス砂漠から黒い川を形成する巨大バッタの群れが襲来する天災:蝗害が発生し、その対応に追われて避難命令が発令され、来場者や地域住民を収容して四次元都市:フォーサイトへの避難が行われることになった。
そして、蝗害の発生源と思われる緑地跡“枯れた森”をアビドス砂漠の奥地で発見してクラスター爆弾で焼き払い、その焼け跡を監視することになり、本格的な調査を待つことになった。
現状では人喰い怪獣が跋扈する怪獣無法地帯と化したアビドス砂漠における未調査領域の調査は中止となり、新アビドス自治区の防衛体制の構築に力を入れていたわけなのだが、
ここに来て怪獣災害よりも ある意味 質が悪い蝗害の脅威が迫ったとなれば、準備が整うまで何もしないわけにもいかなくなり、安全対策を念頭に置いて迅速な現地調査の実施が求められることになったのである。
しかし、近年の学園都市:キヴォトスで蝗害が発生したことはなく、蝗害の脅威を正しく認識できている識者は少なく、とりあえず“シャーレの先生”が言っていることに従っている空返事に過ぎなかったのだ。
それでも、“シャーレの先生”の呼びかけに応じて見たことも聞いたこともない蝗害対策に協力してくれるだけでもありがたい話であり、
対策を協議するためにキヴォトス中から昆虫学者を探し出してくれることになったのだが、ここで学園都市:キヴォトス特有の事情から大きな問題に地球人:北条 アキラはぶつかることになったのであった――――――。
北条先生「そ、そんな馬鹿なッ!? 数千もの学園が集まっているのが学園都市:キヴォトスなのだから、誰かしら昆虫学者を志している生徒がいるのではないのか!?」
北条先生「それなら殺虫剤とかどうやって作っているんだ!? 昆虫ゼリーは!? 昆虫食だってあるじゃないか!? たしか、『昆虫王女ムシクイーン』なんてTCGがあったよね!?」
ロボット職員「……私もこれまで考えたことがなかったです」
ロボット職員「けれど、学園都市:キヴォトスの生徒が女の子しかいないことを考えると、昆虫に興味を持つ女の子の存在はかなり希少なんじゃありませんか?」
鹿山 レイジョ「……そうですね。【玄武商会】本店の
鹿山 レイジョ「たしかに、【山海経】の伝統料理に昆虫食は数えられてはいますが、近年では本当に好きな子はそう多くはないと思いますよ。伝統を何よりも重んじる【山海経】だから残り続けているだけで、私も蜈蚣や蜘蛛を食べようとは思いません」
鹿山 レイジョ「さすがの先生も昆虫食には精通していないようですし……」
北条先生「それはそう。昆虫食は地球でも古来から存在していたわけだけど、世界一グルメな民族として名高い我が大和民族であっても昆虫食の地位の向上と発展はできなかったわけなんだよね……」
北条先生「その第一として、
北条先生「あと、突然変異の研究対象としてショウジョウバエが利用されているように、昆虫食は遺伝子の安定性が保証されていないから、怪獣退治の専門家の僕としては絶対におすすめするわけにはいかない……」
ロボット職員「実際に突然変異をして巨大化したサバクトビバッタの大群を相手にしたばかりだと説得力がちがいますね。バッタなのにカマキリに変異するし、もうメチャクチャですよ……」
鹿山 レイジョ「これで昆虫食全般の需要と株価が下がりますね……」
ロボット職員「それはしかたがないことです。普通の人には食用と野生の区別がつかないのですから」
北条先生「海老や蟹のように発色が良ければ、先祖たちも縁起物として食べてきたと思いますけどね。刺し身を代表する生食がいける日本人が料亭のお品書きに並べない時点で昆虫食の価値はとっくの昔に評価し尽くされていたと言えます」
北条先生「話を戻します。昆虫学の専門家がキヴォトスでは養成されていないとなると、この先も蝗害に関する知識の継承と管理に支障を来すことになります」
北条先生「そういう意味で、僕は歴史と伝統を重んじる【山海経高級中学校】と【トリニティ総合学園】に今回の蝗害の記録を託したいと思います」
北条先生「記録を未来に残すことの重要性は【アビドス】の荒廃を見て十分に理解していることでしょう」
鹿山 レイジョ「はい。そのように【山海経】を肯定的に評価してもらえるのは光栄です」
北条先生「聖園さんも【トリニティ総合学園】の代表として調査に参加してもらいますので、調査隊の編成をお願いします」
聖園 ミカ「えええぇ…………」
北条先生「別に、人喰い怪獣の巣窟に生身で乗り込むわけじゃないですよ。それは【キヴォトス防衛軍】の方で担当しますので、第一世代型ARバリアフリーマシン:シンクロボットに
聖園 ミカ「こういうことで【トリニティ】の歴史と伝統を評価されるのって嫌な感じ……」
ロボット職員「ですが、大事なことです。蝗害対策を疎かにしてキヴォトス中がバッタの猛威に狂わされるのは嫌ですよね、ミカさん」
聖園 ミカ「どっちかって言うと、カマキリの相手ばかりをしていたけどね、昨日は」
聖園 ミカ「でも、こうやって頼りにされることは嬉しいことかな」
聖園 ミカ「本当に先生は偉いよね。それが失踪した“連邦生徒会長”から託された仕事だとしても、嫌な顔をしながらも逃げずに立ち向かっているんだから」
北条先生「それが僕が選んだ生きる道ですから」
――――――僕が子供の頃に憧れたヒーローの道はこんなにも様々な感情で彩られているんだ。
その裏では
そんな中、開園初日にデジタルミュージアムの究極形と銘打った
ARバリアフリーマシンの技術とノウハウを応用することができれば、様々な形状のものとシンクロできるシンクロボットの開発に繋がり、現場での作業ができないドローンに代わって危険地帯の調査にも使えて人命保護に繋がるため、バリアフリー機構:シンクロボットの開発に“GUYSの先生”北条 アキラはかなりの情熱を注いでいた。
しかし、その
そして、蝗害の記録を未来に残していくために歴史と伝統を重んじる【トリニティ総合学園】と【山海経高級中学校】の生徒たちを今回の調査に動員することになり、シンクロボットの操縦に慣れてもらうように体験会が大々的に行われることになったのであった。
もちろん、【アビドス】を襲った巨大バッタの群れを撃退した勇敢なる生徒たちを褒め称えることは忘れず、開園2日目は勝利に酔い痴れるぐらいの歓喜に包まれた状況になるように雰囲気作りを徹底したのであった――――――。
砂狼 シロコ「なるほど。普段は各地に散らばっている草食性のバッタが孤独相で、大雨や飢饉で棲息地となる緑地が狭まることで自然と密集するようになると群生相のバッタへと相変異していくんだね。それで餌を求めて翅による移動能力を獲得して大規模な集団移動:飛蝗現象を発生させて蝗害を引き起こしていくわけなんだ」
黒見 セリカ「これが蝗害の
十六夜 ノノミ「下手に追い込んで群れの集団密度を高くして放置すると蝗害に繋がるわけですから、たしかに対処が難しい問題ですよね。やるなら一気に根絶しないといけません」
奥空 アヤネ「生命の神秘と言えば聞こえは良いですが、これはさすがに歓迎できない問題ですね」
神代キヴォトス人「だからこそ、自然の在り方から学ぶものがあると言うことだぞ」
神代キヴォトス人「普段は各々がバラバラの生活をしている孤独相であったとしても、災害で寄り集まって苦難に対して立ち向かう意志を持ち続けた時に群生相となり、為政者の不徳となす天災にも数えられる大きな力を
神代キヴォトス人「蝗害の
黒見 セリカ「何よ、それ? 私たちの存在は根っこの部分でバッタと同じだって言いたいの?」
神代キヴォトス人「それ以外に聞こえたか? これが生物の進化の基本だぞ?」
神代キヴォトス人「地球人の叡智をもってしても手を焼くことになる蝗害の脅威からよく学べ。それが今のお前たちに下された課題だ」
砂狼 シロコ「うん。
奥空 アヤネ「となると、蝗害の
十六夜 ノノミ「逆に言えば、危難に際して群生相による突破力を得られずに滅亡する学園を見極めることにも繋がるはずです」
黒見 セリカ「それって、もしかして怪獣頻出期になってから先生から 結構 辛口評価を下されることになった【トリニティ総合学園】がそうなんじゃない?」
砂狼 シロコ「ん、たしかにそうかも。逆に怪獣頻出期で評価を上げたのが【ゲヘナ学園】だから、今の【ゲヘナ学園】は群生相なのかもしれない」
黒見 セリカ「そういう視点で物事を見ていくと、怪獣頻出期で評価を上げた【ゲヘナ学園】と評価を下げた【トリニティ総合学園】の差が見えてくるわね。なるほどね、孤独相と群生相の相変異が上手くいくかどうかの差ってことか」
神代キヴォトス人「そうであろう。所詮、人類も生物である以上は自然から学ぶものがたくさんあったであろう。それが人間観察や人間理解に繋がるのだ」
神代キヴォトス人「そして、はっきりと言えば、生物の本質を理解しているかどうかで人類社会におけるお前たち自身の生きやすさが変わってくるであろうな」
奥空 アヤネ「――――――『生物の本質』ですか?」
黒見 セリカ「普通、そういうのって『生命の本質』とかって言うんじゃないの?」
砂狼 シロコ「でも、今のキヴォトスだと
黒見 セリカ「それもそっか」
十六夜 ノノミ「ですが、その『生物の本質を理解していると生きやすさが変わる』というのはどういうことなんですか?」
神代キヴォトス人「言ったであろう? 人類も所詮は生物である以上は、生物の本質に基づいた社会が自然と築かれることになるわけで、その生物の本質というのが進化にあるということは納得してもらえるか?」
十六夜 ノノミ「それは学術的にも納得できる結論だとは思いますが……」
神代キヴォトス人「だからだぞ」
十六夜 ノノミ「え」
神代キヴォトス人「だから、お前たちは生物の本質である進化を求めて、進化するために必要な
神代キヴォトス人「それがお前たち自身が本能によって無自覚に築き上げたストレス社会の正体ということだ」
神代キヴォトス人「それに適合した選ばれし者だけが生きることが許される時代がもうじき来るということだな」
黒見 セリカ「嘘よ、そんなの!」
砂狼 シロコ「ん、それで滅亡したら本末転倒」
神代キヴォトス人「その通りだ。だが、お前たちは3000万年に神代から続く超古代文明があったことを知り、300万年前のアンバランス期の文明があったことを知ったであろう」
神代キヴォトス人「文明など そういうものだ。永遠など存在しない。それを知ってなお、自分たちが生き続けること――――――、人生を無駄だと思うか」
奥空 アヤネ「そんなことは決してないです」
十六夜 ノノミ「生きられるのなら、もっと生きたいです。続けたいと願うことが許されるなら、もっともっと続けたいです」
神代キヴォトス人「それが自然な発想というものだ。誰も終わることだけを考えて生きてなどいない」
神代キヴォトス人「そして、
神代キヴォトス人「故に、今こそ蝗害に学べ。その経験を活かせ。今のお前たちは賽の河原で小石を積む責務を負わされた稚児も同然なのだからな」
砂狼 シロコ「ん、それってどういう意味?」
神代キヴォトス人「――――――
神代キヴォトス人「
十六夜 ノノミ「………………」
神代キヴォトス人「ともかく、お前たちからは未だに死臭が漂うのだから、バッタ共のように必死に身を寄せ合って知恵を絞って活路を見出すことだな」
神代キヴォトス人「ああ、臭い臭い……」
スタスタスタ・・・
神代キヴォトス人「さて、待たせたな、お前たち」
小鳥遊 ホシノ「うへ~、こんなところにみんなを集めてどうしたの~? みんなでお昼寝するわけじゃないよね、サーベラス様?」
聖園 ミカ「ホント、使節団の代表なんてやるもんじゃないよね。こんな風に急に呼び出されるんだからさ」
剣先 ツルギ「うふ、きぃへっへっへっへ……」
宮藤 セルマ「お前たちも一緒か、カムロ」フン!
山高 カムロ「宮藤……」
服巻 クロモ「思いがけず【ティーパーティー】の副々ホストと話す機会が得られたけど、よりにもよって【マウンテンコリー】の宮藤 セルマも一緒だなんて……」
足坂 エル「相変わらずのようですね、ミカさんも、ツルギさんも。それとウイさんも」クスッ
古関 ウイ「うえひぃ……」
薬子 サヤ「ぼく様も暇じゃないんだから、早くチーズを寄越すのだ!」
御陵 ナグサ「………………」
神代キヴォトス人「ついてこい。お前たちに見せたいものがある」
早朝、【アビドス対策委員会】の定例会議を終えた“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスは【連邦捜査部
そのため、大半の生徒たちは自分たちが絶大な信頼を寄せている大人である北条先生やガリバーさんが信頼しているからサーベラス様の言うことに耳を傾けているだけに過ぎないが、惑星守護神:ギガデロスと一体となって怪獣災害をどうにかできてしまえる超常の存在として無視することができず、生徒に対して手を上げることは決してないため、生徒たちは逆らうことなく やり過ごそうと思いながら 渋々おとなしくしていた。
こうして
そして、トリニティ系環境保護団体【マウンテンコリー】の一員である宮藤 セルマを伴って“シャーレの研究員”が現れ、部屋に集められた謎の集まり;【アビドス対策委員会】小鳥遊 ホシノ、【ティーパーティー】聖園 ミカ、【正義実現委員会】剣先 ツルギ、【図書委員会】古関 ウイ、【錬丹術研究会】薬子 サヤ、【百花繚乱紛争調停委員会】御陵 ナグサ、メトロポリス系環境保護NGO【イエローピーナッツ】山高 カムロ、服巻 クロモ、足坂 エルの計10人の生徒たちがぞろぞろと“シャーレの研究員”の後に続いた。
まだ開園前の
そんな中を開園前なので水着姿ではなく制服姿でぞろぞろと誰もが思わず振り向いてしまう絶世の美貌の犬の獣人に率いられた団体が歩き回り、行く先々で何の集まりなのかを首を傾げられながらリトルプラネットを1周して挨拶回りをしていった。
特に、“アビドスの英雄”小鳥遊 ホシノの名と活躍は昨日の蝗害以前から知れ渡っているため、開園前の挨拶回りを兼ねたパトロールだと最初は誰もが思うのだが、そこに【ティーパーティー】副々ホスト:聖園 ミカと【正義実現委員会】委員長:剣崎 ツルギもついて回っていることに 二度 驚くわけであり、
そう、昨日は本当にいろいろあったわけだが、開園初日である昨日;その最初にあった公式行事である【アビドス高等学校】への支援を約束した【トリニティ総合学園】との調印式があったことを思い出させて、ようやく得心がいくのであった。
だとしても、それ以外の生徒はここでは見慣れない顔だし、着ている制服もバラバラなので、本当に何の集まりなのかがわからないという疑問を人々の心に残しながら、まだ誰も来場者が来ていない場所へと“シャーレの研究員”は迷いない足取りで入っていくのだった。
少なくとも、“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスが知的で思慮深い性格なのは誰もが認めるところなので、昨日 署名を交わした【アビドス高等学校】と【トリニティ総合学園】の結束を思い出させるためだけに朝の挨拶回りに学園を問わず無造作に選んだ生徒たちを連れ回しているわけではないことを誰もが確信していた――――――。
神代キヴォトス人「よし、ついたぞ」
小鳥遊 ホシノ「うへ~。ここって【Ⅳ.
聖園 ミカ「うん。昨日はバッタ共が襲来するまでグレゴリオ様に扱かれてたんだよね、みんな」
御陵 ナグサ「うちのユカリがお世話になりました」
薬子 サヤ「ぼく様はちがうのだ!」
足坂 エル「あ、何か置いてありますよ。いろいろと準備してあるみたいです」
服巻 クロモ「あれ、一番目立つところに何かが布で覆われますよね」
聖園 ミカ「え、もしかして、私たちのためにプレゼントを用意してくれていたの、サーベラス様?」
神代キヴォトス人「ああ。セルマ、お前が覆いを外してこい」
宮藤 セルマ「なんで私が?」
神代キヴォトス人「頼む、セルマ」
宮藤 セルマ「む、まあいい。くだらないものだったら、承知しないからな」スタスタスタ・・・
剣先 ツルギ「……ああ?」ピクッ
古関 ウイ「ひ、ひえっ」ビクッ
山高 カムロ「――――――ん? 今、何か動かなかったか?」
宮藤 セルマ「じゃあ、この覆いを思いっきりだ」ググッ
山高 カムロ「や、やめろ、宮藤ぃいいいいいい!」
バサッ
神代キヴォトス人「――――――」ニヤリ
古関 ウイ「ひぃ」
宮藤 セルマ「はあ!?」
小鳥遊 ホシノ「うへっ!?」
聖園 ミカ「うっううううううう!?」
生徒たち「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」
――――――覆いに隠されていたのは昨日の蝗害で現れた2m級の巨大バッタだったのだ!
神代キヴォトス人「おお、どうした どうした? そんな悲鳴なんぞ上げおって?」
神代キヴォトス人「そいつは昨日の蝗害で我が捕獲しておいた巨大バッタだぞ?」ニヤニヤ
神代キヴォトス人「セルマよ、どうした? 我のことを褒め称えよ! 本来は殲滅対象であったが、慈悲の心で生かしておいたのだぞ、この巨大バッタをな?」ポンポン
宮藤 セルマ「ふ、ふざけるなよ、おい……」ガクガク・・・ ――――――腰が抜けて倒れ込んでいる!
神代キヴォトス人「安心せよ。草食性のバッタは昼行性だ。時間間隔を狂わせて夜と認識させているから、ちゃんとおとなしくしているであろう」ナデナデ ――――――巨大バッタの頭を撫でる。
小鳥遊 ホシノ「さ、サーベラス様、ふざけないでよ!?」
聖園 ミカ「そうだよ! こんなことのために私たちを呼んだわけなの?! もう最悪じゃん!」
剣先 ツルギ「きひひ。いひひひひっ~」
神代キヴォトス人「――――――ふざけているのはお前たちであろうが!?」
小鳥遊 ホシノ「!!?!」
聖園 ミカ「え……」
神代キヴォトス人「お前たちキヴォトス人が戦争ごっこにかまけて蝗害の記録を紛失しているような有り様だから、我が生きた標本を捕獲しておいたのだぞ!」
神代キヴォトス人「ほら、さっさと観察をして記録をせんか! これから“枯れた森”での調査に必要な情報をお前たち自身の手で集めるのだ!」
神代キヴォトス人「そのために我は民間の環境団体の生徒も呼んできたのだ。蝗害という生物災害に対する議論を深めるためにな」
山高 カムロ「…………!」
御陵 ナグサ「サーベラス様……」
薬子 サヤ「だったら、【山海経】のぼく様は関係ないだろう!」
神代キヴォトス人「――――――
薬子 サヤ「…………!」
御陵 ナグサ「え」
神代キヴォトス人「こいつらの体液から前回の巨大アリの蟻酸に含まれていた化学物質:PG-500が検出されている」
神代キヴォトス人「抜き取った体液や体細胞を我からの研究依頼の試料として持っていってもかまわんぞ? お前のことを信用してな?」
薬子 サヤ「――――――!」ゴクン!
山高 カムロ「……目の色が変わった」
小鳥遊 ホシノ「な、何を言っているのさ!? 怪獣の遺骸は全て回収して擦り潰して別々に焼却処分するのが決まりだよね!?」
聖園 ミカ「そうだよ! 怪獣の肉片や細胞は身体に取り込むと怪獣化して怪獣災害を引き起こすかもしれないってことで薬物やお酒と同じで不法所持罪が適応されることになっているじゃんね!」
御陵 ナグサ「故意に流出させるのが狙いですか!?」
神代キヴォトス人「――――――【山海経】を潰すためにな」
薬子 サヤ「はあ!? どういうことなのだ、それは!」
神代キヴォトス人「考えてもみよ。【山海経】なら喜んで怪獣を珍味として取り扱うであろうよ」
神代キヴォトス人「あるいは、怪獣騒ぎを起こしたい連中にとっては最高の取引材料になるであろうよ」
神代キヴォトス人「――――――というのは冗談だ」フフフ・・・
小鳥遊 ホシノ「冗談になっていないよ、今の! さっきからおかしいよ、サーベラス様!」
聖園 ミカ「うん! バッタを捕獲する際に怪獣化させる化学物質を吸って頭がどうかなっているんじゃないの!?」
足坂 エル「なるほど、これは責任重大ですね、ミカさん」
聖園 ミカ「え、なに、エルちゃん?」
足坂 エル「サーベラス様が
服巻 クロモ「それはさっきサーベラス様が説明したじゃない」
山高 カムロ「そうか、僕たちを集めた理由は準備の他に警告か!」
宮藤 セルマ「どういう意味だ、カムロ。わかるように説明しろ」
山高 カムロ「サーベラス様が言っていた通り、第一は蝗害を根絶するために“枯れた森”の調査の準備として、サバクトビバッタの生態を一から調べる必要があるわけだけど、」
山高 カムロ「それとは別に、山海経系犯罪組織で生物を怪獣化させる化学物質:PG-500の闇取引が行われる可能性を警告するため――――――」
山高 カムロ「そうでなくても、これまでウルトラマンが退治した怪獣の細胞がブラックマーケットで闇取引されているわけで、僕たち【イエローピーナッツ】はそれらが自然界にバラ撒かれて生態系への悪影響や遺伝子汚染が出ないように追跡しているんです」
山高 カムロ「わかるか、宮藤! 目の前でバッタの頭を撫でている“シャーレの研究員”は【山海経】だけじゃなく【トリニティ】にも疑惑の目を向けているってことなんだよ!」
宮藤 セルマ「なんだと!?」
聖園 ミカ「ちょっと聞き捨てならないんだけど、それ」
宮藤 セルマ「そうだぞ! 暴食で有名な【美食研究会】の出身校の【ゲヘナ】の連中ならまだしも、どうして【トリニティ】が自ら進んで怪獣を利用するような真似を――――――!」
神代キヴォトス人「――――――『聖書無謬説』というのが聖書の解釈にあるそうじゃないか」パラパラ・・・ ――――――ホテルに置かれている聖書を手に取る。
聖園 ミカ「え」
宮藤 セルマ「……何だ、聖書なんか取り出して?」
小鳥遊 ホシノ「今、何って言ったの、サーベラス様?」
神代キヴォトス人「ウイよ、簡単に『聖書無謬説』の説明をせよ」
古関 ウイ「ひえっ!?」
聖園 ミカ「えっと、落ち着いて、ウイちゃん。ね」
古関 ウイ「は、はい……」
古関 ウイ「えと、『聖書無謬説』というのは読んで字のごとく『聖書は無謬である』、つまりは『聖書に書かれてあることに誤りがない』から『聖書に書かれていることは全て真実である』ということを絶対的要件とする信仰の前提です」
小鳥遊 ホシノ「私、聖書ってちゃんと読んだことないからよくわかんないけど、本当に神様なんてのがいるのなら今すぐに【アビドス】を救って欲しいんだけど」
宮藤 セルマ「歴史とは勝者が作るものだ。それに書いてあることがありのままの真実であるわけがない。勝者にとって都合がいい事実しか書かれていないに決まっている」
宮藤 セルマ「ましてや、【トリニティ】の歴史は100の宗派を抹殺してきた強者の歴史に他ならないしな」
宮藤 セルマ「まあ、100の宗派を抹殺して1つに統合しても天国なんて一向に来やしないし、今も【トリニティ】を牛耳っている派閥の人間が内外で無自覚に戦火を撒き散らしているんだ。貧民救済を謳っていながら“
聖園 ミカ「………………」
宮藤 セルマ「カムロも理解できるだろう。【トリニティ】も【ゲヘナ】も本質は同じだ」
山高 カムロ「宮藤……」
宮藤 セルマ「で、聖書の矛盾や誤りだと指摘されている箇所を『聖書無謬説』を堅持するための屁理屈で“
神代キヴォトス人「それがな、近年のキヴォトスでは観測されてこなかった蝗害が発生したことを
聖園 ミカ「え」ゾクッ
足坂 エル「………………」
神代キヴォトス人「なあ、聖園 ミカ。いや、ウイでもツルギでもかまわん」
神代キヴォトス人「このサイトのスレッドによると、『今のキヴォトスは七人の天使のうちの五人目のラッパが吹いた』とあるぞ」
聖園 ミカ「え、嘘、何それ、聞いてない……」
剣先 ツルギ「…………!」
古関 ウイ「えええ、えええええええええええええ!?」
小鳥遊 ホシノ「え、ミカちゃん? ツルギちゃん? ウイちゃん?」
薬子 サヤ「ど、どうしたのだ?」
御陵 ナグサ「……何やら、ただならぬ様子ですね」
神代キヴォトス人「でだ。次の
聖園 ミカ「え」
服巻 クロモ「え、いったいどうなると言うんですか? 目の前にいる巨大バッタのことを完全に忘れるぐらいにまったく関係ない話ですけど、ここまで話を聞いたら気になっちゃうじゃないですか!」
聖園 ミカ「そ、それは、その……」チラッ
足坂 エル「それについては、同じトリニティ生として続きをお答えしますよ、ミカさん」
聖園 ミカ「え、エルちゃん……」
足坂 エル「おそらく、トリニティ系のコミュニティサイトで話題になっていると言うのは、新約聖書の1つ:神の恩寵の黙示録における終末のラッパの節のことでしょう」
足坂 エル「救世主が最後の審判を下すにあたって七つの封印を解くことで終末のラッパを吹く七人の天使が動き出します」
~七人の天使が終末のラッパを吹く~
第一のラッパ:地上の三分の一、木々の三分の一、すべての青草が焼ける。
第二のラッパ:海の三分の一が血になり、海の生物の三分の一が死ぬ。
第三のラッパ:にがよもぎという星が落ちて、川の三分の一が苦くなり、人が死ぬ。
第四のラッパ:太陽、月、星の三分の一が暗くなる。
第五のラッパ:飛蝗が額に神の刻印がない人を5ヶ月苦しめる。
第六のラッパ:四人の天使が人間の三分の一を殺した。生き残った人間は相変わらず悪霊、金、銀、銅、石の偶像を拝んだ。
第七のラッパ:この世の国は救世主のものとなった。天の神殿が開かれ、契約の箱が見える。
足坂 エル「思い出しましたか、ミカさん?」パラッ ――――――常に持ち歩いている小冊子を読み終える。
聖園 ミカ「ウソウソウソ……、冗談じゃんね、そんなの……」
山高 カムロ「――――――『第六のラッパ:四人の天使が人間の三分の一を殺した。生き残った人間は相変わらず悪霊、金、銀、銅、石の偶像を拝んだ』」
宮藤 セルマ「そういうことか! やはり、“ウルトラマン”も【キヴォトス防衛軍】も否定されるべき偶像だったというわけだな!」
服巻 クロモ「ど、どういうことよ!?」
宮藤 セルマ「要するに、聖書に書かれていることを本気で信じている連中はアビドス砂漠で蝗害が起きたことを第五のラッパが吹いた結果だと都合よく解釈して有頂天になっているわけだ! 文字通りのことが起きないといつまで経っても黙示録に予言された神の国の到来が実現しないわけだからな!」
小鳥遊 ホシノ「…………他人事だと思ってッ!」ギリッ
宮藤 セルマ「ようやくサーベラス様が言いたいことがわかったよ! 本当に最高の話だな! 実にくだらないッ!」
神代キヴォトス人「そうであろう。【トリニティ総合学園】を代表するお前たちよりも聖書をずっと読み込んでいる連中の方が ある意味 蝗害に詳しいであろう。情けない話ではないか」
聖園 ミカ「………………」
剣先 ツルギ「……さ、サーベラス様。そ、その、そのトリニティ系のコミュニティサイトで言われていることを本気で信じている生徒が、相当数、い、居るわけなのでしょうか?」オドオド・・・
神代キヴォトス人「――――――『四人の天使が人間の三分の一を殺した』というのを『【パテル】【フィリウス】【サンクトゥス】【シスターフッド】が団結してキヴォトス
聖園 ミカ「…………あいつら、本当にッ!」
古関 ウイ「ひ、ひぃいいいい! や、やっぱり、【シスターフッド】の秘密主義集団も裏で他の派閥と結託して【ゲヘナ】を滅ぼそうとしていたああああああ!?」
山高 カムロ「そして、【ゲヘナ学園】を滅ぼした後に第七のラッパで救世主が降臨して、【トリニティ総合学園】が出来上がる前の遥か古代から言い伝えられてきた神の国がいよいよ到来すると、界隈が盛り上がっているわけか……」
足坂 エル「――――――エデン条約。これは大変なことが起きそうですね、間違いなく」
剣先 ツルギ「そ、そんな……、エデン条約の意味がまったくちがうものに変わっちゃいます、このままだと」オドオド・・・
小鳥遊 ホシノ「…………何それ? ふざけているの? 何が神の国の予言だよ!? 神様なら 苦しんでいる人たちを誰も犠牲にすることなく 全員 救ってみせてよ!」
薬子 サヤ「そうなのだ! まるで『キヴォトス
御陵 ナグサ「神の国の実現のために大勢の人が犠牲になることを歓迎しているような人たちが本当に神の国にふさわしいのでしょうか? その人たちは聖書の教えを本当に体現しているのでしょうか?」
服巻 クロモ「そうよ! こんなの、絶対に許せない! 特に、後半の
足坂 エル「…………神よ」
聖園 ミカ「…………セイアちゃん、ナギちゃん」
神代キヴォトス人「というわけで、わかったか、聖園 ミカ?」
――――――今回の蝗害の発生がエデン条約に大きな影響を与えたということがな。無論、怪獣災害を利用した犯罪の可能性も無きにしも非ず。
聖園 ミカ「うええええ! き、気持ち悪い……!」ウゲェ
足坂 エル「でも、こうして見るとお目々がクリクリしてて少し可愛いかもですよ」
聖園 ミカ「いやいや、冗談はよしてよ、エルちゃん。昨日は夕暮れ時で薄暗かったから、まともに見ずに済んでいたのに……」
小鳥遊 ホシノ「うんうん。私たち、昨日たくさんのバッタちゃんを銃弾の雨でバラバラにしてきたんだよねぇ……」
剣先 ツルギ「わ、私たちの代わりにバラバラになった遺骸を夜を徹して片付けてくれた人たちには本当に感謝しかありません……」オドオド・・・
御陵 ナグサ「ウイさん、これが産卵管ですか?」クイクイッ ――――――バラバラの遺骸が詰まった箱から火ばさみで掻き出す。
古関 ウイ「うぅ、そ、そうみたいです……」パラパラ・・・ ――――――古書館の昆虫図鑑と見比べる。
服巻 クロモ「これがバッタの卵……」パシャパシャ ――――――写真撮影した画像データが転送される。
山高 カムロ「宮藤、バッタの卵って茶色い泡に包まれた淡い黄色の楕円形をした卵なんだな」
宮藤 セルマ「この成分は卵黄か。そうか、黄身の成分が強いから黄色いわけか。それが砂の中にまとめて埋められているわけだな」
薬子 サヤ「わかったのだ! どうして
山高 カムロ「へえ、本当かい」
薬子 サヤ「しかとぼく様の説明を聞くのだ!」エッヘン!
宮藤 セルマ「一応、聴いておいてやろう」
薬子 サヤ「まずね、
薬子 サヤ「じゃあ、
山高 カムロ「そうか! サバクトビバッタが棲息するのが砂漠となると、乾燥地帯の卵は水分の獲得が難しいから必然と
宮藤 セルマ「ああ、1個1個の卵が90%近くが水分になる
服巻 クロモ「だから、
薬子 サヤ「実際、トカゲやヘビのような有鱗類の卵は
山高 カムロ「つまり、湿った土壌の中でなければ、サバクトビバッタの卵は絶対に孵化しないんだ」
御陵 ナグサ「それを聞いて安心しました。昨日 撃退したサバクトビバッタから溢れた卵は外気に晒されたことであっという間に干からびて死滅するわけですね。まあ、これだけ卵が大きいと見逃すこともないのですが」
宮藤 セルマ「となると、地中の水分を枯らしてしまえば、サバクトビバッタの卵は駆除は簡単というわけか」
山高 カムロ「ああ。産卵管の長さから推測される深さまで地面に熱を通すことができれば、サバクトビバッタの卵を全滅させることができる。赤外線とかマイクロウェーブが有効かも」
宮藤 セルマ「……そうか」
山高 カムロ「……宮藤?」
服巻 クロモ「あれ、いつものように『自然の一部である生物を人間の都合で殺すな』って言わないんだ」
宮藤 セルマ「見ろ。資料にはカマキリの卵は卵嚢といって『植物の茎や枝に産卵される』とある。外見もそうだが、完全にバッタの生態とちがう」
宮藤 セルマ「だから、成長したらバッタがカマキリに変異するような 生物を怪獣化させる有害物質を体内に持っている
宮藤 セルマ「それに、だ。自然界に絶対に存在しない
宮藤 セルマ「天地万物を創造した時に存在するはずがない間違った生命であろうと、飛蝗というだけで節操なく喜ぶ連中の気が知れない。これだから本の虫は嫌いなんだ」
服巻 クロモ「なるほどね。何でもかんでも逆張りしているんじゃなくて、それなりに筋は通しているってわけなんだ、【マウンテンコリー】でも」
古関 ウイ「……古書館を出入り禁止にしますよ。迷惑してます、【マウンテンコリー】にはずっと」
宮藤 セルマ「ふん」
ゴロゴロゴロ・・・
神代キヴォトス人「お前たち、研究や観察は進んだか。そろそろ、食事にするとしよう。これは我の奢りだ。遠慮なく食べるといい」ゴトン ――――――サービスワゴンに山積みになった熱々の串焼きが運ばれてくる。
獅子堂 イズミ「サーベラス様、早く食べさせて。待ちきれないよ……」ジュルリ・・・ ――――――
神代キヴォトス人「まあ、待て、イズミ。たらふく食わせてもらえるだろうからな。もう少し待て」
獅子堂 イズミ「はーい!」
山高 カムロ「宮藤、食事にしよう。サーベラス様の奢りだってさ」
宮藤 セルマ「あいつはテロリストグループ【美食研究会】の獅子堂 イズミ? なぜ?」
山高 カムロ「見ろよ、あの山のように積み重なった串焼き! 肉の山と、野菜の山と、スイーツの山だぞ!」
神代キヴォトス人「飲み物はウォータージャグがあるから紙コップで飲め。中身はおいしい水だ。粉末ドリンクも箱買いしてきたから好きに使え」
服巻 クロモ「ありがとうございます、サーベラス様!」
神代キヴォトス人「味変を楽しむために鍋も用意させてもらった」カチッ・・・ ――――――三色鍋を載せてカセットコンロに火を点ける。
薬子 サヤ「わあ! この濃厚な臭いはチーズ! チーズフォンデュなのだ! チョコレートフォンデュも! それにこれは蜂蜜なのだ!」
御陵 ナグサ「おお、鍋もタレに甘味に出汁の3つを用意してくださっているのですね。これは色々と味変を楽しめそうですね」
聖園 ミカ「へえ、串に刺さったケーキなんてあるんだ。【ティーパーティー】じゃ絶対にお目にかかれないものじゃんね。こうやって齧り付くのはちょっとお行儀が悪い気がするけど新鮮」
足坂 エル「はい、ツルギさん、あーん! マシュマロのチョコレートフォンデュ!」
剣先 ツルギ「あ、あーん……」
足坂 エル「はい、ミカさんも、あーん! マカロンのハニーフォンデュって感じ?」
聖園 ミカ「わあ! 串に刺さったマカロンもハニーフォンデュも初めて! これって新感覚ってやつじゃん! 美味しい!」
小鳥遊 ホシノ「ねえねえ、これって、何? 何のお肉かな? 知ってる?」
御陵 ナグサ「ああ、それは
小鳥遊 ホシノ「へえ、詳しいんだね。あ、これは美味しいね。おじさんの好みに合うかも」
獅子堂 イズミ「――――――」ジュルリ・・・
古関 ウイ「あ、あの、どうして食べないのですか? そんなに見つめられると食べづらいのですが……?」
獅子堂 イズミ「だって、サーベラス様が自分から採っちゃいけないって……」
古関 ウイ「どういうことですか、それって?」
剣先 ツルギ「き、きぇえええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
古関 ウイ「ひぇえ!?」ビクッ
足坂 エル「ど、どうしたのですか、ツルギさん!? 大丈夫ですか?!」
剣先 ツルギ「」ガクガク・・・ ――――――白目を剥いている!
服巻 クロモ「え、いったい何が――――――」
聖園 ミカ「うええええええ?! な、何これえええええええええ!?」
御陵 ナグサ「こ、これは――――――!?」
宮藤 セルマ「さ、サーベラス様めええええ! またやってくれたなあああああ!?」
山高 カムロ「――――――バッタの串焼き!? いや、ヘビやトカゲの串焼きに、蜘蛛や蜈蚣の串焼きも!?」
神代キヴォトス人「どうした? 追加の山だぞ? たくさん食えよ? これは【山海経】のコーナーで投げ売りされていたから買ってきたわけなんだが?」ニヤニヤ
聖園 ミカ「……ちょっと、これはないんじゃないの、サーベラス様?!」
小鳥遊 ホシノ「私たちにバッタちゃんの観察をさせておいて差し入れにバッタの串焼きを持ってくるってさ、サーベラス様って本当に嫌味な人だよね……」
神代キヴォトス人「お前たちが好き嫌いをして食わないのなら、そこでお腹を空かせている獅子堂 イズミに餌付けするといい」
神代キヴォトス人「イズミは好き嫌いなく何でも食べてくれるからフードロス削減に貢献してくれている素晴らしい生徒だぞ」
服巻 クロモ「――――――ふ、『フードロス削減』ですってぇ!? これは食べ物とは言わないのでは?!」
山高 カムロ「サヤ、【山海経】の食べ物なのか、本当に? ブラックマーケットでも見ないぞ、こんなの?」
薬子 サヤ「……たしかに【山海経】の伝統的な食べ物に含まれているのは事実なのだ」
薬子 サヤ「ただ、勘違いして欲しくないのだ。昔はそうだったかもしれないけど、今はあんなゲテモノを好き好んで食べる生徒はいないのだ」
薬子 サヤ「ああいうのは【山海経】の伝統的な生薬の材料としての需要が残っているだけで、一般には出回っていないキワモノなのだ」
神代キヴォトス人「けしからんぞ、お前たち。食べ物を粗末にしおって。海老の串焼きは食えるのにバッタの串焼きが食えない理由は何だと言うのだ」
神代キヴォトス人「ほれ、イズミ、たんとお食べ」
獅子堂 イズミ「わーい!」
獅子堂 イズミ「う~ん! おいしーーーーーーーーい!」
獅子堂 イズミ「サーベラス様、もっともっと! もっとちょうだい!」
神代キヴォトス人「うん。味付けも完璧だな。どうせお前たちが手を付けないと思って、我の方で味付けをして正解だったな」
山高 カムロ「わあ、美味しそうに食べるねぇ」
足坂 エル「……海老は良くてバッタがダメな理由ですか。そう言われると、一理あるかも」スッ ――――――トカゲの串焼きを手に取る。
宮藤 セルマ「いや、騙されるな! 人間が食べる物じゃないものまでフードロスの責任を負わされるな!」
聖園 ミカ「と、とりあえず、イズミちゃんが食べてくれるのなら、要らないものは全部あげちゃおう? ね?」
古関 ウイ「そ、そうしましょう、絶対に! それで忘れましょう、目にしたものを!」
剣先 ツルギ「は、はい……」ガクガク・・・
こうして“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスの下で“シャーレの先生”とはちがった
怪獣退治の専門家である“シャーレの先生”北条 アキラは失踪した“連邦生徒会長”に代わってキヴォトス全体を俯瞰して政治的な判断を下す立場にあり、それでいて本人の信念から高い支持率を維持するための心配りを欠かすことができないため、かなり気を配った対応しかできないのが弱点でもあった。
もっとも、何をやるにしても大義名分と正当性を確保してから理詰めで飴と鞭を使い分けて説得と懐柔を試みることから、基本的に“シャーレの先生”のやることに間違いがないわけであり、それがキヴォトス史上最大の軍事力【キヴォトス防衛軍】の軍事顧問という名のキヴォトスの頂点に君臨する存在への絶大な信頼と実績に繋がっていた。
しかし、それだけでも十分に“連邦生徒会長”の後継者に相応しい才覚の持ち主ではあるのだが、ウルトラマンの心を教育現場で実践して 怪獣頻出期が終焉した平和な時代に人々の負の感情が放つマイナスエネルギーから怪獣が生まれることを防止しようと 教育者の道を進んだ北条 アキラは一人の人間にできることの限界も知り尽くしていた。
光とは何か、闇とは何か、ウルトラマンの心とは何か、マイナスエネルギーとは何か、一人の教育者として教育現場での実践を基に完成させようとしている光と闇の正規分布の研究論文において『光は絶対ではない』と結論付けているからだ。
よって、光と闇の研究に拠って『
この考えは北条 アキラの本職が小学校の先生であり、配属された小学校のクラスの生徒たちの相対評価である偏差値に慣れ親しんでいたことで適応されたものであり、全ての正規分布のグラフは標準偏差:
平均値±1σの範囲中に全体の約68% ⇒ 偏差値:40〜60
平均値±2σの範囲中に全体の約95% ⇒ 偏差値:30〜70
平均値±3σの範囲中に全体の約99.7% ⇒ 偏差値:20~80
これを踏まえて平均値±3σの範囲の正規分布を1σ単位で区切ると5段階評価、0.5σ単位で区切ると10段階評価となる。
平均値±0.5σの範囲中に全体の約38% ⇒ 偏差値:45〜55
平均値±1.0σの範囲中に全体の約68% ⇒ 偏差値:40〜60
平均値±1.5σの範囲中に全体の約86% ⇒ 偏差値:35〜65
平均値±2.0σの範囲中に全体の約94% ⇒ 偏差値:30〜70
平均値±2.5σの範囲中に全体の約97% ⇒ 偏差値:25~75
平均値±3.0σの範囲中に全体の約99.7% ⇒ 偏差値:20~80
この研究は『光という理想状態は正規分布における
この正規分布に基づき、どの範囲や程度の闇と向き合えるかを考えた時、偏差値が低すぎる
しかし、人には得意不得意がありながら教育によって人間が社会的生物として成長して共存することができるのだから、偏差値が低すぎる
結果、【連邦捜査部
その中でも、神代から続く超古代文明の生き残りである“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスは非常に実践的かつ理知的に厳しく教え諭す形で生徒たちに接しており、こればかりは小学校の先生である北条 アキラではやりたくても 立場上 絶対に実践できない教育指導の在り方であった。言うなれば、禅寺の和尚さんのような教育指導というわけである。
そういう意味では厳しく指導されながらも決して綺麗事だけじゃない汚濁に塗れた世の中の真理を心の内で求めている生徒には好評であり、発せられる問いは常に考えさせられる内容となっていたわけである。
実際、地球人:北条 アキラがキヴォトスで広めているものは基本的にキヴォトスにはこれまでなかった地球が発祥の先進的な知識や概念であり、それらが真新しいものとしてキヴォトス人にまっさらに受け容れられるのに対し、
こちらは推定3000万年以上前の超古代文明の生き残りであるため、現代文明の発達で贅肉のように無駄に彩られた世界の実像に惑わされることがなく、素朴で普遍的な真理に根ざしたものとして哲学的で真剣に頭を悩ませて脳味噌が汗を掻くようなものになっていたのだ。
つまり、“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスは光と闇の正規分布において偏差値が高すぎる
一方、それとは正反対となる偏差値が低すぎる
カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー ! カ イ ザ ー !
宇宙格闘士の帝王「さあ、どんどん掛かってこい! この“帝王グレイ”のエンターテイメントを盛り上げてみせろ!」ジャキ! ――――――ダブルガトリングガン!
砂狼 シロコ「行くよ、ヒフミ! アル! ユカリ! これまでの日々で成長したところを見せつけるよ、みんなに!」
阿慈谷 ヒフミ「はい! これもペロロ様の新作を買うために必要なことなんです!」
陸八魔 アル「私の進化をよく見ておきなさい!(賞金を獲得するためにチームを組んだはいいけど、生身で怪獣と真向勝負できるグレゴール人と【戦術対抗戦】なんて絶対に無理無理無理~! エキシビションマッチで実力は歴然としているのに、どうして この子たちは立ち向かっていけるわけ~!?)」
勘解由小路 ユカリ「ふふふっ! 昨日までのユカリとはちがうのです! 今からがユカリ伝説の始まりですのよ!」
――――――
美甘 ネル「あいつらもよくやるぜ。昨日は蝗害が発生して、その対応に追われたってのによ」
蒼森 ミネ「そういうネルさんも同じように蝗害の対処に向けて、【戦術対抗戦】のメンバーに私を誘ってきたじゃないですか」
美甘 ネル「まあな。なんだかんだでアビドス遠征の先発隊ってことで、あいつらとはまったく知らない仲じゃないしな」
美甘 ネル「それで、そろそろ アビドス系犯罪組織の連中も見飽きたし、もっと歯応えがあるやつと戦いたくなったから、今回【トリニティ】からの応援であんたのような強者に会えて良かったぜ」
美甘 ネル「こうやって【Ⅳ.
美甘 ネル「先日のエキシビションマッチの時よりは規模は小さい2✕2に配置された2階建てのキリングハウスでの攻防戦は手軽でかつなかなかに楽しませてくれる」
蒼森 ミネ「そうですね。救護の技術を磨くためにも、キヴォトス中から集まってきた実力者たちの戦いを見ることができるのは 大変 勉強になります」
蒼森 ミネ「けれども、戦いとは虚しいものです。救護するために他人を傷つけることが避けられない――――――」
蒼森 ミネ「それでも、人間は好むと好まざるとに関わらず戦い続けなければならないのですね……」
美甘 ネル「まあな。怪獣災害だけじゃなく生物災害として蝗害の脅威も出てきたわけだからな」
蒼森 ミネ「今の私は生身で怪獣と戦ってくださっているグレゴリオ様の救護が今もっとも必要だと考えています」
蒼森 ミネ「本当は誰よりも体を張ってキヴォトスを守り続けているウルトラマン80の救護がしたいのですが……」
美甘 ネル「ああ、そうだな。こればっかりは本当にな……」
――――――
砂狼 シロコ「この【戦術対抗戦】はサーベラス様とグレゴリオ様が戦ったエキシビションマッチと同じ特別ルールで、1ラウンド:3分/インターバル:1分の10回戦のポイントを集めるゲーム」
砂狼 シロコ「とにかく、グレゴリオ様の動きを封じながら、数的優位を活かして できるだけ多くの標的を私たちが先に破壊し尽くてポイントを集めないと絶対に勝てない」
阿慈谷 ヒフミ「けれど、あのダブルガトリングガンの火力と射程は尋常じゃありません。真正面から立ち向かったら、あっという間に蜂の巣にされてしまいます」
砂狼 シロコ「そう、まともにやり合ったら 標的ごと あの弾幕火力で全て制圧されてしまうし、2階程度なら軽く一飛びできる跳躍力も相まって のんびりしていてもダメ」
砂狼 シロコ「だから、アルとユカリは急いで屋外にある標的を狙い撃って。私とヒフミが相手側のキルハウス内の標的を破壊して回るから。屋上にあるものは この際 捨てる」
砂狼 シロコ「そして、攻撃禁止のインターバル:1分の実質的な無敵時間を上手く使うことで この【戦術対抗戦】の勝敗が決まると思っていいから、それを念頭に置いて積極果敢に攻めるべき」
陸八魔 アル「わかったわ、シロコ。行くわよ、ユカリ(そうか、インターバルの無敵時間を上手く使うのね! さすがは【覆面水着団】ね! ルールを悪用してでも勝ちに行く! それでこそ真のアウトローよ!)」
勘解由小路 ユカリ「はい! 身共の活躍、見せて差し上げましょう! 見ててください、ナグサ先輩!」
現在、【Ⅳ.
そんな中、事前告知にはなかった競技;帝王のエンターテイメントである【戦術対抗戦】が開催されており、先日のエキシビションマッチの内容を手軽なものに変えた 2✕2に配置された2階建てのキルハウスに配置された標的をどれだけ破壊できたかを敵チームと対面しながら獲得ポイントを競うものとして競技性を高めていた。
この帝王のエンターテイメントである【戦術対抗戦】もまた、その日の上位入賞チームに賞金が授与されるという競技大会の立派な種目に数えられているため、研究と対策を練ったチームが参戦することもあれば、たまたま居合わせた者同士が実戦形式のチーム戦で互いの実力を図るために気軽に参加していることもある。
そして、暫定チャンピオンとなる“帝王グレイ”は単身で超火力のダブルガトリングガンを片手にキルハウスを跳び回り、あらゆる角度から浴びせられる銃弾の雨をいかにして掻い潜ってポイントを稼げるかを真剣に考えながら、アビドス遠征が始まったことで縁が結ばれた4人が奮闘する。
チームリーダーを務める【アビドス対策委員会】砂狼 シロコには自分たちの居場所である【アビドス高等学校】の存続のために強くなりたいという理由があった。そのためにアビドス遠征でめぐりあうことになった信頼できる大人に指導を受けながら、頼れる仲間たちと切磋琢磨の日々を送っていた。
表向きは【ティーパーティー】の凄腕エージェントとされているが、実際には推し活のために【帰宅部】でいる阿慈谷 ヒフミは【アビドス対策委員会】との独自の繋がりから今回の【アビドス高等学校】へ派遣される使節の一員に組み込まれており、友好の架け橋として率先して【アビドス対策委員会】砂狼 シロコの力になっていた。
一方、【便利屋68】社長:陸八魔 アルもまた【アビドス対策委員会】とは数奇な運命を経て敵対関係から友好関係を結ぶことになり、今回は【Ⅳ.
そして、この中で特に場違いに思えるのが【百花繚乱紛争調停委員会】勘解由小路 ユカリであり、キヴォトスが怪獣頻出期に突入したことでついに【百鬼夜行連合学院】にも怪獣が現れた時に何も出来なかったことに無力感を覚えており、
それがアビドス遠征において“シャーレの先生”北条 アキラがハザードマップ完成のためにキヴォトス中の生徒たちに協力を呼びかけたのに応じて一人で飛び出してしまっていたのである。
そのため、出身校である【百鬼夜行連合学院】でも由緒正しい名門:勘解由小路家の跡継ぎが突如として失踪したことになり、捜索願いが出されていた程なのだが、
そうとも知らずに当の本人がアビドス砂漠から“シャーレの先生”とクロスタッチできたことに感激して嬉々として連絡してきたため、周囲は呆れながらも無事であることにホッとして連れ戻すために迎えを送ることになった。
しかし、自分の実力不足を痛感して自らを鍛え上げるためにアビドス遠征に参加した勘解由小路 ユカリの熱意に逆に心打たれることになり、【百花繚乱紛争調停委員会】の一員として お世話人をつけて 正式にアビドス遠征に参加させることが決まり、こうして【アビドス高等学校】との交流が始まっていたのだった。
そして、アビドス砂漠で発生したゴールドラッシュに駆けつけた大勢の生徒たちの一人に過ぎなかった勘解由小路 ユカリがこうして【アビドス対策委員会】砂狼 シロコと親しい関係になれたのは、“シャーレの研究員”神代キヴォトス人:サーベラスに教え諭されて 来年度からの新しい【アビドス高等学校】の在り方を模索するために 砂狼 シロコが様々な人と会話をするようになった結果であった。
小鳥遊 ホシノに拾われて【アビドス対策委員会】の一員になる以前の記憶がなく、卒業後の進路というものを思い描くことができない砂狼 シロコに対して、【百鬼夜行連合学院】の名門:勘解由小路家の跡取りとして卒業後の進路が最初から決まっている勘解由小路 ユカリが憧れである【百花繚乱紛争調停委員会】の一員として自己実現を果たそうとしている――――――。
生まれや境遇に大きなちがいがあるものの、互いに求めているものが同じだと思えた砂狼 シロコと勘解由小路 ユカリはこうして【キヴォトス防衛軍】のアビドス遠征を通じて切磋琢磨する仲間となり、アビドス遠征で集まった【連邦捜査部
今回、【トリニティ総合学園】が【アビドス高等学校】への支援を行う取り決めが正式に交わされる中、キヴォトス中から
それ故に、勘解由小路 ユカリは帝王のエンターテイメントとして組み込まれた競技大会の一種目【戦術対抗戦】で発奮しており、相手が先日のエキシビションマッチで無茶苦茶な戦闘能力を発揮した“帝王グレイ”であっても、キルハウスの構造やルールの特性を活かしきった万全の対策を立てて勇猛果敢に戦いを挑むのであった。
そこには砂狼 シロコだけじゃなく、【アビドス対策委員会】や【便利屋68】の面々もブレーンやサポートとして何らかの形で今回の【戦術対抗戦】に協力しており、勘解由小路 ユカリはアビドス遠征に参加したことで本当に様々なものを得ることになったのであった。
ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!
戦場カメラマン「………………」
北条先生「……どうしたんですか、こんなところで?」
戦場カメラマン「ああ、北条先生か……」
戦場カメラマン「いや、先生が来てくれたおかげで、キヴォトスが良き方向へと変わっていっていることに感心していてだな」
戦場カメラマン「キヴォトスの歴史がこうして年表にまとめられていることが一つの成果に思えてな」
北条先生「ええ、この歴史年表の制作には学園都市:キヴォトスをまとめ上げるための重要な意義がありましたからね」
北条先生「僕はあくまでもキヴォトスの外から来た異邦人として過度に干渉しないようにしていますが、それと同時に怪獣退治の専門家として万全の防衛体制の構築のために必要なことを要求せざるを得ない立場にあるわけです」
北条先生「今回、【Ⅲ.
北条先生「歴史というのは大切なものです。しっかりと継承していかなければ、こんな風に他所の学園に保管されていた史料で空白を穴埋めされることになるのですから」
戦場カメラマン「そうだな。さすがは歴史と伝統を重んじる【トリニティ総合学園】だ。古書館に保管されている他の学園の記録は他の追随を許さないな」
戦場カメラマン「そして、こうした歴史年表とは別にキヴォトス全体の経済成長や人口推移の記録が展示できている辺り、無能と揶揄されている【連邦生徒会】も何だかんだでしっかりと仕事してきていることがわかる」
北条先生「そう。こういうふうにキヴォトス全体の歴史や情報に大衆が触れる機会が極端に限られているのが学園都市:キヴォトスの教育方針の欠陥なんです」
北条先生「せめて、高等部の生徒たちが専門教育を受けて行政活動を担うのなら、【キヴォトス連邦】の一員としての国民教育を初等部や中等部で徹底して欲しいと、小学校の先生の僕は思うのですよ」
戦場カメラマン「ああ。地理・歴史・公民の社会科の学習にもっと力を入れるべきだと俺も思う」
北条先生「そもそも、『学校は社会の縮図』だなんて言いますけど、学園都市:キヴォトスだと『学校が社会そのもの』という過った解釈の下にエリート教育が施された結果、協調性や社会性を欠いた生徒たちがたくさん不良化して抗争の絶えない
北条先生「学園都市:キヴォトスの創造主というのは学校教育を教育の全てだと誤解して、社会教育や家庭教育の重要性を理解していないと見える」
北条先生「結局、秩序の尊重こそが個性の尊重に繋がるわけで、無秩序な社会においては力が全てを支配することをわかってないんだ。個性を発揮することは秩序を乱すことではないんだ」
戦場カメラマン「そうだな。秩序が崩壊した社会で子供たちは端金の労働力や少年兵として大人に搾取されるだけの存在にしかならない。俺は紛争地域でその真実をずっと写真に収めてきたんだ」
北条先生「――――――個展、開きません?」
戦場カメラマン「ん?」
北条先生「これまでいっぱい写真を撮ってきましたよね? カメラマンはそれが商品なんですから、買い取らせてくれませんか? それで【Ⅲ.
戦場カメラマン「たしかにな」
戦場カメラマン「そうだな、個展か。考えておく」
戦場カメラマン「そう言えば、先生はどうしてここに? 誰かと待ち合わせ?」
北条先生「そうそう。僕たちはアビドス砂漠の奥地の“枯れた森”の調査の準備をしているわけですよ」
戦場カメラマン「そうか。なら、俺も同行するべきか」
北条先生「いや、行かない方がいいです。大羽蟻怪獣:アリンドウを生み出した化学物質:PG-500が気化して空気中に充満している可能性が非常に高いです。防護服の着用は必須です」
戦場カメラマン「そうか。たしか、蟻酸だったな。ある種のアリは防御液として蟻酸を吹きかけ、蟻塚から酸性の蒸気を放つわけだからな」
北条先生「蟻酸の名前もそうした種類のアリの大量の遺骸を蒸留して初めて単離に成功したことで名付けられたものですからね」
北条先生「そして、巨大アリの死骸を集めてPG-500を含んだ蟻酸の蒸留に成功してますし、巨大バッタの死骸も蒸留してPG-500を確認しています」
北条先生「ですので、アビドス砂漠の緑地“枯れた森”がなぜ枯れているのかと言えば、PG-500を多量に含む気化した蟻酸が原因なんだと思うので、以前 硫酸ミストを撒き散らす怪獣と戦ったことがありますが、今度は蟻酸ミストの巣窟へ突入することになります」
戦場カメラマン「蝗害を防ぐために殺虫剤を散布しても蟻酸ミストで効き目がないということか。まあ、強力な殺虫剤に対して薬剤抵抗性が発達して害虫が毒虫へと進化してしまうことを考えると、最初から殺虫剤は使わない方向になったのは長い目で見て良いことなのかもな」
北条先生「少なくとも、蟻酸ミストの中和剤を撒きながら防護服着用の現地調査になるはずです」
北条先生「お、あれは百合園さん!」
戦場カメラマン「昨日 発表されたばかりの第一世代型ARバリアフリーマシン:シンクロボットだったな」
北条先生「そう、今度の“枯れた森”の調査ではシンクロボットを投入して、遠隔操作で現地調査を安全に進めようと思っています」
戦場カメラマン「……先生自身はシンクロボットじゃなくて防護服で蟻酸ミストの中を行くのか?」
北条先生「ええ。怪獣退治の専門家の僕じゃなければ、わからないことが多いはずですから」
戦場カメラマン「そうか」
戦場カメラマン「ところで、さっき『百合園さん』と言ったか? それは【ティーパーティー】正ホスト:百合園 セイアのことなのか?」
北条先生「昨日は【玄龍門】門主:竜華 キサキさんに使ってもらって、今日は【ティーパーティー】正ホスト:百合園 セイアさんがお忍びで来ているというわけです」
戦場カメラマン「そういうことか。なら、いつまでも先生を引き止めているわけにはいかないな」
戦場カメラマン「それじゃあ、またな、先生」
北条先生「はい」
北条先生「では、行きましょうか、百合園さん」
北条先生「けど、本当に聖園さんには内緒でいいんですか?」
ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!
北条先生「それはどうして?」
北条先生「僕はあくまでも小学校の先生なので図工しか教えられないですが、それでも地球が宇宙に誇れる文化として芸術分野にも多少の知識はありますから、素人の目利きにはなりますが批評してあげますよ」
北条先生「それも悪くないですね。僕の身近な生徒は写真撮影に興味を持ち始めてプロのカメラマンに習ってますしね」
北条先生「では、【Ⅲ.
北条先生「その前に僕が個展を開きますけどね! 地球の芸術文化も広めなければ!」
――――――つまり、先生の生き様そのものが重要文化財というわけだよ。
蝗害の発生源と思われる“枯れた森”の調査のために導入された第一世代型ARバリアフリーマシン:シンクロボットの試運転の順番待ちが発生している中、こうして普段の激務から
【キヴォトス防衛軍】の中核を担う【キヴォトス
そのため、持ち回りで正ホストに就く【サンクトゥス】代表の百合園 セイアのことを誠心誠意で支えるつもりでいたところに思いがけずホスト代行としての重圧が桐藤 ナギサにのしかかり、絵に書いたような深窓の令嬢としての優雅な物腰から完全に身を持ち崩すことなった。
そのことを後ろめたく思いながらも最終的な決定権を握る【ティーパーティー】正ホスト:百合園 セイアが健在であることが先生の登場で一番に躍進して有頂天となっている【万魔殿】議長:羽沼 マコトへの最大の抑止力となっているため、残念ながらホスト代行に任命されてしまった桐藤 ナギサの紅茶を飲む量が日に日に増えていくことを見て見ぬ振りをする他なかった。
そうしてホスト代行:桐藤 ナギサに負担を肩代わりしてもらったことで、天変地異の時代:怪獣頻出期を迎えてからのこれからのことや自分の在り方を見つめ直すことになり、
歴史と伝統を重んじるあまりに地球人:北条 アキラがもたらすキヴォトスの変革の勢いについていけない【トリニティ総合学園】の重い腰を持ち上げるために、百合園 セイアは持ち回りで次の次にホストの座が回ってくる【パテル】代表:聖園 ミカにも働かせることを決心したのであった。
もう四の五の言ってられないのだ。学園都市:キヴォトスが失踪した“連邦生徒会長”が怪獣頻出期の到来に向けて赴任させていた“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラの下でかつてないほどに団結と協調の道を進んでいるというのに、逆に分裂が始まって二進も三進もいかなくなっているのが【トリニティ総合学園】なのである。
そこで【ティーパーティー】の代表3人が総出で【トリニティ総合学園】を次の時代へと引っ張っていく三頭体制への転換が図られることになるのだが、それを後押しするのが十数年前のIT革命に端を発する【トリニティ総合学園】の学制改革運動の成功であり、その再来を正ホスト:百合園 セイアは目論んでいたのであった。
――――――それが実現できなければ、【トリニティ総合学園】は確実に滅亡する。それは先生が【キヴォトス
そもそも、今となっては学園の歴史に燦然と輝く学制改革運動の事績ではあるが、そういったものが十数年前に実施されていたということは裏返すと当時の生徒たちの多くが強い危機感を抱いて改革に邁進していたわけであり、【トリニティ総合学園】はこうして再び改革を余儀なくされるほどに追い込まれているのだ。その意味ではまったく進歩なんてしていないのかもしれない、私たちは。
けれども、これで【パテル】【フィリウス】【サンクトゥス】の代表全員が一致団結して天変地異の時代を生き残るために奔走することになったので、これに対して反対意見を述べる者たちのことを一切遠慮する必要はなくなった。
やれやれ、随分と出遅れてしまったものだ。【トリニティ】はいつもそうだ。古来から【キヴォトス
もしかしたら【トリニティ総合学園】生徒会長たる【ティーパーティー】ホストの実力というのは1の力を3分割したものに過ぎないのかもしれない。実際、2年前にキヴォトス中を混乱に陥れた“雷帝”のような怪物を輩出してきた【ゲヘナ】の生徒会長と比べたら、【トリニティ】の代表というのはあまりにも小粒に思えてしまう。
けれども、いいんだ。同じだ。十数年前のIT革命と共に先代たちが邁進してきた学制改革運動の原点となるものは今もキヴォトスに存在していて、それは“光”の中心となって“シャーレの先生”であり“GUYSの先生”である地球人:北条 アキラをこの地に導いてくれたのだから。
だから、今こそ先代たちが受け継いできた学制改革運動を再開させよう。大いなる導きと共に。手を取り合って。
そして、先生は神の救いを次のように喩えた。
――――――それが神様の助け舟のジョークである。
海で溺れかけている男がいる。
彼は自分が信心深いと自負しており、何があろうと神様が助けてくれると確信していた。
そこに船が一隻現れ、「溺れてるじゃないか。助けてやろう」と近づいた。
すると、男は「神様が助けてくれる。必要ない」と言った。
別の船が現れ、腰まで溺れた男に言った。「波が高くなってきた。そのままじゃ溺れるぞ。助けよう」と手を差し伸べた。
しかし、男は「神様が助けてくれる。必要ない」とこれも断った。
更に別の船が現れて、首まで沈んだ男へ言った。「死にそうじゃないか。今、助けてやるからな」と必死になった。
ところが、男はまたしても「神様は必ず助けてくれる。必要ない」と言って追い返してしまった。
そして、男は本当に溺れ死に、天国の門で神様へ嘆願した。「なぜ助けてくれなかったのです! 私はあなたを信じていたのに!」と。
それに対して、神様はこうおっしゃった。「三度も助け舟を出したというのに、お前は自ら救いの手を払い除けた。信心深いとはとても思えん」と。
――――――避難命令が発令されました。避難命令が発令されました。避難プログラムに従い、直ちに避難を開始してください。
聖園 ミカ「わーお」
聖園 ミカ「ウルトラマンが2人も!」
宇宙格闘士の帝王「あの様子だとオレの出る幕はなさそうだな」
聖園 ミカ「あんなでっかいカブトムシがやってくるだなんて、もう何でもアリだよね、ここって……」
聖園 ミカ「うぅ、巨大バッタの観察やら、昆虫食やらで今日はもういっぱいいっぱいなのに、これ以上
宇宙格闘士の帝王「あれは宇宙昆虫:サタンビートルだな。幻想宇宙人:クリーン星人が使役しているビートル星産の宇宙怪獣だ。クリーン星人は腹黒く狡賢いことで有名だ」
宇宙格闘士の帝王「だが、こんな辺境の惑星までやってきて侵略しに来たようには到底思えんな。第一、“宇宙の帝王”であるこのオレが居るのだからな。居ることを知っていたら、オレへの恐怖で震えが止まらないだろうからな」
宇宙格闘士の帝王「やはり、怪獣墓場に通じる穴が存在しているのか……」
宇宙格闘士の帝王「だとしたら、この隠しきれない殺気はどこから――――――?」
聖園 ミカ「あ、ウルトラマン80がでっかいカブトムシを叩き落としたよ」
宇宙格闘士の帝王「ほう、サタンビートルの飛行速度はマッハ8だが、それに追いつくとは大したスピードだな。まあ、オレほどじゃないがな」
聖園 ミカ「え、何? あっちの銀色の巨人が赤くなったと思ったら、何か
宇宙格闘士の帝王「
宇宙格闘士の帝王「賢明だな。サタンビートルは口から毒ガスを放つ。それをマッハ8で空からバラ撒かれては女子供が多いこの場所では対処のしようがない」
宇宙格闘士の帝王「いや、赤いトサカのウルトラマンの方が高速飛行するサタンビートルを追いかけ、銀色のウルトラマンの方が街への攻撃を防いでいたのか」
宇宙格闘士の帝王「最初から対処の仕方がわかっていたか。なるほど、それなら北条先生が半世紀に渡ってM78星雲の光の巨人と共に怪獣頻出期を戦い抜いた地球の出身と言うのも信憑性があるな」
宇宙格闘士の帝王「よし、ミカ。サタンビートルはもう退治されたから、続きをするぞ。さあ、構えろ」
聖園 ミカ「えええええ!? ここ、【アビドス高等学校】だよ!? 四次元空間に丸ごと避難する
聖園 ミカ「もう休ませてよ~! 可愛くない練習着のまま駆け込むことになった上に汗だくだしさ!」
宇宙格闘士の帝王「なら、今すぐにシャワーを浴びてこい。それで特訓を再開――――――」
宇宙格闘士の帝王「……ギガデロス」
聖園 ミカ「え? どうしてギガデロスが? 近くにまだ怪獣が? それとも、また巨大化した昆虫軍団が迫っているの?」
宇宙格闘士の帝王「――――――そういうことか、この殺気の正体は!」
聖園 ミカ「え、何? 何なの?」
聖園 ミカ「え、あれってサタンビートル!? さっき、ウルトラマンと一緒に消えたはずじゃ――――――!?」
宇宙格闘士の帝王「そうか、首都:D.U.の方で現れた宇宙怪獣:エレキングが突如として別形態に変貌したというのも、やつらの仕業か」
宇宙格闘士の帝王「……やつらがこの惑星を侵略しに来たというわけか!」
聖園 ミカ「え、ええ? さっきから何? 何の話をしているの!?」
宇宙格闘士の帝王「ミカ、今日はもういい。さっさとシャワーを浴びて後は寝て過ごせ」
宇宙格闘士の帝王「今からオレはオレのための闘いをする」
――――――待たせたな! そうだ! 宇宙に帝王は一人、このオレだ!
戦場カメラマン「うっ……」フラッ・・・
北条先生「大丈夫ですか。サタンビートル自体は火薬庫になっている腹を誘爆させて楽に勝つことができましたが、メタフィールドを使ったことで また生命エネルギーを……」ガシッ
戦場カメラマン「だが、俺では追いつくことができないカブトムシ;それも、マッハ8で空を飛んで毒ガスを撒き散らす害虫を確実に仕留めるにはメタフィールドに閉じ込める他なかった……」
北条先生「あれ、ギガデロス? それにグレゴリオ様? どこへ向かう気なんだ?」
戦場カメラマン「――――――?」
北条先生「なっ!?」
戦場カメラマン「ば、馬鹿な!? あそこにいるのはサタンビートル!? 確実にメタフィールドで倒したはず……?!」
北条先生「……もう1体現れただと!? そんな都合よく?」
戦場カメラマン「先生、見ろ! 空を何かが飛んでいるぞ! それもたくさん!」
北条先生「――――――怪獣サイズではないな? 新手の巨大生物か? アリやバッタの次は何だ!? カマキリやカブトムシの次は何の怪獣だ!?」
戦場カメラマン「……あれはハサミか?」
北条先生「……なら、あれは空飛ぶロブスターか何かか?」ジャキ! ――――――トライガーショット!
戦場カメラマン「……来るぞ!」ジャキ! ――――――ブラストショット!
北条先生「ううおおおおおおおおおおお!?」
-Document GUYS feat.LXXX No.15-
宇宙昆虫:サタンビートル 登場作品『ウルトラマンレオ』第25話『かぶと虫は宇宙の侵略者!』登場
その名の通りカブトムシによく似た姿をしている宇宙昆虫。
カブトムシといえば昆虫の王様ということで子供たちの憧れの的であり、平成以降の映像作品に客演したこともないレオ怪獣であるにも関わらずソフビの売れ筋が良く、毎回ラインナップに乗るほどのマイナー怪獣のはずの人気怪獣であり、ゲーム作品では意外と脚光を浴びる機会を得ている。
しかし、一見すると正統派の昆虫怪獣のようで非常にカッコいいのだが、その正体は意外にも判然としていないが、確実に子供たちの夢を壊すような邪道なものであり、それ故の“
能力はなんと劇中では“毒のゴミ”と呼ばれた口から放出する毒ガスであり、昆虫怪獣の例に漏れず極めて有害な毒虫であったのだ。
カブトムシにそっくりなだけに甲虫の皮膚は航空機部隊の迎撃網を容易く突破するほどの装甲強度を誇り、羽を広げればマッハ8の速度で軽やかに飛行でき、突進の勢いで角で貫く得意技:ビートルチャージが猛威を振るう。
また、脇腹から発射されるロケット砲:幻塵弾による爆撃も行ってくるため、宇宙からの侵略兵器としては十分すぎる戦闘能力を誇る。
そして、地上に降り立つと怪人:カブトムシ男と言えるような二足歩行形態に移行し、角の反りが逆に向いた鋭く尖らせた角の頭突きで追い立て、
サタンプレスで相手を押し倒したが最後、腹部のロケット砲に毒ガス、鋭く尖らせた角の一斉攻撃で密着した相手の息の根を確実に止めるのだ。
しかし、クリーン星人の侵略兵器として改造されているためか、搭載されたロケット砲が誘爆する関係で腹部への衝撃に弱く、それが原因で炸薬が引火して盛大に爆発する模様。
劇中では地球防衛委員会が行ったクリーン星での新型CX137ロケット弾の実験への報復としてクリーン星人が地球へと送り込んだ怪獣であるらしいことが視聴者の憶測でしか伝わらない。
しかし、『ウルトラビッグファイト』シリーズの
この幻想宇宙人:クリーン星人も劇中の描写からでは何がしたいのかがよくわからず、クリーン星への実験の報復のために動いているのなら、防衛チーム【MAC】の隊長を務めるモロボシ ダンが過去に経験した『地球人の実験の犠牲になった怪獣』ということで、かつて『ウルトラセブン』が戦ったギエロン星獣を思い出させる事件となったのだが、
クリーン星に住むクリーン星人は腹黒く狡賢いことで有名とナレーションで解説されていたため、この実験そのものが無関係だったはずの惑星ビートルを戦火に巻き込むためのクリーン星人の策謀だったのではないかと考察することができるが、今となっては全ての真相は闇の中である。
クリーン星での実験の後に地球に飛来し、手始めに宇宙ステーションV9を破壊。宇宙ステーションAから出動した戦闘機部隊も壊滅させる。
ついに地球に到着して東京上空から爆撃を開始し、地上で破壊活動を繰り広げ、ついにウルトラマンレオと対決することになる。
姿を見るなりサタンビートルは再び飛び立ち、空中を旋回しながら突進。レオもその勢いによろけ、工場に倒れてしまう。
体勢を崩したレオの上に立ち塞がったサタンビートルはレオを突き刺そうと何度も鋭い角を振り下ろすが回避され続け、しまいには受け止められて共に地面を転がる。
勢いそのままに立ち上がった両者だったが、レオのキック連打と巴投げを受けてサタンビートルは相手を見失い、その隙にレオはサタンビートルの羽を掴んで振り回し、遂にむしり取ってしまう。
しかし、サタンビートルも負けじとロケット弾掃射でレオに迫り、辺りの工場や山を吹っ飛ばして大暴れ。レオもこれには堪らずにひとまず近くの山を跳び越え避難。
仕切り直して、再びサタンビートルに立ち向かうレオに向けてサタンビートルは口から紫色の煙と共に毒のゴミを吹き付けて苦しめる。
再び毒のゴミを吐き出そうとするサタンビートルの口を狙い、レオはシューティングビームを発射。サタンビートルは悶え苦しみ、辺りに不発に終わった毒のゴミが降り注ぐ。
そこから一気呵成の猛攻の前にサタンビートルは成す術がなく、ロケット砲を発射する直前にとどめのレオキックを受けたことでロケット砲の炸薬が誘爆したのか、盛大に火花を吹いて爆発四散した。
しかし、【ドキュメントMAC】においては宇宙昆虫:サタンビートルは地球の航空戦力ではまったく刃が立たないレベルの“マッハ8で空を飛んで毒ガスも撒き散らしながらラムアタックを仕掛けてくる所属不明の重爆撃機”というヤバ過ぎる戦力評価であるため、貴重なカブトムシっぽい外見の怪獣ということもあって印象に残りやすく、画像解析が済み次第、即座に四次元空間への避難命令を発令させることとなった。
幸い、マッハ8のサタンビートルより速いマッハ9のウルトラマン80が空中戦を制して、メタフィールドで隔離させることができるウルトラマンネクサスがいたことで被害は最小限に留めることができ、
その後の展開も【アーカイブドキュメント】で対策済みであったため 2対1で戦いを有利に進めて、とどめはレオキックにならってムーンサルトキックで盛大に火花を散らしてサタンビートルは爆発四散したのだが――――――。