こちら葛飾区亀有公園前派出所 未来からの訪問者 作:雛月 加代
「それで、君の名前は?」
派出所に着いた両津は、上司である大原部長にことの顛末を説明する。しばらくの後、大原部長は椅子に座り、少女に問いかけた。
「え、わたしのなまえ?えっとね・・・・・あれ・・・・・あれ・・・?えっと・・・・えっと・・・」
「どうした?」
「うぅ・・・・なまえ、わかんない・・・・・」
少女は泣きそうになりながら答えた。
「え!?もしかしてそれって・・・・」
お茶を運んできた麗子は驚きの声を上げた。
「お嬢ちゃん、ここに来るまでに転んだりした?頭とかいたくない?」
「え?転んでないよ?痛いところもないし。」
「・・・・・・・・・・・・。」
記憶喪失。どうやら病院にも行く必要がありそうだ。
「うぅ・・・・なまえ、わからなくてごめんなさい・・・・」
「そんなこと謝らないでいい。きみが悪いわけじゃないんだから。」
大原部長は優しく頭を撫でる。いつも孫を可愛がってるだけあって、子供の扱いが上手い。
「なら、お父さん、お母さんの事は覚えているかい?」
「うん。覚えてるよ。」
少女は先程とは打って変わって自慢げに両親の事を語り出した。
「ママはピアノとバレエとお菓子づくりが上手なの。パパは力持ちで、よくお寿司を握ってくれるの!この前ね、3人でピクニックに言った時・・・・・・・・・・。」
少女はとても嬉しそうに語り出す。
「お昼は、ママの作ったお弁当。ママ、お料理作るのがすっごく上手なの。ハンバーグはすっごくおいしいの。その後、パパと一緒にラジコンで遊んだの!」
「いいパパとママじゃないか。」
なのに、こんなところへ子どもを放っぱって、何をしてるんだか。
「パパとママはお巡りさんなの!」
「『「お巡りさん!?」』」
その言葉に部長はギロリと両津を睨む。
「両津!貴様一体どういうことだ!?」
「ご、誤解ですよ!私にも何がなんだか・・・・・。」
両津はヒア汗をかきながら、後退りする。
「小学生並みの嘘を吐くんじゃない!おい、手錠を持ってこい、強姦犯を署に連行する!」
「だーかーら!私は無実です!」
部長は手錠を片手に、両津に近づいていく。だがそんな部長の服の袖を少女は引っ張った。
「おじちゃん、パパどこかに行っちゃうの?」
両津と部長のやりとりに心細そうに言う女の子。
「いや、いや、どこにも行かないよ。」
部長の顔がパっと笑顔に切り替わり、優しく少女の頭を撫でる。
「部長、これからどうするんですか?」
中川の言葉に部長は顎に手を当てながら考える。
「ふーむ、そうだな・・・・そうだ、両津、お前がこれからこの娘の面倒を見るんだ!」
「ええ!?なんですって!?」
「一生、とは言わん、両親が見つかるまでだ、それだったらいいだろ?」
「待ってくださいよ、部長!」
「普段からどうせ競馬とパチンコしかやっとらんのだから、この機会に一般市民の安全のために尽力しろ!」
「そんなあ〜!」
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